日本でも数々のドラマや映画主題歌のヒット曲を持つシェネル(CheNelle)。新曲「そのままでいいよ」はSNSを中心に不寛容になってしまっている世界を憂い、「耐えなくていいよ そのままでいいよ」と歌うバラードだ。
シェネルの伸びやかで力強い歌声には、優しさも悲しみも慈愛も滲んでいて、とても説得力がある。2007年にアメリカのヴァージン・レコードより世界デビューしてから約20年。多くの経験を積む中で育まれてきた健全なマインドが「そのままでいいよ」にもはっきりと反映されている。

―新曲「そのままでいいよ」は生きづらさを抱える人に送るメッセージソングですが、どういう流れでできていったんでしょう?

シェネル:最初に聞いたデモはメロディだけだったんですが、とても美しくて「これにもうちょっと深みを持たせたい」とレーベルのスタッフにお伝えしました。私は常に人生で得る学びやどうバランスを取るかということを歌いたいと思っていましたが、それをお伝えせずとも送られてきた曲のテーマが「生きる」でした。偶然私の人生観に合致した歌詞が送られてきて興奮しました。「そのままでいいよ」っていうタイトルも含めて私が言いたいことを完璧に伝えられる曲になると思ったんです。

―まさに「現代をどう生きるか」ということが書かれている曲です。どこに一番ぐっときましたか?

シェネル:生きていくことは大変だけど、そのつらさには理由がある。絶対に学びがあるから前向きに生きていきなさい、といったメッセージがあるところです。

―〈小さな命に触れて今 伝えたい ありがとう〉というラインがありますが、シェネルさんには小さなお子さんがいらっしゃいますよね。

シェネル:作家の方は私がどういう状況かを知らずに書いてるんですよね。
この歌詞はいろいろな捉え方ができると思います。「小さな命」はボーイフレンドのことかもしれないし、仕事のことかもしれないし、ペットのことかもしれない。さまざまなものに当てはまると思いますが、私の状況にも見事にハマった歌詞だと思います。

―〈誰かが叫ばなきゃ いけないなら 私が歌うわ〉や〈あなたがわかるまで歌うの〉というラインは歌手としての覚悟が必要だと思いましたが、どう受け止めましたか?

シェネル:この歌詞も何通りかの解釈ができると思っています。言いたいことを言ってしまうことに対して怖さを感じる人はいると思います。誤解をされるのではないかと思ったり。でも、自分らしく生きるために声を上げてもいい、というメッセージがひとつの解釈としてあると思います。

―歌唱の面でこだわったことはありますか?

シェネル:まず、とにかく意志をしっかり持って歌いたいと思いました。子どもの頃に聴いて今でも記憶に残っている曲は自分が強く共感できた曲なんですよね。単に「かっこいい」とかで終わるのではなく、何かを感じ取ってもらえる歌にしたいと思いました。感情もエネルギーも込めて、レコーディングに向き合いました。楽しかったです。


―サビの〈耐えなくていいよ そのままでいいよ〉の「いいよ」の部分のアレンジがフックになっていますよね。

シェネル:とてもキャッチーでいいですよね。アレンジに関して意見をいろいろ言わせてもらったので、完成するまでにワクワクしました。私が一番こだわったのは各楽器の音量の調整です。いろいろな楽器が使われているのでベストなバランスにしたかった。その中でボーカルはある程度際立っていなきゃいけないということもあって、結果的に良いバランスに着地したと思っています。

―「誰かの怒りが今日も数字になる」というラインはインプ稼ぎのSNSのことだと受け止めました。シェネルさんは今のSNS社会をどう見ていますか?

シェネル:カオスな世の中ですよね。でもカオスだということを理解することで希望が見えてくると思うんです。つまり、他人のことをコントロールすることはできないと悟ることで、自分にフォーカスを当てて自分を大事にする。そのことでエネルギーが湧いてくることもあるのではないでしょうか。私も昔は何か嫌なことが降りかかってきた時に、人や世の中や親のせいにしてしまっていました。
それは精神的に未熟だったから。今のようなマインドになるまでには時間がかかりました。経験と学びと好奇心が人を成長させると思ってます。

―好奇心も重要なわけですね。

シェネル:好奇心があるから学ぶ気持ちになれると思うんです。学んだことをどう自分に適用できるかということを知りたい。昔は今私が話しているようなことを人から聞いてもちゃんと理解ができなくて、だからこそどういうことなのか知りたくて自己啓発セミナーを受けたりしました。そうやって自分を見つめたことが癒しの気持ちを生んだんです。

―そういったマインドの変化は音楽活動にどんな影響がありますか?

シェネル:私は音楽家なので、自分の想いは曲を通して伝えます。自分を愛すること、自分を大切にするということを伝える歌を歌っていきたいと思っています。すべてを内包する曲でもいいですし、その一端を宿した曲でもいいですが、そういう曲を表現していく。人が共感できるポイントはさまざまだと思いますが、何かしらを私の曲から見出してもらえたらいいなと思っています。
娘が生まれたことで、自分をどう愛し受け入れられるかっていうことをより考えるようになりました。人生は浮き沈みもあるし、逃れられない困難もあります。なぜそういったことが起きるかを理解し、受け入れ、すべてを愛するという段階に今の私はいます。まだまだ学ぶことは多いですね。

―今話していただいたことが、まさに「そのままでいいよ」に繋がっていますよね。

シェネル:そうなんです。あと、セルフヒーリングの考え方ややり方は日本ではまだまだ浸透していないので、それについて話すポッドキャストを始めました。

―海外と比べて日本ではセラピーもあまり根付いていませんよね。

シェネル:そうですよね。日本は文化的に自分の悩みを他人に話すことに対して抵抗があるのかもしれません。いずれもっと根付いていくとは思っていますし、私のポッドキャストを耳にしたことで、自分の状況と照らし合わせて「これでいいんだ」って思えるようになった人がいたら嬉しいです。

―約半年前にはDa-iCE花村想太さんとのデュエットソング「I'll be by your side」をリリースされていました。
どんな経験になりましたか?

シェネル:花村さんは最初はシャイな印象でしたが、徐々にリラックスして打ち解けていきました。面白い方で一緒に映像を撮ったりして楽しかったですね。いつも踊ってて超かわいかったです(笑)。あれだけ歌が上手い人とご一緒できる楽しさを改めて感じました。ああいったエネルギーを持ってるシンガーとコラボしたのは初めてだったし、そのエネルギーが曲に込められました。歌っててとても気持ち良い曲なので、コラボを引き受けてもらえて本当に良かったです。

―他のアーティストとも複数回コラボをされていますが、どんなポジティブな影響がありますか?

シェネル:誰かと歌うこと自体がとても楽しいので、もっとコラボがしたいですね。今はDef Techとコラボがしてみたいです。Shenとは昔から知り合いなんですが、お互いが忙しくて実現していないんです。日本のアーティスト以外にもたくさんコラボしたい人はいるので、今後を楽しみにしていてほしいです。

―デビューから約20年経ちますが歌へのマインドに変化はありますか?

シェネル:長いことパフォーマンスをして、歌って、曲を書いてきたからこそ感じられている自分に対する安心感を大事にしていきたいです。決して失いたくないものですね。


シェネルが語る、セルフヒーリングの哲学「世界が不寛容でも、自分は自分でいい」

「そのままでいいよ」
シェネル(CheNelle)
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