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ケプラからKEPURAへの改名がもたらしたのは、青い春を真っ直ぐに描き出す瑞々しい筆致からの脱却と、ドリーミーで霧かかったアンサンブルへの挑戦だけではない。むしろこの音楽的な変化は副産物にすぎず、真に4人が手にしたかったものとは、自らのやりたいことを誰にも譲らないためのチケットであったようだ。
新たなるスタートラインに到達するため、彼らはどのような会話を重ね、いかにして足掻いてきたのか。名前を変えても揺るがなかった4人でいることへのこだわりと、変化の軌跡を語ってもらった。
「4人で楽しく音を鳴らすことに対する思いは、最初から変わってない」(hayato)
―皆さんは今年の9月にケプラからKEPURAへと名前を変え、活動再開を果たしたわけですが、そもそもどのような思いで2025年6月に活動の一時停止を発表したのでしょう。
hayato(Dr):前提としてネガティブな気持ちは全くなかったんですよね。ただ、ケプラとしてやってきたことと世間の人が僕たちに抱いてきたイメージ、そして自分たちが本当にやりたいことのギャップが大きくなっていく感覚があって。話し合いを重ねる中で、挑戦してみたい方向が固まってきたこともあり、一度きちんと宣言をした上で時間をもらうことにしました。
―パブリックイメージと4人で響かせたい音楽像の乖離は、どのような場面で感じ始めたものだったんですか。
kenta(Gt):お客さんに寄り添おうとするあまり、自分たちの軸を見失っていたというか。「ケプラだったら何をやるべきなんだろう」「今のお客さんに対しては、こういう曲が良いんじゃないか」と自分たちの作りたいもの以上に、周囲を優先しすぎてしまっていたんです。
ritsuki(Vo, Gt):やっぱりケプラのイメージだけが、どんどん独り歩きをしてしまったんですよ。
kazu(Ba):4人で話す機会が減ったわけでも、みんながバラバラの方向を向いていたわけでもないけれど、ちょっとずつできることが狭まっていく感覚があったんです。ケプラがどうなるべきかをそれぞれが考えていたからこそ、本当はもっと自由にするべきにもかかわらず、臆病になってしまっていたのかなと。
―そういった乖離を乗り越えたり、自分たちがやりたい音楽を見つめ直すための充電期間だったと思うのですが、いかにして新しいバンド像を作り上げていったのでしょう。
hayato:とにかくスタジオに入って、何も考えずにただ音を鳴らしていきました。「こういうバンドみたいな作品を作りたい」とか、「このルーツを辿ってみたい」とかもなく、結成したての頃みたいに大きい音を鳴らせる喜びを受け止めるようになったんです。この気持ちを表現するためにはどんな音が鳴っているべきなのかを、ひたすら擦り合わせていった。その結果、4人で鳴らしたい音のビジョンが固まっていきましたね。
―ルーツや目指すべき音像を先んじて決めたわけではなく、自分たちの思いを具現化するためのサウンドへと自然に変化していった。
hayato:これまでケプラとして活動を続けてきた中で、自然と培われていた関係値だったり、人として成長した部分が表れたんだと思います。4人の中で何となく好きな音や空気感が共有されていたというか。あとは、作品にする意味や音楽を作る理由について語り合えたことも大きくて。制作に対する意識や熱量が揃っていったことで、音にも説得力が出てきたんじゃないかな。
ritsuki:そうだね。数カ月間音楽を楽しむことに取り組み続けてきた結果、気づけば今の形になっていった感覚なので、僕自身も後から振り返ってみて「こういう作品になったんだ」と思いました。
―皆さんの関係値やありのままが新しいKEPURA像には反映されているとのことですが、過去のインタビューで「この4人でやっていくことが大事」という旨を語られていたことがあって。今回のお休みや改名はまさしく4人で居続けるための方法だったようにも受け止めているのですが、いかがでしょうか。
hayato:高校時代に結成してから、自分たちが想定していたよりも遥かに早く、多くの方に聴いてもらえるようになった実感はあって。まだまだ未熟だったのに完成した音楽を求められる立場になってしまったから、音楽の楽しさがどんどん逃げてしまったんですよね。だから、4人でいるために変わったというのはおっしゃる通りですし、音楽のやりがいが自分たちの手から離れたままだったなら、バンドを続けていくことは難しかった。そう考えると、4人で楽しく音を鳴らすことに対する思いは、最初から変わってないのかもしれないなと。
―一方でアウトプットされた作品の手触りは、これまでと異なるものになっていて。都度話し合いを繰り返しながら、やりたいことを追い求めたKEPURAの音楽は、どのようなものになったと思います?
hayato:先ほど、目標になるバンドや表現したいルーツに関しては前もって決めなかったと話したんですが、完成した音楽を眺めてみると「やっぱりそうなるよね」と思ったんですよね。普段自分たちが聴いている音楽や好きな世界観が自然と滲んでいるし、自分たちが考える僕らっぽいなと。
ritsuki:休止中に各々が感じていた気持ちが反映されている音楽だと思いますし、それだけじゃなく、名前やタイトル、ジャケットまでを含めたアートワーク全てにその思いが込められているなって。 今回はここから新しく始め直していく感覚を大切にしていましたけど、2作目、3作目は全く別のものでも良いと思うし。とにかく自然体であり続けることで、新しいKEPURAのイメージが出来上がっていく気がしています。
Photo by Ryohey Nakayama
対話を重ね続けたKEPURAが一枚岩で産み落としたメジャー1stアルバム『Abduct』
―おっしゃっていただいた通り、2025年12月10日にリリースされたメジャー1stアルバム『Abduct』は、KEPURAの再出発をこれ以上ないほどに堂々と宣言する1枚だと受け止めています。1曲目の「Abduct」からこれまでとは異なる幻想的かつ物憂げな手触りになっていますが、随所にはバンドでいられることの歓びと自信、歌い続けるための決心が散らばっている。改めて本作を振り返って、どのようなアルバムになったと感じていらっしゃいますか。
hayato:めちゃくちゃ楽しくて、自由なアルバムだと思っています。想像していることや思いついたことの全部が詰め込まれていますし、メンバーそれぞれが良いと思った音楽を閉じ込めた分、フックになる箇所がたくさんあるなと。
―この1枚を「楽しい」と形容できたことが、皆さんにとって重要な気がしていて。
hayato:作品にすること、何かを生み出すことが、とにかく好きだと思ったんですよね。思っていることをそのまま詰め込むからには作品に対して嘘をつきたくなかったし、1個1個のプレーをこだわったからこそ、楽しかったっていう。あとは、KEPURAとして正直に作った曲がお客さんに届くのも楽しみで。確かに曲ごとに見ていけば、たくさんの感情が込められているんですが、喜びの気持ちが何よりも大きかったんです。
―コンセプチュアルに作品を作っていく面白さや、鳴らしたい音楽を突き詰める楽しさは、どのような場面で感じたものだったんですか。
kazu:曲を引き立てられるよう、これまでの作品で培ってきたいろんな引き出しを使う中で実感しました。ケプラとしてではない脳みそで考えてみるというか、これまでだったら遠慮していた要素を曲に取り込んでいくことで、なぜだかまとまった楽曲になっていく。その過程が面白かったんですよね。
―ケプラ像に囚われることなくやりたいことを詰め込んでいったのにもかかわらず、コンセプチュアルな1枚になっていったのはなぜ?
hayato:高校時代から会話を重ねる中で、お互いが魅力を感じるものを理解していたことも大きかったですし、1曲1曲に対してそれぞれが自分の解釈を持つ時間を確保できたことも理由かな。
ritsuki:制作のやり方が変わったことも大きいんじゃない? これまでは弾き語りのデモに対して、それぞれがパートを持ち寄る方法をとっていたんですが、今回からは全員が全員の音に関わるようになったんですよ。
hayato:確かに、その違いはあるかも。相手がどういう音を鳴らしているのかを知るだけではなく、どんな思いでプレーしているのか、どういう解釈の上で演奏しているのかを擦り合わせていくことで、楽曲に説得力を与えられるんじゃないかと考えたんですよね。
―今作の方向性を形作っていく上で、会話がカギになっていたようですが、密度の高いコミュニケーションを交わすことが良い作品へ繋がっていくと考えた理由は何だったのでしょう。
hayato:もともと4人での会話は多かったので、強引に話す機会を増やそうとしていたわけではないんですが、気持ちを擦り合わせることは絶対に必要だと感じていたんですよね。それはさっきから言っている「説得力」という言葉とも関わっているんですけど、良い作品は作り手の意図が汲み取れるものばかりだと思うんですよ。トレンドとかけ離れていようとも、誰しもが共感できる歌詞じゃなくても「この人はこの表現がどうしてもしたかったんだな」と伝われば、相手を納得させられるじゃないですか。そういう作品が作りたかったですし、そのためには4人全員が心から楽しんで、良いグルーブを生み出さなくてはならなかった。だからこそ、良い音を鳴らすために会話が重要だったんです。
Photo by Yasuda Aya @i__am_a__loser
「本当にやりたいことへの情熱が吸い取られてしまう感覚を表現できた」(hayato)
―<「行こう」>と力強く締めくくる「Nevertheless」や<自分じゃない誰かになる瞬間が好き いつでも僕らしくいたいと思うけど>と記された「Dream」をはじめ、今作にはどこへ行こうとも自分にとって大事なものを抱きしめていたいという想いが宿っていて。
Ritsuki:休止中の気持ちが最も伝わる言葉を選びたいと考えている中で、1曲目の「Abduct」が形になっていったのが大きかったかな。おっしゃっていただいたように、あの曲には自分のやりたいことを大切にしたいという気持ちを込めていますし、まさしくそれは僕らが強く抱いていた思いだったんですよね。
―では、Abduct、ひいては誘拐というコンセプトが浮かび上がってきたのは、オープニングナンバーである「Abduct」が生まれてからになるんですかね。
hayato:実は、このワード自体は活動休止を検討する前から存在していたもので。ある時から「本当はこういう音楽がやりたい」という会話をチームとしていたんですが、その時既にこの言葉は会話に上がっていた。で、その後活動を休止することになり、いざアルバムを作り出す段階でふとこの単語を思い出したんですよね。そうしたら、自分の中でいろんな辻褄が合ったというか、Abductというワードが持つちょっとSF的な要素や映画的な空気感を含んだアルバムにしたいなと思うようになったんです。
―いろんな辻褄が合った、というのは?
hayato:<なのにどうして僕たちを 連れ去ろうとするUFOは>のフレーズとAbductというワードが揃ったタイミングで、このアルバムは今の自分たちをちゃんと歌うものになると分かったというか。アルバムを通じて、これまで抱えてきたフラストレーションや葛藤を描けたら良いなと明確に感じたんですよね。
kenta:僕も<偽らない歌を あの日が蘇るような音を 鳴らしたいんだ>という歌詞を見て、今の自分たちにぴったりだなと思って。これまではお客さんに寄り添いすぎてしまっていた部分もあったからこそ、KEPURAとしての音楽を鳴らしたいという気持ちに凄く共感できたんです。
hayato:誘拐と聞くと怖いイメージを持たれるかもしれないんですが、どこかへ連れ去られてしまう、強制的にワープさせられてしまうような捉え方をしていて。本当にやりたいことへの情熱が吸い取られてしまう感覚や、迷子になってしまいそうな思いを表現できたんじゃないかなと。
―吸収されてしまいそうな熱を取り戻そうとする態度が誘拐というコンセプトには表れているんですね。さて、2026年1月23日(金)北海道・KLUB COUNTER ACTIONより、全国8カ所を巡るツアー『Abduct Tour 2026』がスタートします。これまでのツアーとはまた違った反応も見ることができる気がしていますが、どのような公演にしたいですか。
hayato:言っていただいた通り、まだお客さんも僕らのことを分かりきっていないだろうし、僕らもみんなのことを知らないと思うんですよ。なので、僕ら4人を見にきてもらうだけじゃなくて、『Abduct』という作品をどう鳴らすのかを見てほしいですし、このアルバムを通じてみんなと繋がれるツアーになったら嬉しいです。
kazu:自分たちが思う存分作ったアルバムを好きになってくれた人に、きちんと届くツアーにしたいです。あとは、今回自由にやらせてもらったからこそ見えてくるものもあると思うので、ツアーを終えた後、次にどんなことがしたくなるのかも楽しみですね。
kenta:自然体でライブをするのが久しぶりなので凄く楽しみではあるんですけど、「変わったKEPURAはどんな感じなんだろう」と思ってもらいたいわけではなくて。着飾らない僕たちの姿から、一人ひとりが何かを持って帰ってくれたらなと。
Ritsuki:みんなが言ってくれたみたいに、ライブも音源も全部が繋がっていると思うので、変に凝り固まらず、このアルバムで見せることができた景色をライブでも表現できたらと思いますね。
KEPURA
Major 1st Album『Abduct』
発売中
1. Abduct
2. Nevertheless
3. Alien
4. ghost
5. BIRTHDAY
6. PSYCHOPATH
7. Tonight
8. Dream
9. ghost 2
KEPURA presents Abduct Tour 2026
2026年1月23日(金)
北海道・札幌 KLUB COUNTER ACTION
2026年1月25日(日)
宮城・仙台 enn 2nd
2026年1月29日(木)
広島・広島 4.14
2026年1月30日(金)
福岡・福岡 OPs
2026年2月1日(日)
香川・高松 TOO NICE
2026年2月7日(土)
愛知・名古屋 HeartLand
2026年2月8日(日)
大阪・大阪 Pangea
2026年2月13日(金)
東京・SPACE ODD
https://kepura.com/


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