キング・クリムゾンは現在、2003年リリースの『The Power To Believe』以来となる待望の新作に取り組んでいるようだ。

バンドの現メンバー、ジャッコ・ジャクジクは米音楽誌『Goldmine Magazine』の最新インタビューで、21stセンチュリー・スキッツォイド・バンドでの活動を経て、2013年にキング・クリムゾンに加入した経緯を語っている。


「ロバート(・フリップ)から最初に電話があったのは2013年9月のことでした。『バンドを再結成することに決めたんだけど、君にリード・シンガー兼セカンド・ギタリストをやってほしい』と伝えられて。その知らせを受けて、僕が最初に興奮しながら電話した相手の一人が、ベーシストのニック・ベッグスだったんです。すると彼はこう返したんですよ──「それって、ロック史上いちばん長いオーディションだったんじゃない?」って(笑)。本当にその通りでした」

ジャクジクはその後のやり取りで、このように明かした。

「あれは素晴らしい経験でしたし、ある意味ではまだそれが続いているようにも感じています。今まさに、キング・クリムゾンのスタジオ・アルバムを制作しているところです。ただ、それがいつ出るのか、どんな形で出るのか、どんな流通形式になるのか──そのあたりは僕の管轄外なのでわかりません。でも少しずつ制作を進めていて、数カ月前にマネジメントから『これ、やれるかな?』と連絡が来たんです。それで『やろう』ってことになって。だから今は、いつか何らかの形で世に出すつもりで録音を続けています。けれど、いつになるかは誰にもわかりません」

キング・クリムゾンは近年までツアーを続け、ライブ盤をいくつも発表してきたが、スタジオ・アルバムは2003年にリリースした『The Power To Believe』を最後に発表していない。
現時点で最後のコンサートは2021年12月8日の渋谷オーチャード・ホール公演。2022年2月には創設メンバーのイアン・マクドナルドが死去。ロバート・フリップは同年のインタビューで「我々の年齢と現実的に向き合えば、今後のツアーは難しい」と語っており、バンドは実質的な活動終了と見なされていた。

ジャクジクによると、制作中である新作アルバムには、近年のライブ盤で初披露された楽曲のスタジオ・バージョンも含まれる予定。キング・クリムゾンの最新ラインナップ──ロバート・フリップ、メル・コリンズ、トニー・レヴィン、パット・マステロット、ギャヴィン・ハリソン、ジェレミー・ステイシー、そしてジャクジクが録音に参加しているという。

【関連記事】
音楽史上最高のプログレ・ロック・アルバム50選
キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」当事者たちが明かす50年目の真実
ビル・ブルーフォード、プログレ史上最高のドラマーが明かす「現役復帰」の真意
キング・クリムゾン外伝、ロバート・フリップのソロ作が45年越しに初演─その知られざる物語
ピンク・フロイド『狂気』知られざる10の真実
編集部おすすめ