【写真をすべて見る】「NEX_FEST」のステージに立つBABYMETAL
2019年にRolling Stone Japanでは両者のインタビューを実施しているが、その時にブリング・ミーのボーカルのオリーことオリヴァー・サイクスは「BABYMETALが、いかにしてショウとしてステージを成立させているかという部分に僕らはインスパイアされたし参考にしたよ。単なるロック・バンドとかメタル・バンドとかっていう見方ではなく、ビッグなショウにおけるパフォーマンスについて考えた時、BABYMETALから刺激を受けた部分は確実にある」と語ってくれた。あれから3年、今年の英ダウンロード・フェスティバルやNEX_FESTで彼らが見せてくれたステージは、ストーリー性のある正にビッグなショウだった。
また、2020年にブリング・ミー・ザ・ホライズンがリリースしたBABYMETALとの初コラボレーション曲「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」は、ブリング・ミーの最近のライブには欠かせない曲になっており、今回の一連の公演で両者の共演をファンの多くが待ち望んでいた。そしてExtra公演初日の神戸ワールド記念ホール、待望の「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」世界初披露。SU-METALが”Kingslayer, come and collect us from the night”と高らかに歌い上げれば、オリーの荒々しいボーカルがオーディエンスのアドレナリンを放出させる。このダイナミズムこそがライブの醍醐味。アメリカツアー全29公演を終えたばかりのBABYMETALのパフォーマンスは切れ味抜群で、ブリング・ミー・ザ・ホライズンの演奏から生まれるヴァイブスとの相乗効果は想像以上のものがあった。何より、コロナ禍を乗り越えてきた両者の「絆」が生んだステージだというストーリーが、余韻として心に響く。
今回のインタビューはNEX_FESTが終わって数日後、オリー、BABYMETALのSU-METAL(Vocal & Dance)、MOAMETAL(Scream & Dance)、MOMOMETAL(Scream & Dance)でオンラインで実施された。なお12月25日発売の雑誌「Rolling Stone Japan vol.25」には、このインタビューの転載とともにブリング・ミー・ザ・ホライズンに帯同したフォトグラファーが撮り下ろした共演時のカットが掲載されるので、そちらもチェックしてみてほしい。
ーブリング・ミー・ザ・ホライズンとBABYMETALで、神戸・名古屋・幕張のステージで「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」を披露しましたが、パフォーマンスの手応えはどうでしたか?
オリー:最高だったよ。曲ができてから実際共演するまでにこれだけ時間がかかったって考えると信じられないよね。「ようやく」って感じだった。正直、パフォーマンスに集中するのが難しかったよ。BABYMETALのダンスを見ていたかったから(笑)。バンドのみんなと「超ヤバかった!」って話したよ。この先、BABYMETAL抜きでライブでこの曲をやるのは考えられないだろうって。彼女たちは、この曲とライブに新しい息を吹き込んでくれた。あれが本来この曲のあるべき姿だったんだと思う。とにかく最高だった。
MOAMETAL:NEX_FESTのステージがExtra含めて4日間あったんですけど、4公演しか「Kingslayer (feat.BABYMETAL)」ができなかったなと思って、最終日が終わったときは「もうこれで最後か」と悲しい気持ちになりました。それぐらい大好きな曲だし、ブリング・ミー・ザ・ホライズンさんの曲ではありますが、これからも大切にしていきたいですし、また一緒にやりたいなと思いました。
オリー:(笑)。
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「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」のあるべき姿
ー2019年、BABYMETALのさいたまスーパーアリーナのライブにブリング・ミー・ザ・ホライズンがゲストで出た時は、ステージ上での両者の共演は無かったですし、当時はまだコラボ曲も存在しなかったですよね。今回NEX_FESTを日本で開催するにあたり、こういう形で「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」を披露するということは、両者にとって大きな意味を持つのでは?
オリー:そもそも自分たちにとっては全てがクレイジーだった。前回日本でライブをやった時は、BABYMETALの巨大なアリーナ公演のゲストだったわけで。日本は他の国と比べてブレイクするのに時間がかかったけど、あの頃から少しずつ自分たちのファンも増えて、オーディエンスに受け入れられてきてるって手応えを感じることができた。BABYMETALのオープニングアクトができたのも最高だったし、小島秀夫さんや新川洋司さんといった「METAL GEAR SOLID」に関わっている人たちとの素晴らしい出会いがあったし、他にも本当に充実していて、一生忘れられない滞在になったんだ。そこから、こうしてまた日本に来て、今度はいきなり大規模なフェスのトリを務めて、BABYMETALにも参加してもらえたのが信じられないよ。当然、日本ではBABYMETALのほうが自分たちよりも断然人気があるのもわかっているし、他の日本のバンドにしてもそう。彼らが今回NEX_FESTに参加してくれて、ブリング・ミー・ザ・ホライズンを盛り上げてくれたのは、本当にうれしかった。
これまで何度も言っていることだけど、日本でライブをするのが好きなんだ。日本の文化もそうだし、何から何まで日本のことが大好きだからね。だからこうして、日本でこれまでで一番大きな会場でプレイできたってこと自体が信じられなかったし、さらにそこでこの曲を初めてBABYMETALと一緒にできたのも特別だった。
SU-METAL:周りの関係者の方でも、2019年のBABYMETALのライブでブリング・ミー・ザ・ホライズンさんを好きになった人が結構いたので、「でしょ!」「私たちはこんなに素晴らしいバンドと仲がいいんだよ」って自慢してたんです(笑)。「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」は、コロナ禍でライブができなかった時の支えになってくれた曲で、自分たちの軸であるライブ活動を封印している期間に、ブリング・ミー・ザ・ホライズンさんがこの曲をライブでやってくれて、すごくうれしかったんです。私たちは表に出てないのに、私のパートをみんなが歌ってくれてる映像を見て、「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」を通してBABYMETALの存在を世界に示してくれてるんだなって思いながら、コロナ禍を過ごしてました。自分の故郷である日本が、彼らにとって特別だって言ってもらえることもうれしいし、私たちとのつながりを大事にしてもらえていることもうれしいなって思います。
オリー:アリガトウ。
ーこの曲のコリオグラフィーはNEX_FESTに合わせて新たに付けたものだと思うのですが、どんなテーマやイメージがありますか?
MOMOMETAL:この曲のコリオのテーマは「魂のぶつかり合い」で、ステージ上で2つのバンドのパワーをかけ算してお客さんにぶつけるイメージがあります。私たちもステージで、この後どうなってもいいくらいの覚悟とパワーを込めて踊りました。
BABYMETALのライブに匹敵するものは他に見たことがない(オリー)
ーオリーはBABYMETALのライブを久々に間近で観た感想は? 2023年、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人体制となって、大々的なワールドツアーを敢行し、バンドとして今すごく勢いに乗った状態なのですが。
オリー:本当にヤバかった。自分たちがライブをやる時っていうのは、観客を自分から煽ることが多い。
ーBABYMETALはブリング・ミー・ザ・ホライズンのライブを久々に間近で観た感想は? NEX_FESTの「NEX」というワードは今後予定されている新しいEP『POST HUMAN: NeX GEn』とリンクしていたりするし、壮大な世界観が音源でもライブでも表現されていると思うんですが。
SU-METAL:生でライブを観るのは、それこそ2019年に共演したさいたまスーパーアリーナ以来ですごく久しぶりだったので、シンプルに彼らの曲を聴けたことがうれしくて、ファンの一人として楽しんでました。「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」もそうだし、ブリング・ミー・ザ・ホライズンさんの曲を私はめちゃくちゃコロナ禍に聴いていて。つらい時も励ましてくれた曲ばかりだったので、それが生で聴けたこともうれしかったです。メタルなんだけどポップさやストーリー性があったり、みんなで盛り上がれる感じがあったり、一つのバンドのライブとは思えないぐらい楽曲の幅が広くて、そういうところも「さすがブリング・ミー・ザ・ホライズンさんだな」って思いながら観てました。
MOAMETAL:めちゃめちゃ楽しかった、の一言です。ブリング・ミー・ザ・ホライズンさんって、曲がたくさんあるじゃないですか。例えば今回のライブではやってない「Medicine」って日本のCMソングに使われていたり、有名な曲がたくさんあると思うんですけど、あえてそういう曲をセトリに入れなくても通用する強さを感じました。本編の最後にやった「LosT」は、ポップとメタルを融合した最近のブリング・ミー・ザ・ホライズンさんらしい曲で、その一つ前にやった「Chelsea Smile」は初期の曲だと思うんですけど、メタルらしさとか、激しい部分が伝わる曲で、その2曲の差がすごくて、こんなにも表情が違う音楽性で、いろんなことに挑戦して、お客さんを熱狂させるアーティストは他にいないと思いました。同じ音楽を好きな仲間として誇らしいし、一緒にステージに立てていることに、泣きそうなくらいうれしくなりました。
オリー:……(はにかみながら)うれしいよ。
「友達」って呼んでもらえることもすごくうれしいです(SU-METAL)
ーBABYMETALに2023年上半期の海外ツアーの話を聞いた時、MOAMETALさんが「今まで以上に若い子が多くて、そういう子たちから憧れられる存在に少しずつなれてるのかなって」と話してくれましたけど、オリーも先日のインタビューでTikTokなどを通して「新しいオーディエンスにも出会えた」と話してくれましたよね。自分たちの音楽を通して、若い世代に何を感じ取ってほしいなと思いますか?
オリー:自分たちとしては、初めてライブを観に来るような若い人たちには、自分の居場所があるってことを感じてもらえることが、すごく大事なんだ。自分たちのライブでも、他のロックやメタルのライブにしても、一見怖そうに見えるかもしれないけど、でも実際は、ロックのファンや自分たちのファンにはめちゃくちゃ優しい人が多いし、懐が深い人たちばかりだ。今の時代、みんな孤立していて、SNSの世界にハマってる人も多い。学校に行くと、みんながTikTokや流行りのダンスに夢中で、それにどっぷりハマっている人たちはそれで別にいいんだけど、そこに馴染めない子たちっていうのもたくさんいるわけで。自分が学校にいた頃も、周りが夢中になっている流行りものや人気があるものの良さが全然わからなかった。
自分たちが抱えている問題を避けたり、そこから逃げたりする代わりに、僕たちの歌は鬱や悲しみといった重たいテーマと向き合っている。普通の人だったら、あまり話したがらないようなことを、自分たちは大事だと思うからこそあえて歌う。悲しみ、孤独、困惑、不安、恐怖、といった感情と向き合うことが、それを乗り越える最善の方法だと思っているから。だから、自分たちの音楽が若い世代にも響くんじゃないかな。ていうか、そうであってほしい。こういうのを必要としている人はたくさんいるからね。
MOAMETAL:私が最近思うのは、若い世代に限らず、正解を求めている人が多いなってことです。だから私たちが「こうしてほしい」って伝えてしまうと、それを感じ取らなきゃって流れになってしまうのが怖いから、具体的なお願いみたいなのは特にないんですけど、でもTikTokとかを通して知ってくれる機会が増えたことはすごくうれしいです。ファンの年齢層が広がって大きなコミュニティになっていく中で、意味を求める人がいてもいいし、ただ楽しければいいと思って来てくれる人がいてもいい。私たちが音楽をやっていて、誰かが楽しくいられる理由になってくれるんだったら、それだけで十分だなと思います。みんなと一緒に楽しいことをやれたらいいですね。
ーでは最後に、もはや「同志」と言ってもいい両者だと思うのですが、この場を通してお互いに何か伝えたいことや言いたいことがあればお願いします。
オリー:会えなくなるのは寂しいよ。本当にありがとう。またいつか会おう。
SU-METAL:NEX_FESTが本当に楽しくて、「Kingslayer (feat. BABYMETAL)」でコラボさせてもらったり、いろんなアーティストさんを知ることができたりしたので、ああいう場をつくってくれたことにすごく感謝しています。ブリング・ミー・ザ・ホライズンさんは、新たな世界をどんどん切り開いていってるバンドだと思うので、これからもファンでい続けるし、私たちもその背中を見ながらできることをやっていきたいなって思っています。「友達」って呼んでもらえることもすごくうれしいです!
MOMOMETAL 初めてお会いして、そして、しかも初めて生でステージを観させていただいて、もう完全に虜(ファン)になってしまいました! これからたくさん、もっともっとブリング・ミー・ザ・ホライズンさんの曲を聴きます。これからもよろしくお願いします。
MOAMETAL:NEX_FEST、毎年開催しませんか?(笑)
オリー:(笑)それができたら最高だね!
<INFORAMTION>
「DArkSide | ダークサイド」
ブリング・ミー・ザ・ホライズン
配信中
https://SonyMusicJapan.lnk.to/bmth_darksideRS
【関連サイト】
●海外オフィシャル・サイト:
http://www.bmthofficial.com
●日本オフィシャル・サイト:
http://www.sonymusic.co.jp/artist/bringmethehorizon
「BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 LEGEND - MM」
●日程:2024年3月2日(土)、3月3日(日)
●会場:横浜アリーナ
●時間:OPEN 16:30 / START 18:00 (3月2日)
OPEN 15:30 / START 17:00 (3月3日)
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