大充実の最新作『Theres Always More That I Could Say』のリリースがあったとはいえ、こんなにも早くシグリッドの再来日公演が実現するとは。Rolling Stone Japanでの最新インタビューでは「このアルバムのツアーは日本から始まる予定だから」と語っていた彼女だが、実のところ欧州と米国を回る本格的なアルバム・ツアーは2026年に入ってから。それもこれも最新作収録の「Two Years」が日本で制作された楽曲だからこそ、「Two Years」を含む最新作のライブを真っ先に日本のファンに披露したいというシグリッドの想いが反映された結果、つまりシグリッドが日本を大切に思ってくれている証左なのは間違いない(しかも大阪公演の前日には、シグリッドがファン達と共に山道を1時間ほど一緒に歩くというハイキングイベントもおこなわれていたとのこと)。もうこれだけで胸がいっぱいになってしまうというのが人情というものではないだろうか。
そして11月19日の東京公演当日。会場の恵比寿 The Garden Hallでは場内BGMとしてピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの「Young Folks」のような懐かしの北欧ポップも流れる中、開演時刻の19時ちょうどに暗転すると、バンドメンバーがステージに表れ出し、続けてシグリッドが登場! もはや彼女にとってユニフォームともいえる白Tシャツにジーンズというお馴染みの飾らない服装だ。ライブ本編は最新作と同様に「I'll Always Be Your Girl」からスタート。2曲目は2ndアルバム『How to Let Go』からの先行シングルにもなった「Burning Bridges」と、アップテンポなナンバーを矢継ぎ早に演奏し、一気に会場を温める。実は前回の来日公演も含めてベース/キーボード/コーラスワークなどでバンドの屋台骨を支えていたリヴァ・スヴェレンが出産/子育ての為に脱退したこともあって、今回は新体制での来日となったのだが、新加入した英国人ベーシストのスカーレット・ハルトンが八面六臂の活躍で完璧にリヴァの穴を埋めており、バンドアンサンブルも申し分なし。
3曲目の「Kiss The Sky」の演奏前には「お世辞じゃなくて、本当に日本が大好き!」とのMCがあり、シグリッドが今回の来日公演を心の底から楽しんでいるのが伝わってくる。その後、1stアルバムのタイトルトラックだった「Sucker Punch」の演奏を終えると、ちょっとしたサプライズが。最新作の共同プロデューサーであるアシェルが10月から自身のソロアルバムの制作の為に日本に滞在しており、本日のライブに観客として来場しているのだという。
そして、「これは去年、下北沢で書いた曲!」との紹介で始まった「Two Years」で繰り返される「オスロから東京へ」という歌詞を東京でのライブで聴ける醍醐味といったら。オスロ(ノルウェー)からやってきたシグリッドと日本の観客の幸福な邂逅は何物にも代えがたい特別な絆だ。筆者はその尊さを改めて噛み締めたのだった。ジャングリーなギターロック調の名曲「Have You Heard This Song Before」を終えると、バンドメンバーは一旦退場。キーボーディストのペーダーと2人で最新作のタイトルトラック「Theres Always More That I Could Say」を演奏すると、続けてシグリッド自身がキーボードの弾き語りを披露するソロコーナーへと突入。「子供の頃は実家でピアノを弾きながらこうやって歌っていた」とMCでも語っていたように、弾き語りこそ彼女の原点。そこで歌われたのは会場にいるアシェルと初めて共作した楽曲「Dynamite」、そして自身のツアー生活を綴ったという「Grow」だ。ニール・ヤングやアデルをルーツとして挙げるシグリッドのシンガーソングライターとしての地力が直に伝わってくる生々しさを、会場は息を呑んで聞き入っていた。
次曲の「The Hype」からはバンドが再びステージに戻り、ライブはクライマックスへ。馬が広大な平原を夕日に向かって走っていくようなイメージで作られたという「Eternal Sunshine」の力強いビートは、まさにライブが最高潮に向かっていく場面にピッタリで、会場の熱をさらに高めていく。そして最新作を代表する楽曲であり、シグリッド史上もっともパワフルなナンバーといっても過言ではない「Fort Knox」では会場中がジャンプ! ジャンプ! 最後は「Don't Kill My Vibe」「Strangers」と初期の代表曲を立て続けに演奏。観客からの大合唱も巻き起こり、会場の恵比寿ザ・ガーデンホールは当日の寒さを吹き飛ばすような多幸感で包まれていた。
アンコールなしで全23曲1時間半を一気に駆け抜けた今回のライブ、最終的に最新作の収録曲は全て披露されるなど、改めて現在のシグリッドの充実ぶりを実感させてくれる内容だったといえるだろう。凝った演出に頼ることなく、あくまでも音楽一本で勝負。自然で、無理がなくて、だけれどもポップ極まりないという、音楽の楽しさを全身で体現し感じさせてくれる彼女の魅力が集約された一夜だった。シグリッドの真骨頂ここにあり!
Photo by Charlotte Alex @charlottealex_
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シグリッド歌詞和訳MV
「Hush Baby, Hurry Slowly」
https://youtu.be/rweIm1ruxjA
「Two Years」
https://youtu.be/7uncTgAeMCI
「Fort Knox」
https://youtu.be/XBqTYZYySRY
「Jellyfish」
https://youtu.be/BGUqd2wVRp4
「Mirror」
https://youtu.be/6_yiYkQ28No


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