ジ・エンプティの全国ツアー「覚醒少女ツアー2025」が、10月31日の新代田FEVER公演をもって終幕を迎えた。8月17日、原点である福岡・久留米のウエポンから幕を開けた同ツアー。
彼らは、たくさんのバンド仲間の力を借りながら約2カ月半をかけて20公演を行い、バンドとして何段階もの覚醒を果たした状態で、終着地点である新代田FEVERに辿り着いた。ツアーファイナルの対バン相手は、彼らが敬愛する先輩バンドのMaki。この記事では、両バンド、および、両バンドのファンが、互いに真っ向からぶつかり合った熱き一夜の模様を振り返っていく。

先攻は、Maki。山本響(B・Vo)、佳大(G)、まっち(Dr)がドラムの前に集合して気合いを入れ、ギターのフィードバックノイズが高鳴る中、3人が渾身の一撃をかます。そして、山本が「ツアーファイナルってことで、Makiしかいないっしょってことで呼んでもらいました」「『少女』だけじゃなくて、男の俺も覚醒して帰るんでよろしくお願いします」と告げ、1曲目の「ストレンジ」へ。歌い出しから壮大な合唱が巻き起こり、山本は「見せてくれ」と呼びかけながら観客にさらなる覚醒を促す。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

続けて「フタリ」へ、そして、「ロックバンドっつうもんは何か教えてやるわ」と告げ「銀河鉄道」へ繋ぐ。容赦ないアジテーションを受けてか、フロアからはダイバーが続出。曲終わり、山本は「This is rock band!」と高らかに2度叫び、続けて「今日、俺、誕生日なんですけど、27歳の山本響よりも覚醒してるんでよろしくお願いします」「かかってこい!」と呼びかけ、「虎」へ。またしても巻き起こる特大シンガロング。続出するダイバー。
「sea you letter」「斜陽」と曲を重ねるたびにライブハウス全体の一体感と高揚感が高まり続けていく。ステージとフロアの垣根を越えて、3人と観客が〈僕らは生きてる〉という熱い実感を互いに確かめ合う、あまりにも熱い展開だ。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

「Lucky」を披露した後、山本は、ジ・エンプティについて、一緒に日本のロックシーンを変えていく仲間と称しつつ、ここから怒涛のクライマックスパートへ突入。「平凡の愛し方」では、山本の「やっちまおうぜ!」という豪快な呼びかけに応える形で観客の歌声がさらに大きくなり、「シモツキ」では、山本が「ジ・エンプティのツアーで覚醒するのは俺たちだ!」「まだまだ足んないでしょ、ライブハウスそんなもんかよ!」「ロックバンド、こんなもんじゃないっすよ!」とさらに容赦なく煽り、観客も負けじと猛烈なボルテージで3人のライブパフォーマンスに伴走していく。ラストは「憧憬へ」。言うまでもなく、ダイバー続出。わずか10数曲ではあったが、3人は、本物のロックバンドとしての存在証明をFEVERの地に深々と刻み付けてみせた。

Makiからの熱いバトンを受け取り、後攻のジ・エンプティのステージが幕を開ける。SE「カントリーロード」が響く中、トクナガシンノスケ(G)、クガケンノスケ(B)、カワカミタイキ(Dr)、そしてハルモトヒナ(Vo)がステージイン。1曲目は、今回のツアーのタイトルにもなっている最新EPの表題曲「覚醒少女」。先攻のMakiによって既に一度フロアが熱しきっていたからだろうか、1曲目から怒涛のコール、特大シンガロングが沸き起こる。ダイバーも続出。
そして、ヒナの「跳べ跳べ跳べ跳べ!」という強烈な煽りから「MY SWEETIE」へ。観客は何度も一斉ジャンプを繰り返し、熱く輝くフロアの光景を前にヒナは「ばり最高やんけー!」と感慨深げに叫ぶ。続いて「革命」へ。ヒナは、「誰も手抜くんじゃねえぞ」と、一人ひとりの観客に革命的熱狂の当事者であることを強く求め、そして観客は、彼の想いに応え懸命に声を張り上げながら特大シンガロングが巻き起こしてみせる。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

ここでヒナは、先攻のMakiのライブを袖から観ていたシンノスケに一つだけ文句があると前置きし、「『響くん、ロックスターすぎ。かっこよすぎ』いや、俺もかっこいいし!」「久留米のロックスター、ここに参上!」と高らかに宣誓。そして「テイクミーアウト」へ。「もう一個言わせてくれ、ジ・エンプティを後ろのほうで観てる人、全員つかまえてこっちに飛ばしてください」と、容赦なくMakiのファンも巻き込みつつ、「たりない、たりない、たりない」とさらに煽り、「おやすみレイディ」へ。ヒナは、よくアーティストがライブ中に言い放つ「後ろのほうまで見えてるよ」という常套句を引き合いに出しつつ、真の意味で後ろのほうの観客を見るために、ヒナ、シンノスケ、ケンノスケがフロアにダイブ。またしても、Makiのファンも含めた会場の全員をがっつり巻き込んでみせた。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

ヒナは、「熱すぎや」と呟きつつ、山本からもらったという服を脱ぎTシャツ姿に。そして、フロントの3人がタイキの前に集まり、先ほどMakiがライブ前にステージで行っていた「エイエイオー!」を4人で行い、観客とも「エイエイオー!」を交わす。
そして、「曖昧」へ。続けて、「ウルトラロマンティック」を最高な週末に捧げる。とびっきりロマンティックな展開はまだまだ続く。「どうか受け取ってほしい、俺たちのとまらない愛を!」というヒナの叫びから、ケンノスケが初めて作詞作曲したナンバー「とまらない愛を」を披露。観客も、並々ならぬ大合唱を介して4人にめいっぱいの愛を伝えていく。なんて猛烈な愛に満ち溢れた時間・空間だろうか。

ここでヒナは、これまでのツアー20本、そして、先ほどのMakiのライブを振り返った上で、「ヤバい景色つくっていこうと心から思えました」「俺たちならできる」「俺とお前でMakiを倒そうぜ!」「愛してます、Maki!」と伝え、「ラブソング」へと繋ぐ。そして、「今日俺たちをライブハウスに連れ出してくれてありがとう」と感謝を伝え、「連れ出してやるぜ今夜」へ。屈指のハイライトとなったのが、「俺たちも大人になろう」という言葉を添えて届けられた「俺たち大人になれるかな」だった。何歳になったとしても、こうしてライブハウスで熱い体験ができるのであれば、大人になることもきっと悪くない。年齢を問わず、彼らから優しく背中を押されたような気持ちを抱いた人は多かったと思う。

いよいよライブは終盤戦へ突入。
2026年2月に2年ぶりに地元の福岡でワンマンライブを行うことを伝えたヒナは、「またそこでライブしようぜ、輝こうぜ」と呼びかけ、「輝き」へ繋ぐ。次の「笑っておくれよ」では、ステージに登場した山本が観客と一緒にスカのステップを踏む一幕もあった。そして、ヒナの「バカデカいシンガロング頼んだぞ!」という呼びかけから「バチコイ」へ。この日の一番を更新するような大合唱を受け、ヒナは「ばり最高!」と叫んだ。本編ラストは「さよなら涙」。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

感動的な大団円の後のアンコールでは、山本を呼び込み、シンノスケのギターに合わせてみんなで「Happy Birthday to You」のシンガロングを届け、彼の28歳の誕生日を祝う。ヒナが「おめでとうございます、ロックスター!」と全力で叫んだ後、アンコール曲「銀河高速に乗って」「BE FINE」へ。この日の一番を再び更新する「きらきら星」の大合唱。これにて終幕かと思いきや、「銀河高速に乗って」の歌詞を間違えたお詫びとして、この日2度目の「笑っておくれよ」を披露。ヒナがフロアに豪快に突入。ライブハウスでしか味わえないカオティックな狂騒がフロアを満たす中、この日の対バン、および、全21本にわたる「覚醒少女ツアー2025」は万感の終幕を迎えた。ロックって素晴らしい。
ロックバンドってかっこいい。ライブハウスって最高。そうした原初的な感動が何度も何度も押し寄せてくるような、あまりにも熱い一夜だった。

ジ・エンプティ、覚醒の果てでMakiとぶつかった、熱狂のツアーファイナル

(Photo by 稲垣ルリコ)

セットリスト
Maki
1. ストレンジ
2. フタリ
3. 銀河鉄道
4. 虎
5. sea you letter
6. 斜陽
7. record dogs
8. Lucky
9. 平凡の愛し方
10. シモツキ
11. 憧憬へ

ジ・エンプティ
1. 覚醒少女
2. MY SWEETIE
3. 革命
4. テイクミーアウト
5. おやすみレイディ
6. おやすみレイディ
7. 曖昧
8. ウルトラロマンティック
9. とまらない愛を
10. ラブソング
11. 連れ出してやるぜ今夜
12. 俺たち大人になれるかな
13. 輝き
14. 笑っておくれよ
15. バチコイ
16. さよなら涙
EN1. 銀河高速に乗って
EN2. BE FINE
EN3. 笑っておくれよ
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