【写真ギャラリー】EXILE NAOTO、SWAY
ー2025年夏の新作『First Step』、いよいよリリースですね。現在の心境はいかがですか?
NAOTO:これはもう『ダンバトオーディション』——いま放送しているダンスバトルのD.LEAGUERオーディション番組があって、それありきで出てきた話なんですよね。その中で番組のテーマ曲が必要になって「じゃあHONEST BOYZ®で作ろう」と。そこから「First Step」ができあがった感じです。リリースのタイミングも、7月11日に予定されている”FINAL ROUND”=メンバーが決まる日に合わせてあって。会場に来てくれる皆さんにその場でちゃんと届けたくて、オーディションとセットで楽しんでもらうための楽曲になっています。
ー明確な目的をもって作られたということですね。
NAOTO:そうですね。でも「Popcorn」に関してはちょっと違っていて、あれは去年、自分のソロツアーのときに作った曲なんですよ。
ー「Popcorn」は先日の三代目JSBのコンサート(「三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2025 "KINGDOM"」)で、NAOTOさんのソロコーナーで披露されていましたけど、ダンス映えする曲ですよね。やっぱりダンス向きなビートってあるんですかね。
NAOTO:ダンサーからすると「これ、踊り映えするな」って曲って確かにあって。でも、いろんなアーティストさんがいる中で、”踊りを中心に考える”ってことはあまりないと思うんです。僕はパフォーマーなので、「踊りが先行したらどうなるのか」っていう発想で曲を作ってみたくて。それで実際に相談しながら「踊りありき、イメージ先行で曲を作ろう」って形になった。あまりないスタイルかもしれないですね。
SWAY:それ、ある意味でLDHあるあるというか。ダンスをする前提でビートを作るってことが、うちのカルチャーとしては普通なんですけど、外から見たらすごく特殊かもしれない。たとえば、歌詞の譜割りやアクセントひとつにしても、最近はNAOTOさんが「このアクセントがいい」とか、サビの譜割りをめっちゃ意識してきたりして。それがダンサー視点での「振りやすさ」に直結してるんですよね。実際、制作中に僕が譜割りを少し変えたら、「いや、さっきの方が収まりがいい」っていうフィードバックがあって。そういう会話ができるのって面白いし、逆にそれが作る側にとっての”いい引き算”になったりもするんです。
一個のドラム、一つの音のアクセントを入れるときも、意味なく入れるのか、振りを意識しているのかで、全然曲の構造が変わってくる。僕だったら、クラブミュージックをやるときは「DJがかけやすいかどうか」とかも考えるんですけど、それに似た視点でダンスを起点に曲を構築するのって、すごく勉強になります。NAOTOさんとHONEST BOYZ®をやるときは、やっぱり”ダンスする”っていうことが絶対前提にあるから、そこから曲を作っていくっていう姿勢が面白いなと思ってます。
ーなるほど。「Popcorn」は”ポップコーンのように弾けよう”というテーマも印象的でした。振付やパフォーマンスとの関係性は、最初から意識されていましたか?
SWAY:「Popcorn」に関しては、音作りの段階からめちゃくちゃダンス寄りで作ってましたね。
NAOTO:そうそう、でも最初の歌もののデモもすごく良かったんですよ。でもHONEST BOYZ®って、ボーカルがメインのグループじゃないので、ずっと歌い続けるよりも、ラップがあって踊れる構成が合っていると思って。サビにはメロディのキャッチーさを残して、振り付けで映えるようにしたかったんです。普段は僕が楽曲の細かい指示をすることはあまりないんですけど、「Popcorn」に関しては珍しく「こうしてほしい」って意見を出しましたね。
SWAY:この曲は、本当に”この音の上で踊る”っていう前提で振り切って作った最初の楽曲だったかもしれない。だから自分たちでも新鮮でしたし、振り切って良かったなと思える曲になりました。
ーRIEHATAさん、そしてKID PHENOMENONのメンバーも参加しています。このコラボレーションはどんな経緯で?
NAOTO:そうですね。よくあるのは、シンガーやラッパーが曲に参加するフィーチャリングですけど、僕は逆に「いろんなダンサーが1つの曲に集まってくる」っていう構造があったら面白いなって思ったんです。
ーRIEHATAさんのようなLDH外のクリエイターとのコラボレーションは、どんな刺激になっていますか?
NAOTO:めちゃくちゃ刺激になりますね。僕がデビューした頃に比べると、今は”踊れるアーティスト”が本当に倍の倍の倍くらいに増えた感覚があって。それくらい今のダンスシーンってすごく盛り上がってるし、ポジティブな傾向だと思います。
SWAY:テクノロジーの発達もあって、ダンスって昔より踏み込みやすいカルチャーになった気がしますね。
NAOTO:そうですね。今ってもう、みんなが踊る時代。TikTokとかSNSの影響もあって、踊ることが”標準装備”みたいになってきてる。昔はオプションだったものが、今は当たり前についてるみたいな感覚です。
ー90年代末~2000年代初頭のダンスブームとはまた別物って感じですか?
NAOTO:僕の中で、その時代のダンスブームって「ダンサーが増えた」って印象なんですよ。世間的には「ダンサーが今、流行ってるよね」っていう感じで、ダンスやってない人たちとやってる人たちの間に、明確な隔たりがあった。でも今って、その壁があんまりなくて。TikTokとかの影響もあるのか、ダンサーじゃない子たちも普通に踊るようになってるし、ダンスが本当に当たり前になってきてる感じがしますね。それに、ダンサーって昔はスポットが当たりづらい存在だったと思うんです。でも今は、うまい子がちゃんとスポットを浴びるようになってきたし、D.LEAGUEとかの存在も大きいですけど、それ以上に「アーティスト」としてチャレンジできる環境が生まれてきてる。ダンスシーンの外側に、しっかり出て行けるようになってきてるんですよね。
”ひとりの人間として”の気持ちが込められてる
ー一方で「First Step」はダンス曲というよりメッセージ性の強い一曲になっています。”踊らせる”ではなく”語る”ビートというか。
NAOTO:これはもう、めちゃくちゃ”ダンサーとして”というより、”ひとりの人間として”の気持ちが込められてると思いますね。夢を追いかけてる人が一歩目を踏み出す、その瞬間の気持ちを歌ってる。自分自身がダンサーとしてじゃなく、個人として、気持ちを重ねながら歌詞にしてもらいました。SWAYが僕の気持ちを汲み取って、しっかりリリックとして昇華してくれたというか。ストーリーとしてすごく自然に流れていく内容になっていると思います。
SWAY:「First Step」ってワードは、打ち合わせの最初の段階から出てたんですよ。P-CHOさん(DOBERMAN INFINITY)やDARUMAさん(DJ DARUMA)、NAOTOさんと僕で会議した時に、NAOTOさんがどういう曲を作りたいかっていう話をじっくり聞いて。当時は、まだ番組のオーディションが始まったばかりだったけど、全国から届いた応募動画をNAOTOさんが全部観ていて。1畳くらいのスペースで一人で踊ってる動画とか、親が撮ってくれてるやつとか、いろんなストーリーがあったんですよ。それを観て「うまい・下手じゃなくて、ここに挑もうとする気持ちがすごい」とNAOTOさんが話していて。そんな「最初の一歩」のエネルギーって、どんな人にも通じるものだし、誰にとっても絶対にあった瞬間だと思うんです。僕ら自身もそこを通って今があるし、それが「First Step」というコンセプトになりました。で、スタジオで作業してるときに、「まず一歩目を鳴らせば、もうその瞬間から歴史が始まってる」っていう言葉が、自然と出てきたんですよね。そこからは僕らがその想いをどう音楽に落とし込むか、という作業でした。
ーChaki ZuluさんやDJ DARUMAさんとのコラボレーションはどうでしたか? Chakiさんは昨年の三代目JSBのアルバム(『ECHOES of DUALITY』)にも参加してましたけど。
SWAY:Chakiさんは間違いないビートメーカーというか、すごく幅が広いですよね。HONEST BOYZ®の1枚目のアルバムでもお世話になってますし、PKCZ®のプロジェクトでも一緒にやっていて、本当に多才な方です。
NAOTO:「ラブリー」のときもChakiさんがトラックを作ってくれて。あれはChakiさんじゃないとできない音でしたね。岡崎体育さんもそのサウンドをすごく気に入ってくれてたって聞きました。
SWAY:あと、DARUMAさんの熱量もすごい。Chakiさんとのコンビネーションが本当に素晴らしいです。
ー熱量ということは「気持ち」の部分を大切にしてる感じなんですかね。
NAOTO:ChakiさんとDARUMAさんは特にそうですね。納得してないものは絶対にOK出さないし。
SWAY:そうそう。Chakiさんの”Chakiチェック”があるんですよ。最初に提出したものに対して、「これはいい」「これはもう少し」っていうフィードバックをくれる。そのやりとりがちょっと緊張感ある(笑)。
NAOTO:でもそれってすごい信頼できる。Chakiさんが「OK」って言ったら間違いないなって思えるし、プロとしての仕事の姿勢に尊敬しかないです。
SWAY:肌感覚で音楽を作ってるというか、正解がない中で「これはOK」っていう基準をちゃんと持ってるんですよね。
NAOTO:「First Step」ってタイトルも、最初はシンプルすぎるかなってちょっと心配もあったけど、実際にはものすごく強いワードだった。タイトルも、サビの〈TOPまで遠くまで〉ってフレーズも、全部すごく伝わる。簡単だけど、出すのが難しい言葉をしっかり導き出してくれた
ー2024年の後半からNAOTOさんとSWAYさんの二人が中心となって活動をしていますが、この2曲を通して今のHONEST BOYZ®︎をどう捉えていますか?
SWAY:そうですね。これまでのHONEST BOYZ®︎にはなかったサウンドが生まれたし、この2曲はすごく意味を持ってできたと思っています。今までは、ちょっと面白おかしく作ってた曲は「刺さる人に刺さればいい」くらいの気持ちだったんですけど、今回は違った。しっかり意味がある2曲を今この瞬間だからこそ生み出せたと思います。もうすでに武器はたくさんあるし、今年はHONEST BOYZ®︎として一番忙しい年になるんじゃないかな。
NAOTO:間違いないですね。EXILEや三代目JSBとはまた違った表現ができる場所がHONEST BOYZ®︎だと思ってます。だからこそ、ここでしかできないことをやりたいし、自分のパフォーマーとしての一面が色濃く出る場でもある。ここでは違うスイッチが入るというか、新しい自分を発見できる場にもなってるし、すごく楽しいです。
SWAY:NAOTOさんって本当にすごくて、僕の中では”カービィ”みたいな存在だと思ってるんですよ(笑)。HONEST BOYZ®︎の曲って、本当に錚々たる作家陣が関わってるじゃないですか。それをNAOTOさんは毎回ちゃんと乗りこなしてる。どんな曲でもしっかり自分のものにしているっていうか。
NAOTO:恐れ多いですけど(笑)。
SWAY:ソロツアーのときも本当にすごいと思ったし、楽曲のクレジットを見るだけでもすごく面白い。音楽ファンの人たちにはぜひクレジットもチェックしてほしいですね。

左からEXILE NAOTO、SWAY(©LDH RECORDS)
ソロ活動とHONEST BOYZ®︎の活動がリンクする場面が増えている
ーNAOTOさんは去年初めてソロツアー(「NAOTO PRESENTS HONEST HOUSE 2024」)をやってみて、どんな感想を持ちましたか?
NAOTO:めちゃくちゃ面白かったですね。ダンスして、歌って、トークして。マイクを持って、1人でHONEST BOYZ®︎の曲をやるというのは本当にチャレンジでした。自分のパートだけじゃなくて、他のメンバーのパートも全部覚えて、それを1人で踊りながらパフォーマンスする。歌いながら踊るって、こんなに大変なんだって実感しました。ボーカルの皆さんへのリスペクトが、より強くなりましたね。
SWAY:あれはみんな驚いてましたよ。NAOTOさん、全部やってたから。「え、ここもNAOTOさん!?」って(笑)。
NAOTO:本当に鍛えられました。そして今年、三代目JSBのライブでもソロコーナーでマイクを持たせてもらって、三代目JSBのライブでは、一昨年の「JSB LAND」で初めてマイクを持ったパートがあったんですけど、今では当たり前のようにソロコーナーがある。それがすごく新鮮でもあり、ありがたい経験になりました。
SWAY:今じゃみんなマイク持ってるのが当たり前の時代ですもんね。
NAOTO:そうそう。しかも、自分のソロ活動とHONEST BOYZ®︎の活動がリンクする場面も増えていて。今回の楽曲制作でもそうでしたけど、ソロで得たアイデアをHONEST BOYZ®︎に持ち込んで曲作りをする、という流れが自然になってきてるんです。
SWAY:アイデアがあるっていうのは、本当にありがたいことですよ。それを一緒に形にしていくのは楽しいし、面白いですね。
ーSWAYさんはどんなスタンスでHONEST BOYZ®︎に臨まれていますか?
SWAY:そうですね、DOBERMAN INFINITYではもう10周年を迎えて、活動の中で「これはやらない」みたいな方向性やテーマがある程度明確になってきてるんですけど、HONEST BOYZ®︎に関しては逆に一番”臨機応変”なグループだと思ってます。形を変えやすいというか、柔軟に対応できるのが魅力だなと。NAOTOさんの持ってるエンターテインメント性もそうだし、僕自身もいい意味でブランディングがないというか。どこにでも呼ばれたら行く、というスタンスで音楽をやらせてもらってきたので、それがHONEST BOYZ®︎ではすごく活かされてる気がします。
ー「First Step」のことで一つ聞き忘れてましたが、この曲に参加してる次世代女性シンガー/ラッパーのAshleyさんについて聞かせてください。
SWAY:これはもう、「First Step」に女性ボーカルが欲しいという話になった時に、いろんなシンガーを候補に挙げた中で、Ashleyの個性や声の魅力が群を抜いてたんです。僕も昔から知ってるんですけど、最近の彼女の露出の増え方や存在感がすごくタイムリーだなと思って。今回この曲で一緒にできて本当に良かったなと思ってます。
ーHONEST BOYZ®︎として「この人とコラボしたら面白そうだな」みたいなアンテナは常に立てておく感じなんですか?
NAOTO:めちゃくちゃ立ててますね。
SWAY:HONEST BOYZ®︎って、もともとフィーチャリングがすごく大事なグループだと思ってて。たとえば、はんにゃの金田哲さんとのコラボ(「ズクダンズンブングン feat. はんにゃ.金田」もそうだし。
NAOTO:そうそう。フィーチャリングの幅を決めないで、どんなジャンルでも面白い人と組んでいくっていうのが、オネストっぽいかなと。「ラブリー」で小沢健二さんの楽曲をカバーしたこともあったし、今回の「First Step」でAshleyを迎えたのもそういう発想からです。あれはSWAYが提案してくれて、すごくハマりましたね。
SWAY:他にも、今ここでは言えないけど水面下で動いてるコラボもいくつかあって。名前が挙がって実現してない人もいれば、すでに話が進んでるものもあります。
NAOTO:個人的には小林克也さんと一緒にやりたい(笑)。これは前からずっと言ってるんだけど、まだ1ミリも動いてないんです(笑)。山下達郎さんのアルバムに、小林克也さんがナレーション的に喋るパートが入ってるじゃないですか。あれがめちゃくちゃ好きで、すごく耳に残る。僕ら世代より上の方が馴染みあるかもしれないけど、僕も『ベストヒットUSA』を観てたし、小林さんの声って本当に気持ちいいんですよ。「今週のオネストは……」みたいにあの声で始まったら最高じゃないですか。ぜひお願いしたいですね(笑)。
ーそれは是非聴きたいです!
NAOTO:忘れてた! 次のアルバムの1曲目にやりたいですね、イントロに小林克也さんの声が入ってたら最高! (周囲のスタッフに向かって)LDHの誰か、お願いします!(笑)
SWAY:HONEST BOYZ®︎って、そういう化学反応の楽しさが魅力だと思うんです。今年は特に活動のスピード感が増していて、日常の中でも「あ、この人とやったら面白そうだな」って、アンテナを張ることが増えましたね。
ー最後に、リスナーやこれから挑戦する若い世代に向けて、「First Step」に込めたメッセージを改めてお願いします。
NAOTO:この「First Step」って曲は、ダンスオーディションの候補生たちの背中を押すために作ったんですけど、もっと広く、誰にでも当てはまる曲だと思ってます。仕事でも勉強でも、人間関係でも、最初の一歩って重いことが多いじゃないですか。でも、その一歩を踏み出さないと何も始まらないし、道も続いていかない。その「一歩目」を頑張ろう、っていうメッセージを、たくさんの人に届けたいですね。
SWAY:「First Step」は、HONEST BOYZ®史上もっとも”背中を押せる”楽曲になったと思ってます。オーディションで目の前に頑張ってる人がいたからこそ生まれた曲だけど、これからこの曲が僕らの手の届かないところにも届いていくと思うんですよ。その中で、どこかの誰かが一歩を踏み出すきっかけになれたら、それってすごく嬉しいことだなって思うし、HONEST BOYZ®︎だからこそできる形で、これからもいろんなコラボや表現に挑戦していきたいです。

HONEST BOYZ®︎
EP「First Step」
配信中
https://ldh.lnk.to/FirstStep_digital
◾︎ 収録内容
01. First Step feat. Ashley
02. Popcorn feat. RIEHATA, 遠藤翼空&山本光汰 from KID PHENOMENON
03. First Step - FINAL ROUND - feat. Ashley
04. Popcorn ”Extra size” feat. RIEHATA, 遠藤翼空&山本光汰 from KID PHENOMENON
HONEST BOYZ®︎ EP「First Step」カセットテープ
2025年8月15日(金) Release
XNLD-10285 2,860円 (税込)
▶︎Pre Order: https://ldh.lnk.to/FirstStep
◾︎ 収録内容
A01. First Step feat. Ashley
A02. First Step - FINAL ROUND - feat. Ashley
B01. Popcorn feat. RIEHATA, 遠藤翼空&山本光汰 from KID PHENOMENON
B02. Popcorn ”Extra size” feat. RIEHATA, 遠藤翼空&山本光汰 from KID PHENOMENON