reGretGirlのメジャー3枚目となるフルアルバム『LOVERS』が、6月11日にリリースされた。これまでも3人は、フルアルバムを制作するたびに、自分たちの表現の幅を広げたり深めたりしながら、reGretGirlのバンド像を果敢に更新し続けてきたが、今回は、そのアップデートの度合いが一際大きい。
大文字で堂々と掲げられた『LOVERS』という渾身のタイトルが象徴的なように、reGretGirlは、今作の多様な各曲を通して、今まで以上に大きく普遍的な愛を、一切衒いなくまっすぐに表現している。バンド名の中に後悔という言葉があるので、もしかしたら、reGretGirlに対して後ろ向きな曲を歌うバンドというイメージを持つ人は多いかもしれないが、彼らはこの10年間、絶え間なく変わり続け、進化し続けている。その美しき結実となる最新アルバム『LOVERS』の制作について、メンバー全員に振り返ってもらった。

ー『LOVERS』というタイトルは、アルバムに向けて走り出す頃からぼんやりとイメージしていたのか、それとも、全ての曲が揃ってから決まったのか、でいうと、どちらに近いでしょうか。

平部雅洋(Vo・G):そうですね。どちらでもある、というのが正解で。『LOVERS』というタイトルが決まったのは、アルバムの曲が全てできてからなんですけど、reGretGirlは、もうここ数年はずっと、聴いてくれる皆様に寄り添うことを大きなテーマにしていて、等身大のバンドでありたいとっていうふうにずっと思っているので。やっぱり、アルバムを作るぞって段階から、そういうテーマを目指して向かっていって、それで、最終的にそこに付いた名前が『LOVERS』でした。バンドとして掲げているテーマに合う名前を、最後の最後に見つけれたって感覚がけっこうあって。これはもしかしたら、もともとここに行き着く運命だったのか、とか、いろいろ考えるんです。名前を付けたからっていうのもあるんですけど、このアルバムには、このタイトル以外は今は考えられないなって。それぐらい納得感があるので。


ー複数形のSが付いていることで、より多様な人々の、多様な愛に寄り添う、といったニュアンスが生まれていると思います。また、大文字で力強く『LOVERS』と表記する点にも、バンドの想いの強さや深さを感じます。

平部:ありがとうございます。そうやって捉えて頂けるのはすごく嬉しくて。やっぱ、大きな愛をテーマにしてるので、必然的に大文字であることは避けられなかったのかなって今思いました。

ー今年の4月にリリースされた「エバーソング」をはじめ、今作には、昨年以降のシングル曲が複数収録されています。一つひとつのシングル曲を制作していた時から、各曲が、やがて来たるフルアルバムを形成するピースになっていく、という予感はあったのでしょうか。

平部:実は、我々はいつも、アルバムを想定しながらシングルを出していないんです。今回もその感じで。ただ、reGretGirlっていうバンドに1本のテーマというか、筋を通してるつもりなので、先が見えていない中での一歩一歩が、最終的にちゃんと一つのアルバムに収束していけるのが、我々の強みだなと。今回も、うまいことアルバムまでの流れができたなと感じます。

ー今おっしゃった一貫性を、あえて言葉にするとしたらどうでしょう。


平部:僕は、自分の生き方というか、信念みたいなものを曲に落とし込むことが多いので。例えば、僕は立派な大人になりたいみたいな願望が強くて、だから、じゃあそうなるためには自分はどうしたらいいんだって考えることがすごい多いんですけど、その1歩目が、優しさであったりとか思いやりの心を持つっていうことだと思ってて。まずは、自分の身近な人たちにそういう心を持って接していこうと思いながら生きている、生活しているので、それが曲にも必ず出てくると思います。

ー十九川さん、前田さんは、平部さんのことを、長年とても近い距離で見ているかと思いますが、近年の平部さんの変化、もしくは、変わらなさをどう見ていますか?

十九川宗裕(B):ここ数年で上京したりして生活が大きく変わったこともあって、よりいっそう、大人になったというか。1つ前のアルバム『tear』あたりから、特にそう思います。

前田将司(Dr):丸くなったな。昔はもっと尖ってたというか、大荒れでした。いい意味で大人になってきたんじゃないかなと思います。それは自分にも思いますし、十九川にも思うし。まあね、こんだけ長いことやってたら、そりゃ角も取れるわな。

平部:ありがたいことに、今は音楽で生活できているということがこうさせているなってすごい思っていて。たぶん僕は、もしバンドをやっていなくて、社会に出て働いていたら、今のような考えにはなれていないかもしれないと思うし。
そう思えるようになったのは、自分たちの音楽をいいと言ってくれるファンの方々がいるからで。それに、僕は、ソングライターとしてバンドを引っ張っていく立場、責任感みたいなものが次第に芽生えてきて、ついてきてくれるメンバーはもちろん大事にしないといけないし、僕ら3人だけじゃ何もできないところにスタッフたちがいてくれていて、そうやっていろいろ考えていくと、思いやりを持った人間として生きていかないといけないって思うことが多々あった。このバンド人生を走り続けていく中で、角が取れてきたとか、嫌な部分がすり減ってきたなっていうのは感じるので、今後、ここから長く続けていくのが楽しみです。

reGretGirlが語る、バンドとして掲げる「大きな愛」、活動10年間での一貫性

平部雅洋

ー十九川さん、前田さんから見て、今作の楽曲の平部さんのソングライティングについて、何か新しい変化を感じることはありますか?

十九川:より本音になってる。そのままの人間性が出ているというか、肩肘張ってない感じがすごく曲に表れていると思いますね。それが説得力に繋がっているんだと思います。

reGretGirlが語る、バンドとして掲げる「大きな愛」、活動10年間での一貫性

十九川宗裕

ー例えば、7曲目の「陽のあたる言葉」は、同棲のワンシーンを描いている曲のように感じます。バンド活動が始まってからのこの10年間で、学生から社会人になって、もしくは、片思いから両思いになって、同棲して、結婚して、というように、3人と一緒に年を重ねる中で、人生のフェーズが変わっていっているファンの方も多いと思うんですよね。

平部:そうですね。もちろん、曲によっては、一緒に年を重ねてきたファンのことを考えてる部分もあるんですがやっぱり僕は、バンドを始めたときから自分の思ったことを等身大に表現していきたいと思っているので。でも、今おっしゃって頂いたように、もしかしたら、知らず知らずの内に、ファンの方の人生とリンクしている部分もあるかもしれないです。

ー先ほどのお話とも通じますが、改めて、reGretGirlの表現の一貫性、また、その揺るぎなさを感じます。


平部:感覚としては、同じことをひたすらやり続けてきたっていう、これしかやり方を知らないから、って感じですね。もっと器用で、いろんなものに、あれやってみよう、これやってみようって思うタイプだったら、いろんなことをやってたかもしれないですけど、僕はそういう点で不器用なんで。だから、ひたすらに、がむしゃらにやっていったら、気が付けば10年。

ー十九川さん、前田さんは、平部さんと一緒にバンドをやり続ける中で、何がご自身の原動力になっているのでしょうか。

十九川:そうですね。もちろん、続けていく原動力としては、聴いてくれているみんなのために、ってのはかなり大きいですけど。やっぱり、僕も楽曲に共感できているってところが大きいかもしれない。自分のことを歌ってくれているっていうか、人間あるある、みたいな。やっぱり僕も当てはまることがありますし、だからこそ、心を乗せてライブができる。

前田:僕は、ドラムを、ずっと楽しくてやってて、気付いたら10年なんで、なんか体感で言うと3、4年。

reGretGirlが語る、バンドとして掲げる「大きな愛」、活動10年間での一貫性

前田将司

ー1月のZeppのMCの時も、同じようなことをおっしゃっていたのを思い出しました。

前田:ほんまに、あっという間に10年経ったなって感じなんで。


ー平部さんは、お二人と一緒に歩んできた10年間を振り返ってみて、改めてどのようなことを思いますか?

平部:僕、やっぱこのメンバーじゃないとできていなかったんだろうなと思ってるんで。バンドメンバーだと言いつつも、結局やっぱ僕らは友達としてうまくいってるのがすごいでかいから。だからこそ、ずっとメンバー変わらずに続けられているんだなっていうのは、すごい思いますね。支えてくれるスタッフを含め、ほんとに人に恵まれてると思います。

ー今回のアルバムのリード曲の「ブルーアワー」は、とても広義な、今まで以上に普遍的な大きな愛をまっすぐ伝える渾身の一曲のように思いました。この曲の夜明け前というテーマは、直感的に出てきたものなのか、それとも、はじめからこのテーマで曲を書こうと決めていたのか、でいうといかがでしょう?

平部:実は、この「ブルーアワー」っていうタイトルは後から付いたんです。もともと、僕の中で、不安っていうものを歌いたかったというか、歌うのが必須だなって思ってたんです。若い時、漠然とした不安みたいなものを抱えてたんですけども、でも、いつもどっかに根拠はないけど自信みたいなのがあって。その不安と自信のバランス感覚でいろいろ乗り越えてきたけど、やっぱ大人になればなるほど、その根拠のない自信に根拠がいるようになってきて。だから、どうしても不安ばっかりがちょっと自分の中で勝つようになってきて。やっぱバンドって厳しい世界で、そこで生き残っていくってのがすごい大変やし、今も、僕も皆さんと同じように、不安だとか葛藤はすごいいっぱい抱えてて。で、どうしても、これを歌にしないのは嘘だなというか、今の自分を歌にしたいなと思って書いたのがこの「ブルーアワー」なんです。


ーこの曲ができあがった時の手応えはどうでしたか?

平部:今回のアルバムの中で一番手応えがあって、自分が作る曲の中では珍しく、ちゃんと起承転結があるというか、曲の最後に、ちゃんと少し明かりを灯すことができたというか。

ーバンド名の中に後悔という言葉があるように、reGretGirlの曲に対して、後ろ向きなまま終わるイメージを持つ人は、たしかに多かったと思います。

平部:これまで自分がいろいろ経験をしてきたからこそ、やっとここでこういう曲を出せるようになったんだな、って思っていて。ただ、自分らしさを忘れないように、例えば、直接的に誰かを励ましたいと思って作ったとしても、「頑張れ」「俺についてこい」みたいなんじゃなくて、あくまでも、「俺もこうだから無理しないでね」って伝えるのがreGretGirlらしさというか、僕が書ける歌詞の真骨頂なのかなと思ってます。

ー今のお話を聞いて、「ブルーアワー」は、reGretGirlの真骨頂であり、同時に新境地の曲でもあるのだと思いました。

平部:自分の中の筋を通しながら、新しいとこにもたどり着けた。今後どうなっていくのか、自分が一番楽しみです。

ー十九川さん、前田さんは、「ブルーアワー」を含む今回のアルバムをきっかけに、平部さんのソングライティング、また、reGretGirlというバンドの在り方は、今後どうなっていくだろうと感じていますか?

十九川:やっぱり、「ブルーアワー」から感じる変化の予感みたいなのはあると思います。だからこそ、次どうなるか楽しみ。

前田:変わらないまま、変わっていく、と思ってるんですけど。たぶん、平部は変わってないんですけど、年月を経るごとに勝手に変わっていくものがあって、それが進化というか。だから、僕もなんですけど、自分は別に変わらずいようと思ってても、勝手に変わるものがあると思うので、そのスタンスで僕も行こうとは思います。

reGretGirlが語る、バンドとして掲げる「大きな愛」、活動10年間での一貫性


ーベーシスト、ドラマーとして、どのように平部さんの歌に寄り添おうとしてるのか、また、そうしたプレイヤーとしての意識は、これまでずっと変わっていないのか、もしくは、今作をきっかけとして何かしらの変化があるのか、でいうといかがでしょう。

十九川:ベースに関しては変わっていなくて。インディーズの頃は、ギター、ドラム、ベースだけだったのが、作品を重ねるごとに、別の楽器が乗ってきたり、サウンドの引き出しも増えてくるわけで、ベースが1歩後ろに引き始めているっていう変化は出始めています。それでも、やっぱり動くベースラインが自分らしいと思いますし。歌との兼ね合いではありますが、大人の動くベースというか、そういうところを目指していきたいなっていうのはありますね。

前田:僕も、このバンドに入る前からずっと変わってないんですけど、基本、歌に合うドラムを叩こうと思ってやってます。で、最近、自分のドラムを客観的に、ちゃんと外から見れるようになってきて。だから、まだまだ伸びしろがあるので。最近ドラム楽しい。

ー平部さんは、ベーシスト、ドラマーとしてのお二人の変化や進化をどう見てますか?

平部:もう本当に年を重ねるごとにやっぱ頼もしくなっていってるというか。個人個人が、自分の姿を引いて見ながらプレイに集中できるようになってきてるなっていうのすごく感じるし。やっぱり我々は不器用だと思うんで、バンドを始めていきなりだったらできなかったんだろうなって思うんですけど、いろんな経験をしてきて、トライアンドエラーでどんどんどんどん身に付いてきて、その中でやっぱりその分いろんなこけ方をしてきているので。こけるたびになんか強くなってるというか、3人とも、根っこの部分がどんどん強くなっていると思います。

ー今回のアルバムの曲たちがライブでどう響いてくか、とても楽しみです。

平部:そうですね。4月に出した「エバーソング」をじわじわライブでやってるんですけど、やっぱりライブでやると気持ちをグッと乗せて歌えて。最近そういう経験をしたばっかりだったので、どの曲も楽しみなんですけど、我々がリード曲って思っている「ブルーアワー」がツアーでどう化けていくのかとてもすごい楽しみです。僕は別に、自分のことを誠実だとか真面目とかって思ってないけど、素直ではあると思っているので。ライブでは、素直に愛を伝えたいっていうのを思ってるから。ライブを観て頂いた方にしっかり受け止めてもらいたいと思いますし、「ブルーアワー」をはじめとした今回のアルバムの曲を通して、reGretGirlがバンドとして成長していく部分も、皆さんに感じてもらえたらなと思います。

<リリース情報>

reGretGirl
Major 3rd Full Album『LOVERS』
発売日:2025年6月11日(水)
通常盤: ¥3300(税込)
コロムビアミュージックショップ限定盤 (限定タオル付き) ¥4500(税込)
=収録曲=
1. ハンワライナー
2. 純ラブ
3. ブルーアワー
4. エバーソング
5. 知らんけど
6. ロスタイム
7. 陽のあたる言葉
8. オレンジ
9. オトナビゲーション
10. 摩訶不思議ヒステリー
11. 帰り道

<ライブ情報>

reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025”for LOVERS
2025年6月19日(木)千葉LOOK ※SOLD OUT
2025年6月22日(日)水戸LIGHT HOUSE
2025年6月29日(日)奈良EVANS CASTLE HALL
2025年7月5日(土)広島LIVE VANQUISH
2025年7月6日(日)岡山YEBISU YA PRO
2025年7月11日(金)F.A.D YOKOHAMA ※SOLD OUT
2025年7月13日(日)前橋DYVER ※SOLD OUT
2025年7月26日(土)浜松窓枠
2025年8月2日(土)京都MUSE ※SOLD OUT
2025年8月3日(日)神戸太陽と虎 ※SOLD OUT
2025年8月8日(金)松本ALECX
2025年8月9日(土)富山SOUL POWER
2025年8月11日(祝月)岐阜CLUB-G
2025年8月16日(土)仙台Rensa
2025年8月17日(日)郡山HIP SHOT JAPAN
2025年8月30日(土)福岡DRUM LOGOS
2025年8月31日(日)鹿児島SR HALL ※SOLD OUT
2025年9月20日(土)函館 club COCOA
2025年9月22日(月)札幌PENNY LANE24
2025年9月27日(土)金沢EIGHT HALL
2025年10月3日(金)高松DiME
2025年10月4日(土)松山サロンキティ

チケット販売情報 一般発売
受付期間:5/24(土)10:00 ~

東名阪ホール編
2025年11月7日(金)NHK大阪ホール
2025年11月21日(金)岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
2025年11月28日(金)LINE CUBE SHIBUYA

チケット販売情報
reGretGirl Official Fan Club "ルート26"有料会員先行
受付期間:5/10(土)21:00~5/14(水) 23:59
URL:https://www.regretgirl.com/feature/route26_oneman2025hall

オフィシャル抽選先行
受付期間:5/15(木)19:00~5/25(日) 23:59
URL:https://w.pia.jp/t/regretgirl-hall-oneman-2025/

reGretGirl Official SITE https://www.regretgirl.com/
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