トランプ大統領は長年、自らを平和の使者として讃えられることを渇望してきたが、2009年にバラク・オバマが同賞を受賞したことについては不満を口にしていた。つい先週も、コンゴ民主共和国とルワンダが和平合意に達したと発表する際に、再びノーベル賞について愚痴をこぼしていた。
「これでノーベル平和賞をもらえることはないだろう。インドとパキスタンの戦争を止めたときも、ノーベル平和賞はもらえなかった。セルビアとコソボの戦争を止めたときも、エジプトとエチオピアの間の平和を保ったときも、ノーベル平和賞はもらえなかった」と、トランプはTruth Socialに投稿した。さらに中東における「アブラハム合意」についても、「これでも平和賞はもらえなかった」とし、こう続けた。「ロシア/ウクライナ、そしてイスラエル/イランについても、結果がどうであれ、私は何をしてもノーベル平和賞をもらえない。だが人々はわかっている。それだけが私にとって重要なのだ!」
トランプは「就任初日にロシアとウクライナの戦争を終わらせる」と公言したことで有名だが、その紛争はいまだに続いている。彼はノーベル平和賞を決して受賞できないことを嘆いた翌日に、イランの核関連施設への爆撃を命じ、その後、イスラエルとイランの間で和平合意を発表。だが両国は即座に停戦を破ったため、トランプは再び怒りを爆発させた。
「トランプ大統領は間違いなくノーベル平和賞を受賞することになるでしょう」──アラバマ州選出のケイティ・ブリット上院議員(共和党)は、6月23日(月)にFoxニュースでそう語り、彼が「安定を必要としていた地域に平和をもたらした」と付け加えた。
トランプ政権の関係者たちも、こうした”へつらい”に加わっている。「これこそが、@POTUS(大統領)を過去の愚かな指導者たちと分けるものだ」──CIA長官のジョン・ラトクリフはそう書いた。「彼はアメリカの国益という目的を持ち、それを1人の米国人の命も失うことなく達成した。しかし、無理に突き進んで第2波、第3波の”体制転換戦争”を引き起こすようなリスクは冒さなかった。ノーベル平和賞にふさわしい行動だ」
トランプの長男、ドナルド・ジュニアもこの騒ぎに加わり、ついでにオバマへの皮肉も忘れなかった。「バラク・オバマがノーベル平和賞を受賞して、ドナルド・トランプが受賞できない──それこそがアファーマティブ・アクション(逆差別)だ」と彼は書いている。
トランプ支持の保守派論客たちも、ノーベル賞を与えろと騒ぎ立てている。トランプ政権一期目のホワイトハウス報道官だったケイリー・マケナニーは、6月23日(月)のFoxニュースでこう語った──「34件の重罪起訴の代わりに、トランプ大統領は34個のノーベル平和賞を手に入れることになるかもしれないわね」と言い放ち、左派に向かって「どうぞ発狂して」と挑発した。
「トランプ大統領はノーベル平和賞を受賞すべきだ」──保守系団体「Turning Point USA」創設者のチャーリー・カークは、イスラエルとイランの紛争への対応を称賛する投稿が相次ぐなか、6月23日(月)にこう書き込んだ。そして翌24日(火)、トランプはこのカークの投稿を自らのTruth Socialページでリポストしている。
From Rolling Stone US.