ちゃんみなが2025年7月7日、大阪・大阪城ホールにて、全国ツアー「AREA OF DIAMOND 3」のファイナル公演を行った。本ツアーは5月2日の静岡・アクトシティ浜松からスタートし、全国12都市14公演を回ってきたもの。
本記事では、セミファイナルとなった東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された2daysライブ2日目公演の様子をレポートする。

【写真】「AREA OF DIAMOND 3」大阪城ホール

ライブ冒頭、ステージ上方には巨大なルビーが出現し、その中に入ってちゃんみなが登場。フロアから大きな歓声があがる中、そのルビーの内側から強烈な蹴りを繰り出し、ルビーの破片が粉々に飛び散ると同時に1曲目「^_^」がスタート。殻を破ることを直接的に示した演出で「AREA OF DIAMOND3」は始まった。

ちゃんみな全国ツアー完遂 仲間や家族と描いた「信念」の交響詩(シンフォニー)

Photo by 田中聖太郎

その1曲目からシームレスに繋がれる「ハレンチ」やドラムンベースを取り入れたハイパーポップの「FORGIVE ME」ではダンサーたちと息の合ったダンスで会場を盛り上げ、ライブは助走なく序盤から一気にトップギアに入る。

ちゃんみなのライブには毎回、明確なテーマが設けられている。今回は「ルビー」だった。ルビーはちょうどファイナルが行われる7月の誕生石であり、中世ヨーロッパでは「宝石の母」と呼ばれていた石だ。さまざまな石言葉があるとされ、愛や情熱、勝利や威厳などを意味する。「愛」や「情熱」はこれまでのちゃんみなの言動にふさわしいし、社会現象になった「No No Girls」を経た後では「威厳」も首肯できるが、特筆すべきは「勝利」ではないだろうか。ちゃんみなは「勝利」に向かって本ツアーを計画したのである。

「このツアーを走りきる頃、私と手をつないで勝利の道へ突き進む、そんな体勢が一緒に取れたらいいなと思います。
みんな一緒に勝とうね」

そんなふうに語られたこのライブで、彼女は何に勝利したかったのか? その疑問はライブ後半のMCで回収されることになるのだが、次に披露された「KING」は、これまでに彼女がおさめてきた勝利について語っているようにも聞こえた。「席替えは終わった」という歌詞や、に勝利する様子を表現したコレオグラフ。この曲が、ちゃんみなが世に出たばかりの2017年に発表された「未成年」で歌われていた「先輩達緊張した方が身のため そろそろ始まるからね席替え」という伏線を華麗に回収した曲であることを思い出したい。

と同時に、「今や私が王様」と歌いながらも、椅子取りゲームに負けて退出した者を「羨ましい」と歌うこの独特の寂しさに注目すると、かつて経験した競争への勝利に対して、当の本人はそれほど価値を見出していなかったのではないかという気もしてくる。「KING」が含まれるシングル「note-book」がリリースされた際のあるインタビューでは、当時の感覚を「ここは本当に望んでいた場所ではなかったという感覚」と語っていた。だとすると、ちゃんみなが語る「勝利」とは、言葉通りの勝ち負けとは意味が異なるのかもしれない。

続く「B級」では12人のダンサーたちと恒例のお尻シェイクでフロアを盛り上げ、「君からの贈り物」ではフェザーショールとジュリ扇のディスコファッションに身を包み、ステージには紙吹雪が舞うなどバブリーな雰囲気を演出。一方、「花火」にはいつもとは違うしっとりしたアレンジが施され、定番の「Never Grow Up」はアコースティックver.で、スクリーンに映された大きな満月の下でしめやかに歌われる。この曲はちゃんみながかつて経験した大きな別れを歌った悲しい曲ではあるが、今では一万人以上のオーディエンスが声を揃えて歌うみんなの楽曲になった。

ちゃんみな全国ツアー完遂 仲間や家族と描いた「信念」の交響詩(シンフォニー)

Photo by 田中聖太郎

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』の主題歌「I hate this love song」はライブ初披露。センターステージに移動し、優しい歌声で初恋のビタースウィートな想いを歌い上げると、メインステージには彼女の夫であるASH ISLANDの姿が。会場が割れんばかりの歓声に包まれる中、ASH ISLANDはセンターステージで待つちゃんみなの元へと駆け寄り、ふたり寄り添いながら「20」と「OST」を熱唱した。
恋人を経て夫婦になったふたりの物語を想起させる楽曲をこうして夫婦で手を取り合って歌う様は、「美しい」としか形容しようがない。日本のオーディエンスの前でふたり揃って披露するのはこれが初めてでもあった。

ASH ISLANDがステージを去ると次は「Angel」。「みんなが泣いている限り、私は歌い続けます。みんなが泣いてる時、私を思い出して」と語りながら激しく踊り、「Im Not OK」では火花が吹き上がるステージを駆け回った。

次はHANAの出番である。本ツアーでは、デビューしたばかりの彼女たちに経験を積ませるべく、すべての公演にHANAを帯同させ、ライブ中盤で彼女たちにパフォーマンスする機会を与えていた。東京day2でもその機会は訪れ、会場は爆発的とも言える激烈な歓声に包まれて地響きが起きたかのようだった。

金髪になったMAHINA、最新のMVで火を吹いたCHIKA、セプタムを開けたYURI、MVで華麗な回し蹴りを見せたNAOKO、初手で「心に?」「太陽!」とコール&レスポンスを決めたKOHARU、青髪にしてから初めてオーディエンスの前に立ったJISOO、二段蹴りをマスターしたというMOMOKAの7人が並ぶと、「No No Girls」を見ていたオーディエンスはどうしても感極まってしまう。彼女たちのマネージャーですら泣きそうになってしまうのだから、視聴者として夢中になっていた我々はなおさらだ。

ところが彼女たちはもうただの女の子ではない。「Drop」と「ROSE」2曲のみの披露だったが、その堂々としたステージングは、すでにある程度のキャリアを重ねて絶頂期を迎えようとしている売れっ子アーティストそのものだ。
ちゃんみなは今後5年間のロードマップを彼女たちと描いたと最近のインタビューで語っていたが、現時点でこれほどオーディエンスを圧倒してしまうなら、5年後にHANAがどんな姿になってしまうのか、想像もつかない。

HANAが去ると、その余韻を味わう暇もなく再びちゃんみなのステージが始まる。ステージ2階に組まれた極道の事務所風セット、組織の構成員風ダンサー、そして極道の妻・ちゃんみな。彼女が日本刀を手にし、鋭い目つきで抜刀した瞬間、ステージの空気は切り裂かれて「命日」が始まり、「次はあなたの曲です」と歌われた「美人」では背景のスクリーンに嵐が吹き荒れ稲妻が走る。「ダリア」では魂の叫びを会場中に響かせ、「No No Girls」のテーマソングでもある「NG」では会場に大合唱の渦を巻き起こした。

ちゃんみな全国ツアー完遂 仲間や家族と描いた「信念」の交響詩(シンフォニー)

Photo by 田中聖太郎

本編ラストに入る前に、ライブ冒頭で触れた「勝利」についてちゃんみなは再び語り出す。それによれば、彼女はこのツアーを回りながら、勝利とは何だろうかと考え続けていたという。その中で辿り着いた結論は「信念を曲げないこと」だった。

「自分がどれだけこの地に足をつけ、どれだけ自信を持って『私は私だ』と言えるか。みんなも何かに流されたり負けそうになったりした時、どうか思い出してください。あなたはあなたのままで、あなたが生きてきたその人生のままで素晴らしくて、美しくて、唯一無二だということを」

この言葉は、2年前に横浜アリーナで開催された「AREA OF DIAMOND」のテーマと非常に似ている。あのライブでちゃんみなは、「あなたはあなたのままで美しい、飾らなくてもダイヤのようにきれいなのだから、なりたいものになってください」と、「美人」パフォーマンス中に自らのメイクを落として伝えたのだった。
この時と今とでは世間からの見え方が違うし、環境も変わったが、彼女の本質は変わっていない。何を言われようと自信を持ち、流されることなく、信念を曲げずに自分の仕事を続けてきた。それがちゃんみなにとっての「勝利」なのだった。

そしてその「勝利」はこれからも続く。「次また会える機会があるまで、私はしっかりワークハードしているので」という前振りで披露された新曲「WORK HARD」、すでに「MUSIC AWARDS JAPAN」のステージなどでランニングマシーンを使ったパフォーマンスを画面越しに目にしていた人もいるだろうが、あれに加え、彼女は楽曲後半で、天井から伸びるワイヤーに吊られた状態で、上空数メートルの高さを、なんと逆さ吊りの状態で飛翔しながら歌い続けたのだ。いったい我々は何を目にしているのか、そんな気持ちになったオーディエンスが多かったせいか、会場はどよめきに包まれ、アンコールが始まるまでに少し時間があった。

そのアンコールでは、青山テルマとTAKUYA∞(UVERworld)がちゃんみなと一緒にステージに登場し、青山テルマの「ONIGIRI(feat. UVERworld & CHANMINA)REMIX」を3人で披露。

2人がステージを去った後、アンコールは「TOKYO 4AM」「SAD SONG」と続き、すべての楽曲が終わると、ステージに登場した全員でオーディエンスに挨拶するという、まるで音楽番組のエンディングか、あるいは音楽フェスの特別ステージのような雰囲気になり、こうして「AREA OF DIAMOND3」東京公演は大団円を迎えたのだった。

なお、ライブの模様はU-NEXTにて、7月8日から7月22日23:59まで見逃し配信される。あわせてこちらもチェックされたい。

ちゃんみな全国ツアー完遂 仲間や家族と描いた「信念」の交響詩(シンフォニー)

Photo by 田中聖太郎

SET LIST

1. ^_^
2. ハレンチ
3. FORGIVE ME
4. KING
5. B級
6. 君からの贈り物
7. 花火
8. Never Grow Up
9. I hate this love song
10. 20(ft. ASH ISLAND)
11. OST(ASH ISLAND feat. ちゃんみな)
12. Angel
13. Im Not OK
14. Drop(HANA)
15. ROSE(HANA)
16. 命日
17. 美人
18. ダリア
19. NG
20. WORK HARD

En 01. ONIGIRI REMIX(青山テルマ feat. UVERworld & CHANMINA)
En 02. TOKYO 4AM
En 03. SAD SONG
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