2024年1月、1stシングル「where???」でデビューを果たしたシンガーソングライター・Iwankof(イワンコフ)。2025年7月16日のリリースの1stミニアルバム『UNION』を引っさげ、初ライブ『Iwankof pre. "UNION"』を開催した。
会場は、東京と地元・福岡の2都市。旧知の仲であるMercy Woodpecker(マーシーウッドペッカー)と、本公演をきっかけに出会ったSUTEZENI(ステゼニ)の2組が、Iwankofの新たな門出を祝う。ここでは2025年7月19日に東京・CLUB CRAWLで行われた初日公演の模様をレポートする。

1番手は、熊本を拠点に活動する4人組ギターロックバンド・Mercy Woodpecker。かつてIwankofがバンド活動をしていた頃からの友人である彼らは、Iwankofの初ライブに出演する「約束を果たしに来た」のだという。そんな4人が1曲目に届けたのは、爽快な「さよならスターライト」。のっけから場内をお祭りモードに染め上げる。「大事な友達のために歌いに来ました!」という直江晋太郎(Vo./Gt.)の想いを叫んだ後、「ハッピーソング」を演奏。クリアな歌声と軽快なサウンドが心地よく響き、Iwankofを祝福するムードがさらに広がっていく。ドライブ感あふれる「失風ラブソング」では、ラスサビでオーディエンスが上半身をステージへ乗り出すようにして拳を突き上げ、会場の熱気はさらに上昇。7月16日にリリースされた新曲「DEVIL」では、直江のシャウト混じりのボーカル、籾田祐弥(Gt.)によるノイジーにうねるギターサウンド、坂本すぐる(Ba.)の重厚に跳ねるベースライン、黒田峰文(Dr.)のダイナミックなドラミングに、ダンサブルなシンセの同期音が重なり、フロアのボルテージをさらに高めていった。「Iwankofが前のバンドを辞めた時は本当に悲しかったけど、また音楽をやるって聞いてすごく嬉しかった。
今日ここで(初ライブの)最初の1音目を鳴らせたことが本当に嬉しいです。Iwankof、ありがとう!」という直江の言葉に、フロアから温かい拍手が送られる。「約束が未来を照らしてくれると信じている。俺らは自分たちの大切な音をしっかり鳴らして、約束の歌をこの場に残して帰ります」と述べ、「日陰に咲く」を披露。煌めくギターの音色が、希望に満ちた未来を照らすかのように場内に響き渡った。ラストナンバーは「ストロボデイズ」。清涼感あるサウンドとグルーヴで、会場のテンションは最高潮に。長年胸に抱え続けた想いを存分に伝えたMercy Woodpeckerは、Iwankofと音楽への愛に満ちた熱いステージを届けてくれた。

Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

Mercy Woodpecker(Photo by Hiroki Ishimaru)

Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

Mercy Woodpecker(Photo by Hiroki Ishimaru)

SET LIST
1. さよならスターライト
2. ハッピーソング
3. 失風ラブソング
4. にゃんだふるらいふ
5. DEVIL
6. 日陰に咲く
7. ストロボデイズ

二番手は、ラッパーのSUTEZENI。2021年の活動開始以来、静けさと鋭さを兼ね備えた楽曲が注目を集め、楽曲の総再生回数は1000万回を超えている。暗がりのステージにさりげなくSUTEZENIが登場すると、あどけない子どもの声にサンプリングされた音声で「202X年、地球は最大の危機に立たされた…」というアナウンスが流れる。何事かとオーディエンスはステージに釘付けに。
アナウンスによると、ステージに立つSUTEZENIは”希望を失った人々を救う謎の戦士”なのだという。なんとも興味深い設定だ。1曲目は「by my side」。チルでメロウなサウンドがフロアを包み込み、場内にゆるやかなグルーヴが広がっていく。続く「You(feat. 15MUS)」の2コーラス目で「”惑星渋谷”にスペシャルゲスト!」とSUTEZENIが呼び込み、15MUS(フィフティーンマス)が登場。前日に大阪で開催されたSUTEZENIの自主企画イベント『abduction』でも共演した2人は、息の合ったパフォーマンスとともにアーバンでアッパーなサウンドを届けた。「Iwankofくん、呼んでくれてありがとうございます。いい音と声をしっかり届けに来たので、”惑星渋谷”の皆様、今日という楽しい日の記憶を忘れないように最後まで楽しんでってちょうだい」とアンニュイな空気をまとった口調で感謝と祝福の言葉を贈る。中盤には、チルなミディアムチューン「Koe」、若手ラッパー・HAN(ハン)を迎えたキャッチーなアップチューン「知らんけど(feat. HAN)」を披露。心地よいグルーブに身を委ね、ハンズアップするオーディエンスの表情に自然と笑みがこぼれる。「昨日の大阪のイベントに東京から来てくれた人がいて。泣きそうなくらい愛を感じた、いい1日でした。
今日もその雰囲気がプンプンしてるんで。最後のIwankofまで、みんな愛を込めて楽しんでください」と述べた後、MUSIC VIDEOの再生回数が30万回超えの「nonsense」を披露。ピアノの旋律が印象的なミディアムナンバーは、優しいブルーとグリーンのライティングと相まって、場内を幻想的な空間に包んでいく。ラストまで心地よいグルーヴでオーディエンスを魅了したSUTEZENIは、ピースサインと謎めく魅力を残し、”惑星渋谷”のステージを後にした。

Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

SUTEZENI(Photo by Hiroki Ishimaru)

Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

SUTEZENI(Photo by Hiroki Ishimaru)

SET LIST
1. by my side
2. You(feat. 15MUS)
3. Koe
4. 知らんけど(feat. HAN)
5. nonsense
6. Tokyo

作詞・作曲・編曲の全てを1人で手がけるシンガーソングライター、Iwankof。記念すべき初ライブは、3人のサポートメンバーとともにバンドスタイルで臨んだ。場内に電話のベルが高らかに鳴り響く中、Iwankofがステージに登場。オフィシャルグッズのUNION T-Shirtsを着用した観客たちが拍手で迎える。覆面から顔出しを解禁したものの、サングラスにイヤーフラップニットキャップを被るIwankofの出で立ちはミステリアスだ。1曲目は、クリアなサウンドが煌めくミディアムチューン「in miracle」。ラスサビでIwankofの力強い歌声が伸びやかに響き渡る。自分の進む道に迷い葛藤する「うんめい」では、Iwankofが終盤に投げキッスを。
1つの壁を打ち破って初ライブのステージに進んだIwankofから、満面の笑みがこぼれる。生音と同期音がカオティックに混ざり合う「救世主ちゃん」では、フロアのテンションが高まっていく。サングラスを外したIwankofが「初めまして、Iwankofです!ずっとみんなに会いたかった!」と歓喜の声をあげ、サポートメンバーである”SUPER Iwankof BAND”(Iwankof命名)をお茶目に紹介。続けて、全出演者と「見えないところで頑張ってくれている」というスタッフに向けてオーディエンスに拍手を求めると、フロアから大きな拍手が送られた。そして、メロウで浮遊感のある「ぐちゃぐちゃ」「悲劇のような喜劇のなかで」を立て続けに披露。観客は楽しげにサウンドに身を委ねている。ウィンドチャイムの同期音でスタートした「where???」では、Iwankof自身もギターをプレイ。キャッチーなサウンドでボルテージの高まった観客から、ハンズクラップが起こる。「初ライブからたくさんの人に見ていただけて感無量。約束を守るために熊本から来てくれたMercy Woodpecker。自主企画の次の日に俺の初ライブに出てくれるSUTEZENIさん。男気のある2組と一緒に(初ライブ)をやれることがマジで俺の1番の幸せだと思います」と感極まった後、Iwankofはさらに想いを重ねる。
「みんなの顔を見て、こうして歌えることが本当に幸せ。みんなが僕の救いです。希望です」その言葉に続いて演奏されたのは、清涼感あるサウンドが心をくすぐる「summer dream」。熱を帯びた場内に爽やかな風が吹き抜けていった。本編ラストは「VIKA」。エネルギッシュなサウンドとパフォーマンスに熱気が高まる中、4人は一旦ステージを退場。ほどなくして起こったアンコールの拍手に応え、再び姿を現す。この日ラストとなったのは、ラピッド(rapid)なビートの「君からの脱獄」。フロアの後方までいっぱいに集まったオーディエンスが歓喜する中、Iwankofの初ライブ初日公演は大盛況で幕を閉じた。

Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

Iwankof(Photo by Hiroki Ishimaru)

SET LIST
1. in miracle
2. うんめい
3. 救世主ちゃん
4. ぐちゃぐちゃ
5. 悲劇のような喜劇のなかで
6. where???
7. summer dream
8. VIKA
En. 君からの脱獄

以前は暗い部屋で1人、曲を書き続けていたというIwankof。たくさんの仲間やオーディエンスに囲まれたこの日のステージは、大きな愛を感じるものだった。この先、再び葛藤する場面に出くわすことがあったとしても、Iwankofはこの夜の記憶を糧に大きく羽ばたいていくに違いない。


Iwankof、念願の初ライブをCLUB CRAWLで開催 盟友&新たな仲間とともに喜びを分かつ夜

Iwankof(Photo by Hiroki Ishimaru)
編集部おすすめ