玉山鉄二が主演を務めるAmazon Original映画 『次元大介』が、10月13日より世界同時配信される。
今作は、『ルパン三世』シリーズの中でもとりわけ人気の高いキャラクター、次元大介を主役に据えたオリジナルムービー。
2014年に公開された実写版『ルパン三世』で次元大介を演じた際、原作のモンキー・パンチから「称賛」の言葉を頂いたという玉山鉄二に、次元を演じる上でのこだわりどころや『ルパン三世』シリーズに対する思い入れ、そして好きな音楽についてなど聞いた。
──今回、『ルパン三世』のオリジナルストーリー作品『次元大介』が制作された経緯を教えてください。
玉山:2014年に公開された実写版『ルパン三世』で僕は、オーディションを受けて次元大介役をいただきました。完成した作品をご覧になった原作者のモンキー・パンチ先生から「次元大介というキャラクターは、自分で描いていてもキャラを定めるのが難しかったのだけど、玉山くんはすごく頑張ってくれました」というお言葉をいただいたことが、すごく大きな自信になったんです。
その後すぐ、プロデューサーから「次元を主役にしたスピンオフを作りたいね」と言ってくださって。本当はもっと早く実現したかったのですが、企画が二転三転しているうちにコロナ渦になってしまい、実際の製作決定が相当後ろにずれ込んでしまったんです。結局3、4年くらい過ぎてしまったのかな。でもこうやって最終的に形にすることができて、今はほっとしていますね。
──まるで次元がコミックから飛び出てきたような玉山さんの演技に、実写版『ルパン三世』でも驚かされました。拳銃の扱い方、タバコの吸い方、乱暴な食事の仕方といった「次元らしさ」を実写で「再現」するにあたり、どのような役作りを心がけていましたか?
玉山:拳銃さばきは数日で身につくものではないので、銃を体に馴染ませるため自宅でも常にモデルガンを傍に置いていました。
──キャラを「乗せていく」のではなく、無駄なものを削ぎ落としていくのですね。
玉山:特に次元はそれが重要でした。例えば、ルパンが必死に走っている様子や必死に戦っている様子は想像がつくけど、次元ってあんまり汗をかいて動き回っているのが想像できないじゃないですか(笑)。なので、今回アクションシーンが結構たくさんあるし尺も長かったのですが、どんな表情でどう動き回るのか、少し無機質な感じに見えた方がいいのか、だとしたらそれはどのくらいのバランスがいいのかなと、監督とたくさんディスカッションしましたね。僕の方でもバリエーションをいくつか提案させてもらいました。
──監督は、『探偵はBARにいる』シリーズやテレビドラマ『相棒』でも知られる橋本一さんです。今回、タッグを組んでみていかがでしたか?
玉山:僕だけじゃなくて、本当にいろんな方の意見を聞き、その中で的確に「必要なもの / 不必要なもの」をジャッジしていく。現場で起きたことに対して常に臨機応変な対処をしてくださいましたし、納得のいくシーンのためには台本や演出の変更もいとわない柔軟な方だという印象でした。
──次元と敵対する泥魚街のボス アデル・ギースを演じた真木ようこさん、いくつもの顔を持つ暗殺者・川島武を演じた永瀬正敏さんとの共演に関しては?
玉山:真木さんとの絡みはクライマックスしかなかったのですが、彼女が醸し出す独特の雰囲気……無機質なようで、その奥にある悲しみや切なさを微細に表現されていて。
アデル・ギースを演じた真木ようこ
永瀬さんは本当に真面目な方で、現場でもずっと役に向き合っているような方でした。彼も『ルパン三世』シリーズの大ファンだったし、作品に対する解釈も共感するところがあったので、絡みのシーンでは綿密に話し合い、時にはお互い大幅な変更を加えました。僕の意見を求めてくださることもあり、芝居に対して本当に貪欲な方だなと思いましたね。見習うべき俳優の一人です。
──ひょんなことから関わり、守らなければならなくなった水沢オト役の真木ことかさんは、共演してどんな印象を持ちましたか?
玉山:相手の要望を瞬時に理解し、それを演技で形にすることができる器用な人でしたね。しかも非常にストイック。例えば、彼女は泣くシーンがすごく多いんですけど、一度カットがかかった後も、次のカットがかかるまでずっとその感情をキープするために泣き続けていたことがあったんです。「一旦ストップしてしまうと、次はどのタイミングで泣けるかわからないから」って。そんな彼女のそばにいて、役者として忘れかけていた何かを思い出させてもらいましたね。実際、彼女の演技から引き出された表情やアクションがたくさんあったんですよ。
──下町で古時計屋を営む元ガンスミス、矢口千春を演じた草笛光子さんも存在感たっぷりでした。
玉山:草笛さんの一つの動きで、そのシーンがすごくしまったり、逆に緩まったりもして。まさに変幻自在というか、そんな俳優はそうそういらっしゃるわけではないので、一緒にお仕事ができて光栄でした。草笛さんのようなキャリアの持ち主が、こういう荒唐無稽な役にチャレンジされるという、そのパワーにも圧倒されましたね。本当にアグレッシブな方だなと思います。
矢口千春を演じた草笛光子
──次元大介を演じるにあたり、『ルパン三世』シリーズも見直したとお聞きしました。特に気に入っている作品、思い出深い作品を教えてください。
玉山:個人的に好きなのは、深夜に放送されていたOVA『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標』ですね。シリーズの中でも特にアダルトで危険な香りがする『LUPIN the Third~峰不二子という女~』の世界観を引き継いだ、小池健監督による2014年の作品。ちょっと毒々しいケレン味があって、今回の『次元大介』とも通じる部分がありますね。
──ちなみに、玉山さんが次元以外で好きなキャラクターを挙げるとしたら?
玉山:銭形警部ですかね。
──ところで玉山さんは、普段どんな音楽を聴いているのでしょうか。
玉山:個人的にはテクノが好きで、コロナ禍になる前は友人の山田孝之とよくクラブへ遊びに行っていました。フェスにもよく足を運んでいるんですけど、特に苗場(フジロック)で観たビョークは今も心に残っていますね。雨が降っていて「大丈夫かな」と思っていたら、ビョークが登場した途端に雨が引いたんですよ。とにかく神がかっていたなと。結婚して子供ができてからは、フェスに行く機会も減ってしまったのですが、ベルギーの『Tomorrow Land』には死ぬ前に一度は行ってみたいですね。
──ご家族で音楽を一緒に楽しむこともありますか?
玉山:息子がギターをやってるんですけど、Adoが好きだというので先週ライブを観に行きました。音楽ってすごく不思議で、当時聴いていた情景がありありと浮かんでくるじゃないですか。僕、落ち着きたい時は必ずノラ・ジョーンズを聴きたくなるんですよ。何かあるたびに聴き返しているので、実は最もよく聴いているのはノラの曲じゃないのかな(笑)。
あとはジャミロクワイ。学生の頃からめちゃくちゃ好きで。10年くらい前に日本に来た時もライブに足を運びました。懐かしかったですね。
──最後に、役者として今後挑戦したいことがありましたらお聞かせください。
玉山:僕は「こうありたい」「こうあるべき」とか、「こういう作品に出たい」「こういう人を演じなければ」みたいなのが全くないんですよ。ただ、自分が出ている作品にお金と時間をかけて向き合ってくださる人たちには、常に期待以上のものを返したいという気持ちはあります。その繰り返しで今の自分があるわけですし、そういう意味では「今」に全力を注ぐことしか考えていないのかもしれないですね。
玉山鉄二
1980年4月7日、京都府生まれ。高校在学中に雑誌のモデル募集に応募し、オーディションなどを経て、1999年、テレビドラマ『ナオミ』で俳優デビュー。2001年、スーパー戦隊シリーズ『百獣戦隊ガオレンジャー』に大神月麿 / ガオシルバー役で出演。2014年、連続テレビ小説『マッサン』で連続テレビ小説初出演かつ初主演。
Amazon Original 映画『次元大介』
2023年10月13日(金) 世界同時配信
原作 モンキー・パンチ
主演 玉山鉄二
脚本 赤松義正
監督 橋本一
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBJD3L1W/
今作は、『ルパン三世』シリーズの中でもとりわけ人気の高いキャラクター、次元大介を主役に据えたオリジナルムービー。
長年連れ添った「相棒」ともいうべき拳銃に不調を感じた次元が、時計屋を営む「世界一のガンスミス (銃職人)」を探しに、数年ぶりに日本を訪れるところから物語は始まる。いつもクールかつ、人情味に溢れる次元というキャラクターの魅力はもちろん、『ブレードランナー』を彷彿とさせるスラム「泥魚街」の世界観と日本の下町的な叙情感のコントラストなど、これまでのシリーズでは観たことのなかったようなスタイリッシュな映像も話題になりそうだ。
2014年に公開された実写版『ルパン三世』で次元大介を演じた際、原作のモンキー・パンチから「称賛」の言葉を頂いたという玉山鉄二に、次元を演じる上でのこだわりどころや『ルパン三世』シリーズに対する思い入れ、そして好きな音楽についてなど聞いた。
──今回、『ルパン三世』のオリジナルストーリー作品『次元大介』が制作された経緯を教えてください。
玉山:2014年に公開された実写版『ルパン三世』で僕は、オーディションを受けて次元大介役をいただきました。完成した作品をご覧になった原作者のモンキー・パンチ先生から「次元大介というキャラクターは、自分で描いていてもキャラを定めるのが難しかったのだけど、玉山くんはすごく頑張ってくれました」というお言葉をいただいたことが、すごく大きな自信になったんです。
その後すぐ、プロデューサーから「次元を主役にしたスピンオフを作りたいね」と言ってくださって。本当はもっと早く実現したかったのですが、企画が二転三転しているうちにコロナ渦になってしまい、実際の製作決定が相当後ろにずれ込んでしまったんです。結局3、4年くらい過ぎてしまったのかな。でもこうやって最終的に形にすることができて、今はほっとしていますね。
──まるで次元がコミックから飛び出てきたような玉山さんの演技に、実写版『ルパン三世』でも驚かされました。拳銃の扱い方、タバコの吸い方、乱暴な食事の仕方といった「次元らしさ」を実写で「再現」するにあたり、どのような役作りを心がけていましたか?
玉山:拳銃さばきは数日で身につくものではないので、銃を体に馴染ませるため自宅でも常にモデルガンを傍に置いていました。
もちろんアクションシーンも大変でしたし、そのための準備期間やトレーニングのスケジュールも作っていただいたのですが、こういうコミックのキャラクターを実写化する際に大切なことは「引き算」だと思うんですよ。どこまでやって良くて、どこからが「やりすぎ」なのか。その線引きを決めるのが何より大変でした。
──キャラを「乗せていく」のではなく、無駄なものを削ぎ落としていくのですね。
玉山:特に次元はそれが重要でした。例えば、ルパンが必死に走っている様子や必死に戦っている様子は想像がつくけど、次元ってあんまり汗をかいて動き回っているのが想像できないじゃないですか(笑)。なので、今回アクションシーンが結構たくさんあるし尺も長かったのですが、どんな表情でどう動き回るのか、少し無機質な感じに見えた方がいいのか、だとしたらそれはどのくらいのバランスがいいのかなと、監督とたくさんディスカッションしましたね。僕の方でもバリエーションをいくつか提案させてもらいました。
──監督は、『探偵はBARにいる』シリーズやテレビドラマ『相棒』でも知られる橋本一さんです。今回、タッグを組んでみていかがでしたか?
玉山:僕だけじゃなくて、本当にいろんな方の意見を聞き、その中で的確に「必要なもの / 不必要なもの」をジャッジしていく。現場で起きたことに対して常に臨機応変な対処をしてくださいましたし、納得のいくシーンのためには台本や演出の変更もいとわない柔軟な方だという印象でした。
──次元と敵対する泥魚街のボス アデル・ギースを演じた真木ようこさん、いくつもの顔を持つ暗殺者・川島武を演じた永瀬正敏さんとの共演に関しては?
玉山:真木さんとの絡みはクライマックスしかなかったのですが、彼女が醸し出す独特の雰囲気……無機質なようで、その奥にある悲しみや切なさを微細に表現されていて。
彼女がこれまで積み上げてきた経験値が、そこに刻まれていると思いました。何より、車椅子に乗ったままのアクションが圧倒的でしたね。
アデル・ギースを演じた真木ようこ
永瀬さんは本当に真面目な方で、現場でもずっと役に向き合っているような方でした。彼も『ルパン三世』シリーズの大ファンだったし、作品に対する解釈も共感するところがあったので、絡みのシーンでは綿密に話し合い、時にはお互い大幅な変更を加えました。僕の意見を求めてくださることもあり、芝居に対して本当に貪欲な方だなと思いましたね。見習うべき俳優の一人です。
──ひょんなことから関わり、守らなければならなくなった水沢オト役の真木ことかさんは、共演してどんな印象を持ちましたか?
玉山:相手の要望を瞬時に理解し、それを演技で形にすることができる器用な人でしたね。しかも非常にストイック。例えば、彼女は泣くシーンがすごく多いんですけど、一度カットがかかった後も、次のカットがかかるまでずっとその感情をキープするために泣き続けていたことがあったんです。「一旦ストップしてしまうと、次はどのタイミングで泣けるかわからないから」って。そんな彼女のそばにいて、役者として忘れかけていた何かを思い出させてもらいましたね。実際、彼女の演技から引き出された表情やアクションがたくさんあったんですよ。
今回ご一緒できたことにとても感謝しています。
──下町で古時計屋を営む元ガンスミス、矢口千春を演じた草笛光子さんも存在感たっぷりでした。
玉山:草笛さんの一つの動きで、そのシーンがすごくしまったり、逆に緩まったりもして。まさに変幻自在というか、そんな俳優はそうそういらっしゃるわけではないので、一緒にお仕事ができて光栄でした。草笛さんのようなキャリアの持ち主が、こういう荒唐無稽な役にチャレンジされるという、そのパワーにも圧倒されましたね。本当にアグレッシブな方だなと思います。
矢口千春を演じた草笛光子
──次元大介を演じるにあたり、『ルパン三世』シリーズも見直したとお聞きしました。特に気に入っている作品、思い出深い作品を教えてください。
玉山:個人的に好きなのは、深夜に放送されていたOVA『LUPIN THE ⅢRD 次元大介の墓標』ですね。シリーズの中でも特にアダルトで危険な香りがする『LUPIN the Third~峰不二子という女~』の世界観を引き継いだ、小池健監督による2014年の作品。ちょっと毒々しいケレン味があって、今回の『次元大介』とも通じる部分がありますね。
──ちなみに、玉山さんが次元以外で好きなキャラクターを挙げるとしたら?
玉山:銭形警部ですかね。
ずっとルパンを追い続け、いつも「すんで」のところで取り逃してしまうのが健気で切なくないですか? いつもカップラーメンばかり食べているし(笑)。哀愁も愛嬌もあって、つい応援したくなるような「人間臭さ」に魅力を感じます。
──ところで玉山さんは、普段どんな音楽を聴いているのでしょうか。
玉山:個人的にはテクノが好きで、コロナ禍になる前は友人の山田孝之とよくクラブへ遊びに行っていました。フェスにもよく足を運んでいるんですけど、特に苗場(フジロック)で観たビョークは今も心に残っていますね。雨が降っていて「大丈夫かな」と思っていたら、ビョークが登場した途端に雨が引いたんですよ。とにかく神がかっていたなと。結婚して子供ができてからは、フェスに行く機会も減ってしまったのですが、ベルギーの『Tomorrow Land』には死ぬ前に一度は行ってみたいですね。
──ご家族で音楽を一緒に楽しむこともありますか?
玉山:息子がギターをやってるんですけど、Adoが好きだというので先週ライブを観に行きました。音楽ってすごく不思議で、当時聴いていた情景がありありと浮かんでくるじゃないですか。僕、落ち着きたい時は必ずノラ・ジョーンズを聴きたくなるんですよ。何かあるたびに聴き返しているので、実は最もよく聴いているのはノラの曲じゃないのかな(笑)。
20年以上、一つのアルバムを聴き続けているってすごくないですか?
あとはジャミロクワイ。学生の頃からめちゃくちゃ好きで。10年くらい前に日本に来た時もライブに足を運びました。懐かしかったですね。
──最後に、役者として今後挑戦したいことがありましたらお聞かせください。
玉山:僕は「こうありたい」「こうあるべき」とか、「こういう作品に出たい」「こういう人を演じなければ」みたいなのが全くないんですよ。ただ、自分が出ている作品にお金と時間をかけて向き合ってくださる人たちには、常に期待以上のものを返したいという気持ちはあります。その繰り返しで今の自分があるわけですし、そういう意味では「今」に全力を注ぐことしか考えていないのかもしれないですね。
玉山鉄二
1980年4月7日、京都府生まれ。高校在学中に雑誌のモデル募集に応募し、オーディションなどを経て、1999年、テレビドラマ『ナオミ』で俳優デビュー。2001年、スーパー戦隊シリーズ『百獣戦隊ガオレンジャー』に大神月麿 / ガオシルバー役で出演。2014年、連続テレビ小説『マッサン』で連続テレビ小説初出演かつ初主演。
世界一のガンマン次元大介を演じるのは、2014年に劇場公開された実写映画『ルパン三世』以来2度目。
Amazon Original 映画『次元大介』
2023年10月13日(金) 世界同時配信
原作 モンキー・パンチ
主演 玉山鉄二
脚本 赤松義正
監督 橋本一
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBJD3L1W/
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