Chevonの猛烈的な進化が止まらない。10月から約1カ月にわたる対バンツアー「よしなに~全国編~」に繰り出した3人は、全国各都市を巡りながら、UNISON SQUARE GARDEN、フレデリック、THE ORAL CIGARETTES、須田景凪、indigo la Endとの対バンを重ね、11月15日、ツアーファイナルの地であるZepp Hanedaに辿り着いた。
敬愛する先輩アーティストたちと鎬を削る懸命な日々を経て、3人は、Zepp Hanedaのワンマンライブの舞台で、どのような現在地を示し、また、どのような未来を描いたのか。順を追ってレポートしていきたい。

【画像】Chevon、対バンツアーファイナル(全14枚)

並々ならぬ高揚感と緊張感が満ちる開演前のフロア。定刻になると、まるで地獄の奥底で執り行われる儀式のようなトライバルなSEが鳴り渡り、サポートドラマーの小林令、Ktjm(G)、オオノタツヤ(B)、そして、谷絹茉優(Vo)がステージイン。4人で向き合い熾烈な一撃をブチかまし、1曲目の「冥冥」へ。サビ前、谷絹が「こい」と呼びかけると、観客が〈冥冥〉のコールをばっちりきめ、さらに谷絹が「最後なんだ、歌ってくれ、羽田!」と叫ぶと、ライブ冒頭とは思えないほど壮大なシンガロングが巻き起こる。その光景を見て、笑顔を浮かべる谷絹。激的な幕開けから一転、「さよならになりました」から、谷絹の歌心や文学的な詩情を帯びた歌詞をフィーチャーした展開へ。「サクラループ」では、フロアを指差しながら〈君に向かって飛んで行け〉と歌い、「セメテモノダンス」では、〈せめて君だけでも踊らせるよ〉という歌詞を〈いつだって目の前の君だけでも踊らせるよ〉と替えて歌う。まるで、一人ひとりの観客と歩幅を合わせながら丁寧に手を取り合うかのような温かな一体感が、会場全体に満ちてゆく。

Chevonが対バンツアーファイナルで描いた未来、2026年横浜アリーナの舞台へ

谷絹茉優(Vo)(Photo by タカギユウスケ)

「ハルキゲニア」で〈君〉への想いを真摯に歌い上げた谷絹は、対バンツアー「よしなに~全国編~」を敢行した理由について語った。今年から幕を開けたChevonの第二章。
しかし、谷絹が「このまんまじゃ、気持ち的に、身体的に、潰れてしまうと思った」と赤裸々に明かしていたように、本人たちの中にはある種の危機感があったという。「だから、我々をつくり上げてきてくれた、Chevonの根幹にある先輩たちにボコボコにしてもらって、叩かれれば叩かれるほどよく切れる一本の刀になってやろうと思って」。そう告げた谷絹は、「心も身体も思いっきり打たれました」と今回の対バンツアーを振り返りつつ、「皆さん、ここまで辿り着いた私たちを観れるのはラッキーですね」と不敵に呼びかける。そして、突如、鮮烈なサウンドを一撃かまし、「ですとらくしょん!!」へ。重厚でエッジー、そしてタイトに洗練されたバンドアンサンブルは、この短期間を通してChevonが何段階もビルドアップしたことを雄弁に物語っていた。熾烈にぶつかり合うKtjmのギター、オオノのベース。混沌としているが、同時に、調和を果たしている。4人の意志が渾然一体となった渾身の音塊に、圧倒されつつも惚れ惚れとしてしまう。その後も容赦なく畳み掛けられていく楽曲の数々。「ここまで辿り着いたお前らとうちらならやれますね?」「ライブつくってんのはうちらじゃなくてお前らだからな」「伝説にするぞ」と煽り続ける谷絹。熱烈なバイブスが会場全体を包む中、ここで最新曲「FLASH BACK!!!!!!!!」がドロップされる。高速の4つ打ちのビートの中で、谷絹の歌と観客のコールが分かちがたく結び付き合いながら果てしない狂騒を生んでいく。
まだリリースされたばかりの楽曲にもかかわらず、観客の力も相まって、既に弩級のライブアンセムと化していた。

Chevonが対バンツアーファイナルで描いた未来、2026年横浜アリーナの舞台へ

Ktjm(G)(Photo by タカギユウスケ)

Chevonが対バンツアーファイナルで描いた未来、2026年横浜アリーナの舞台へ

オオノタツヤ(B)(Photo by タカギユウスケ)

怒涛の展開が続く中、ここでMCへ。谷絹は、2022年に20~30人の観客を前に初開催した「よしなに」以降の軌跡を振り返りつつ、「うちらがすごいんじゃなくて、みんながすごいんだからね」「よくまぁ見つけてくれましたよ。コロナ禍で始めた、こんな変なバンドを」と感慨深げに告げた。そして、これからバンドも「よしなに」もさらに大きくなっていくと予告しつつ、「さぁ、これから何人が我々とこれからも『大行侵』してくれるのでしょうか?」と問いかけ、「大行侵」へ。3人と一人ひとりの観客が、次なる未来へ向けて共に闊歩してゆくような壮絶な一体感が会場を満たす中、続けて「antlion」へ。そして、アンコールはやらないと断言した上で、「我々のはじまりの歌」として「No.4」を披露。ラストサビ前、谷絹は、「ここまでお互いいっぱい泣いてきたけど、今日ぐらい全部忘れて盛り上がって帰ってちょうだーい!」と叫んだ。大歓声が止まぬ中、 「銃電中」へ。この日一番大きな一斉ジャンプとコールが沸き起こる中、ついにラストナンバーの「ダンス・デカダンス」へ。壮絶な狂騒空間を見つめながら、「あーあー、バイバイだ。もっとデカいとこで会おうぜ、それも近いうちに」と告げる谷絹。
そして最後に、「今世、あなたたちがChevonで踊ることはもう確定しています」「へこたれることがあっても、これがリアル」「これからも共依存でいこうぜ!」と叫び、今回の公演、および、今回のツアーは、超絶怒涛の大団円を迎えた。メンバーが退場した後、ステージに幕が降り、「大事なお知らシェ」を告げる映像が映し出される。エイベックスのレーベルcutting edgeよりメジャーデビュー決定、2026年春にメジャー1stアルバム発売決定、そしてワンマンツアーも決定。ファイナルの舞台は、なんと横浜アリーナ。いつまでも止まない歓喜の声、温かな拍手。あまりにも感動的な時間・空間だった。

Chevonが対バンツアーファイナルで描いた未来、2026年横浜アリーナの舞台へ

(Photo by タカギユウスケ)

Chevonが対バンツアーファイナルで描いた未来、2026年横浜アリーナの舞台へ

(Photo by タカギユウスケ)

総じて、今回のChevonのライブから、一人ひとりの観客を圧倒しつつ、同時に優しく包み込むような、二律背反的な懐の深さを感じた。今回の対バンツアーを経て、間違いなくChevonは、より強く、そして、より優しくなった。より優しく、より強くなった、とも言い換えられるかもしれない。とにかく、飛躍的に進化した。横浜アリーナを掌握する景色も、既にはっきりとイメージできるし、きっと3人なら、これから約1年をかけてさらに進化しながら、そのイメージをも超越していくことだろう。期待しつつ、これからも3人の歩みを追いかけ続けていきたい。


セットリスト
1. 冥冥
2. さよならになりました
3. サクラループ
4. ノックブーツ
5. セメテモノダンス
6. 新曲
7. ハルキゲニア
8. ですとらくしょん!!
9. 革命的ステップの夜
10. るてん
11. Banquet
12. FLASH BACK!!!!!!!!
13. 大行侵
14. antlion
15. No.4
16. 銃電中
17. ダンス・デカダンス

Official HP:https://www.chevon.biz/
編集部おすすめ