―待望の新作『Thank You』ですが、制作のきっかけを教えていただけますか?
ダイアナ:今回のアルバムの曲は、皆さんへの感謝と愛を形にしたものよ。こんな状況の中でこの素晴らしい作品を作ることが出来て、とても嬉しいわ。(新曲「カム・トゥギャザー」歌詞の一節を引用して)”私は私の道を歩く。私の前をあなたが歩く。私たちはひとつ”ということね。これらの曲たちは私の心からの贈り物で、皆さんとシェア出来ることにとても喜びを感じているわ。
―今回のレコーディングは、あなたにとってどんなものでしたか?
ダイアナ:私のホーム・スタジオでレコーディングしたんだけど、そのおかげでとてもパーソナルな体験となった。毎朝起きてすぐに歌い始める、という感じだったわね。私はいつも音楽を愛しているし、その感情が新しい作品に繋がったということがとても嬉しいの。歌うことが大好きだし、歌詞やメッセージに強い力があることを信じている。
―あなたのこれまでの楽曲には愛についてのメッセージが多く含まれています。今回の作品にもそれが受け継がれているのでしょうか。
ダイアナ:”Love”は「愛する」という意味の動詞。そしてこのアルバムは「愛する」こと、共にいることに対する力強いメッセージなの。この愛のソングブックを、私は感謝をもってリスナーたちに贈りたい。このアルバムを皆さんに届けることができてとても光栄よ。私がこの作品を作っていた時に感じた喜びを皆さんにも感じてもらえれば嬉しい。皆さんが愛と素晴らしい思い出に満ちた人生を送れますように。
―ソングライティングのやり方について、少しお話をいただけますでしょうか。
ダイアナ:机に向かって日記を書く時に、自分がどうなりたいか、みんなが幸せになるために自分がどうあれば良いか、といったことについて書き留めていたわ。
そしてインスピレーションは全てのものから受け取っていた。
―あなたの楽曲を素晴らしいものにしている要素は何だと思いますか。
ダイアナ:人々の心に残るメロディと、心の奥から生まれてくる歌詞。音楽は記憶を持つヴァイブレーションであり、美しい香りのようなものよ。
―曲を選ぶ時のポイントはありますか。
ダイアナ:心と感情を大切にするようにしているわ。時には曲の方が私を見つけてくれることもあるわね。
愛のメッセージ、伝説的なキャリアについて
―参加アーティストやプロデューサーはどのように決められたのでしょうか。
ダイアナ:彼ら無しにこのアルバムは存在しなかった。
アルバムに参加して、美しい思い出をたくさん残してくれた皆にお礼を言いたいわ。ソングライター、プロデューサー、ミュージシャン、アレンジャー、そしてエンジニアの皆にありがとうを贈りたい。たくさんの友人ができてとても幸せだった。ありがとう!
―プロデューサーのジャック・アントノフ(テイラー・スウィフト、ラナ・デル・レイ、ロードなど)との制作作業はどうでしたか。
ダイアナ:彼はとても思いやりのある素晴らしい人。友だちになったわ。人生や家族、キャリアといった大切なことについてたくさんの話をしたの。彼と取り組んだのは「アイ・スティル・ビリーヴ」。
―『Thank You』を特別なものにしているのは何だと思いますか。
ダイアナ:これは私のこれまでの作品全てがあって生まれたもの。全てのオーディエンス、ツアー、そして愛……全てよ。それらがこのアルバムを形作っているの。今回の歌詞にも出てくるけど「私は私の道を歩く。私の前をあなたが歩く。私たちはひとつ」ということよ。とにかく愛を持つこと、そうすればすべては後からついてくるわ。
―このアルバムを聴いていると、あなたの心から生まれたメッセージが基になっているように感じます。
ダイアナ:その通りよ。とても幸せなことだと思うわ。
今回の作品は単なるアルバムではないの。これは私についてのアルバムじゃない。全ての人々に、全てのものについての作品なの。そして過去、現在、未来についての作品でもある。私の心に触れた全ての人々への感謝の気持ちを表現したアルバムよ。
―ご自身が長年第一線で活躍を続けていることについて、どう感じていますか。
ダイアナ:音楽業界は昔と比べて変わってきていると感じるけど、音楽を作るという根本の部分は何も変わっていないと思うの。全てはアイデアから始まる。それが創造へと繋がっていく。私の場合は始まりのアイデアがハーモニーや愛についてのことが多いわ。キャリアを通じて良いものを作り続けてられるよう心掛けてきたつもりよ。
コロナ禍に見つけたもの、この世界に望むこと
―コロナ禍が蔓延し始めてから約15カ月が経ちましたが、どのような生活を送っていましたか。
ダイアナ:私にとって一番大切なものは何か、毎日考えていたわ。「タオのプーさん」という本を読んだんだけど、そこではクリストファー・ロビンが「きみがこの広い世界で一番したいことはなんだい?」とプーさんに問いかけているの。そこでそれを自分でも考えてみることにしたのよ。私は希望の光を見つけたい。感謝の気持ちをみんなへ伝えたい。そしてこの特別なアルバムを作ることに決めたの。言葉や考えの全てがここでは重要。愛や感謝を伝えることについての作品なのよ。愛さえあれば、きっとうまくいく。時の流れに身を任せれば、きっと大丈夫。
―コロナ禍の不安定な状況で、ご自身のバランスをどのように取っていますか?
ダイアナ:人生とは常に移り変わっていくもの。このような状況の中で今回の曲たちが生まれたの。自分の考えを通してフィジカルやメンタル面も常に変わっていきたいと思っているわ。「自分は今何を考えているんだろう」「何について思いを巡らせたいんだろう」といったことを考えているうちに、今回の曲たちが生まれたというわけよ。
―このコロナ禍で、自分にとって何が大切で、価値があるのかについて多くの人々が深く考え、答えを見つけたのではと思います。あなたにとってはどうでしたか。
ダイアナ:ええ、私にとって大切なのは家族で、子どもや孫たちと一緒にいることが何より重要。一緒にいられない時でもZoomやFaceTimeで顔を見ていたわ。写真もたくさん送ってくれたし、それ無しではこの恐ろしい時間をやり過ごすことは出来なかったと思う。自分はとても恵まれているということを何度も感じる日々だったわ。日々の多くの「ありがとう」や「感謝」が、人生における変化にも上手く対応させてくれるんだと思う。
―来年ツアーなどは予定していますか? ライヴ・パフォーマンスで最も喜びを感じるのはどんな時でしょうか。
ダイアナ:その話はよく聞かれるわね。来年の夏頃にはツアーに出られるんじゃないかと思っていて、それを楽しみにしているわ。オーディエンスのみんなに会えるのはショウの中でもとてもエキサイティングな瞬間。ステージにあがるたびに、みんなと繋がっているという感覚があるわ。みんなの顔を見渡すのがとても好きなの。みんなが私の顔を見ているとき、私もみんなの顔を見ているということ。全てはあなたと私のギヴ・アンド・テイクなのよ。私たちは一つで、決して一人ではない。ミュージシャンは皆ファミリーだし、この仕事は素晴らしいといつも思っているわ。
ステージに戻ることが出来ることはとても嬉しい。あのエネルギー、オーディエンスとの繋がり……これらの魔法が私を勇気づけるの。体が浮かび上がってみんなに近づいているように感じることもあるわ。パフォーマンスする曲はどれも大好きだし、それを聴いているみんなを見るのも大好きよ。
―今この世界に対して、あなたが望むことは何でしょうか。
ダイアナ:私が常に変わっているように、世界も常に変わっている。何か望むことがあるとすれば……団結、喜び、感謝、笑顔、そして愛かしら。愛があれば全てを成し遂げることが出来ると学ぶことが大切だと思う。毎日が宝物で、心の中に常に歌を持っておくことね。

ダイアナ・ロス
『Thank You』
発売中 SHM-CD ¥2,860(税込)
視聴・購入:https://lnk.to/diana_thankyou
日本公式ページ: https://www.universal-music.co.jp/diana-ross/