80年代にプリンセス プリンセスのボーカル・奥居 香として大ブレイク後、俳優の岸谷五朗との結婚・出産を経て、長年第一線のシンガーソングライターとして活動している岸谷。
「ボディガード」と聴くと、ある世代にとって真っ先に浮かぶのが、ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンの共演映画『ボディガード』だろう。強く逞しい男性が女性を守る。この曲に出てくる”ボディガード”には、そんなイメージとは違う、より身近な存在を優しく見守る包容力としなやかな強さがある。ギターコードが鳴るのと同時に〈心配ないよ どんな明日だとしても 君をエスコートするよ〉とサビから歌い出し、ザ・ローリング・ストーンズを想起させる豪快なsus4のギターリフを中心に、ミディアムテンポのタイトなロックサウンドが心地良く響く。サウンドプロデュースは、意外にも初めて岸谷の作品を手掛ける亀田誠治。それぞれの楽器の音がクリアな空気感を纏い、シンプルに曲の良さを引き出して、ソリッドなロックながら温かさも感じさせる1曲となっている。
そんな楽曲を共に演奏しているのが、岸谷を中心としてYuko(Gt)、HALNA(Ba)Yuumi(Dr)で2017年に結成された「Unlock the girls」だ。自身にとって3つ目のガールズバンドとなるこの4人組で、リリース、ライブを行っているのが岸谷の活動の軸になっている。
「THE夏!THEライブ!THE MUSIC DAY!」では、21:53頃からプリンセス プリンセスの「Diamonds<ダイアモンド>」 も披露される。岸谷が⽇テレ⾳楽番組でこの曲を歌うのは、なんと36年ぶり。さらに、岸谷以外のUnlock the girlsのメンバー3人は全員、「Diamonds<ダイアモンド>」がリリースされた1989年生まれなんだとか。世代を超えて共有できる音楽の素晴らしさに、より感慨深い歌唱、パフォーマンスとなるのではないだろうか。
「Diamonds<ダイアモンド>」をはじめとするプリンセス プリンセスの曲たちは、SNS時代ならではの広がりも見せている。今年4月15日に公式TikTokアカウントを開設、その初投稿で「Diamonds<ダイアモンド>」のMVの1シーンが使われると、大きな話題に。それをきっかけに、ゆるちゃん、きらじまぴんく、ローカルカンピオーネといったインフルエンサーが「Diamonds<ダイヤモンド>」の振付動画を投稿してバズを起こしている。また、サブスクでのプリンセスプリンセスのストリーミング再生数は年々右肩あがりに増加中。
活動開始から40年以上の時が経っても今なお、色褪せるどころか輝きを放ち続けるばかりの楽曲たち。10代の葛藤する心情が浮かぶ「19 GROWING UP -ode to my buddy-」、失恋の痛みを歌う「M」、乙女心の逡巡が微笑ましくもある「恋に落ちたら」、いろんな相手を重ねて聴ける「ジュリアン」、ダイナミックな「OH YEAH!」、「パイロットになりたくて」等々…。メンバー全員が作詞作曲に携わり、それぞれの個性を発揮した楽曲たちは、曲ごとにストーリーがあり、歌詞にもメッセージが感じ取れた。だからこそ普遍的な音楽として今なお感動を与えてくれるし、抽象的で難解な歌詞が蔓延する今だからこそ、「何を歌っているのか」が明確に伝わるポップソングの価値はより浮かび上がってくる。そして、再生ボタンを押すたびに飛び込んでくるのは、今なお鮮烈でダイナミックな岸谷の明瞭な歌声だ。
ガールズバンドの礎を築いたことはもちろん、人が集まって音楽を奏でることの面白さを教えてくれたプリンセス プリンセス。その喜びや楽しさを、岸谷はUnlock the girlsと共に、ライブツアーで今も伝え続けている。
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