2017年にスタートし、過去には藤井 風、King Gnu、Vaundy、あいみょんといったアーティストが選出され、飛躍が期待される新人アーティストの登竜門として知られるSpotifyの「RADAR: Early Noise」。連動イベントである「Spotify Early Noise Night」も2017年にサマーソニックを企画制作するクリエイティブマンと協業する形でスタートした。
2023年からは3年連続で注目の次世代アーティストが多数出演するコラボステージをサマソニで実施。今年もChilli Beans.、ブランデー戦記、Billyrrom、muqueといった認知を拡大させているアーティストが多数出演した。

さらに、アーティストとリスナー/オーディエンスを繋ぐというビジョンが一致している両社がタッグを組み、12月12日に今年の音楽シーンを総括するSpotify初のスペシャルライブイベント「Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special-」を開催する。m-flo、Creepy Nuts、サカナクションちゃんみな、HANA、羊文学という今を代表する錚々たる面子が東京ガーデンシアターに集う(※チケットはソールドアウト)。

クリエイティブマン代表取締役社長・清水直樹さんとSpotify Japan代表取締役・マネージングディレクター・トニー・エリソンさんに、両社のこれまでのコラボレーションの背景や目的に加え、日本の音楽シーンや来年のサマソニの展望など、様々なことを訊いた(なお、Spotify Japan 音楽企画推進統括・芦澤紀子さんも同席)。

タッグの始まりは「Early Noise Night」

―Spotify Japanの創立は2016年。両社のタッグは翌17年、「Spotify Early Noise Night」のvol.1から始まったかと思います。どのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

清水:最初はSpotifyからEarly Noiseに紐づくイベントを開催したいというお話をいただいた記憶があります。当時はSpotifyをはじめ、サブスクリプションサービスに対してレコード会社はまだそこまでポジティブではありませんでしたし、認知度も低かった。でも、僕たちは海外の現場に行くことも多いので既に注目していて、何かご一緒したいと思っていたんですね。それで当時のSpotifyのスタッフの方とお会いしたところ意気投合して。クリエイティブマンは渋谷にSPACE ODDというキャパ300~400人のハコを持っているので、そこを使う形でスタートしました。


芦澤(Spotify Japan):SPACE ODDでは(観客がアーティストの周囲を囲う)センターステージでのライブも大きな特徴でしたよね。

清水:そうでしたね。狭いクラブなのに「センターステージで」と言われた時は驚きました(笑)。でも、とても一体感が出ておもしろいことになって、自分たちのクラブでそういうことに挑戦できるんだという発見がありました。プロモーターの発想とは違う方向性をSpotifyから学びましたね。

トニー:クリエイティブマンさんとは最初からおんぶに抱っこなんです(笑)。僕はまだ就任前でしたが(※2021年より現職)、S清水さんがおっしゃったように日本ではレコード会社の理解がまだ得られてなかったタイミングで、クリエイティブマンさんの協力もあって市民権が得られるようになったと思っています。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?

清水直樹 
1965年静岡県生まれ。1990年に株式会社クリエイティブマンプロダクション立ち上げに参加、1997年に同社代表取締役に就任。2000年より、日本初となる2大都市同時開催フェス「サマーソニック」をスタート。洋楽を中心としたプロモーターとして海外アーティストの招聘・興行、国内外アーティストのコンサートやイベント/フェスの企画・制作・運営を手がける。また、コンサートプロモーターズ協会常任理事およびインターナショナル・プロモーターズ・アライアンス・ジャパン(IPAJ)代表も務めている。
(Photo by Mitsuru Nishimura)

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?

Tony Elison(トニー・エリソン)
Spotify Japan代表取締役・マネージングディレクターとして、メディア、コンテンツ、テクノロジー業界のグローバルブランドにおける日本、米国、アジア太平洋地域での30年以上にわたる経験を生かし、日本における同社の戦略策定や事業運営などビジネス全般を統括。MTV、米国・任天堂、Google/YouTubeを経て、前職となるウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社では、メディア担当副社長兼ゼネラルマネージャーとして、定額制ビデオ・オン・デマンドサービス「Disney+」の立ち上げなど、モバイル、テレビ、メディア配信、ホームビデオなどの各カテゴリーで事業を推進した。米国生まれ。京都とインディアナ州で育ち、マサチューセッツ州ウィリアムズカレッジにて政治学とアジア研究の学士号を取得。(Photo by Mitsuru Nishimura)

―「Spotify Early Noise Night」は今年3月にも最新回の#17が開催されるなど人気シリーズとなりました。どんな意義を感じていますか?

トニー: Spotifyのミッションはアーティストとリスナーを繋ぐことです。Spotifyはアプリを介して楽曲を聴くというサービスではありますが、実際にアーティストとリスナーが繋がるためには現場での体験が大きい。Spotifyがリスナーに伝えようとしていることを具現化するためには、ライブでの表現が重要だということをクリエイティブマンさんは100%理解してくれています。〈Early Noise〉が音楽業界で認められつつあるのは、「Spotify Early Noise Night」も大きかったと思います。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?

「Early Noise Night」vol.1は2017年5月、SPACE ODDにて開催。WONK、RIRI、JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBの3組が出演。「Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special-」出演の羊文学は、2018年の#5でカネコアヤノらと共演している。
2022年11月の#14からは会場がSpotify O-EASTにスケールアップ。2025年3月の最新回#17にはAKASAKI、Billyrrom、ブランデー戦記、reina、レトロリロンが出演。新進気鋭のアーティストや新たなトレンドをいち早くキャッチできる場を提供し続けている

※「Early Noise Night」アーカイブはこちら

Spotifyが注目するニューカマー・プレイリスト「RADAR: Early Noise」

サマソニ×Spotify、3年連続コラボの意義

―2019年にはサマソニで「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」と称してSEKAI NO OWARIamazarashi、海外勢のMGMT、R3HAB、NCT127など7組が出演するオールナイトイベントも実施されました。

清水:そこで規模が大きくなりましたよね。海外のアーティストも含めてSpotifyと一緒にブッキングをしました。そういった場合はクリエイティブマン主導でブッキングをすることが多いのですが、Spotifyは国内外のアーティストにとても詳しいし、実際に出演者の提案もしてくださり、僕たちだけで作るラインナップとは違う素晴らしい企画になりました。

―2023年からは、サマソニ東京で「Spotify RADAR: Early Noise Stage」がスタート。そこから3年連続で次世代アーティストが多数出演するコラボステージが実現し、今年から名称が「Spotify Stage」にリニューアルされました。どういう経緯で始まったのでしょう?

清水:僕たちは「出れんの!?サマソニ!?」というオーディションを(2009年から)やっていますが、そこで出演が決まる新人アーティストとビッグなアーティストの間にいるようなアーティストが出る場所がないところが、サマーソニックにおいて足りない部分だと思っていました。「Early Noise Night」でやってきたことをそのままサマソニの「Spotify Stage」でやってもらうことで、欠けていた部分を埋めてもらえた感覚があります。

「Spotify Stage」のブッキングは、Spotifyがさまざまなデータやセンスに基づいて行ってくれています。「Early Noise Night」も最初の方はSpotifyにブッキングのノウハウがないので一緒にやっていたんですが、どんどんSpotify主導になっていった。
サマソニのオーディエンスにとっては今やSpotifyのステージがあるのが当たり前になっていますし、(フェス開催中)ほぼあのステージにいる人の声も入ってきています。サマソニにとって、とても強いコンテンツになりましたね。

トニー:基本的には〈Early Noise〉というプレイリストから「Spotify Stage」出演アーティストの選定がされており、年初に発表される〈RADAR: Early Noise〉アーティストに選出されていなかったアーティストが出演するケースもあります。いずれにせよ、注目すべきアーティストにスポットを与えるプレイリストに紐づいたイベントなので目的は一緒です。あのプレイリストからヒットアーティストが出ていく流れが作れている中で、もちろんアーティストやレコード会社の力や運にも恵まれながら、良い形で「Early Noise Night」が運営されているからこそ、「Spotify Stage」のブッキングの精度が上がってきていると思います。

―サマソニとSpotifyのコラボステージにはこれまで、新しい学校のリーダーズ、imase、LANA(2023年)、Omoinotake、TOMOO、なとり、離婚伝説(2024年)、Chilli Beans.、muque(2025年)などが出演。その後の飛躍に繋げています。

清水:「Spotify Stage」は4000~5000人規模のキャパで、ここに出る時点ですでに武道館クラスのアーティストもいます。通常だったら出演してくれないアーティストもいると思うんですが、Spotifyのブランドがあるからこそ、多くのアーティストが快く参加してくれているように感じています。

芦澤:アーティストに「Spotify Stage」のオファーをするとすごく喜んでいただけますし、「あのステージに出たくてスケジュールを空けてました」と言ってくれるアーティストもいるんです。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?

2025年の「Spotify Stage」に出演したChilli Beans.(撮影=石原汰一、瀬能啓太)

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―昨年からは〈RADAR: Early Noise〉に基づくラインナップに加えて、J-HipHopの人気プレイリスト〈+81 Connect〉から派生したステージもサマソニで展開されています。

清水:Spotifyさんから「ヒップホップを伸ばしていきたい」という意見をいただきました。
サマソニはロック寄りの日、ヒップホップ/R&B寄りの日という風に色が分かれることがあります。ヒップホップの注目アーティストを数組まとめて出す企画があった方がその日のバランスがうまく取れるし、お客さんのニーズも高いと思ったので「ぜひやりましょう」という話になっていきました。

トニー:コラボステージをやってみて、お客様からもクリエイティブマンさんからも喜んでいただいたので、次に何ができるかを考えた際、単に〈Early Noise〉を拡大させるのではなく、Spotifyでさまざまなジャンルの曲が聴ける中で「どこによりスポットを当てたいか」を考えました。「+81 Connect」は偶然にも僕が就任した2021年に立ち上がり、約4年をかけてじっくり育ててきたプレイリストです。アーティストとしても「+81 Connect」に入ることがステータスだと思ってもらえるようになってきたタイミングだったのも良かったと思います。

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2025年のサマソニ2日目「Spotify Stage」終盤を「+81 Connect」がジャック。プレイリスト名にちなんでJP THE WAVY、Elle Teresa、swettyの3組による”81分間”のマイクリレーが行われた(撮影=石原汰一、瀬能啓太)

J-HipHopカルチャーの「今」と「その先」を繋ぐプレイリスト〈+81 Connect〉

―サマソニ「Spotify Stage」の出演者はどういうふうに決めているんですか?

トニー:日々のレコード会社や事務所とのやりとりの中でアーティストをお勧めしていただくこともありますし、データを見て跳ねているアーティストをチェックすることもあります。でも最終的にはセンスが一番大きいですね。AIが話題に出るようになって久しいですが、Spotifyのポリシーとしてヒューマンジャッジメントを大事にしているので、データは参考にしながらも、センスで決めていることが多いです。

芦澤:実際にスタッフがライブに行って、パフォーマンスやお客さんの熱量を見て決めているところもあります。

清水:サマソニ全体のブッキングもそうですね。売り上げやエージェントからのリクエストを踏まえつつ、最終的には自分たちでジャッジするようにしているので、今の話を聞いてもやはり相性が良いのだなと思いました。
僕自身もSpotifyのプレイリストを聴いて気になったアーティストを調べたり、サマソニのブッキングに役立てています。プレイリストを参考にしながらフェスで何を観るか考えているオーディエンスも多いと思うので、プレイリストというのはさまざまな面でヒントになっていますよね。

―お互いが協業することで、具体的にどのような良い影響や反応があったと思いますか?

トニー:サマソニのお客さんの中には、〈Early Noise〉や〈+81 Connect〉を詳しく知らなくても、とにかく音楽が好きという方がたくさんいると思います。コラボステージがあることで、Spotifyへの関心が高まったり、楽曲の再生回数が増えることは多々あります。フェスの出演者を全員知ってるお客さんは多くないと思いますし、フェスもSpotifyも”音楽との出会いの場”という点では同じです。そうした共通の目的を改めて実感できる場所であり、自然な形で成り立っているパートナーシップだと感じています。

2025年総括ライブイベントの舞台裏

―12月12日には東京ガーデンシアターで、m-flo、Creepy Nuts、サカナクション、ちゃんみな、HANA、羊文学という凄まじい面子が出演する「Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special-」がクリエイティブマンとSpotifyにより開催されます。どういう経緯があったんでしょう?

トニー:リスナーとアーティストをさらに繋ぐためにはライブが有効で、毎年恒例でその年を振り返る「Spotifyまとめ」という企画をやっていますが、それを立体化するために年末に大きなイベントをやろうという発想から生まれました。社内では「難しいのではないか」という声も上がったんですが、自分たちだけの力ではできないので、クリエイティブマンさんというパートナーと組めばできるんじゃないかと。おかげさまで素晴らしいブッキングになったのではないかと思います。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?
Spotify On Stage Tokyo 2025 ‒ Year-End Special ‒』にCreepy Nutsの出演が決定 - Spotify Japan — For the Record


―全出演者がサマソニ出演経験があり、しかも日本のみならず海外でも人気のあるアーティストが揃いましたね。

清水:来年のサマソニにも全組出てもらいたいです(笑)。関係性のあるアーティストなので僕たちもお手伝いはしましたが、基本的にはSpotifyがアーティストサイドと話をして進んでいきました。最初に発表されたのがちゃんみな、HANA、羊文学。その3組だけで十分すごいのに「まだ出ます」と言われ、m-floとサカナクションとCreepy Nutsが追加されて驚きました(笑)。

トニー:大富豪で強いカードを切ったのに「実はまだあるよ」という(笑)。

清水:「すごいカードを持ってたね!」と。どれだけ欲張るのかと思いました(笑)。

芦澤:2020年のコロナ禍にオンラインで開催した「Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020」というライブがあったんですが、その時も錚々たるアーティストの皆さんに出演していただけて、今回はリアルでそれに挑戦したいと考えました。テーマは今回とは少し違って、コロナ禍でアーティストがライブができなくなってしまっていたのでSpotifyがその場を作って、海外のリスナーに日本の音楽を届けようという目的のイベントでした。

清水:僕は嵐のライブをあのとき初めて観ました。Spotifyがニューヨークで日本のアーティストの屋外広告を出していたり、さまざまな繋がりを持っているからこそ実現したブッキングだと伺いました。僕らプロモーターにはできないブッキングだなと実感しましたが、今回の「Year-End Special」もそういう実感がありましたね。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?
Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020開催決定! - CREATIVEMAN PRODUCTIONS

オンラインライブイベント「Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020」は2020年11月に開催。日本の最新ヒット曲を世界の音楽ファンへ発信するプレイリスト〈Tokyo Super Hits!〉をコンセプトに、嵐、Perfume、End of the World、[Alexandros]、ビッケブランカ、Vaundy、マカロニえんぴつの7組が出演

―今年デビューしたHANAから2007年メジャーデビューのm-floまでキャリアも音楽性も様々ですが、ブッキングにはどんな意図があったんでしょう?

芦澤:まずは多様性です。今年を代表するアーティストを集めようというビジョンがあったのですが、今年の前半にはブッキングを進めておかないと間に合わないので、下半期のことを予見しつつ、さまざまなシーンや世代に目配せしました。

清水:絶妙なブッキングですよね。単に売れているアーティストを集めてもチケットが売れないフェスやイベントはたくさんあります。お客さんはシビアなので、いくつも好きなアーティストがいたとしても1組苦手なアーティストがいると一気に引いてしまうことがある。でも、このラインナップは絶妙にみんなが見たいアーティストが揃っていると思います。

トニー:シンプルに言うと、アーティストもお客様も盛り上がってくれるようなイベントにしたかったんです。結果とても良いバランスになったと思いますし、たとえばサカナクションのファンの方がm-floのライブを観て「良かった」と思ってもらえるような、多くの出会いの場になるのではないかと思っています。

清水:m-floは昨年のサマソニで、他のアーティストのキャンセルを受けて急遽出演してくれました。そうなると、彼らを目当てにチケットを買った人はほぼいないという状況になりますが、いざステージが始まると多くのお客さんが集まり、大いに盛り上がりました。さらに今年はMIDNIGHT SONICのキュレーションを務めていただき、安心感のあるアクトだと改めて実感しましたし、今回のラインナップに唯一のベテランとして加わることで、全体のバランスもさらに良くなったと思います。

―ちゃんみなさんとHANAが、この規模のイベントで一緒にブッキングされるのは初めてですし。

清水:(両者が出演した)サマソニ大阪でも別日でしたからね。「先を越された」っていう気持ちです(笑)。サカナクションと羊文学を一緒に見られるのもいいなと思います。

―HANAのCHIKAさんはサカナクションの大ファンなので、おそらくとても喜んでると思います。

芦澤:サカナクションのチームと打合せをした際にその話が出ました。

清水:アーティストの夢を叶えてるのがすごいね(笑)。

トニー:良かったです(笑)。あとはどの出演者も、Spotifyと今年何らかの接点を持っているんですよね。サカナクションを例に挙げると、5月から展開されたSpotify新ブランドCMソングに「怪獣」を使わせていただきました。あのCMには僕自身も感銘を受けましたし、YouTubeのコメント欄にも共感のコメントが多く書き込まれました。さらに「怪獣」は、Spotify Japanでの配信リリース初日の再生回数で歴代最多記録を更新しています。

―サカナクションは今年ワンマンツアーを長くやっていたので、こういったイベントへの出演は貴重ですよね。

芦澤:それもあってかサカナクションのファンの熱量がとても高いです。

サカナクション「怪獣」が起用されたSpotify新ブランドCM『「あなたの日々に音楽を」カラオケの帰り道篇』。主人公である部長が、会社のメンバーとのカラオケで「怪獣」を歌い、若い部下たちから好評を得る。普段はクールな彼が、「怪獣」を聴きながら帰り道でひとり喜ぶという内容

Creepy Nuts「オトノケ – Otonoke」はSpotify〈2025年上半期に海外で最も再生された国内楽曲〉の1位。アメリカ、メキシコ、ブラジル、ドイツなどで多くの支持を集め、海外からの再生比率は7割を突破

日本の音楽シーンについて、来年のサマソニ展望

―「怪獣」の盛り上がりも2025年の音楽シーンの大きなトピックでしたが、お二人は今年の音楽シーンをどんなふうに見てらっしゃいますか?

清水:クリエイティブマンも加入しているACPC(コンサートプロモーターズ協会、清水は常務理事)も含めて、音楽業界の5団体が協力して設立した「MUSIC AWARDS JAPAN」(以下、MAJ)は今年の音楽シーンを象徴していたと思います。Mrs. GREEN APPLEも藤井 風もCreepy NutsもMAJで賞を獲りました。ミセスは今年のサマソニに出てくれて、MARINE STAGEのトップバッターで入場規制になりましたが、あの起用は僕たちが考えたのではなく、ミセス側が「このタイミングでこのフェスでこういう出方をしたら話題になる」と考えた上で提案してくれたんです。サマソニだけでなく、フジロックやいくつものフェスがありますが、自分たちからフェスの出方のアイディアを出すことでアーティストのストーリーが生まれる──そういう動きが増えるとおもしろいですよね。NewJeansは2023年のサマソニが日本初ライブでしたが、あの時も入場規制になって、その後に会場内の「Spotify Premium STUDIO」のインタビューにも出てくれて、最終的に2023年はNewJeansの年になった。そうやって音楽シーンの中でフェスの存在感が強く出るのはやりがいがありますよね。

トニー:僕はDSP(デジタルサービスプロバイダー)の代表として話をさせていただきますが、5年前や10年前と比べて音楽配信はとても身近になりました。「Spotifyって何?」という状況から脱却できた今、Spotify Japanのミッションは2つあって。それは国内の需要回復、そして音楽輸出による音楽業界のV字回復のきっかけを作ることです。海外でも日本の楽曲が徐々に聴かれるようになっており、今年は昨年と比べて日本の楽曲の海外市場が20%以上拡大しています。1億回以上再生されている楽曲が200曲以上あるんですね。CDの時代は国内でヒットしているアーティストと国外でヒットするアーティストは全く違ったものですが、そこもだいぶ近づいてきていて、今年の上半期に海外で一番聴かれた日本のアーティストであるAdoさんは、国内でも多く聴かれています。

また、先ほど清水さんもおっしゃっていた「MAJ」ではSpotifyが一般投票部門を支援し、国内外リスナーによる投票でベストソングを決定する仕組みを提供したのも大きかった。2016年にSpotifyが日本でのサービスを開始してから9年かけて、音楽業界の中心に仲間入りさせてもらったということだと受け止めています。「MAJ」の目的である国外に向けたアワードというものをお手伝いさせてもらったことはSpotifyにとって新時代の幕開けで、それによって違う景色が見えてきていると思っています。

Spotify〈2025年上半期に国内で最も再生された楽曲〉の1位はMrs. GREEN APPLE「ライラック」。〈国内で最も再生されたアーティスト〉部門でもミセスが堂々の1位、1497日連続Spotify Japanデイリーアーティストランキングの1位を独走中(2025年11月25日時点。連続記録は現在も更新中)

―サマソニは2026年で25周年、来年は3DAYS開催ですよね。

トニー:ちなみに、Spotify Japanは来年10周年です。

清水:これは来年もご一緒するしかないですね(笑)。25周年と10周年に恥じないようなものを一緒に作っていけたら嬉しいです。

―両社のコラボも含めて来年のサマソニも楽しみにしていますが、今の時点で何か話せることはありますか?

清水:2019年の20周年のサマソニでは、日本人初のヘッドライナーとしてB'zにヘッドライナーを務めてもらいました。3日間あると1日はそういった冒険ができるんですよね。昨今のフェスのブッキング状況としても海外のビッグアーティストに3日間ヘッドライナーを務めてもらうのは非常にハードなので、1日は日本かK-POPなどアジアのアーティストにヘッドライナーを務めてもらえたらと思っていて、現在動いているところです。

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?

Photo by Mitsuru Nishimura

クリエイティブマン×Spotify Japan代表対談 音楽との出会いをつくる両社が2025年のシーンを総括する「必然」とは?
Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special- 公式サイト

「Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special-」
2025年12月12日(金)東京ガーデンシアター *SOLD OUT
OPEN 17:00 / START 18:00
出演(※50音順):m-flo / Creepy Nuts / サカナクション / ちゃんみな / HANA / 羊文学 
ステージMC:kemio / 堀井美香
イベント公式サイト:https://s-on-stage-tokyo.com/
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