ガールグループの”現在”であり”未来”
午前9時の少し前、KATSEYEのメンバーたちはすでに衣装に身を包み、2025年キッズ・チョイス・アワードのリハーサルに向けて準備万端の様子だ。質問に答えるあいだに小さくあくびを漏らすこともあるが、SOPHIA、MANON、LARA、YOONCHAE、MEGAN、DANIELAは、6月27日に控える2nd EP『BEAUTIFUL CHAOS』のリリースに向けて、この一週間への高揚感に満ちている。
「今回の作品では、私たち自身が大人になってきたことを感じていただけると思います」とLARAは語る。「この時代を迎えて、私たちは以前よりもずっと自然体でいられるようになりました。誰かと話すときにも、もう何かを装う必要がないんです。それってとても素敵なことだと思いますし、アルバムのなかにもそれが表れていると思います。私たちの”情熱”のようなものが、より明確に伝わるはずです」

Photo by Julian Song
KATSEYEはいま、まさにグループ史上最大の瞬間を迎えていると言っても過言ではない。2023年11月に結成されたGeffen/HYBE所属の彼女たちは、ポップ・ガールグループの”現在”であり”未来”として急速に頭角を現している。
6人のメンバーはNetflixのリアリティ番組『ポップスター・アカデミー: KATSEYEになるまで』を通じて選ばれた。約12万人の応募者の中から選抜された20人のファイナリストが、ダンススキル、ボーカル力、スター性を磨くチャレンジに挑み、そこから最終的に彼女たちが選ばれた。
6人組としての彼女たちの成長は非常にスピーディで、すでに「EYEKONS」と呼ばれる膨大なファンベースが形成され、彼女たちの一挙手一投足に注目が集まっている。
それぞれの個性と深い絆
2nd EP『BEAUTIFUL CHAOS』では、メンバーたちの強い絆ときらめく個性が揺るぎないものであることを、改めて証明している。
「これは作りものじゃないんです」とSOPHIAは打ち明ける。「私たちは皆、KATSEYEの成功という共通の目標を持っていて、本当に友情を大切に育んできました。とても恵まれていると思います」
「本当に、本当に、本当にたくさんの時間を一緒に過ごして、お互いの関係を築くために努力してきました」とLARAは付け加える。「こういうものは作ろうとして作れるものではありません。これは、深い絆で結ばれた本物の友情なんです」
リトル・ミックスやフィフス・ハーモニーをはじめとする過去のガールグループのメンバーたちは、グループとしてのブランドを優先するあまり、自分自身の個性を抑えなければならなかったことが難しさの一因だったとよく語っている。しかし、KATSEYEの場合はまったく逆だ。それぞれのメンバーが持つ個性やカルチャーが積極的に祝福されており、それこそがGeffen/HYBEが「グローバル・ガールグループ」のアイデンティティとして当初から構想していたものでもある。
たとえばLARAは、サウスアジア系のルーツをたたえるビンディや民族衣装を身に着けた姿がたびたび撮影されており、キューバ系のルーツを持つDANIELAは、最新シングル「Gabriela」のブリッジ部分をスペイン語で歌っている。「私たちはそれぞれの強みを活かして、個として輝くことを本当に後押しされているんです」と、フィリピン系のSOPHIAは語る。
『BEAUTIFUL CHAOS』は、KATSEYEの多様な音楽スタイルとボーカルの幅広さを存分に示す作品となっている。ポップやR&B、バラードに加え、賛否両論を呼んだキャンピーなシングル「Gnarly」も収録されており、この曲はダンストレンドのきっかけとなり、2024年の「Touch」に続く彼女たちのセカンド・ヒットを瞬く間に生み出した。
MANONは、この2nd EPの制作について「まさに今の自分たちらしさがリリックにもアートとしての表現にも出ていると感じました」と語っている。またSOPHIAは、「このEPはグループにとっても、とても”過渡期的”な作品になっていると思います」と説明している。「細部にこれまで以上にこだわりました」と語るのはMANON。「とても楽しい経験でしたし、私たちらしさがちゃんと感じられる作品になったと思います」
5曲入りのEPのラストを飾るのは、メンバー全員が口をそろえて「一番のお気に入り」と語る楽曲「M.I.A.」。スタジアム映えするアンセム調のナンバーで、BLACKPINKのようなガールグループの路線に近く、観客が一緒に歌えるような曲だ。「初めて聴いたとき、私たちみんな叫んじゃいました」とDANIELAは笑う。
「これはまさに私たちの好みにぴったりなんです」とLARAは付け加える。「プロダクションも本当に素晴らしいですし、それぞれの個性をしっかりと表現できたと思います」
「Game Boy」は、「Touch」の続編のような楽曲で、その時期の雰囲気を楽しんでくれたファンのために作られたものだとメンバーたちは語る。「気分が上がる曲ですし、『Touch』をさらに進化させたような仕上がりなんです」とMEGANは語る。「『Game Boy』は、『Touch』の時期が好きだったEYEKONSの皆さんにとって、お気に入りの1曲になると思うので、とても楽しみにしています」とYOONCHAEは付け加えた。
クィアネスとの親和性、KATSEYEが築いてきたシスターフッド
MANONは、バラード調のスローナンバー「Mean Girls」について語ってくれた。この曲は、「dream girls(夢見る女の子たち)」「free girls(自由な女の子たち)」「そしてmean girls(意地悪な女の子たち)にさえも」愛を届ける楽曲だ。この曲の中で、メンバーたちはこう歌っている。〈だから私はインターネットが嫌い/でも、あなたに私の幸せは壊せない〉
『ポップスター・アカデミー: KATSEYEになるまで』出演時、MANONはグループの一員としての立場を疑問視する声を受け、不当なバッシングに晒されていた。だが今、彼女はそうした”物語”に終止符を打とうとしている。「ドキュメンタリーが配信されたあと、多くの人から私たちは”mean girls”って呼ばれるようになって、いろんなストーリーが勝手に語られ始めたんです」とMANONは語る。「だからこの曲は、そういった出来事へのオマージュのようなもの。”優しさで打ち返す”という気持ちを込めています。この曲で、ひとつの章を終わらせたんです」
「Mean Girls」のラストでは、メンバーたちがこう歌い上げる。〈神の祝福を、T girls(トランス女性)に。そしてその間にいるすべての女の子たちにも〉。
結成当初から、KATSEYEはクィアネスとの親和性をオープンにしてきた。
「ファッションでも音楽でも、私たちはいつもトランスコミュニティの方々と一緒に仕事をしています」とLARAは語る。「私たちは常にトランス女性の皆さんと関わっていて、彼女たちに本当にたくさんの愛と敬意を持っています。そのことを、声に出して伝えたかったんです」

『BEAUTIFUL CHAOS』の制作にあたり、まずメンバーたちは用意された楽曲を聴き、あらかじめ割り当てられたヴァースやパートを試すところからスタジオ作業が始まったという。MANONは、クリエイティブなプロセスを導いてくれるチームの存在は非常に心強いと語るが、実際にブースに入ってからは「お互いのパートを試してみる」そうで、一番しっくりくるものが最終的に採用されるのだという。また、彼女たちには専属のグループ・セラピストがついており、有名になっていく若者同士がグループで活動していくなかで生じ得る問題について、安心して話し合える”セーフスペース”を確保している。
そして何より明確なのは──それは早朝のZoom越しであってもはっきりと伝わってくるのだが──彼女たちが築いてきたシスターフッドが、音楽やオンラインでのふれあいを通して、しっかりと表現されているということだ。質問に対する答えを互いに補い合い、うなずきながら同意を示すその姿には、KATSEYEというグループをどうありたいかという共通のビジョンが確かに存在している。
「『仕事仲間だから、この関係性でうまくやろう』みたいなスタンスって、きっと私たちには合わないと思うんです」とLARAは語る。
From Rolling Stone US.

KATSEYE
ニューEP『BEAUTIFUL CHAOS』
配信・購入:https://umj.lnk.to/katseye.beautifulchaos
SUMMER SONIC 2025
2025年8月16日(土)・17日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
大阪会場:万博記念公園
※KATSEYEは8月16日(土)大阪会場、8月17日(日)東京会場に出演
https://www.summersonic.com/

KATSEYE - First Premium Showcase in Tokyo - SUMMER SONIC Extra
2025年8月18日(月)東京・恵比寿 ザ・ガーデンホール
OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET:オールスタンディング¥8,000-(税込・ドリンク代別)
公演ウェブサイト: https://www.creativeman.co.jp/event/katseye-ssextra/