最近では、「timelesz project」に参加した西山智樹と前田大輔によるTAGRIGHTに楽曲提供し、日テレ『シューイチ』にて放送されているドキュメンタリー内でAile The Shotaがメンバーにディレクションするシーンも話題となった。12月9日には台北にて初海外ワンマンライブを開催し、さらにはダンスクルー・ODORIのプロデュースや、イベント『OMEN』『Place of Mellow』のオーガナイズなど、多彩な才能を多方面で発揮している。2026年もAile The Shotaは唯一無二の存在として音楽シーンを駆け回り、ジャンルを超えて人々を愛でつなぐ1年になりそうだ。
―春夏秋冬に1曲ずつ季節にまつわる楽曲をリリースしてきて、ついに最終章となる「ハナユキ」が発表されました。それぞれで「Aile The ShotaとしてのJ-POP」を追求していましたけど、「ハナユキ」は、イントロからShotaさんのルーツにある平成J-POP感ががっつり漂っていますね。
イントロから「平成音」ですよね。SMAP、嵐とか、俺が通ってきたあの会社のポップス感。俺が言う「J-POPの超ど真ん中」にはアイドルポップスがあるし、今も常にアイドルカルチャーのいい曲たちは聴いていて。その前から聴いているDREAMS COME TRUEや、久保田利伸さん、平井堅さんとかもルーツにはあるから、それもポップスど真ん中だと思っているんですけど、これは俺のアイドルポップスのルーツが一番出ている曲だと思います。「1人SMAP」みたいなことに挑戦したくて攻めてみました。
―90~2000年代J-POPの匂いを感じさせながらも、今聴ける音像として作り上げていることも大事なポイントですよね。
それこそUTAさんは今聴いてすごくかっこいいものを作ってくれるので、フレッシュだとは思うんですよね。自分のメロディやフロウの手癖はどうしてもAile The Shotaっぽいものになるみたいなんですけど、だからこそ今年は「簡単とは何か」に向き合った1年でした。「ハナユキ」もカラオケとかで歌ってもらうことを少なからず意識していたりはするので、LOARくんに「これ、ムズイですか?」って都度聞いて考えました。歌詞は、全然書けなくてめっちゃ大変でしたね。
―「月見想」を作り終わったあとに「出し尽くした感があった」と語ってくれていましたけど、それも影響して?
影響ありまくりでした。春夏秋冬の4曲は「ラブソング」「花の名前」と縛っちゃっていたのもあって、歌詞が出てこなくて。失恋曲(「月見想」)を書いたあとにすごくハッピーな恋愛が近くにあるわけもないし。「どうしよう」って考えていた時に、「永遠を歌う」とか抽象的なキーワードが浮かんできて、そこで「家族愛だ」って。大切な人への曲として聴けると思うんですけど、俺の中では家族愛の曲ですね。
―「REAL POP」を掲げるAile The Shotaとして、妄想や人から聞いた話で恋愛ソングを書くのではなく、「家族愛」を題材に自分のリアルな気持ちを書くことを選んだんですね。
ちゃんとリアルで、想像は一個もない曲にしたくて、そうなると俺の中で今一番永遠を願ってしまうのは「家族」で。このハッピーなサウンドのサビで〈涙〉が出てくるテンション感は解釈されづらいかなと思っている時に、背中を押してくれたのはちゃんみなの「SAD SONG」でした。THE FIRST TAKEのNo No Girlsのみんなと歌っている動画がめっちゃ好きで、何回も見ていたんですけど、改めて電車の中で見たらくらっちゃって。今、みなが作った時の感覚とは違う受け取り方をされているじゃないですか。時を経てノノガのテーマソングくらいの感じになるっていう、いい解釈がされる余白も含めて、俺もこのテーマでいけるなと思って作りました。結果、大事な人に思ってしまうわがままな気持ちみたいなものを、あまり説明せずとも伝わっている……いや結果、Dメロが説明になっちゃったのかなとは思いつつ。
―Dメロ、すごくいいですよね。Aile The Shota哲学が出ているなと思いました(〈「また明日」って言葉が好きなのは/刹那に散りゆく命の中で/あなたに会える時間の尊さを/頭ではちゃんとわかっているから/「さよなら」って言葉が怖いのは/その度に最期がよぎるから/ほらね 頭ではちゃんとわかっている〉)。他のパートは余白があって普遍的に捉えられる歌詞になっていて、でもここではグッと生々しい言葉が入ってくる、そのバランスや流れがめちゃくちゃいいんですよね。
それ、特に近い人にめっちゃ言われるんですよ。俺の中で、今まで出してきた「Epilogue」「アノナミダ」と並ぶくらい命を歌っている曲ができてしまったなあと思うんですけど、それこそMVの作りや音像も含めて、ある種ライトに聴いてもらえる曲にはなったのかなって思います。なんとなく自分で、この手癖はポップスの中でちょっと難しいとされるものだと思っているので「やりすぎたかな」みたいに思ったんですけど、これがあることによって、イントロで感じさせた当時のJ-POP感と今のAile The Shotaの大事な部分のどちらも入れられた気がします。
―MVは、「向日葵花火」には島村雄大さんが、今回の「ハナユキ」には朝日ななみさんが出演されているという(2人は恋愛リアリティショー『オフライン ラブ』に出演し、雄大がななみに思いを寄せていた)。ななみさんの出演は、どういう経緯だったんですか?
雄大はもともと友達で「これは雄大の曲じゃん」と思ったからオファーしたんですけど、ななみちゃんはキャスティングしてくれる方が候補として送ってきてくれて、確かにななみちゃんのキャラはすごく合うなと思ってお願いしました。雄大が一番びっくりしていると思う(笑)。撮影中もすごく思い出深いです。極寒の霧ヶ峰で撮ったんですけど、ななみちゃんのシーンを撮りながら、自分が大切な人に思っている憂いみたいなものがどんどんリンクしてきて、めっちゃ幸せなシーンを撮っているのに俺はどんどん悲しくなっていって。リップの撮影でワンテイク目で号泣しちゃったのは初めてです。それがそのままMVに使われていますね。その後のラスサビは使えないくらい号泣しちゃって(笑)。自分の歌詞に没入して涙を流せるなんて、素敵な経験だなと思いました。
歌から逃げなかった1年
―歌において、「ハナユキ」ではどういった意識を持ってました?
今までとの一番の違いは、ボーカルの録りとエディットを神部(秀彰)さんに初めてやってもらったことだと思います。神部さんはボーカルエディットの超スペシャリストで、BE:FIRSTのボーカルエディットをしているのとかを見て「ポップスのボーカル作りが超上手だな」「その人の声のよさを際立たせるのがマジで上手いな」とずっと思っていて。自分の歌声がめっちゃいいなって思うのは、神部さんのおかげだと思います。
―2025年は、3月に行った自身最大規模の東京ガーデンシアター公演『Aile The Shota Oneman Live ”REAL POP”』から、J-POPを追求した4曲の完成まで、Shotaさんにとって「歌と向き合った1年」、もしくは「歌から逃げなかった1年」とも言えると思います。改めて今、自身の「歌」についてはどういう考えを持っていますか?
ずっと飛び級させてもらっているなって感じていたからこそ、自分が自分の説得力に満足いかないと嫌で、そのための1年だったなって思いますね。歌に向き合った1年の最後に、自分の歌を好きになることができてよかったです。次のアルバムはほぼほぼオートチューンを使ってないんですよ。「IMA」みたいにオートチューンでニュアンスが出る曲もあると思うんですけど、今回で「俺、歌上手いじゃん」「ちゃんと歌える人だ」と思えるようになって、自分の声を通してファンになってもらいたいのもあって、結果的にオートチューンをかけずに歌う曲が増えました。オートチューンがかかっている曲も、録っている時は自分の声のままであとがけしているので、今までより歌心が出ているんじゃないかなと思いますね。あと、イヤモニも転がしもないようなイベントやクラブの音響でも、ビビらずに歌えるようになりました。ビビらずに声を出せる人に憧れていたんですよ。
―ビビっていた、というのは、何に対してビビってたんですか?
ピッチを気にしすぎているのもあると思うんですけど。ピッチ耳なんですよ。
―最近のShotaさんのライブを見ていると、人前に立つ際に「守るべきところ」と「意外と必死に守らなくても大丈夫なところ」を見極められるようになって、Shotaさん自身が身軽な姿でステージに立っているように感じます。
より繊細に、かつ、より大胆になった気がしますね。「別にこのあとライブでもいいよ」みたいなスタンスというか。発声してなくても突然歌えるようになるのは、多分、気持ちの問題なんですよ。足を前に出すだけで声の出方が全然変わる、みたいな。色々経験したからこそ、繊細さは研ぎ澄まされて、大胆さはより大胆になった、という1年でした。……成長したなあ。
いろんな意味で「ダサいことすんな」っていうのは、変わらず掲げていたい
―12月には、Aile The Shotaが2025年にやってきたすべての集大成のごとく、いろんなプロジェクトが同時に走っていますよね。まず楽曲提供・プロデュース業として、TAGRIGHTへの書き下ろしがありました。あれはどういう経緯だったんですか?
もともとメンバーのだいちゃん(前田大輔)がMAZZELのオーディション(「MISSIONx2」)を受けていたのもあったし、「timelesz project」には僕の友達が何人か出ていて。タイプロが終わったくらいにだいちゃんが俺のインスタをフォローしてくれているのに気づいて、フォローを返して、そこから連絡を取り合って。それこそ俺のワンマン(『Aile The Shota Oneman Live ”REAL POP”』)のアフターに遊び来てくれたり、「仲間を探していて、Shotaくんのレコメンドいますか?」みたいな話をしたりしていて、そこから「1曲お願いしたくて」「曲だったら全然やるよ」という話になって。パーソナルなことを聞かないと曲を書けないなと思ったので、ともちゃん(西山智樹)とだいちゃんとしっかりしゃべって書いたらがっつり携わることになって、今事務所の後輩と同じくらい気にかけていますね。成功してほしいなと思っています。
―ちゃんと当て書きをしたいと、番組内でもおっしゃっていましたよね。オーディションで悔しい思いをする気持ちもわかるし、プロデュースされる側の気持ちもわかるし、ある意味、Shotaさんの4年間の経験のすべてが「花言葉」という曲やTAGRIGHTとの関係性につながっているのだろうなと思います。
ODORI(Aile The Shotaがプロデュースするダンスクルー)で選ぶ側もやったし、社長に抱えられている気持ちもわかるし。ジェラシーをする側もされる側も、憧れる側も憧れられる側も、どっちもわかるし。悔しがられる対象だけど、悔しがる相手もいるし。だからあの2人に当て書きではあるんですけど、Aile The Shotaの曲として並んでも違和感がないくらい、僕の言葉でもあると思います。〈夢に注いだ時間を振り返りたくなかった〉〈明日が釣り合わないから〉という言葉は、いいことを言えたなあ、この時期のつらさってこれなんだよなあ、と思います。めっちゃ気に入ってますね。早くセルフカバーしたいです(笑)。
―今月、ODORI名義で「MINDLESS」もリリースされましたけど、ODORIとして発表する曲と、Aile The Shotaとしての曲には、やりたいことの線引きが明確にあることを感じています。それを言葉にしてもらうことはできますか?
よりピュアにダンスシーンへ送れるのが、ODORIの曲。「ポップス的にどうだろうか」とかあまり考えずにやれる。でも結果的に、サビはキャッチーなメロディになるのが自分のクリエイティブなんだなと思います。「ODORI」はダンスクルーだけを示す名前でもなくて、自分のダンスシーンへのアプローチの総称が「ODORI」だという感覚もあります。今ちょうどメンバー一人ずつと面談していて、頑張ろうねっていう話をしていますね。
―12月29日にはZEROTOKYOにて、オールナイトイベント『OMEN -The Nexus-』があります(インタビュー取材はイベント開催前に実施)。この日の出演者――RIEHATAさん、REIKOさん、Kenya Fujitaさん、Maddy Somaさん、VivaOlaさん、Rachelさん(chelmico)、YonYonさんとか――カルチャーのクロスオーバー感がすごいですね。
『OMEN』に関してはRaySTAという会社の子と2人で回しているんですけど、オーガナイザーとして「アー写ください」の連絡とか、タイムテーブルやギャラの交渉までやっているので、めっちゃ学びがありますね。逆にBMSGがライブ制作をやってくれるワンマンや『Place of Mellow』の時は、ありがたみをめっちゃ感じます。スタッフがいてくれるすごさや尊さにより気づくようになりました。『OMEN』は、「これ知ってほしい」「こいつやばいから見てほしい」みたいな気持ちと、「夢のコラボ」とかが好きだという少年心でオーガナイズしていますね。今回、やばいんですよ。Shun IzutaniとSam is OhmにDJを頼んだら、「With Friends」で本気出してくれて、VivaOlaやRachel、YonYonを連れてきてくれたり。社長(SKY-HI)が「こことここがやったら面白いな」というところから壁を壊して『D.U.N.K.』をやったみたいに、それとは違う角度で、壁を小さく壊しに行っている感覚はあります。でも一番は自分が「楽しい」「やりたい」「見たい」かもしれないですね。
―12月9日には台北・Billboard Live TAIPEIにて、初の海外ワンマン公演もありました。台湾でのライブを通して、どんなことを思いました?
オファーをいただいて、「そんな機会をいただけるんだったら出たいです」って、急に決まったものでした。海外のアーティストと客演をやったり、いろんな準備をして狙いを定めたタイミングで、アジア進出するというイメージがあったんですけど、1人でもファンがいてくれることに意味を感じたので、ここからは急ぎたいと思うようになりました。アジアに向けて何のアプローチもしていないのに、空港で「『さよならシティライト』が好きです」って話しかけてくれる台北の方や、「『SAKURA』で知りました」って言ってくれる方とかがいて、「こんなことがあるのか」って思いました。たとえば、もし韓国にファンが1人でもいるなら、早く韓国でやらなきゃなと思う。世界にメッセージを言うことも急がなきゃいけないなと思うと、「愛のプラネット」という曲の重さもすごく感じました。あの曲自体、テーマは世界平和で、マイクを持つんだったら綺麗事や意志を歌いたいと思った時に作った曲なので、これをちゃんとクラシックにしなきゃダメだなって思いました。サビは「We Are The World」みたいなことを言っていて、あのサビだけあれば、それぞれに愛を歌ってもらうだけでいい曲なので、オープンバースで色々広がっていかないかなあと思っていますね。
―世界各国の人にバースを蹴ってもらいたいですね。それは今の世界情勢からしても、すごく重要なものになるんじゃないかなと思います。
そうなんですよ。それで『愛のプラネットEP』なんかも作れたらな、みたいなことも考えます。
―2026年もまた忙しくなりそうですね。2月にはアルバム『REAL POP 2』のリリースがあり、3月からは全国ツアーもあります。オーガナイズや楽曲提供、客演なども色々ある中で、全部がバラバラの線ではなく、すべてが編み込まれてAile The Shotaとして1つの太い軸になっていくのだろうなと想像します。
やりたいことを自由にやらせてもらえているので、とっととBMSGに恩を返したいです。それをずっと思っていますね。Bullmoose Recordsからヒットを出さなきゃいけない。来年は多作にしたいねってマネージャーと2人で言っているんですけど、「いや今までも多作だよ」って言われます(笑)。でも毎月EPを出せるくらい、候補の数があるんですよね。一緒に作りたいプロデューサーとか、ワッツアップしてるけどまだ曲ができてない人はたくさんいるので、みんなと曲を作りたいです。作家業も、来年はどしどし募集したいなと思っています。口約束でも守りたいと思っちゃうタイプで、それを1個1個丁寧にバイブスのままやっていくことでここまで来たので、これからも無駄にしたくないですね。いろんな意味で「ダサいことすんな」っていうのは、変わらず掲げていたいなと思います。
Digital Single「ハナユキ (Prod. UTA, LOAR)」
Aile The Shota
Bullmoose Records
配信中:https://orcd.co/ats_hanayuki


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