6月から8月にかけて、追加公演を含む全4公演から成る「2nd ONEMAN TOUR "NEBULA"」を堂々と完遂してみせたCLAN QUEEN。〈壮大な自分探し〉の旅を経て、3人は既に次のフェーズへ進み始めた。
新しい幕開けを飾ったのが、11月、12月に東京と大阪で行われたCLAN QUEENの2MAN LIVE「MIRAGRAM」。この記事では、THE ORAL CIGARETTESを対バン相手として迎えた11月29日(土)のKT Zepp Yokohama公演の模様をレポートしていく。

【画像】CLAN QUEEN、THE ORAL CIGARETTESとの2マン(全40枚)

CLAN QUEENがオーラルを敬愛していることは以前から広く知られていたが、オーラルの山中拓也(Vo・G)が語ったAOi(G)との出会いのエピソード、CLAN QUEENに寄せる期待、また、AOiとマイ(B)が語ったオーラルへの愛とリスペクトは、はっきり言って想像以上に濃く、深く、揺るぎないものだった。その必然として、とてつもない対バンが成り立っていた。CLAN QUEENにとっての一つの夢が叶ったメモリアルな一夜の模様を、順を追って振り返っていきたい。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

THE ORAL CIGARETTES(Photo by Ryotaro Kawashima)

先攻はオーラル。SEが高らかに鳴り渡り、激しくライトが明滅する中、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B・Cho)、中西雅哉(Dr)、そして山中がステージイン。既にして凄まじい熱気。山中が、「はじめましての人も多いと思います。我々がオーラルです!」「あいつらの夢に応えたいと思います」と告げ、「Dream In Drive」からライブが幕を開ける。あまりにも粋な選曲だ。グラマラスな輝きを帯びたロックサウンドが次第にフロアを沸き立たせ、サビでは、山中の歌がまるで一気に天高く飛翔するように鮮やかに響きわたる。
観客は負けじと、力強く拳を突き上げながら懸命に伴走していく。「最後までその調子でよろしく」「やれるやつ、どんどんこい」。山中が不敵に呼びかけ、「Mr.ファントム」へ、続けて「カンタンナコト」へ繋ぐ。怒涛のキラーチューン祭りを受けてさらに沸き立つフロア。観客は、何度もジャンプを繰り返し、ヘドバンしながらコールをきめていき、フロントの3人はそれぞれステージのお立ち台に上がりゼロ距離で応戦していく。狂騒空間のど真ん中で、山中が「CLAN QUEENのファンの方も一緒にいこう」「誰も置いていかない。全員でいこう」と優しく呼びかけていた姿も忘れられない。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

山中拓也(Photo by Ryotaro Kawashima)

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

鈴木重伸(Photo by Ryotaro Kawashima)

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

あきらかにあきら(Photo by Ryotaro Kawashima)

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

中西雅哉(Photo by Ryotaro Kawashima)

ここで山中は、「キスキルからどんどんやっていこか」と告げ、2018年リリースのアルバム『Kisses and Kills』から「What you want」を披露。同アルバムを掲げて行われたツアーの横浜アリーナ公演(2019年3月)にAOiとマイが観客として参加していたことを受けての選曲だ。続いて、山中がCLAN QUEENのファンに向けて「暗いの好きでしょう?」と問いかけた上で、同じく『Kisses and Kills』から、「PSYCHOPATH」を披露。まるでサイコパスの脳内に侵入するかのような感覚をもたらすスリリングなロックナンバーを受け、会場全体の熱気がさらに高まる。そして山中は、まるで狂気の化身の如く豪快に高笑いしながら、フロアの熱狂をさらに容赦なく扇動していく。
次の「BUG」では、山中の動きに合わせ、観客が左右の手を交互に上げながら狂騒空間をさらに熱く彩る。まるでオーラルのワンマンライブのような光景だ。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

THE ORAL CIGARETTES(Photo by Ryotaro Kawashima)

ここで山中が、AOiとの出会いを語り始める。山中がAOiと出会ったのは、まだCLAN QUEENを結成する前のタイミング。当時、AOiは、同世代が次々と躍進していく悔しさを山中に打ち明けたという。「あいつの弱いところを全部聞かせてもらった」。そう告げた山中は、その後のCLAN QUEENの躍進を称え、AOiがここまで来れたのは、メンバー、そしてファンが支えてくれているからこそ、と前置きした上で、「俺のかわいい弟のAOiをここまで救ってくれて本当にありがとうございます!」と叫んだ。フロアから送られる温かな拍手(なお、このシーンを2階の下手側から観ていたAOiは、両手を手で覆っていて、後にAOiの口から、この時泣いていたことが明かされた)。

ここから、一気にラストスパートへ。「狂乱 Hey Kids!!」、そして「DUNK feat.Masato (coldrain)」。次々と畳み掛けられていく弩級のキラーチューン。続けて、山中が「CLAN QUEENがだっさいライブしないように俺らが思いっきりケツ叩いていきます!」と告げ、「BLACK MEMORY」へ。
そして、「憧れに勝つために、自分だけのスタイルを見つけてください」「あなたはあなたらしく、まっすぐ進んでいってください」と呼びかけた山中が、「5150」の歌い出しの歌詞を歌うと、すぐさま観客の大合唱が巻き起こり、そのまま圧巻のクライマックスへ。山中のMC、また、〈叶えたい想いは あなたが歌えばいい〉という歌詞は、一人ひとりの観客へのメッセージであると同時に、CLAN QUEENへのメッセージでもあったのかもしれない。並々ならぬ高揚がフロアを満たす中、バトンは、CLAN QUEENへと託される。

転換を経て、ついに幕を開けた後攻のCLAN QUEENのステージ。自己の在り方を巡る切実な独白。次第に、壮大にして荘厳なSEが轟き、yowa(Vo)、AOi、マイがステージイン。1曲目は「自白」。絶えず思考を促し続ける一つひとつの言葉が、一人ひとりの観客に対して自分探しの旅の当事者であることを強く求める。あまりにも壮絶なライブ体験だ。続いて、その曲名のとおり疾走感に満ちた「SPEED」へ。AOiが豪快にかき鳴らし続けるコードリフに駆動される形で、脳内の思考と身体の躍動が分かちがたく結び付いていく。AOiが「来いよ」と煽ると、さらなる高揚感がフロアに沸き立つ。
次の「MONOPOLY」で、「横浜やれますか」と問いかけたyowaが、あまりのフロアの盛り上がりっぷりを前にして「いいね」と思わず呟いた一幕も忘れられない。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

CLAN QUEEN(Photo by Ryotaro Kawashima)

MCパートで、AOiは、「いやー、泣いちゃいましてね、さっき」と赤裸々に明かしつつ、「今日は夢が叶った日なんで」「僕たちは僕たちの戦い方でやばい景色見せてくんでよろしくお願いします」と力強く宣誓。フロアから送られる熱い歓声。話題は、今回の2MAN LIVEのタイトル「MIRAGRAM」へ。この言葉は、「Mirror(鏡)」と「~gram(記録)」を組み合わせた造語であり、自分たちのルーツである対バン相手と鏡のように向き合うことでCLAN QUEENの現在地を記録する、という意味合いが込められているとのこと。続けてAOiは、神社の御神体の奥には鏡があることを説明した上で、「かがみ」という文字列を分解すると「神」の間にあるのは「我」であり、つまり、神社の御神体の奥の鏡にお祈りすることは、自分自身に対して願いを込めていることと同義である、と語った。「皆さんが、自分のことを信じて願いを叶えてほしい」「そういった願いを込めて」という言葉を添えて、「ORDER」へ。その後も、「天使と悪魔」や「踊楽園」など、これまで3人が数々のライブを通して磨き込み続けてきたCLAN QUEEN流ライブアンセムが次々とドロップされていく。目まぐるしい展開の中で、先ほど山中が語った「憧れに勝つために、自分だけのスタイルを見つけてください」「あなたはあなたらしく、まっすぐ進んでいってください」という言葉を思い出した人は少なくなかったと思う。この日披露された一つひとつの渾身の楽曲は、まさにCLAN QUEENが確立した独自のスタイルの結実であり、その積み重ねの先に、この日の夢の一夜がある。まだライブは中盤だが、既にして胸がいっぱいになる。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

yowa(Photo by Ryotaro Kawashima)

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

マイ(Photo by Ryotaro Kawashima)

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

AOi(Photo by Ryotaro Kawashima)

再び訪れたMCパート。
AOiは、「今日ぐらいちょっとね、長めに喋らせてほしいんですけど」と前置きしつつ、高校生の時に友達がカラオケで「5150」を歌っていたのを聴いたことがきっかけでオーラルを好きになったこと、また、低音でラップをするスタイルは山中からの後押しがあって確立したものであることを語った。そして、大学時代にマイと出会ったのもオーラルがきっかけだった、という話題から、珍しくマイが長尺のMCを始める。マイにとってオーラルは、「私が初めて生き様がかっこいいと思った人たち」であり、ネガティブな性格ゆえに周りの誰も信用できなかった高校生の時に唯一の味方でいてくれたのが、オーラルの楽曲であり、山中のMCだったと振り返る。その後、マイは、「私も、私らしいかっこよさを見つけたい」という想いを胸に美大に進学。現在、ベースと並行して映像監督の仕事をしていることについて、「それが自分のかっこよさ」と語り、続けて「今日ぐらいは自分を褒めてあげようかなと思いました」と告げた。フロアから送られる温かな拍手。そして、AOiが「キラーチューン祭り、始めます」と不敵に宣誓してライブが再開。まずAOiの「自白」のラップが放たれ、yowaが次のバースを歌い始めた瞬間、今披露されている曲がオーラルの「カンタンナコト」のカバーであることが明らかになり、会場全体が瞬く間に沸き立つ。なお、2番では、AOiは「ゲルニカ」のラップをマッシュアップしていた。単なるコピーではなく、自分たちの生き様を刻んだ渾身のカバーだった。

CLAN QUEENの夢が叶った夜、生き様を刻んだTHE ORAL CIGARETTESとの2マン

CLAN QUEEN(Photo by Ryotaro Kawashima)

いよいよライブはクライマックスパートへ突入。マイが台の上に上がり、ダイナミックにバウンスするベースを轟かせ、AOiが「今日は俺たちが番狂わせに来ました」と告げ、「APPLE」へ。
まるで地獄の奥底から響き渡るようなドープな轟音に合わせ、何度もヘドバンを繰り返す観客たち。凄まじい光景だ。次の「プルートー」では、観客が何度も一斉ジャンプを繰り返し、その熱量は「ゲルニカ」へと引き継がれ、さらに猛烈なデッドヒートが展開。3人も観客も全身全霊。ついに、ラスト2曲。「PSIREN」の終盤、堰を切ったように流れ出す白い轟音。胸の内で昂る万能感、全能感。音源で聴く時とは似て非なる感覚が全身に満ちる中、間髪入れずに最後の1曲「チェックメイト」へ。〈壮大な自分探しさ あなたを 探してゆこう〉という歌詞は、3人が自分たち自身を鼓舞する言葉でありつつ、同時に、そのまま一人ひとりの観客へのメッセージとして響く。そして、yowaがマイクを天高く突き上げるのと同時にこの日一番の大合唱が巻き起こり、熱烈、かつ、鮮やかな〈チェックメイト〉。夢の一夜を熱く締め括る圧巻の大団円だった。今回の2MAN LIVE「MIRAGRAM」を通して、憧れの存在であるオーラル、また、大阪公演の対バン相手であるyamaと、鏡に対峙するように深く向き合った3人は、ここからまた次の旅路をゆく。

セットリスト

THE ORAL CIGARETTES
1. Dream In Drive
2. Mr.ファントム
3. カンタンナコト
4. What you want
5. PSYCHOPATH
6. BUG
7. 狂乱 Hey Kids!!
8. DUNK feat.Masato (coldrain)
9. BLACK MEMORY
10. 5150

CLAN QUEEN
1. 自白
2. SPEED
3. MONOPOLY
4. ORDER
5. Bad End
6. 天使と悪魔
7. 求世主
8. 踊楽園
9. カンタンナコト(Mash up Cover)
10. APPLE
11. プルートー
12. ゲルニカ
13. PSIREN
14. チェックメイト

<ライブ情報>

CLAN QUEEN
ONEMAN TOUR 2026

2026年4月11日(土)北海道 PENNY LANE 24
16:00 / 17:00
2026年4月19日(日)福岡 BEAT STATION
16:30 / 17:00
2026年5月8日(金)愛知 Zepp Nagoya
18:00 / 19:00
2026年5月10日(日)大阪 Zepp Osaka Bayside
17:00 / 18:00
2026年5月15日(金)東京 Zepp DiverCity
18:00 / 19:00

Ticket ¥6,500+1D

オフィシャル先行 受付:2025/12/25(木)18:00~2026/1/5(月)23:59
オフィシャル先行URL https://l-tike.com/clanqueen/
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