雑誌「Rolling Stone Japan vol.32」では「BMSG 5TH ANNIVERSARY」と題してSKY-HI率いるBMSGの5周年特集を行ったが、BMSGの5周年とは、第一弾アーティストであるNovel Coreの5周年をも意味する。そんなタイミングでNovel Coreが完成させたメジャー4作目のアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』のテーマは、原点回帰。
2026年1月に25歳を迎えるNovel Coreは、2000年代生まれのアーティストたちのあいだで起き始めている「ミクスチャー・ミュージック」シーンの牽引者の一人となっていくことを予感させる。

【撮り下ろし写真】Novel Core

原点回帰としてのメジャー4thアルバム

ーアルバム『PERFECTLY DEFECTiVE』は、ジャケットの色合いも構成もCoreさん自身が赤髪に戻ったことも含め、メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』から明確な繋がりを感じさせる要素が散りばめられていて、「原点回帰」という印象を受けました。

Novel Core まさにそうですね。この感じを「原点回帰」と表現してくださるのも初期から追いかけてくださっているからだなって、ありがたい気持ちでいっぱいです。 「お金が足りない」以外の曲はTHE WILL RABBITS(バンドメンバー)やJUGEMと一緒に作って、制作の方式もサウンド面も今までで一番大きな変化があったので、大きく方向転換したように見えるかもしれない作品だと思っていたんですけど、開口一番に「原点回帰」と言っていただけて、自分たちの描いているものが濁りなく伝わっているなと思って嬉しいです。

ー『PERFECTLY DEFECTiVE』を聴いたあとに『A GREAT FOOL』を聴き返すと、もちろん今作でフレッシュになっている側面もたくさんあるけど、『A GREAT FOOL』との連なりを確かに感じました。今もライブでよく演奏している曲が『A GREAT FOOL』にはいくつかあって、当時の曲と最近の曲がセットリストに並んで自然と馴染んでいるというのも、初期から今に至るまで地続きであることを証明しているとも思います。技術、知識、周りやリスナーとのコミュニケーション力などを蓄えた上で原点回帰するという、最強なことを今やっているんじゃないかという感じがしました。

Novel Core 『A GREAT FOOL』を世に送り出した時は、表現したくても表現しきれない音やルーツがあったんですけど、僕ができないことをバンドメンバーがやってくれるようになったこともあって、今回は自分の頭の中にある音を忠実に再現できました。「イメージしていたものとは違うものができたけど、これはこれで面白くね?」とかじゃなくて、「これを作ろう」と思ったものをいかに純度100%で世に送り出すかということに強く向き合って制作したので、満足感や達成感がデカいですね。

ー改めて言葉にしてもらうと、『A GREAT FOOL』を自分の中でどう位置付けていて、それに対して『PERFECTLY DEFECTiVE』はどういう作品にしたいと思っていたのでしょう。

Novel Core 一番大きいのは、音像やリリックの内容というよりは僕のアーティストとしてのマインド、精神性の部分だと思っていて。
『A GREAT FOOL』を制作した時の僕って、良くも悪くも余計なことを何も考えてないんですよ。売れるか売れないか、正当な評価が受けられるかどうか、あの頃はまるで考えてなかった。自分の中にある純粋な闘争心や表現したいもの、音、色、形をそのまま、赤ちゃんが真っ白のキャンバスにクレヨンで殴り描くように作品を作っていて。そこから5年という月日が流れて、良くも悪くもいろんな要素が自分についてくるし賢くもなっていくので、どうしても計算しちゃう頭も出てくるし、過去の失敗から「これはやらない方がいい」って自分の中でルールを決めちゃっている節もあるし。そういうのを一回全部ぶち壊して、音楽と向き合う純粋な楽しさや面白さとか、自分の中にあるぐちゃぐちゃに入り交じったルーツ、カラー、ジャンルを等身大で表現しきることが、結果的に僕みたいな、日本という島国に生まれて、いろんなものがミックスされた環境下で育って、自分の呼び名がわからない子たちの何かになるんじゃないか、それで新しいシーンを作れるんじゃないかっていうところに帰着して。だから『A GREAT FOOL』の頃の僕を、より鋭利に解像度を上げて帰ってこさせたのがこのアルバムなのかなって思います。

ー今話してくれたことは、8月にリリースしたEP『BABiES AGAiN』のテーマにも通ずるものだと思うんですけど、いつ頃からベイビーなマインドを取り戻したいと思い始めていたんですか?

Novel Core 去年、Chaki(Zulu)さんとタッグを組んでリリースしたり、ヒップホップシーンに対してアプローチしていたあたりに、それもやりたいことのひとつではあるし、自分のルーツにあるものだから間違ったことはしてないけど、漠然とした違和感があって。あまり居心地がよくなかったんですよ。「どうにかして形にしようとしすぎてないか」って、自分の中で焦る感じもあったし。でも自分的にやるべきだと思っていたことで、逆に言うと1年通してやりきったことによって見えた答えがあって、あれがなかったらこのマインドにはなってないと思うので、すごく大事な1年だったなと思いますね。その中で一番大きかったのは、やっぱりJESSEさん(RIZE/The BONEZ)との出会いだと思います。

JESSEにもらった指針、最新版「ミクスチャー・ミュージック」

ー JESSEさんと出会ったのはいつくらいなんでしたっけ?

Novel Core 去年6月ですね。
バトル(『BATTLE SUMMIT II』)に復帰する2カ月前のタイミングで、活動再開したRIZEのツアーのKT Zepp Yokohama公演にハタ(サトシ/カメラマン)さんが誘ってくれて。そのライブにめっちゃくらって、終わったあとに「Novel Coreって言います」って挨拶したら、「お前か! 知ってるよ」みたいに言われて。その場で一緒に写真も撮ってくれて、「今日はありがとうございました」ってDMしたら返信もくれて。そこから話していく中で、「自分の音楽って名前がなくて、いつも核心をすっ飛ばした、両脇にある何かで自分を語っている感じがする。それがもどかしくて嫌なんですよね」とか、俺の悩みをいっぱい相談させてもらったんです。僕はロックにもヒップホップにも、それぞれのカルチャーに最大限のリスペクトを持ちたいし、毀損したくはないんだけど、核心に迫る何かを自分の中で見つけないと結果的に自分がどれだけリスペクトしていても他のシーンを毀損することになりかねない、みたいな気持ちを相談したら、「いや、お前みたいなやつのためにミクスチャーって言葉があるんだよ」って中華料理屋さんで言われて。

ーその一言はハッとしますね。

Novel Core そういうことなんだなと思って。しかもRIZE、Dragon Ashといったミクスチャーロック路線で何か新しいものを作るのではなくて、そこにポップカルチャーやボーカロイド、自分のルーツの中にある他のカルチャーとか、もっと言うと自分が所属しているBMSGという組織の土台にあるダンス&ボーカル、もしくはそこと距離の近いアイドルカルチャーというものを、全部混ぜた「ミクスチャー・ミュージック」という新しいシーンを自分が作れたとしたら、それは日本の音楽シーンにとって大きな突破口になるんじゃないかと思って、そっちに舵を切ろうって決めたという感じでした。

ー視野を広げると、そういった考えで「ミクスチャー・ミュージック」をやろうとしている人たちは実は今たくさんいる気がして。「これとこれを混ぜるの?」「ここの壁を壊してくれるの?」みたいな音楽や表現が、今は評価される時代でもありますし。

Novel Core 本当に。
キタニタツヤくんのライブを見ると、めちゃくちゃミクスチャーですよね。でもみんな混ざっているから、シーンになりづらいんだと思うんですよ。自分が属しているところが曖昧になりがちというか。そもそもどこかのシーンに属していると思わずにやっている人たちの方が多いし。でもここら辺で横の繋がりを作って、みんなで徒党を組んだら、日本の音楽シーンのミクスチャー・ミュージックとされるところがもっと面白くなる気がしていて。その可能性をもし自分が広げることの一端を担えるんだったとしたら、めっちゃ面白いなと思う。年齢が近いところで言うと、なとりくん、imaseとかも、「ジャンルで言ったら何になるんだろう?」みたいな音楽だけどめちゃくちゃ面白いし、実際に多くの人を踊らせているし。

ーまさに。ミクスチャー・ミュージックという言葉で表せられるような、「メインストリームから見ればまだオルタナティブなんだけど、でもポップ性が高い」という音楽を私も世に紹介していきたいなと思うんですよね。

Novel Core 普遍的なグッドミュージックであるというテーマさえ忘れなければ、そもそもルールなんてないということにちゃんと気づけたというか。一番簡単なことに気づくまでに長い時間をかけたなって自分で思うんですけど、それに気づかせてくれたのがJESSEさんでした。

ーJESSEさんとの出会いはサウンド面でも影響を受けているのだろうなと。
じゃないと「ビリビリ feat. JESSE」や「DiRTY NASTY」みたいな曲もできなかったんじゃないかなという気がしましたけど、どうですか?

Novel Core そうですね。音像というよりライブへの意識の強さを教わっている部分が大きくて。The BONEZの制作にもお邪魔させてもらったんですけど、JESSEさんは「ライブを意識しないとダメだ」ということを言うんですよ。ギリギリまで妥協するな、明日納品しなきゃいけないというタイミングで曲の構成もBPMも丸ごと変えてキーをいじくったっていい、それくらいのことをしないと自分たちが長年ライブでやって納得いくものにはならない、ということも言っていて。「詰めきれよ」「やりたいことは全部試せよ」っていう感覚はJESSEさんに言われてより自分の中で強く意識するようになりました。「DiRTY NASTY」はノイズも本当に細かく弄ったし、1秒くらいしか鳴ってない音にかけるフィルターの議論に3、4時間使うということもやりました。それができたおかげで楽しいものになったし、いいアルバムになっているなって感じがします。

ー歌に対する意識も変わりましたよね?

Novel Core めっちゃ変わりましたね。ボーカリストとしてちゃんとやるべきことはあるなって感じた作品でもあって、今作の変化はそれもデカいかもしれない。バンドで曲を作っていくと、声も楽器なんだなって感じる場面が多くて。自分の声という楽器を使ってどれだけ楽曲に彩りを添えられるかを考えた時に、「もっとこういう歌声も出せたら」「このキーも行けたら」って思うたびに悔しくなったので、今まで頑なに行かなかったボイストレーニングにも通うようになったし、フィジカルトレーニングも始めたし。歌唱法としてのラップにも改めてすごく強く向き合いました。


Novel Coreが語る、ミクスチャー・ミュージックに託す希望 分断のないフロアへ

Photo by Maciej Kucia

ミクスチャー・ミュージックの先でNovel Coreが社会にもたらす変化

ー「FRiENDS」には〈強い人なんか本当はいなくて/痛いのに慣れた ただそれだけ〉というフレーズがあって、これはジャケットやグッズにも書かれているもので、今作において大事な言葉になっているのだろうなと思うんですけど、どういう想いを込めたものですか?

Novel Core 『A GREAT FOOL』のジャケットにも「根拠なき可能性を掲げろ。不可能にも根拠などないんだから。恐れなき大馬鹿者であり続けろ」というコンセプトワードがあって、それがずっと自分の代名詞みたいになっているんですけど。改めて今作を作っている中で『PERFECTLY DEFECTiVE』=「完璧な不良品」というテーマと向き合った時に、人は欠けているからこそ美しいし、一人ひとりが隙のない世界だったらそれはそれでいいのかもしれないけど、欠けてないと助け合わないから、果たしてそれは世界のあり方として完全って言えるのか、ということを考えていて。バンドで曲を作っていると互いにない要素を補い合うから、よりそういう感覚になることが多くて。その感性、感覚を一言で表すとしたらどういうフレーズになるかなと思った時に、俺がことあるごとにMCとかで言っている「強い人なんかいない。いるのは痛みに慣れた奴らだけ」っていう言葉がぴったりなんじゃないかなと思ったのでアートワークや曲にしました。

ーCoreさん、今、自分のライブフロアではどういうものを作れていると思っていますか。

Novel Core 僕がみんなと一緒に作ってみたい景色は、いろんなカルチャーに属する人たちが同じ屋根の下に集った時に分断が起きないフロア。結局それは人対人のことなので、お互いの違いを受け入れ合う意識が育たないとそうはならないと思っていて。自分がかっこいいと思っているもの以外を、マジで心底かっこいいと思っている人たちを見た時に、「それもありだよね」って思えるファンダムを作りたいし、そう思えるアーティストを周りに増やしていく作業をやっていきたいと思っていますね。

ー今、社会を見渡しても「自分の生きやすさを守る」と「他者への思いやり、想像力」のバランスにみんなが悩んでいる時代だと思っていて。
Novel Coreのライブフロアを楽しんでいる人たちは、「自分らしさ」と「他者への配慮」のバランスとか、人がいいと思っているものを否定しないスタンスを、ライブの外へ出た時にも保てているんじゃないかなと思うんです。だからNovel Coreがやろうとしているミクスチャー・ミュージックは、大きく見れば、今の分断社会にまさに必要なカルチャーなんじゃないかなと思います。

Novel Core どうやっても2つ以上の価値観の違うものが混ざり合ったら反発が起きるので、今後もフロアの中でカルチャーショックや分断は生まれるかもしれないけど、僕は自分のファンを信頼してそこに突っ込んでいきたいし、いつか本当の意味で混ざれる日が来ることを諦めたくない。自分が生きているあいだに完成しないとしても、自分が動き出すことに意味があるということをJESSEさんたちが教えてくれたので。今僕が動き出したら僕みたいな人がいっぱい出てくるし、そこに意味があると思うので、人生丸ごと使ってチャレンジしたいなって思います。みんなが100点を目指して誰かを0点にしちゃうくらいだったら、みんなが点を譲り合って、50点満点で笑える世界の方がロマンがあると俺は思っているので、それを全力でやりたいです。

ーちなみに、『PERFECTLY DEFECTiVE』も、『BABiES AGAiN』『iCoN』も、なんでIを小文字表記にするんですか?

Novel Core 「I」って、主語じゃないですか。主語が際立つようにしたくて。どんなにデカいテーマを歌っていても、これは僕のことだし、君のことなんだよ、っていうことを伝えたい。自分の半径5キロ圏内で起こっていることを歌ったら、結果的にそれが一番世界平和に直結するんじゃないかという思想が好きで。ケンドリック・ラマーとかもそういう人だから、その影響を強く受けているかもしれないです。それぞれにそういう受け取り方してもらえたらいいなと思って、あえてIを小文字にしています。あと、反対にすると「!」みたいでかわいい!(大きな声)

Novel Coreが語る、ミクスチャー・ミュージックに託す希望 分断のないフロアへ

『PERFECTLY DEFECTiVE』
Novel Core
発売中
http://xn--novelcore-z43hgc.lnk.to/PERFECTLYDEFECTiVE

01. Overture for PERFECTLY DEFECTiVE
Music : JUGEM, Novel Core
Produced by JUGEM

02. DiRTY NASTY
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai, Yuki Uchimura
Produced by JUGEM

03. ビリビリ feat. JESSE (RIZE / The BONEZ)
Lyrics : Novel Core, JESSE
Music : Novel Core, JESSE, JUGEM, Yuya Kumagai, Yuki Uchimura
Produced by JUGEM

04. あやとりコンテニュー
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuki Uchimura
Produced by JUGEM

05. お金が足りない
Written : Novel Core, Xansei
Produced : Xansei

06. Wake Up! TOKYO
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai, Yuki Uchimura, Hibiki Sato
Produced by JUGEM

07. FRiENDS
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai
Produced by JUGEM

08. Skit
Music : Yuki Uchimura
Produced by Yuki Uchimura

09. 2025.11.07 (demo)
Music : Novel Core, Yuki Uchimura, Yuya Kumagai, Hibiki Sato, JUGEM
Produced by Yuki Ucimura

10. HAPPY 365
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, Yuki Uchimura, Yuya Kumagai, Hibiki Sato, JUGEM
Produced by THE WILL RABBITS

11. HANERO!!!
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai, Yuki Uchimura
Produced by JUGEM

12. C.O.R.E
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, K LARK a.k.a. KOTA, Yuya Kumagai
Produced by JUGEM

13. EVER EVER GREEN
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai
Produced by JUGEM

14. プライド
Lyrics : Novel Core
Music : Novel Core, JUGEM, Yuya Kumagai
Produced by JUGEM
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