今年のサマーソニックで大きな注目を集めているのが、コロンビアが誇るラテン界のスーパースター、Feid(フェイド)の出演だ。8月17日(日)、東京会場のBEACH STAGEでは、彼の誕生日(8月19日)を祝したスペシャル・キュレーション「Feliz cumpleaños Ferxxo(フェリス・クンプレアニョス・フェルチョ)」が実現。
ラテン・カルチャーと音楽が鮮やかに交差するカーニバルが日本に上陸する。

「Feliz cumpleaños Ferxxo」のラインナップには、同郷コロンビアの人気バンドBomba Estéreo(ボンバ・エステレオ)や、プエルトリコ出身の気鋭プロデューサーで、常田大希率いるMILLENNIUM PARADEの「KIZAO」にも参加したTainy(タイニー)という実力派に加えて、コロンビアの有名クラブPerro Negro(バッド・バニーがFeidをフィーチャーした同名曲でもお馴染み)も参加。さらにFeid自身のステージでは、サプライズ・ゲストの登場も予告されている。

Feidが語る野心的な最新モード 日本を愛するラテン・スーパースターを今こそ知る

左からBomba Estéreo、Tainy(©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved.)

Feidが語る野心的な最新モード 日本を愛するラテン・スーパースターを今こそ知る


Feidが語る野心的な最新モード 日本を愛するラテン・スーパースターを今こそ知る

Feid(©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved.)

コロンビア・メデジン出身、1992年生まれのFeidことサロモン・ビジャダ・オヨスは、幼少期からクラリネットを学び、大学の合唱団で歌声を磨くなど音楽に親しんできた。その後はレゲトン/アーバンミュージックの道へと進み、プロデュースやピアノ、ギター演奏もこなすマルチな才能を発揮。ソングライターとしての実績もめざましく、J・バルヴィンのヒット曲「Ginza」を手がけるなど、地元コロンビアのシーンを世界に広める「影の立役者」として活躍。クリスティーナ・アギレラなど大物たちの楽曲に携わっている。

Feidが「ソングライター」として携わった楽曲のプレイリスト

そして、近年はレゲトン屈指のトップアーティストとして君臨。ヒップホップ、R&B、エレクトロ、レゲエ、アフロビーツなどをミックスしたメロディックかつ踊れる作風で、「LUNA」「Classy 101」「Feliz cumpleaños Ferxxo」といったヒット曲を送り出し、チャートやプレイリストを席巻してきた。バッド・バニー、ヤング・ミコ、ショーン・ポール、Remaといった人気アーティストとも共演し、2024年のSpotify年間ランキング「世界で最も再生されたアーティスト」ではTOP10入りを果たしている。緑の衣装とサングラスをトレードマークとし、みずからを「Ferxxo」、ファンダムを「MOR」と呼ぶFeid。2023年にはカロルGとの交際を公表し、お互いの作品にも参加し合ってきた。


さらに彼は、2021年には『INTER SHIBUYA - LA MAFIA』という名前のアルバムを発表し、2024年の楽曲「SORRY 4 THAT MUCH」のミュージックビデオを日本で制作するなど、大の親日家でもある。クリエイティブマン代表・清水直樹氏は、サマソニでの招聘について「いろんなレーベルやマネジメントと「日本でもラテンを盛り上げたい」という話をしている中で、Feidが手を挙げてくれて、『自分がキュレーションしているフェス企画をそのままサマソニでやれないか』と。手弁当で経費も自分たちで持つとまで言ってくれている。アーティスト側から『日本でもラテンはいけるはずだ』と言ってくれたのは大きかったです」と本誌の取材で語っている。

そんなFeidは、今年6月に待望のニューアルバム『FERXXO VOL X: Sagrado』をリリースしたばかり。キャリアを押し広げる野心的な本作について本人が語った、米ローリングストーン誌の最新インタビューをここからお届けする。

Feidが語る野心的な最新モード

Feidが新作アルバム『FERXXO VOL X: Sagrado』の制作に取りかかったとき、彼には二つの目標があった。ひとつは、音楽に対するあらゆる期待から自分を解放し、純粋に楽しむために創作すること。もうひとつは、アルバム全体を自らプロデュースすることだった。

「ファンが僕に求めていた多くのことと、もう一度つながりたかったんだ」とFeidは語る。彼は今、トレーラーの中でくつろぎながら、このアルバムから数曲を披露する予定のGov Ballのステージに向けて準備を進めている(※NYのガヴァナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバル、6月7日に出演した)。「リスクゼロで、気負いもなく音楽を作りたかった。
キャリアがある段階に達すると、すべてをヒットさせようとか、とにかくカッコよくしようとか、世界的に成功させて何百万枚売ろうとか、そういうふうに考えがちになる。でも今回は、そういうものを全部手放そうと思ったんだ」

リードシングル「DALLAX」にはタイ・ダラー・サインが参加

とはいえ、そのプロセスは言うほど簡単ではなかった。Feidにはセルフプロデュースの豊富な経験がある。もともとラテン音楽界の有名アーティストのために作詞を手がけるところからキャリアをスタートさせ、自身の楽曲制作にも常に深く関わってきた。しかし、キャリアが大きくなるにつれて、しばしば他のスター・プロデューサーたちと共に制作を行うようになっていた。親友でもあるスカイ・ロンピエンド(Sky Rompiendo)もそのひとりだ。

『FERXXO VOL X: Sagrado』の制作に本格的に取り組むにあたって、Feidはこれまでとは異なる制作スタイルに切り替えざるを得なかった。「チームで作業するときは全然違うんだ。スタジオに行って録音して、寝る前に横になって、朝起きて携帯を見ると『昨夜ミックスして、これを足して、あれもやったよ』って感じで進んでる」とFeidは説明する。「でも今回は、寝て起きても曲は昨夜のまま。『ここからどんなアレンジを加えよう? 第2ヴァースも足さなきゃ』って、自分で全部考えなきゃならなかった。とにかくやることが山ほどあって、終わりがなかったんだ」

Feidが語る野心的な最新モード 日本を愛するラテン・スーパースターを今こそ知る


なかには、Feid自身も「ちょっと頭が混乱した」と認める曲もあった。
「『Ferxxo 500』っていう曲があるんだけど、そこでは[90年代のギリシャ人作曲家]ヤニーのサンプルを使ってるんだ」と彼は語る。「レコーディングを始めたときに何枚もレコードを買い込んで、その中にたまたま見つけた古いヤニーのアルバムがすごく気に入ったんだ」。ところが、いざそのサンプルを使い始めると、音のトーンがなかなか決まらなかったという。「理想のサウンドに仕上げるまでに、すごく時間がかかった」と彼は笑いながら振り返る。「正直、今でもどうやって完成させたのか自分でもよくわからないけど、とにかくやり遂げたんだ」

一方で、いくつかの場面では、コロンビア・メデジンで育った少年時代からの大きな夢を叶えることもできた。そのひとつが、5月に公開された「ANDO XXIL」という楽曲であり、MVにはトニー・ホークも登場している。10代の頃、Feidはスケートボードに夢中になり、必死に練習していたものの、基本的な技までしか習得できなかったという。「ずっと叶わなかった夢だったんだ」と彼は語る。「スケートボードは高かったし、すぐ壊れるから、毎回父に直してもらってた。靴もすぐ擦り減るから、ボロボロにしてもいい安い靴を探して履いてたよ」。だからこそ、今回トニー・ホークと共演できたことは、当時の夢を少しだけ叶えるような経験になったのだという。

「そもそもは、曲の中にトニー・ホークの名前を出す一節があって、そこから『本当に本人に出てもらえたらどうだろう?』って思いついたんだ」と彼は続ける。
「彼は快く引き受けてくれて、撮影現場にもひとりで来てくれた。どんなことでもノリノリでやってくれたよ」。撮影中には、ふたりでPlayStation 2のゲームを何ラウンドもプレイしたほか、ホークが家族の朝食用テーブルの上でスケートしている有名な写真も再現したという。

Feidは今回のアルバムを誇りに思っており、恋人であるカロルGも大きな支えになってくれたと語る。「彼女はこの作品をすごく助けてくれたし、お互いにサポートし合ってるんだ」。さらに、まだまだサプライズが用意されているという。たとえば「RU MOR」という楽曲は、アルバムの中でちょっとしたフェイクアウト的な仕掛けになっている。数秒ほど曲が流れたところでFeidが登場し、曲を中断してしまうのだ。完全版は今後リリースする予定だという。

そしてもちろん、毎年12月にファンのために制作しているEPも控えている。今年も出るのかと尋ねられると、彼はこう答えた。「もうこれは恒例行事だよね。
まだ手をつけてないし、準備もできてないけど、ファンのみんなは安心してていいよ。年末には必ず何かが起きるから。僕にとっても一番好きな時期なんだ。メデジンに帰って、たくさん音楽を聴いて、それで自然とみんなに届けられるものがたくさんできあがるんだ」

FeidがカロルGをフィーチャーした「FRIKI」(2021年)

カロルGがFeidをフィーチャーした「Verano Rosa」(2025年)

From Rolling Stone US.

Feidが語る野心的な最新モード 日本を愛するラテン・スーパースターを今こそ知る

SUMMER SONIC 2025
2025年8月16日(土)・17日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
大阪会場:万博記念公園
※Feidは8月17日(日)東京会場に出演
https://www.summersonic.com/

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