日本デビュー5周年を迎えるK-POPグループ、ENHYPEN。16日にリリースされた7th Mini Album『THE SIN : VANISH』から間を空けず、リミックス・アルバムを配信した。


【写真】メンバーの最新ソロカット

正確にはリミックス・アルバムは「7種」ある。メンバー7人それぞれが先導役となり、同一作の別解釈を提示する形だ。自分たちで仕事を増やしているようにも見えるが、ENHYPENはそれを「消耗」ではなく「創作上の機会」として捉えている。

「リミックス・アルバム『The Sin : Vanish(SUNOO ver.)』の制作は本当に楽しかったです」とSUNOOはZoom取材で『Rolling Stone』に語る。「レコーディングへの関わり方を広げられる、素晴らしい機会でした。すごくいい経験になりました」

この時点で、バンドメイトたちは同意するようにうなずく。彼らはソウルにあるHYBEのオフィスの会議室で、肩を寄せ合うように座っている。服装はラフだ(Tシャツ、ベースボールキャップ、ビーニー、パーカがちらほら)。撮影やMVで見せるようなステージメイクもしていない。前列にSUNOO、SUNGHOON、JAY、JAKE。後列にHEESEUNG、JUNGWON、NI-KIが座る。彼らは礼儀正しく、それぞれが担当したリミックス・アルバムについて話す順番を待っている。
タイトルはすべて共通で『The Sin : Vanish』、括弧内に各メンバー名が入る。

取材が進むにつれて、彼らは拍手をしたり指ハートを作ったりして感謝を示し、互いを気づかう言葉も惜しまない。たとえばSUNOOがうっかり画面から外れてしまうと、SUNGHOONがそっと引き寄せてフレーム内に戻す。2020年11月のデビュー以来、ENHYPENは”セクシーなヴァンパイア”のロア(物語世界)を育ててきた。しかし今回のローリングストーン独占インタビューで彼らが放つ空気は、陰鬱な不死者というより"ゴールデンレトリバー的"な親しみやすさに近い。

ENHYPENのデジタル配信リミックス・アルバムには、ミニアルバム全11トラックが収録されている。リードシングル「Knife」を含む6曲に加え、プロの俳優による4本の劇的なナレーション、そしてスキット。さらに「Knife」の各メンバー版リミックス、『Knife』英語バージョン、個々のボーカルノートも収められている。

銃文化のない国の出身であるENHYPENが、リード曲の中心イメージに”ナイフ”を選んだのは示唆的だ。韓国ドラマにおける「刃物が選ばれがちな武器」という文脈を反映しつつ、同時に「普通のナイフではヴァンパイアを殺せない」という設定にも接続する。彼らのヴァンパイア物語は奥行きがあり、7人と忠実なファンダム”ENGENE(エンジン)”との共生関係を描いている。では、ENHYPENがヴァンパイアだとしたら、ENGENEはどんな立ち位置なのか?

「アルバムやトレーラーに、必ず女性キャラクターを登場させているのは知っていますよね?」とSUNGHOONは言う。
「僕たちは作品を作るとき、常にENGENEのことを意識しています。だから、あの女性キャラクターたちをENGENEだと置き換えることもできるし、僕たちの友達でもある。ヴァンパイアの友達です」

民族音楽学者のDonna Kwonは、ENHYPENが東欧文化と伝統的に結びついてきたヴァンパイア・ロアに真剣にコミットしている点を称賛する。「2023年の『Bite Me』のビデオで、彼らはK-POPの慣習に対して少し挑戦もしたと思います」と、ケンタッキー大学教授で『Music in Korea: Experiencing Music, Expressing Culture』の著者でもあるKwonはローリングストーンに語る。「ロアの存在や発展は、ファンを獲得し、他と差別化し、競争力を持つためにグループが使える戦略のひとつです。ロアが好きなファンは、意味や細部を解き明かすためにファンダム内の他のメンバーとつながることが多いですね」

なぜ全員が「Knife」をリミックスすることになったのか、決定前に何曲を議論したのかを尋ねると、SUNGHOONはこう答えた。「最初からずっと『Knife』でした。全員が最初から同じ認識だったんです。あとは、それぞれのやり方で作業しただけです」

メンバー個々が手がけた「Knife」リミックスの裏側

たとえばリーダーのJUNGWONは、インダストリアルとメタルをブレンドした。「僕のバージョンはニューメタルです」と彼は言う。「僕たちはライブをたくさんやるので、最初からそのことを意識していました。オリジナルの『Knife』自体がすごくパンチのある音なんですけど、バンドサウンドがヒップホップやトラップの下地と相性がいいことは分かっていたので、そこにバンドの音を混ぜて、さらにパンチを出したかったんです」

「このリミックスは、JUNGWONが”ステージで強くて遊び心のあるエネルギーを放つトラックにしたい”というビジョンから始まりました」と、彼と制作したプロデューサーのArmadilloは補足する。
「アーティストはプロデューサーとは違う聴こえ方をすることが多いのですが、彼の最初の発想は魅力的でした。そこで私たちは、そのコンセプトを軸に曲を形作り始めたんです。制作過程ではメインのギターリフを一緒に作りました。JUNGWONはドラムパターンについても明確なイメージがあり、キックとスネアのバーチャル音源を立ち上げた状態で、マスターキーボードを叩いてドラムパートを演奏しました。期待を超えるリズムとエネルギーが生まれて、セッションは”正式な制作”というより”共同のジャム”に近い感覚でした」

一方、HEESEUNGのリミックスは催眠的なムードを持ち、ダンサブルで、残響感のあるバックビートが特徴だ。さらに彼は、オリジナルにはない追加ボーカルも録音している。

「仲のいい友人でプロデューサーのAproと一緒に、このエレクトロニック・ブーンバップのリミックスを作りました」とHEESEUNGは言う。「BPMを活かして、リラックスしてチルに楽しめるようにしたかったんです。キャッチーな魅力も欲しかったので、サイコロを転がす音みたいな効果音もたくさん入れて、動きのあるタッチにしました。新しいボーカルを入れた理由は、オリジナルの魅力を引き出しながら、楽しくてワクワクする要素を足したかったからです。シンセサイザーも部分的に自分で弾きました。仕上がりには本当に満足しています」

「ボーカル面では、HEESEUNGの意見がプロセスの中心でした」とAproは言う。
「キャッチーさを強めるために短い反復フレーズを軸にアレンジを組み直し、新録音のボーカルやコーラスを何層にも重ね、厚みと広がりのある豊かな音像を構築しました」

シアトル出身のJAYは、『Knife』リミックスの方向性を明確に描いていた。ギター主導のバンガーがスタジアム仕様に聴こえるのは、狙い通りだ。

「すごく親しいプロデューサーの友人Frantsと作りました。最近の僕の音楽は彼と一緒に作っているものが多いです」とJAYは言う。「彼は僕のやり方やスタイルを理解しているので、進み方もすごくスムーズでした。攻撃的なメタルの雰囲気に持っていくのが簡単だった。アメリカとか、メタルが本当に好きな国で、ステージやアンコールでやったらすごく映えると思ったんです」

「JAYは最初から、音の面だけでなく"会場規模でステージ上でどう展開されるか"という点も含めて、全体の方向性をはっきり持っていました」とFrantsは語る。「原曲の本質を変えるのではなく、エネルギーとスケール感を増幅させることに集中し、JAYが思い描いていた強いイメージと音楽的方向性に合うよう、慎重にサウンドを整えていきました」

韓国系オーストラリア人のJAKEは、オールドスクールなメンフィス・ヒップホップの感覚を取り入れた。その結果、レトロでありながら新鮮にも聴こえる曲になった。

「メンフィスっぽいビートって、いますごく人気で熱いと思うんです」とJAKEは言う。「イギリスやヨーロッパの若いアーティストたちが、こういう音楽をたくさん作っていて、僕もよく聴いています。これからもっと愛されていく気がする。
前からこのタイプのビートで曲を作ってみたかったんです。すごくミニマルで、僕のトラックは音の数もソースも少ない。でも、それがこのタイプのビートの”肝”だと思うんです」

「JAKEは柔らかくロマンティックなイメージを自然にまといますが、アーティストとしては地に足のついた芯があります」と、共作したプロデューサーのCa$hcowは言う。「スタジオでは集中力が高く、不要なものを削ぎ落とすことを恐れない。彼は音楽を通して”存在感”と”カリスマ”を伝えようとしているように感じました。そのマインドを最も反映するために、緊張感と反復で組み上げるミニマルなループ主体のメンフィス・ヒップホップへと寄せました。JAKEのコントロールされた抑制的なエネルギーに、完璧に合うスタイルです」

SUNGHOONは、どんな方向にするかを考えた末、鮮やかなバイレファンキのサウンドへ舵を切ったという。元フィギュアスケートの競技者でもある彼は、ファンが自分のバージョンを楽しんでくれたらと願い、照れくさそうに「『Knife』リミックスがバズったら面白い」とも付け加える。「TikTokで本当に伸びてるチャレンジや音を見ていると、ジャンルとしてバイレファンキがすごく人気だなと思って。だから僕もやってみたかったんです」

「一緒に取り組む前に、別の機会で短く会ったことがあって、そのときSUNGHOONは長い時間かけて温めてきたビジョンを共有してくれました」とArmadilloは言う。「彼の主眼は、ただ”聴く”体験ではなく、ショートフォームコンテンツに使える音楽――ファンが参加できる、インタラクティブで惹きつける音楽を作ることでした。プロデューサーとして、その発想は新鮮で型破りだと感じました。
彼はジャンルそのものより、どう使われるかを強く考えていた。方向性が明確だったので、自然と高エネルギーのバイレファンキに形が定まっていきました。ゴールがはっきりしていた分、実際に会って制作したときは、メインのループトラックが2時間足らずで完成しました。エネルギー、キャッチーさ、ジャンルの要素が一気に噛み合って、信じられないほどワクワクして楽しい仕上がりになりました」

SUNGHOONがバイレファンキに取り組む一方で、SUNOOは前向きでアップビートなデジポップ版の「Knife」を録音した。明るい気質の裏に、ドラマティックに張り詰めた緊張感が覗く。「プロデューサーと、どんな方向に行くべきかたくさん話しました」とSUNOOは言う。「ジャンル名としてはグリッチ・ポップです。重めのビデオゲームっぽい雰囲気があって、それは前からやってみたかった。すごくいい経験でしたし、ストーリーテリングの面でもとてもパワフルです。全体的に、ただただ楽しかったです」

「SUNOOのリミックスは、彼の予測不能さと幅広い感情のスペクトラムから始まりました」とCa$hcowは言う。「核にあるのは明るく高揚させるエネルギーですが、同時に不安や繊細さも共存していて、その"繊細な緊張"にこそ彼の魅力があると感じました。その二面性を活かすため、磨きすぎない音作りで個性を際立たせました。SUNOOは型にはまった音楽より直感的なサウンドを好むので、構造を固めすぎず、彼が心地よく感じる要素を自由に重ねていきました」

日本出身の最年少メンバー、NI-KIは、自分のリミックスをどんな音にしたいか非常に具体的なアイデアを持っていた。彼の『Knife』は、緊迫感を生むボーカルエフェクトとともにスピーディに始まる。ダンスへ引き込むための、エネルギッシュで強度の高いブーンバップだ。

「練習生の頃から今までずっと、僕はダンサーとしてやってきました」とNI-KIは言う。「で、練習前のウォームアップで、スピードアップしたブーンバップ系の曲をたくさん聴くんです。だからレトロなオールドスクール・ヒップホップの雰囲気にしたい気持ちはありました。最初に入るラジオのグリッチっぽい音とか、遊びの要素や細かいディテールも足していて、あれは意図的です。最終的に、踊るのにすごくいいトラックができたと思います」

「オープニングのボーカルは、完全にリサンプルされたコーラスレイヤーを含んでいます。Wavesfactoryのカセット風プラグインや、RC-20でのアナログ的な処理を使い、オールドスクールでヴィンテージな質感を狙いました」とプロデューサーのBreadBeatは言う。「当初はテックハウスとヒップホップの両方を検討していましたが、NI-KIが『スピードアップした形で制作をスタートし、そこから自然にジャンルを定めたい』と提案したんです。そのアイデアが大きな転機になり、彼の生来のヘヴィでグルーヴ主導のエネルギーが、最終的にブーンバップ寄りのリミックスへ導きました。ダンサーとして強いNI-KIは、グルーヴと推進力が明確なリズムに惹かれます。彼の意見は、アレンジとスピードアップされたボーカルのダイナミクス形成に大きく影響しました」

取材の終盤、彼らはこの5年でアーティストとしてどれほど成長したかを振り返る。もし時間を巻き戻して10歳の自分に会えるなら、何と伝えるだろう?

「小さい自分には、”心を満たして、自分の感情に正直でいな"って言います」とNI-KIは言う。「自分がやりたいこと、心が望むことをやって、夢を思い描く。そうすればいつか、たくさんの素敵なお兄ちゃんたちに出会える」

SUNGHOONはグループのマンネ――最年少メンバー――に微笑みかけ、こう言った。「僕はフィギュアをやっていた頃、ちょっと苦しんでいました。点数とか、自分がどれくらいうまくできているかを追いかけるのが大変だった。だから彼には、”自信を持って、数字やスコアにとらわれすぎるな"って伝えたいです」

「僕は”未来を思い描け"って自分に言いたい」とJAYは言う。「何を考えて、どれだけ努力するかが未来になるから、ベストを尽くせ。人生の道筋に対して落ち込む必要はない」

「昔『Fate』っていうツアーをやったことがあります」とJAKEは言う。「僕は運命を信じていて、すべてには理由があると思う。だから若い自分には、"やるべきことをやれ"って言います」

JUNGWONは、子どもの自分に特別なことを言うつもりはない。ただ、「自分を信じて、自分に信念を持て」とだけ。

SUNOOは笑いながら言う。「子どもの頃、もっと運動しておけばよかったなって思います。もっと鍛えてたら背が伸びたかもしれないのに、やらなかった。だから彼には、"スポーツ少年になれ"って励ましたいです」

HEESEUNGは少し考えてから答えた。「僕はたぶん、何も言わないと思います。僕はMBTIがT(思考型)で、論理的で合理的な人間だから。10歳の僕は、今の僕にたどり着くために、まったく同じルートを辿らないといけないんです」

ENHYPENが明かす7つのリミックスの創造性──「消耗ではなく、創作の機会」


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