Hi-STANDARD 、Ken Yokoyamaという2つのバンドと日本のパンクロックシーンを牽引する横山健。そのパンクロックにとってライダースジャケットは、いわば制服のようなものだ。インタビューの冒頭、横山にそう告げると「間違いない!」と短く答えたあと「煙草、吸っていいですか?」とこれもパンクロックに欠かせないアイテムをポケットから出し、煙草に火をつける。それが合図になってインタビューが始まった。
早速、横山がライダースジャケットに出会ったときの話を聞かせてくれる。「明確な瞬間は覚えてないんですが、僕がまだ高校生ぐらいのときに、イギリスのパンク映画とかでビリー・アイドルあたりがライダースを着ていた記憶があって。そんな感じでパンク文化に触れ始めて、なんかあの人たち革ジャン着ているぞ!と。それで単純にパンク=革ジャンってなっていったね。で、高校を出て、自分でもライブハウスでバンドをやるようになって、やっぱりライダースだろと買ったのがSchott(ショット)なんです」。その時に買ったのが、横山が長らく愛用した618だ。

Schott 618 (本人私物)
横山健が10代の頃に初めて買ったという「1st革ジャン」。Schottのダブルライダースを象徴する定番モデルだ。
この日も取材用に618を持参してくれたが、愛用してきただけにしわや色落ちがとてもいい感じだ。当時購入にあたりファッション好きの友達にどのブランドを買うべきか相談したところ、答えはSchottだろ! 一択だろ! ということで、迷うことなくSchottのライダースジャケットを買いに行ったという。そのなかでも618を選んだのはなぜか。「一番ベーシックなものに僕の目には見えて。コイツ一生モンだと思って買いましたね」。そして実際、30年以上この618と時を過ごしている。
きっとたくさんの思い出がこの618にはあるのだろうと話を振ると、横山は長年愛用してきたからこそ見つけた「ライダースジャケット、4つの使用方法」を教えてくれた。「革ジャンって、着るってことがまず一つできるじゃないですか。でも僕の経験上4wayなんですよ。まずは着る。

Photo = Maciej Kucia
「三つ目は傘です。革ジャン持ってると傘いらずなんですよ。頭の上で持って歩けばいいから。安いやつだと雨でカビてたりもするんですけど、Schottだったら拭いて乾かせば全然大丈夫なので。その辺のなめし革の根性のないヤツとはレベルが全然違う」と三つ目。
「四つ目はカバンです。片方の肩に掛けて歩くんですよ。
横山はこの618以外にもう一着Schottのライダースジャケットを愛用している。

Photo = Maciej Kucia
その横山に改めてSchottの魅力を聞くと「まさしく耐久性ですよ。あとブランドイメージも含めて、プロダクツも含めて、無骨さっていうのがありますね。ファッションなんですけど、ファッションではない気がするんです。ツールというか、ギターとか車とかに近いんじゃないかなって気がします。それぐらいSchottというブランドに対して、強い憧れとイメージを持っていて。もうこれさえあればいいって感じ」と即答してくれた。
そして、横山からアドバイスをもらった。「革ジャンって生き物みたいで、身体に合ってくるんですよ。だから本当に気合入った人は、着てお風呂に入るんですよね。それで体型に合わせていくらしい。僕はそこまではしないけど、ワンスターも新品で購入したので、体に合った皺が入ってきたなって実感しながら着ていますね。だから、古着で買うなって話も僕の周りではあるんです。古着だと、体の形もそうだし、腕の筋とかが前の人に合っているから、なかなか自分の体型に合ってくれない。だから革ジャンは、新品から育てるのがすごく魅力的だと僕は思います」と語る。確かに、それがライダースジャケットの魅力のひとつでもある。このアドバイス、是非とも参考にしてほしい。

Photo = Maciej Kucia
さて、横山自身は新しいライダースジャケットの購入の予定はないのだろうか? 今ある2着で十分に満足してはいるもののシングルのライダースは着てみたいそうで、中でも今年110年を迎えたSchottの110周年限定モデルには興味深々のようだ。110周年限定モデルは裏地に110ドル札の総柄が使用されているなどこだわりが満載で、そんなところも横山の心をくすぐっている。
そして横山が110周年を迎えるSchottにリスペクトのメッセージを贈った。「110年、すごいっすよ! ギターのGretsch(グレッチ)も140周年だけど、Gretschにしろ、Schottにしろ、アメリカのカルチャーだし、世界中のみんなの憧れだと思うんですよね。だから110年続いている理由があるわけだし、その魅力を逃さず、このまま行ってほしいな。僕らの子供の世代も手の届くものであってほしいなと思いますね」と。
Schott 110周年限定モデル「RIDERS JACKET 110TH LIMITED」

そう語り終わると、初代618を触りながらふとこんな言葉をもらした。「僕がもう着てない1st革ジャンを取ってあるのは、たぶん長男に譲りたいんだろうな。長男、今18歳で。そのために持ってる気もしますね」。長男はまだ横山の618に袖を通したことはないそうだ。どこかのタイミングで親父が愛した618を着る日がくるかもしれない。そうなると6wayだ! 六つ目は、未来につなぐバトン。
こんな多彩な魅力のあるライダースジャケットを着ないで生きるのはもったいない。横山は、まだSchottの革ジャンを着たことがない人に向けてこんなメッセージをくれた。
「Schottって何年か着ると、一つの哲学に出会うと思うんですよね。それってなかなかファッションでは得られないものだと思うんです。Schottには絶対ね、洋服を超えた何かがあるんですよ。それを最初は頑張ってでも着て体感してほしいですね。あと思ったより寒くないです。みんな革ジャンって寒いと思いがちなんですよね。僕は、これで真冬の北海道行ってますからね。Tシャツに、パーカー、革ジャンで真冬の北海道行けるんで。ずっと外にいて皮が冷えてくるとそりゃ寒いですけど、防寒性には優れていて、しっかりとしたアウターだと僕は思ってるので、ぜひ着てほしいですね」

Photo = Maciej Kucia
横山はKen Yokoyama名義で9月20日に3曲入りのシングル『My One Wish』をリリースした。”もし生まれ変わるなら運命が自分をギターへと導いてくれたらいいのだが”というフレーズから始まる横山らしい疾走感あるパンクチューンに加え、ゲストボーカルに木村カエラを迎えた『アニー』の「Tomorrow」のカバーも収録されている。また、バンド主催としては初のホールツアーとなる「My One Wish Tour」を東名阪にて3公演行う。もちろん愛用のワンスターも一緒だ。
横山が進むパンク・ジャーニーは決して平坦な道ばかりではない。今年の2月にはハイスタのドラム・恒岡章氏の死去という悲しいニュースに触れたばかりだ。「ハイスタは今月ドラム一般公募中で、難ちゃん(難波章浩)が一次審査をすることになっていて、難ちゃんが全部聴いています。で、もう少しで締め切りなんで、それが終わってからまたあらためて話をしようかと思っていますが、でも新しいドラマーをなんとか探すつもりです。そのドラマー次第で、来年以降の動きが決まってくるんじゃないかなと思います。Ken Yokoyamaの方は、ライブをしながらアルバムのリリースを待って、何かはまだ言えないですけど、次にやることは見つけちゃったんですよ。この先何年かはまだやることいっぱいあって。わっしょい、わっしょいですね。次はあれやろう、次はあれやろうって、充実した感じが続くんじゃないかなと思っています」と、少年のように目を輝かせる。横山健のパンク・ジャーニーはSchottともにまだまだ続く。
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横山健
1969年東京都出身。91年に難波章浩、恒岡章らとHi-STANDARDを結成。97年には主催フェス「AIR JAM」をスタートさせ、99年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立し社長に就任。アルバム『MAKING THE ROAD』は、インディレーベルとして異例のミリオンヒットを達成。2000年に活動を休止。その後はKen Yokoyamaを主軸に精力的に活動を行う。23年5月、自身初の日比谷野外大音楽堂公演「DEAD AT MEGA CITY」を開催。9月20日にシングル『My One Wish』をリリースし、10月にはバンド主催としては初のホールツアーとなる「My One Wish Tour」を東名阪にて3公演行う。

『My One Wish』
Ken Yokoyama
PIZZA OF DEATH RECORDS
発売中
My One Wish Tour
10月13日(金)大阪・メルパルクホール
11月9日(木)渋谷・LINE CUBE SHIBUYA
https://kenyokoyama.com/