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ジェームズ被告は4月12日朝、ニューヨークの地下鉄N線の車内で発煙筒のようなもので煙を発生させ、銃撃を開始。
ジェームズ被告の入廷前、2人の連邦保安官は被告代理人を務めるミア・アイズナー・グリンバーグ連邦公選弁護士が座るテーブルの下を調べた。法廷内が静まり返り、被告人が入廷した。執行官2人よりも頭ひとつとびぬけていた被告は、オリーブグリーンの半袖ボタンダウンシャツに、同色のパンツという囚人服を着ていた。青い外科用マスクが白髪交じりの無精ひげの一部を覆っていたが、鼻は覆われていなかった。
ウィリアム・F・クーンツ2世判事が今日の気分を訪ねると、ジェームズ被告は「まずまずです」と答えた。それからクーンツ判事の一連の質問に答え、生まれはブロンクスで、高卒同等の学力証明書と「各種専門学校の卒業証明書」を取得していると語った。
クーンツ判事は30分間の罪状認否の中で、5月6日に大陪審から提出された6ページにわたる起訴状全文を読み上げた。起訴内容は、被告が「都市交通局の地下鉄車両に乗っていた乗客に火器を発砲した」とする公共交通機関でのテロ行為と、暴力犯罪での火気使用だった。有罪判決が出た場合、連邦当局は被告の財産没収を求める意向を示している。
クーンツ判事から認否の準備はできているかと尋ねられた被告弁護人のアインズナー・グリンバーグ公選弁護士は、「はい、被告人はいずれの起訴内容でも無罪を主張します」と述べた。判事はその後ジェームズ被告に公訴事実1・2の認否を尋ねた――被告はいずれも「無罪です」と答えた。審問が終わると、被告は手を後ろに組んで、入廷したのと同じドアから退廷した。
判事は、公判開始までジェームズ被告を勾留するという警察判事の勾留命令を支持した。被告側は保釈申請を行わなかった。
弁護人は被告の精神鑑定を要請
起訴状によれば、ジェームズ被告はU-ホール社のレンタカーでフィラデルフィアを出発し、犯行に及んだ。ニューヨーク市警察の防犯カメラには、事件当日の早朝ヴェラザノ=ナローズ・ブリッジを渡ってブルックリンに入るジェームズ被告のバンが映っていたとみられる。被告は地下鉄の入口付近に車を停め、ヘルメットとオレンジ色のベストに着替えた。数時間後の午前8時30分ごろ、地下鉄で「複数の銃声と爆発音」がしたという乗客からの通報が警察に入った。
事件当日の朝、血を流してプラットフォームに横たわる通勤客の画像がソーシャルメディアに拡散した。ちょうど市営公共交通機関での暴力犯罪が取り沙汰されていた時期だった。
ジェームズ被告は自ら投稿したと思われるYouTubeの動画で、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長による地下鉄の治安向上計画を批判した。「奴はどの地下鉄(地下鉄路線上の出入口のこと)でも犯罪を止めることはできない」と動画の中で語っている。「頻度を減らすことはできるかもしれないが、止められやしない」。別の動画では黒人のジェームズ被告が、黒人や白人、ラテン系、ユダヤ系の人々に向けて人種差別的な暴言を吐いている。また9.11テロ事件を「この国の歴史で最上の日」と呼ぶ動画もある。4月13日の初出廷で連邦公選弁護人は被告の精神鑑定を要請したが、あくまで治療が目的であり、法的責任能力を鑑定するためではない、と述べた。
罪状認否後、ジェームズ被告の弁護人は報道陣に対してノーコメントだった。有罪になれば、被告には終身刑が求刑される見込み。
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