米ローリングストーン誌が2025年の年間ベストアルバムを発表した。

2025年、音楽の世界は立ち止まることを拒んだ。
安全策に走るような年ではまったくなかった。世界中のあらゆる場所、あらゆるスタイルで、音楽はこれまで以上に奇妙でワイルドなかたちへと変異し続けた。今年のベストアルバムを生み出したアーティストたちは、大きな賭けに出ており、過去の成功をなぞることなどしていない。レディー・ガガはここ数年で最も野心的な作品で「mayhem(混沌)」をもたらし、ロザリアはセクシュアリティと精神的な超越について、極めてパーソナルな声明を表現した。バッド・バニーはサンフアンからニューヨリカンへ、時空を超える旅に出かけた。FKAツイッグスやテイラー・スウィフトといったポップのヴィジョナリーたちも、大胆な一歩を踏み出している。

このリストには、新鋭カントリーからアフロポップ、シューゲイズ、フラメンコまで、あらゆるジャンルが並ぶ。ギースやライフガードのような豪胆な若手インディーバンド、ウェンズデイやクレイグ・フィンによる恐れ知らずのロック・ストーリーテリング、ビリー・ウッズのアンダーグラウンド・ラップ詩学、ピンクパンサレスの急進的なクラブ・ビートもある。新人もいればレジェンドもいる──86歳のソウル・クイーン、メイヴィス・ステイプルズは、若きソンバーと肩を並べて君臨している。再起を果たしたジャスティン・ビーバーは、見失いかけていた「Swag」を取り戻した。ヘイリー・ウィリアムスはソロとしての歩みを進め、クリプスはハードコア・ラップが不滅であることを証明し、ジェフ・トゥイーディーは苦労して得た禅の知恵を共有し、タイラー・チルダースは地獄を揺さぶった。アディソン・レイからオリヴィア・ディーンまで、ポップの新星たちもいる。


これらのアルバムはスタイルもビートもジャンルもまったく異なる──それでも、1年を通して私たちを前へと駆り立て続けた音楽だ。そしてこの熱は、年が終わったあとも確かに響き続けるだろう。

※20位→11位(一部)、10位→1位は選評つき

100位 Sombr『I Barely Know Her』
99位 Skrillex『Fuck U Skrillex You Think Ur Andy Warhol but Ur Not!!』
98位 Demi Lovato『It's Not That Deep』
97位 Lizzo『My Face Hurts from Smiling』
96位 Chance the Rapper『Star Line』
95位 Lucy Dacus『Forever Is a Feeling』
94位 Blondshell『If You Asked for a Picture』
93位 Freddie Gibbs & The Alchemist『Alfredo 2』
92位 Bar Italia『Some Like It Hot』
91位 PartyNextDoor and Drake『Some Sexy Songs 4 U』

90位 Bob Mould『Here We Go Crazy』
89位 Selena Gomez and Benny Blanco『I Said I Love You First』
88位 FOLA『catharsis』
87位 Amber Mark『Pretty Idea』
86位 Chaeyoung『Lil Fantasy Vol. 1』
85位 Momma『Welcome to My Blue Sky』
84位 Open Mike Eagle『Neighborhood Gods Unlimited』
83位 KAYTRANADA『Ain't No Damn Way!』
82位 Cuco『Ridin'』
81位 Brian Dunne『Clams Casino』

80位 They Are Gutting a Body of Water『LOTTO』
79位 Hannah Cohen『Earthstar Mountain』
78位 Mobb Deep『Infinite』
77位 CMAT『Euro-Country』
76位 Deftones『Private Music』
75位 Brandi Carlile『Returning to Myself』
74位 hannah bahng『The Misunderstood EP』
73位 Davido『5ive』
72位 Milo J『La vida era más corta』
71位 The Beaches『No Hard Feelings』

70位 Kelsey Waldon『Every Ghost』
69位 Monaleo『Who Did the Body』
68位 girlpuppy『Sweetness』
67位 Mavis Staples『Sad and Beautiful World』
66位 OsamaSon『Jump Out』
65位 Wolf Alice『The Clearing』
64位 Craig Finn『Always Been』
63位 Wet Leg『Moisturizer』
62位 Jensen McRae『I Don't Know How but They Found Me!』
61位 kwn『with all due respect』

60位 Cardi B『Am I the Drama?』
59位 Bon Iver『Sable, Fable』
58位 Tate McRae『So Close to What』
57位 Giveon『Beloved』
56位 Mark Pritchard and Thom Yorke『Tall Tales』
55位 Water From Your Eyes『It's a Beautiful Place』
54位 Mike『Showbiz!』
53位 Reneé Rapp『Bite Me』
52位 Alex G『Headlights』
51位 Central Cee『Can't Rush Greatness』

50位 Fuerza Regida『111xpantia』
49位 Lola Young『I'm Only F**king Myself』
48位 Not for Radio『Melt』
47位 Oklou『Choke Enough』
46位 Guitarricadelafuente『Spanish Leather』
45位 Little Simz『Lotus』
44位 Zara Larsson『Midnight Sun』
43位 Japanese Breakfast『For Melancholy Brunettes (& Sad Women)』
42位 Nourished By Time『The Passionate Ones』
41位 Pulp『More』

40位 Charley Crockett『Dollar a Day』
39位 Horsegirl『Phonetics On and On』
38位 Jim Legxacy『Black British Music』
37位 Amaarae『Black Star』
36位 Snocaps『Snocaps』
35位 Haim『I Quit』
34位 Karol G『Tropicoqueta』
33位 Lily Allen『West End Girl』
32位 Cameron Winter『Heavy Metal』
31位 Turnstile『Never Enough』

30位 Lorde『Virgin』
29位 Jennie『Ruby』
28位 Jeff Tweedy『Twilight Override』
27位 Sarz『Protect Sarz At All Costs』
26位 Eric Church『Evangeline vs. the Machine』
25位 Florence + The Machine『Everybody Scream』
24位 Teyana Taylor『Escape Room』
23位 PinkPantheress『Fancy That』
22位 Jade『That's Showbiz Baby』
21位 Lifeguard『Ripped and Torn』

20位 ジャスティン・ビーバー『SWAG』

もしジャスティン・ビーバーが「この人いったいどうしちゃったの?」という見出しの数々に答えようとしていたのだとしたら、『SWAG』以上の返答はないだろう。ここで鳴っている音楽的エネルギーと想像力は、ビーバーがこれまでで最も自信に満ちた状態にあることを示しているのだから。真面目な話、彼はこれまでに「Butterflies」ほど魅力的な曲を作ったことがあっただろうか? これほど率直で、メロディアスで、あふれんばかりの感情に満ちた曲。ほろ苦いR&Bの趣とポップの高揚感に加え、まさかのスマッシング・パンプキンズ直系とも言える震えるようなギター・フックまで備えているのだから。『SWAG』は、ビーバーが「自分は大丈夫」と証明するためだけの作品ではない──彼は自らをさらに更新しようとしているのだ。—R.S.

■ジャスティン・ビーバー『SWAG』徹底解説 創造的なサウンドで向き合った「大人としての現実」

19位 オリヴィア・ディーン『The Art of Loving』

現在26歳である英国のシンガーソングライター、オリヴィア・ディーンは「愛し方の極意」を究めたと主張するつもりはない。だが、その探求をとびきり楽しんでいるのは確かだ。「Nice to Each Other」では、物事を気軽に構えようと呼びかける彼女の言葉を、豊かなハーモニーがやわらかく包み込む。「Man I Need」では、〈あなたに”素晴らしいね”って言われるの、けっこう好き〉と茶目っ気たっぷりに歌い、揺るぎない自信とともに確かなヒットへと押し上げている。ディーンのスター性はまばゆいほどで、単なるカリスマ以上のものに支えられているのだ。
『The Art of Loving』が力を発揮するのは、ディーンのより憂いを帯びた瞬間が静かに根を下ろす、抑制の効いた小さな陰影のなかである。—L.P.

18位 Carter Faith『Cherry Valley』

17位 ビリー・ウッズ『Golliwog』

16位 シルヴァーナ・エストラーダ『Vendrán Suaves Lluvias』

15位 テイラー・スウィフト『The Life of a Showgirl』

12作目のスタジオ・アルバムで、世界最大のポップスターはさらに上の階層──超スター領域へと一気に駆け上がり、狙いをすべて的中させてみせた。「The Fate of Ophelia」でのフリートウッド・マック風のドラムと物悲しい鍵盤が鳴り始めた瞬間から、テイラー・スウィフトとマックス・マーティンは新たな音の航路を描き、虹色の輝きで弾ける全12曲を緻密に構築する。ここでのスウィフトはこれまで以上に大胆だ。「Father Figure」では〈股間を誇示する音楽業界の大物〉をまるで自分のことのように体現し、わざとらしい痛々しさの領域でも自身を更新してみせる。そして最後の表題曲では、先へと踏み出すアクト(サブリナ・カーペンター)を見つめながら壮大に締めくくる──指元には結婚指輪が光っているにもかかわらず、彼女が永遠に結婚しているのは〈ハッスル(仕事)〉なのだと証明するかのように。—M.G.

■テイラー・スウィフト、前人未到のさらに先へ──『The Life of a Showgirl』徹底解説

14位 アール・スウェットシャツ『Live Laugh Love』

13位 サブリナ・カーペンター『Man's Best Friend』

サブリナ・カーペンター特有の、きわどいニュアンスを含んだウィットが舵を取る本作7作目のアルバムは、「Espresso」や「Taste」といったヒット曲で大成功を収めた、”アップデートされた70年代パスティーシュ”へとさらにフォーカスを絞っている。彼女は少しABBAで、かなりドリー(・パートン)。シンセのレイヤー、軽やかなギターリフ、ファンキーでニューディスコなビートを背景に、ペンシルベニア育ちの彼女はどこかチャーミングなサザン訛りを響かせる。カーペンターの新曲群は、そのグルーヴィーさで一貫しており、彼女が味わってきた失恋や、男性たちへの失望が、現代的なデーティングの旅路へと彼女を連れ出す。男性と付き合う女性が通過させられる〈屈辱の儀式〉を、受け入れ、乗り越え、そして見事にひっくり返してみせるのだ。—B.S.

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12位 アディソン・レイ『Addison』

アディソン・レイがTikTokでバイラルダンスやビューティー案件を武器に上昇気流へ乗っていた頃、彼女をフォローしていた何百万人もの人々は、5年後の彼女がどこに立っているかなど想像もしていなかっただろう。
だがレイは、”予想外を期待すべし”と人々に思い出させる達人となった。彼女のセルフタイトル・デビュー作『Addison』は、エネルギッシュで発明的な、真の〈ポップファンによるポップアルバム〉だ。『Ray of Light』期のマドンナや、『In the Zone』期のブリトニー・スピアーズの趣も漂わせながら、あなたを踊らせることを目的とした作品である。このアルバムをより明るく輝かせているのは、彼女が心の内側をそっと見せる瞬間だ。「Times Like These」や「Headphones On」で垣間見える、家族の不和や不安へのさりげない言及が、その光度をぐっと高めている。—B.S.

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11位 FKAツイッグス『EUSEXUA』

予測不能な『Eusexua』全編を通して、FKAツイッグスはクラブの世界でも最も深い領域へと身を沈めていく。彼女はテクノのビート、ハウスのプロダクション、容赦ないインダストリアルな質感を掛け合わせ、「人間という形を超越できるほど”多幸的”」と彼女自身が語る空間を作り上げている。アルバムがもっとも魅力を放つのは、その”奇妙さ”に振り切れた瞬間だ──まるで、ストリーミングでヒットを狙うというより、ベルリンのベルグハインにあるパノラマバーのDJセットへと溶け込むことを目指しているかのように感じられる。ここでの焦点は、完全なる自由と本能だ。ツイッグスはエネルギーを再充電し、変容し、ときにまったく別人のようにすらなりながら、より強靭な存在へと進化していく。—J.L.

10位 プレイボーイ・カーティ『MUSIC』

アトランタ出身ラッパーの2020年作『Whole Lotta Red』は、ネット世代のアクト──それが数十であれ、見方によっては数百であれ──にとっての基礎文献となった。『MUSIC』において、プレイボーイ・カーティは、自分が”世代を定義する才能”である可能性を明確に意識しているように見える。
随所には、シンセのうねりが泡立ち、高く舞い上がる瞬間があり、その響きはまるでアリーナの光が数千人の観客へと降り注ぐかのような効果を生み出している。頂に立つカーティは、自ら歩んできた道のりを振り返り、目前に広がる景色に見とれ、そして避けようのない”下降”についても思いを巡らせる。ときに彼は、刺激に欠けるチャントへと落ち込んだり、ドラッグ、女性、車、敵対者を煽ることばかりに単調なほど執着したりもする。それでもなお、彼は唯一無二のポップスターとして周囲を惹きつけ続けるのだ。—M.R.

9位 ヘイリー・ウィリアムス『Ego Death at a Bachelorette Party』

ヘイリー・ウィリアムスは今年の夏、『Ego Death at a Bachelorette Party』をサプライズ・リリースした。それ以前には、この曲集を”レトロなウェブプレーヤー”を使って自身のサイトにひっそりアップロードしていたという経緯がある。そんな少し緩めのローンチとは裏腹に、このアルバムは彼女にとってこれまでで最もフォーカスの定まった音楽だ。これほど確信に満ち、自由に歌っているウィリアムスはかつてなかった。サウンド面ではフェニックスからTLCまで、幅広い影響を軽々と取り入れている。「Parachute」では、〈あなた、私の結婚式にいたよね……止めることだってできたでしょ〉と叫ぶ。こうしたロマンティックなトラウマはアルバム全体のテーマとなっているが、ウィリアムスはその先へ進む準備ができている。可能性が無限に広がる、新たな人生へと。
—M.G.

8位 ウェンズデイ『Bleeds』

「あなた、私のヌードをばらまいたよね/でも私、怒鳴ったりしなかった──あなたは死んじゃったから」。カーレイ・ハーツマンは「Townies」でそう歌い、Wednesdayの6作目となるアルバムのなかでもひときわ鮮烈な一行を放っている。『Bleeds』には、ノースカロライナのバンドとしての原点である、ざらつき、野性味を帯びたシューゲイズの要素がいまも息づいているが、そこには美しくも力強い「Wound Up Here (By Holding On)」、甘やかなバラード「Elderberry Wine」など、崇高かつ穏やかなロックも響いている。こうした揺れ動くサウンドスケープに、ハーツマンの恐れを知らない鋭利な歌詞が重なり、作品は”南部ゴシックの荒々しいオデュッセイア”へと昇華している。それがどれほど暗く沈み込もうとも、あなたはきっと何度でもその旅に戻りたくなるだろう。—A.M.

7位 タイラー・チルダース『Snipe Hunter』

タイラー・チルダースがケンタッキー流の”義なるゴスペル”を説き始めて、もう10年になる。リック・ルービンがプロデュースした『Snipe Hunter』は、彼がこれまで切り開いてきた道を、さらに三倍に広げてみせる作品だ。彼は狩猟やヒンドゥー教の経典について歌い、シンディ・ローパーからスティーヴン・フォスターまで幅広い楽曲を引き合いに出しつつ、ガレージロックからフィル・スペクター風ポップまで、新たな音の領域へ果敢に踏み込んでいく。「Down Under」ではコアラの性感染症についての一節が飛び出し、スコットランド民謡にインスパイアされたバラード「Tom Cat and a Dandy」では、ハレ・クリシュナの詠唱が冒頭を飾る。『Snipe Hunter』は、こうした大胆な試みのすべてを自然なものとして成立させ、チルダースを”いま最もビジョナリーなカントリーアーティスト”として確固たる地位に押し上げている。—J. Bernstein

6位 クリプス『Let God Sort Em Out』

2000年代の最初の10年、クリプスほどストイックな基準でヒップホップを作っていたアクトはほとんどいなかった。2009年以来となる本作で、プシャ・Tとマリスがいまなお”氷のように冷徹なリリカル・キングピン”であることが改めて証明されている。
「P.O.V.」では、彼らの”高級車ワードプレイ”が最高の形で発揮される。「EBITDA」では、ビジネススクールで習う〈利息・税金・減価償却前利益〉という専門用語を、忘れがたいフックへと転化してしまう。「F.I.C.O.」ではクレジットスコアをタイトルに掲げ、高速道路での命知らずな密輸行を鮮烈に描き、背筋に冷たいものが走るほどだ。もちろん頭字語がタイトルに付いていない楽曲も、同じくらい優れている。—S.V.L.

5位 ギース『Getting Killed』

ロックミュージックが「新しい方向へと導かれる」という考え方は、2025年のいまや少々無理のある概念に思える。だが、そこへ登場するのがギース(Geese)だ。彼らは3作目となる驚くほど独創的なアルバムで、ロックをいったん分解してから、鋭く、ざわつくようで、どこか微笑むように奇妙な何かへと再構築してみせる。どの曲も、落ち着かない発見の気配に満ちている──歪んだソフトロック風スローダンス「Cobra」、ガチャガチャとした讃美歌のような輝きを放つ「Taxes」、そして腹に響くブギー「Bow Down」まで。「自由になれるさ」とキャメロン・ウィンターは、皮肉のかけらもなくうめくように歌う。もしあなたが彼らほど自由でいられるのなら、人生はかなりうまくいっているはずだ。—J.D.

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4位 ディジョン『Baby』

ディジョン(Dijon)の音楽は、時間や場所との関係がきわめて柔軟だ。時代もジャンルもムードも自在に横断し、馴染み深さと万華鏡のような多彩さを同時に備えた何かを生み出している。2作目となる本作『Baby』では、炎のようなアドリブ、黄金期ヒップホップのサンプル、逆再生されたように渦を巻くボーカルリフなど、さまざまな音の断片が、漆黒の夜を貫く光の筋のようにあちこちから突き出してくる。「実験的」という言葉が作品全体を最もよく表しているのは確かだが、Dijon はより伝統的なR&Bに近い領域にも身を置くことができる。「Kindalove」の最後では、そのテーマをまとめるように〈必要なときに君の愛が雷みたいに俺を撃つんだ!〉と歌い上げる。まさに彼がいま私たちにしてみせたことを、そのまま言葉にしているのだ。—J.I.

■Dijon『Baby』徹底解説 ジャスティン・ビーバーも魅了した実験的R&Bの新たな到達点

3位 ロザリア『LUX』

ロザリアは、いまやポップにおける”最も挑発的なカオスの使者”であることを完全に証明してみせた。そして『LUX』は、いまの音楽シーンにおいて他に比肩するものがまったく存在しないサウンドとして鳴り響いている。アルバムを”システムへの衝撃”たらしめているのは、彼女の不遜さだ。偉大な作曲家たちからの影響を汲み取りながら、モーツァルトを”バディ(悪友)エナジー”で、バッハを”ブロント(吸いかけのブランツ/ジョイント)片手に”、という態度で臨んでいる。

最終的にこのアルバムが成功しているのは、どの曲も深い思索に裏打ちされ、激しく心からの表現であるからだ。それらは「私たちはいったいここで何をしているのか」という壮大な問いへと結びついていく。彼女は痛みや喪失、怒りや悲嘆、セックスや欲望、愛と崇拝を扱いながら、自分が何者で、どう愛し、どんな霊的な力に突き動かされているのかをより深く理解しようとする。—J.L.

■ロザリア『LUX』徹底解説──他の誰にも作りえない、時代を超越した真の芸術作品

2位 レディー・ガガ『MAYHEM』

レディー・ガガの最新アルバム『Mayhem』の発表前には、”ガガが原点へ戻る”という話題が多く飛び交っていた。リトル・モンスターたちにとって、それはあまりにも長く待ち望んだ瞬間だったのだ。このアルバムでのガガは、最初から最後まで”最も本来の自分”として存在しつつ、彼女の核となるサウンドを抱きしめ、そして進化させている。

キャリアの中でも最も野心的で多様なサウンドを備えた本作で、彼女はナイン・インチ・ネイルズ、デヴィッド・ボウイ、プリンス、そして『Fame Monster』期の自分自身を融合させている。その結実が、今年最も強度の高いポップ・アルバムだ。—B.S.

■レディー・ガガが語る『MAYHEM』の真実、自分らしさとカオスの追求

1位 バッド・バニー『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』

6作目のアルバム『Debí Tirar Más Fotos』で、バッド・バニーは聴き手を”凱旋”へと連れ出す。プエルトリコの豊かで多彩なジャンルを横断する全17曲は、まさに故郷の万華鏡だ。ベニートは『Un Verano Sin Ti』の最良の瞬間を受け継ぎながら、その絶え間なく実験を重ねるサウンドをさらに押し広げ、プエルトリコのフォーク音楽やサルサという未知の領域に踏み込んでいく。文化的に極めてローカルに根ざした作品でありながら──いや、その”特定性”ゆえにこそとも言えるが──『Debí Tirar Más Fotos』は2025年を席巻した。

ニューヨークの街角でも、サンフアンでも、そしてその先の世界でも、このアルバムは響き渡り、バッド・バニーが歴史を塗り替える後押しとなった。彼はプエルトリコのエル・チョリで初のレジデンシー公演を行ったアーティストとなり、2026年には”No Quiero Ir De Aqui Tour”を世界規模へ広げ、スーパーボウルのハーフタイムショーでヘッドライナーを務め、さらにノミネートされている6部門のグラミーのどれかを手にするかもしれない。このアルバム、そして今年の圧倒的な成功は、揺るぎないボリクア(プエルトリコ人)としての誇りがバッド・バニーをどこまで連れていけるのかを示す証でもある。—M.G.

■バッド・バニーが語る、音楽・俳優業・プロレス・政治「自分が何者なのかを世界に示す」

From Rolling Stone US.
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