4月26日、This is LASTのホールツアー「This is LAST one man live Hall tour "adapt"」の東京公演が、昭和女子大学人見記念講堂にて開催された。公演時では、仙台の振替公演を残してはいるものの、この夜は、彼らにとって最大規模の同ツアーのツアーファイナル公演となった。
この記事では、生配信も行われた同公演の模様をレポートしていく。

スペーシーな響きを放つ幻想的なSEを受け、菊池陽報(Vo・G)、鹿又輝直(Dr)、サポートベーシスト芳井雅人の3名がステージイン。温かな拍手が送られる中、3人がドラムの前に集まり拳を突き合わせ、定位置へ。1曲目は、「バランス」。菊池がコードを鳴らした瞬間、大きな歓声が飛び交い、一人ひとりの観客がこの日のライブにかける期待の大きさがありありと伝わってきた。躍動的なスリーピースサウンド&同期のストリングスの調べを推進力にして、高らかに響いていく菊池の伸びやかな歌は、ステージと客席の距離感を全く感じさせないような親密な響きを放っている。続けて、「ポニーテールに揺らされて」「ベイビー」「勘弁してくれ」を立て続けて披露。菊池の歌がそうであるように、3人のバンドサウンドも、ホールの広さを忘れさせてくれるような、さらに言えば、まるでライブハウスでの演奏を前にしているかのような熱量と気迫を感じさせるもので、そして、観客も負けじと手拍子を重ねながら3人の熱い想いに応えていく。

「楽しんでますか、東京!」「こっからね、もっとあげてくんですけどいけますかー!」という菊池の呼びかけを経て突入した「Scoop!」では、高速4つ打ちのビートに合わせて観客が拳を何度も高く突き上げ、また、「歌えるかい!」という問いかけに応え大きな歌声を懸命に重ねていく。そうしたステージと客席の熱烈なコミュニケーションはさらに勢いを増しながら「もういいの?」へと引き継がれ、「恋愛凡人は踊らない」の2番の歌い出しでは、猛烈なハンズクラップを受けて、菊池が「ありがとう!」と万感の想いを叫ぶ一幕もあった。曲のラスト、会場全体から巻き起こった大合唱も圧巻だった。

This is LAST、最大規模ホールツアーファイナルで見せた最高到達点


「ソールド、ありがとうございます」「画面の向こうのみんなも元気かな」。
菊池はそう告げた後、「いろんなところでThis is LASTの音に出会ってくれて、そこから今日に繋がって、来てくれたと思うので、あなたに出会えた曲とかもできたらと思うので、せいいっぱい歌って演奏します。よろしくお願いします」と宣誓した。そして、多くの人にとってThis is LASTと出会うきっかけになった一曲であろう「#情とは」(ABEMA「花束とオオカミちゃんには騙されない」挿入歌)を披露。壮大な広がりを見せるドラマチックなサウンド。その中に響く極めてパーソナルで切実な想い。そのコントラストがあまりにも美しかった。ピンスポットライトを一身に受けた菊池が、深く息を吸い込み、エレキギターの弾き語りでサビから歌い始めた「スーパーキセイマン」。ステージの背景に無数の光が満面の星空のように輝く演出がドラマチックな高揚をもたらした「Strawberry」。そうしたハイライトの連続の中盤のMCでは、菊池は、満員の会場を前にして改めて万感の想いを告げ、「This is LASTを見つけてくれて、今日ここに来ることを選んでくれて、ありがとうございます」と改めて丁寧に感謝を伝えた。菊池は、一つひとつの小さな積み重ねを経てここまで来ることができたと振り返っていたが、あの時、彼らの歩んできた長い道のりに思いを馳せた人はきっと多かったと思う。

ここからライブは後半戦へ。並々ならぬ気迫を感じさせるパワフルな歌から幕を開けた「愛憎」では、「東京、やれるかい!」という菊池の熱き呼びかけに応えるように客席から無数の拳が突き上がり、そうした会場全体の高揚は「殺文句」へと引き継がれていく。
続く「ディアマイ」では、菊池が〈君を想ってるよ〉の一節を特に深い力を込めて歌い、ラストのサビでは、客席を指差しながら、〈あなたとの日々を〉と歌詞を替えて歌い上げる。そして、「新曲やります」という前置きを挟み、4月25日にリリースされたばかりの「火の花」を披露。快活で熱気に溢れたバンドサウンドに観客の手拍子が鮮やかに重なり、リリースされたばかりの新曲とは思えないほどの一体感が生まれていた。

This is LAST、最大規模ホールツアーファイナルで見せた最高到達点

菊池陽報(Vo・G)

This is LAST、最大規模ホールツアーファイナルで見せた最高到達点

鹿又輝直(Dr)

最後のMCパートで、菊池は、胸の内の想いを包み隠すことなくありのまま語り始めた。どんどん前に進みたいと思っているけれど、一曲一曲が簡単にできているわけではないから、思うようにうまくいかない。孤独を感じることもあるし、ライブが始まる前は、ミスをしてしまったらどうしようと不安になることもある。ただ、ライブのステージに立つと、自分たちの音楽を好きになってくれた人が目の前にいて、"あなた"のために歌うと思った瞬間、頭の中でぐるぐる回っていた不安な気持ちがなくなる。自分たちの音楽を聴いて共感してくれた人、同じ感覚を持っている人が目の前にいる。自分を救うため、自分を応援するために書いた曲が、巡り巡って、そんな人たちを救ったり、応援したりするかもしれない。そう語った菊池は、最後に、「日々を頑張ってる、踏ん張ってる、"あなた"の背中を押せる力になったらいいなと思います」と告げ、「ヨーソロー」を披露。アウトロに至るまで観客の合唱が次々と重なっていく感動的な名演だった。

This is LAST、最大規模ホールツアーファイナルで見せた最高到達点


「Any」では、菊池がハンドマイクでステージを往来しながら観客と親密なコミュニケーションを重ねていき、「病んでるくらいがちょうどいいね」では、観客が何度もジャンプを繰り返しながらバンドの熱い想いに応えていく。
そして、「今日は本当に来てくれてありがとうございます!」「大・大・大・大・大感謝を込めてー!」という猛烈な叫びの後に披露されたのが、特に多くの人にとって、This is LASTと出会うきっかけになったであろう曲「カスミソウ」だった。鹿又がTシャツを脱ぎ捨てて立ち上がりながら豪快にドラムを叩き、菊池が「これで終われるかい、一番ヤバい夜にしようぜ!」と叫ぶ。この日何度も更新されてきた熱気のピークをさらに超えていく熱狂が生まれ、そして、本編ラストを締め括ったのは「オムライス」。曲中、菊池が「愛してます!」と溢れ出る想いを叫んだ一幕が忘れられない。終演のアナウンスがあったものの、サイレントアンコールとして3人が再びステージイン。既に配信は止まってしまったが、この日2度目の「カスミソウ」が、会場に集まった観客のためだけに送られる。最初から最後まで熱烈な大合唱が巻き起こり続けた圧巻の大団円。菊池は、ここでもう一度「愛してます」とめいっぱいの想いを伝えた。「またZeppツアーで会いましょう」「ありがとう!」メンバーが立ち去った後も、いつまでも温かな拍手が鳴り響き続けていた。

This is LAST、最大規模ホールツアーファイナルで見せた最高到達点


セットリスト
1. バランス
2. ポニーテールに揺らされて
3. ベイビー
4. 勘弁してくれ
5. Scoop!
6. もういいの?
7. 恋愛凡人は踊らない
8. #情とは
9. スーパーキセイマン
10. Strawberry
11. 愛憎
12. 殺文句
13. ディアマイ
14. 火の花
15. ヨーソロー
16. Any
17. 病んでるくらいがちょうどいいね
18. カスミソウ
19. オムライス
EN1. カスミソウ

<ライブ情報>

自身最大規模となる全国8都市ワンマンツアー「This is LAST one man live Zepp tour 2025」開催
2025年9月5日(金)神奈川・KT Zepp Yokohama
OPEN 18:00 / START 19:00
2025年9月7日(日)香川・高松festhalle
OPEN 17:00 / START 18:00
2025年9月10日(水)愛知・Zepp Nagoya
OPEN 18:00 / START 19:00
2025年9月13日(土)北海道・Zepp Sapporo
OPEN 17:00 / START 18:00
2025年9月20日(土)宮城・SENDAI GIGS
OPEN 17:00 / START 18:00
2025年9月26日(金)福岡・Zepp Fukuoka
OPEN 18:00 / START 19:00
2025年9月27日(土)大阪・Zepp Osaka Bayside
OPEN 17:00 / START 18:00

【追加公演】
2025年10月4日(土)東京・Zepp Haneda (TOKYO)
OPEN 17:00 / START 18:00

Official HP:https://thisislast.jp/
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