ヘッドライナーがフェスティバルの顔役だとするのならば、先陣突破を務めるアクトは全体のヴァイブスを左右するモチベーターに他ならない。ことフジロックにとって、金曜日のGREEN STAGEでトップバッターを務めるということは、三日間にも及ぶ盛大な祭りの合図を告げるという重大な意味を持つ。


近年はフィーバー333やレッド・ホット・チリ・パイパーズなど、フジロックから寵愛を受けた海外アクトが務めるケースも多い。であれば、今年は彼らしかいないだろう。フィンランド出身のガレージロック・バンド、USだ。昨年は「大将」日高正博が立ち上げたインディーレーベル〈REXY SONG〉とマネージメント契約を結び、フルアルバム『Underground Renaissance』を発表。フジロック24の3日間では合計6ステージに出演し、その翌々日に東京で単独公演を行うという大車輪の活躍を果たした、新たな苗場の申し子たちだ。

USは今年もいろんなステージに引っ張りだこ。初日・7月25日はROUTE 17 RocknRoll ORCHESTRAにも参加し、GAN-BAN SQUAREではアコースティックセットを披露。翌26日には苗場食堂に出演したほか、Don's CAFEでも大将が見守るなかサプライズライブを行い、合計5ステージで熱演を繰り広げた。そのなかでもとりわけ注目を集めたのが、午前11時からの出番となったGREEN STAGEの開幕ライブであることは言うまでもない。

USが見せた成長と熱狂、フジロック開幕を盛り立てた怒涛のガレージロック


青空の下、ステージMCのスマイリー原島が「フジロックにとってはOurバンド」と紹介し、「Your Band, US!」とシャウトすると、場内にはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT「スモーキン・ビリー」が鳴り響く。フジロック史にとっても重要なバンドであると共に、硬質なガレージロックを志向するUSとも共振する彼らの代表曲がフルサイズでプレイされると、熱気そのままにメンバーがステージへと姿を現した(※)。

※苗場入りの前、USのメンバーが東京でウエノコウジと対面していたことも付記しておきたい。

Pleased to meet legendary Mr. Koji Ueno, who once opened Green Stage at Fuji Rock as THEE MICHELLE GUN ELEPHANT.

ウエノコウジさんにお会いできて光栄でした。ありがとうございます#usbandofficial #fujirock pic.twitter.com/W6hfzYd0CC— Us (@usbandofficial) July 24, 2025
勢いのあるテオ・ヒルヴォネンのカッティングから始まる「Black Sheep」で蹴破るように幕を開けると、初日の午前中から彼らを見届けるために集まったオーディエンスは歓声を上げる。客席の後方でアウトドアチェアを広げてライブを見届けている往年のフジロッカーたちの表情も朗らかだ。今年から新設されたPAエリア後方のモニターを眺め、原っぱで自由に踊る観客の姿も見られる。 大車輪の活躍で昨年のフジロックを彩った5人に用意された最高の舞台、懐かしくも鋭いロックンロールが芝生の上を滑っていく。

#フジロック '25 DAY 1
ガレージロックの超新星 #Us (アス) がGREEN STAGEに登場

衝動のロックンロール・ライヴをお見逃しなく!!

????Black Sheep

????生配信中(Ch.1)https://t.co/M2aBi7hKgH#usbandofficial #fujirock @fujirock_jp pic.twitter.com/7O9zHPL2KE— ソニーミュージック洋楽 (@INTSonyMusicJP) July 25, 2025「Black Sheep」

続く未発表曲「When I Will Be Loved」ではパン・ヒルヴォネンのブルースハープが抜けるように響く。無骨なサウンドを支えるのはリズム隊、特にスナーキー・パピーをはじめとしたジャズバンドから影響を受けているというリーヴァイ・ヤムサのドラムプレイは屋台骨として堂々たる風格を誇っている。共に支えるのはベースのラスムス・ルオナコスキ、赤いスカーフを巻いた高貴なルックスが古き良きUKロックスタイルを想起させる。

少しトーンを落とした「Just My Situation」ではボブ・ディランばりのフリーキーな歌メロでゆるい展開を作ると、タバコ色のレスポールを構えたマックス・ソメルヨキの引き攣ったようなギターソロが貫く「Stop Talking Now」で再び空間を制圧する。こうした緩急の付け方も含め、ほんの1年前と比べても確かな成長っぷりを感じることができる。一方で曲が終わるごとに深々とお辞儀をするなど、可愛らしい点は変わらない。

USが見せた成長と熱狂、フジロック開幕を盛り立てた怒涛のガレージロック


後半に入ると「Paisley Underground」に「Night Time」と『Underground Renaissance』収録のナンバーを立て続けに放ち、ラウドなガレージロックバンドとしての実力を見せつける。
「ロックバンドで重要なのは場数でしかない」と分からせてくれる、説得力に満ちたステージだ。ミドルテンポの「Hop On a Cloud」は名曲然としているし、パブロック調の「I Aint Got Nobody」には入場時に鳴り響いていたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTとの共振性も感じられる。

#フジロック '25 DAY 1#Us (アス) @ GREEN STAGE

ポップセンスが光る名曲「Hop On a Cloud」を苗場の青空のもと披露!

????生配信(Ch.1)https://t.co/M2aBi7hKgH

Courtesy of FUJI ROCK FESTIVAL '25#usbandofficial #fujirock @fujirock_jp pic.twitter.com/uXr5doH4lf— ソニーミュージック洋楽 (@INTSonyMusicJP) July 25, 2025「Hop On a Cloud」

やはりGREEN STAGEのトップバッターにはこうした熱気が必要だ。テオとマックスの両ギターが一段と破壊力を帯びる「While You Danced」からシームレスにラストナンバー「Hold On, I'm Comin'」で怒涛のカッティング合戦が始まると、オーディエンスは火がついたようにそれらを囃し立て、狂騒のうちに終演となった。深々と頭を下げるUSの面々。「Have a Great Day!」というテオの一言と「ちょっと新しい曲をやったんだけど、次のアルバムも楽しみにしててください」というリーヴァイの異様に流暢な日本語コメントと共にショーは幕を下ろし、そして今年のフジロックが始まった。

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#フジロック 初日GREEN STAGEのトップバッターを飾った #Us (アス)のセットリストはこちら!

最高のガレージロックチューンを収録した1stアルバム『Underground Renaissance』をチェック

アルバムを再生▼https://t.co/pipNZL0jrb#フジロック #fujirock @usbandofficial pic.twitter.com/wc8q0aSIqI— ソニーミュージック洋楽 (@INTSonyMusicJP) July 27, 2025
USが見せた成長と熱狂、フジロック開幕を盛り立てた怒涛のガレージロック

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