固定観念に捉われない変幻自在な活動で、多幸感のあるパフォーマンスを追求するボーイズグループ、OCTPATH。2025年2月9日でメジャーデビュー3周年を迎え、様々な分野で”余裕”を手にしたと話す彼らは、新たな章へ歩み始めているようにも思える。
果たして、現在のOCTPATHは自身をどのように受けとめているのか――。グループの現在地を紐解くと共に、7th single『また夏に帰ろう』についても語ってもらった。

【ソロカット】OCTPATHのメンバーたち

―デビューしてからの3年間で、楽曲やパフォーマンスとの向き合いかたは変化しましたか。

海帆:もともと一本の筋で歌うことが、すごく苦手だったんですよ。色で例えると、白から赤に上手くグラデーションできなかったというか。でも、最近ではピンクから茜色に染まっていくみたいなことを表現できるようになりました。昔からiPhoneのメモに録音してきた歌声を今と比較してみても、圧倒的に下の倍音が出るようになってて。少しずつ「ボーカルも楽しいな」と思い始めてます。

四谷:いいっすね。僕は最近になって、ライブ中にみんなの歌を聴けるようになった実感がある。「今日は、そういう感じでいくのね」とか「そのアレンジを入れてくるのね」みたいなことを感じ取れるようになった気がするんですよね。自分の刺激にもなるから「そっちで行くなら、俺ももっと乗っていかなきゃ」って反映できるし。
いいスパイスを交換しながら、グループで歌えてます。初期は周りの歌をあまり聴けていなかったと思うので、ひとつ余裕を持って取り組めているのは、3周年を迎えたからなんじゃないかな。

高橋:たしかに、それはあるかも。

小堀:自分のことでいうと、間違いをちゃんと反省できるようになった。歌やダンスを客観視できる知識がついたというか。正直なところ、1年目は「これがいい」とか「これが悪い」とかの基準もなく、ただガムシャラに歌ったり踊ったりしていたと思っていて。でも3年経った今は、ダンスについて「これはよくないディテールだな」とか「俺だけがズレてるな」、「角度が揃ってないな」って判断できるようになったし、歌についても「ピッチが当たってない」とか「ブレスをいれるべきだった」みたいに考えられるようになって。レコーディングをしているときも、自分から「もう1回やらせてください」って言えるようになりましたしね。客観的な見方や聴きかたが身について、自分のなかで「こうあるべき」みたいなものが少しずつ確立されてきているのは、すごいことだなと自分で思っています。

古瀬:僕が1年目のときは、ピッチをなぞることにすごく必死だったというか。歌うときは、ただそれだけを考えていたんですけど、今ではイベントに合わせて、歌い方を変えられるようになりました。THmeだけがいるコンサートや通りがかりの人にも観てもらえるフリーライブ、他のアーティストさんのファンもいる対バンなど、状況によって違う表現ができたほうがきっとTHmeも楽しいだろうし、僕たちを初めて観る人の心も動かせると思うんです。
こうやって考えられるようになったのも、3年間で積み上げてきたものがあるからなんでしょうね。

―お話を聞いていると、いろんな面に余裕が出てきたような感じがしますよね。

小堀:たしかに、筋は一緒やね。

四谷:何をするにしても進め方が決まってきたから、「次はこの練習だよね」みたいな感じで、時間の余裕も生まれるようになった。

小堀:自立してきたよね。

四谷:出来ることが増えてきたな。

栗田:それこそ、海帆のヒューマンビートボックスを活かしたパフォーマンスを実現できるようになったのは、大きな変化のひとつだよね。結成当初から「やりたい」って意志はあったし、海帆のスキルも輝いていたけど、現実的に「何万人の前でやる」っていうイメージがつかなかった。

小堀:3rd single『Like』頃から、『Team"S"pecial』さんに携わってもらうようになり、いろいろと変わっていった気がします。客観的に見てもらえる環境になったことで、個人としてもグループとしても、ちゃんと評価できるようになった。今まで自分たちの感覚でやっていたことが可視化されて、ただガムシャラにやるだけではなく、冷静に考えられるようになったというか。

栗田:『Team"S"pecial』さんと接していくなかで、ひとりひとりの良さや特性、必殺技を活かしたパフォーマンスを実現できるようになったよね。
なんなら、お客さんが一番「おわ~!」ってなるのは、ヒューマンビートボックスに合わせてダンスをするときかも。

海帆:この前、『The Performance』というイベントに出させていただいたとき、初めてオンテンポじゃないパフォーマンスをしたんです。僕のタイミングに合わせてすべて動くから、僕が遅れれば全部が遅れるし、僕が早まれば全部が早まる。パフォーマンスの導入部分がビートボックスだったんですけど、お客さんが「わーっ!」ってなっていたから、入るタイミングをちょっと遅らせたんです。そしたら、「スゥッ」っていう息の音を合図に、みんながバッとタイミングを合わせてくれて。いきなり本番で変えたのにですよ。メンバーが当たり前のようにやってくれたのが嬉しかったし、本当にすごいと思いました。

栗田:奇跡が起きたと思ったよね(笑)。

古瀬:ガチで集中した。

高橋:感じたよね。「来るんだろうな」って。

栗田:お客さんの反応を聞いたり、耳のなかで海帆君の息遣いを感じたりする余裕が出来ていたから、気持ちいい瞬間が生まれたんやな。
余裕がなかったら、音を聴かないで練習通りに進んじゃったと思う。

古瀬:本当に、コンマ何秒の世界だもんね。海帆君の声と僕たちの動きの連携が、ちょっとでもズレていたら成り立ってなかったので。奇跡やな。

海帆:奇跡や、ほんまに。ボイスパフォーマンス×ダンスのパフォーマンスをするときって、ホワイトボードに案を綴りながら0を1にして、1から10を考えていってるんですよ。みんなのアイデアを汲み取って、僕の引き出しから出せる音を引っ張りだして、みんなを活かせるダンスの振りを洗い出して、振り付けを作っていく。これまで培ってきたものをオンタイムで出せていますし、0から作り上げたパフォーマンスで反応をもらえるから、すごく達成感もある。「もっとヤバいものを作ろう」という自信にもなってる気がしますね。

古瀬:たしかに。挑戦してさ、それに対する反応を体感できるからこそ「また挑戦しよう」っていう気持ちになれる。

栗田:余裕ができたことで自分に当てる時間も増えてきて、ただ歌って踊るだけじゃなく「+αで何かをしたい」っていう欲も出てきたし、「どうしたらもっと楽しんでもらえるか」っていうクリエイティブな発想を持てるようになったんでしょうね。
変化というか、成長というか。パフォーマンスの質が、格段に上がったと思います。

OCTPATHが”らしさ”の輪郭を描くとき

―昨年末のインタビューでは、小堀さんが「OCTPATHらしさの輪郭が見えてきた」という旨をお話しされていましたが、この輪郭とはどのようなものでしょうか。

栗田:いったん、本人に聞こうか。

四谷:どんな感じ?

小堀:八角形でした。いろんな変化や新しい挑戦を否定せず、恐れず、受け入れる人が揃っているから……。

四谷:なに照れてんの(笑)。

小堀:(笑)。正直な話、自分たちの強みが見えてない時期もあったんですよ。「僕たちの”変幻自在”って強みなのかな」って、疑っちゃったこともある。やっぱりグループって個性に溢れてるというか、「このグループといえば、これ」とか「この事務所のアーティストは、こういうパフォーマンス」みたいなイメージがあったので。でも、今となっては他のグループではできないことをできる環境に、僕たちはいると思ってます。
音楽事業として発展途上の事務所だからこそ柔軟性がありますし、同じくらいのスピード感で一緒に成長していける先輩もいる。今では「もっと驚いてもらいたい」という視点から、ヒューマンビート×ダンスという武器も見つかりましたしね。迷っているときに、無理やり個性をつけて進まなくてよかった。変幻自在を信じて、たくさん変化してきたことが強みになっていると思ってます。

―とはいえ、”変幻自在”って難しくないですか。

海帆:本当に難しい。

太田:正直、OCTPATHのメンバーが器用だからいけてるなって思ってます。ダンスにしても歌にしても、みんなコンセプトに合わせて頑張っているので。それが、ギリギリで変幻自在を実現できている理由かな。

古瀬:この8人だから、出来ているんだと思います。これだけいろんなバリエーションが出来るボーイズグループを、僕は知らない。カッコイイも美しいも上品もカワイイも、なんだってできる。

四谷:全部が似合ってるよね。

古瀬:しゅーくりーむ(小堀と栗田のケミ名)なんて、もう「可愛い」でしかない。やらされている感なく、あそこまで出来るボーイズグループはいないですよ。

栗田:各ジャンルで秀でた人がいるから、その人が前に出ることで、全員がそういうふうに見えるのも僕らの魅力やな。

―ちなみに西島さんが加入したときは、OCTPATHにどのようなイメージを持っていましたか。

西島:リフレッシュ……。

海帆:リフレッシュ⁉

太田:フレッシュね(笑)。

西島:元気ハツラツとしていて。

栗田:オロナミンCじゃん(笑)。

西島:人間性として、いい子たち。本当に元気ハツラツっていうのが、僕のなかでは一番。

小堀:それはさ、すごいことなの?

西島:わからないですけど。なんていうんだろうな……。

栗田:ピュア?

西島:ピュア! それが大事。だからこそ僕も、すぐに打ち解けて、仲良くなれたと思うので。

太田:蓮汰が来てくれたことで、OCTPATHに足りないところが、ちょうど補われた感覚がありますよね。ラップで低い声を出せる人って、OCTPATHにはなかなかいないし。

栗田:しかも、低いだけじゃないもんね。

太田:いい声をしてて、ちゃんと色気がある。声を被せるときも「蓮汰の声があるだけで、こんなに違うんだ!」って思いました。なおかつ、パフォーマンスが大きいから、大きい会場でも映えますしね。本当に頼もしいマンネが入ってきました。

『また夏に帰ろう』に込めた願い

―ここからは、7th single『また夏に帰ろう』についてお話を聞かせてください。OCTPATHは選曲にも携わっているグループかと思いますが、なぜこの3曲になったのでしょうか。

古瀬:「また夏に帰ろう」は、「4年目になったし、新しいことに挑戦したいよね」というところから、「楽曲提供はどうですか」と提案させていただきました。いろんなプロデューサーさんの案をいただき、ピンときたのがケツメイシのRYOJIさんだったんです。リリースが夏前のタイミングですし、僕たちのお母さん・お父さん世代の方々にもOCTPATHを知ってもらうきっかけになったらいいなって。

小堀:僕たちには、「国民的アイドルになりたい」という共通の想いがあるので。人気アイドルのみなさんって、ファンの年齢層が固定されていないと思うんですよね。本当に小さい子から、年上の世代のかたもたくさんいて、幅広い層に受け入れられている。そういう存在を、国民的アイドルっていうと思うんです。

古瀬:嬉しいことに最近では、本当に小さい子からご年配のかたまで、リリースイベントに足を運んでくださることが増えていて。ケツメイシさんは男性にも聴かれていますし、「また夏に帰ろう」はいろんなかたの入り口になる神曲だと思います。

小堀:年齢性別問わず、いろんな人に届いてほしいね。

古瀬:嬉しいよね、そうなったら。

小堀:2曲目の「Carnival」は、いうならば依存できる必殺曲。実をいうと、これまではライブや対バンイベントを前提として「こういう曲が欲しいよね」って、しっかり話をしたことがなかったんですよ。でも、余裕が生まれて自分たちのライブの作り方やパフォーマンスを客観視できるようになり、今の自分たちに必要な曲がわかるようになりました。「「WAKE UP」や「OCTAVE」みたいな必殺曲が2025年もほしい」という思いから生まれたのが、「Carnival」なんです。ここからOCTPATHの歴史を引っ張っていってくれるような1曲になったなと感じています。3曲目の「Everlasting」は、「もう少し情熱的な曲が欲しいよね」っていうメンバー内での提案がきっかけ。これまでファンのかたの背中を押すような曲を多く歌ってきたからこそ、踊れるダンスチューンでありながら、感情をこめられる情熱的な楽曲が欲しいよねって。「今の僕たちにないものを探そう」というところから、このテーマになりました。それぞれの楽曲に理由付けがありながら、少しずつ作品がリンクしている、バランスがよく面白い1枚になったと思います。

―今作の3曲を通して、どのようなところが成長したと思いますか。

太田:個人的には、レコーディングであまり大声を出さなくなったように感じていて。「また夏に帰ろう」も、声を張らなくてもいいんですよね。だからこそ、今作では声色をより感じとることができるように考えました。

小堀:歌は全体的に大変だったよね。「Carnival」は、ちょっと荒々しい感じで歌っているというか。ギザギザした感じの声に、各々が挑戦しています。「Everlasting」は、ピンポイントでの地声とファルセットの切り替えが難しくて。5文字は地声だけど、6文字目は裏声にして、7文字目から地声に戻ってみたいな。声帯をコントロールしないとできないフレーズに、各々が挑戦しています。

太田:「また夏に帰ろう」も「Carnival」も「Everlasting」も、声色が全く違うと思うので。声色で楽曲を表現するのは『また夏に帰ろう』を通して、身についたことかもしれないですね。

小堀:びっくりするんちゃうかな、THme。

海帆:間違いなく、びっくりすると思いますよ。

―2nd album『Present』をリリースした際にも「これまで以上に歌を聴かせたい、届けたい」とお話しされていましたが、現在のOCTPATHは歌に注力するターンなのでしょうか。

四谷:なんなら、ずっと?

太田:「歌を上手くなろう」みたいなのは、ずっとありますよね。定期的に、ボイストレーニングもしていますし。

四谷:この仕事をしているうえで、自分的に何を表現できるか考えたうえで歌を届けるのは、重きを置いて向き合っていくことのひとつですし、デビュー時からずっと大切にしていることでもあります。しいていえば、3年経って少し余裕が出てきたことで、もっともっと「伝える」ことに意識が伸び始めているのかもしれないですね。

海帆:個人的な話なんですが、友人の結婚式に向けて曲を作っているんですよ。でも、それって俺がデビュー1年目とか2年目やったら、絶対にしてなかったと思うんです。なんというか、「届けたい」っていうめちゃくちゃ純粋な心が突き動かしてくれてて。OCTPATHの活動と全く関係ないところでも、「届けるため」に曲を作ったりできているんです。『また夏に帰ろう』にこめた「届けたい」という想いを、いろんな人に行動で反映できてるのがいいなって。自分自身がそのフェーズにいるんだなって、改めて実感しました。もちろんクオリティは上げたいですけど、友人に向けた「本当に幸せになってほしい」という気持ちは、OCTPATHの活動でTHmeに届けたい気持ちと同じなので。この3年間のなかで、届けたい気持ちだけで動ける心を培ってこれたのかも。

古瀬:『OCTPATH LIVE 2024 -UP TO THE SKY-』で、「Our PATH」をピアノ伴奏で歌ったのも「届けたい」だけで挑戦したことのひとつだよね。実力どうこうよりも「気持ちが伝わればいいな」っていう想いがデカかった。今後も弾き語りをするメンバーがいるけど、それも「気持ちを届ける」が一番のメインになるかもしれないなって思ってます。

OCTPATHが語る、個性が交差する創造のフロントライン

©YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD

8人の原石が放つ多面体の輝き

―『OCTPATH Showcase 2025 ~à la carte~』は、どのようなライブになりそうですか。

高橋:普段のライブとは、また違った雰囲気になるんじゃないかな。

栗田:それぞれがパーソナルな一面を出したり、挑戦的なことをしたりするので、どのメンバーを見ても楽しんでいただけるはず。

小堀:年末にアリーナライブをしているので「なんでZeppでライブをするの?」って思ったかたも、少なからずいると思っています。でも、僕らとしては、それぞれのパーソナルな部分を、より近い距離でみなさんに観て聴いて、知ってほしくて。

栗田:ライブではなく「Showcase」という体裁を取ったのも、一人ひとりの魅力を近くで感じてほしいと思ったからなんです。

高橋:ソロコーナーで、今まで見せていない一面をお見せできると思いますし、今以上にTHmeとの距離を縮められたらなって思ってます。今回はお酒もありますしね。

栗田:タイトルに「à la carte」とつけさせていただいたので、ひとつひとつの料理を味わうように、僕たちのパフォーマンスを楽しんでほしいな。8人でのパフォーマンスは、これまでけっこう見てもらってきたと思うので。デビュー4年目に入ってから、グループとしてのまとまりはありつつも、個人がすっごく大きくなってきているように感じていて。全員でパフォーマンスをするときも、自分の魅せかたに対するこだわりが強くなってきたので、そういうものをソロパフォーマンスにぶつけたいですね。

海帆:それぞれが「届けたい」と思っている欲求や挑戦が磨かれていくと、結果としてその人の個性になると思うので。『OCTPATH Showcase 2025 ~à la carte~』で8人の原石をお見せすることができたら、将来的にはOCTPATHの強みにできると思っています。グループって、圧倒的な個性が集まることで強くなっていきますからね。

小堀:僕たちが、ライブの演目としてずっと続けてきた「Showcase」を、近い距離でお見せすることで、将来的に何か大きな個性になるんじゃないかな。

―やはり見どころは、ソロコーナーですか。

四谷:そうですね。ソロコーナーは注目してほしいし、僕自身もすごく楽しみなんですよ。これから始まるリハとかで、メンバーのパフォーマンスを観る機会はあるけど、なんなら本番まで見たくないくらい。

栗田:めっちゃわかる!

四谷:客席から本番を見たいよね。

栗田:絶対に不可能やけど(笑)。

OCTPATHが語る、個性が交差する創造のフロントライン

7th single『また夏に帰ろう』
OCTPATH
配信中/発売中
配信リンク:https://octpath.lnk.to/matanatsunikaerou_st
CD:https://octpath-official.com/news/detail/1558

収録曲
1. また夏に帰ろう
2. Carnival
3. Everlasting
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