大滝詠一の楽曲に隠された変態的リズムとは? 鳥居真道が徹底考察

『ロンバケ』は言うまでもなくメロディ・タイプが中心となった作品です。親しみやすい歌のアルバムと印象が強い。けれども、リズムがかなり工夫されていて、変態リズムものの側面もあります。A面の頭から4曲、つまり「君は天然色」、「Velvet Motel」、「カナリア諸島にて」、「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」はポップスサイドでありながら、変態リズムものでもあると考えています。

変態リズムものと言うけれど、なにがどう変態なのか。変態という単語を複雑と言い換えたほうが話が早いかもしれません。複雑なリズムとは端的に拍子が取りにくいリズムのことです。反対に単純なリズムとは拍子が取りやすいリズムだと言えます。その曲の拍子に合わせて両足を繰り出して歩きやすいかどうかを指標にすると単純さや複雑さを体感しやすいでしょう。

『〈脳と文明〉の暗号 言語と音楽、驚異の起源』 (ハヤカワ文庫NF)の著者マーク・チャンギージーは次のような仮説を立てています。言語や音楽が生まれたのは、脳が進化してそれらを扱えるようになったからではない。むしろ脳が元来持っているポテンシャルを最大限に引き出すために、言語や音楽のほうを研ぎ澄ませ、最適化させたのではないか、と。言語や音楽は自然界にある音を模倣してできたというのです。そして音楽の土台となる拍子は人間の歩行を模したものだと主張しています。

音楽とダンスが不可分であることから、ある種の音楽は音を使って物体の運動を表現しているとかねてより考えていました。ダンスミュージックは音自体が踊ってなくてはならないというのが私の持論です。音楽が歩行という動作を模して出来上がったとするのなら、音楽を聴きながら歩いてみるのは理に適っていて自然なことのように思えます。それで、歩きづらければ歩きづらいほど、不自然で複雑であると。

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