米ヒューストン出身の世界的なラッパー、トラヴィス・スコットが、ボン・イヴェール、キッド・カディほか、人生とキャリアの節目で深い影響を受けた楽曲について語った。

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トラヴィス・スコットがこれまで自分の人生を形作ってきた音楽を振り返るとき、彼の頭に真っ先に浮かぶのは、文字どおりキッド・カディの「Soundtrack 2 My Life」だ。
ラッパーでありRolling Stone最新号のカバーも飾ったスコットは、同誌の動画シリーズ「My Life in 10 Songs」のために腰を据え、これまでの人生に最も強い印象を残してきた音楽について語った。そこにはカディをはじめ、ビョークの『Volta』収録曲「Wanderlust」、FUN.の高揚感あふれる「We Are Young」などが挙げられている。

スコットが最初に挙げたのは、エイフェックス・ツインの「Cow Cud Is a Twin」だった。ガラージやパンクを聴いていた学校の友人と一緒に、(この英国ミュージシャンのMVも手がけている)クリス・カニンガムの映像を観ているときに偶然出会った曲だという。続いて彼は、「Wanderlust」のミュージックビデオが自身の人生を変えた瞬間を振り返る。「いい意味で一日を台無しにされたんだ。何も手につかなくなった。『なんだこれは?』って」。ビョークの存在自体は知っていたものの、この曲をきっかけに本当の意味でファンになったと語っている。

ボン・イヴェールの「33 God」もリスト入りし、スコットはフロントマンのジャスティン・ヴァーノンについて、「史上最高のアーティストのひとりだ」と評する。子どもの頃から影響を受けてきた存在であり、ヴァーノンが『Utopia』に参加していることにも触れる。同作はBillboard 200で初登場1位を獲得したアルバムだ。
「『Utopia』には、ぜひ深く入り込んで聴いてほしい」とスコットは語る。「キャリアの最初期から一緒にやってきた仲間や、ずっとインスピレーションを与えてくれた人たちが、この作品には数多く関わっているんだ」

さらにスコットは、FUN.の「We Are Young」についても言及する。「あの曲は、みんなが同じタイミングで聴いた感覚がある。……ビートも含めて、あれは人間の魂の頂点みたいな曲だ。日が沈んだ瞬間に、誰もが感じる気分そのものなんだ」。続いて語られるのは、LAで初期に出会った人物のひとりでもあるジェイムス・ブレイクの「Retrograde」だ。「ライブ、音楽の作り方、ビート、ボーカル、そのすべてがすごい。あいつは天才だよ」とスコットは断言する。

次の曲を紹介する前、スコットは笑いながらこう言う。カニエ・ウェストの「Cant Tell Me Nothing」だ。「この曲には、若くても年を重ねていても、何かを本気で目指している人間のスピリットが全部詰まっている」。そして、再びキッド・カディの「Soundtrack 2 My Life」に話は戻る。
楽曲の終盤に至る頃には、「兄弟みたいな感覚になった」というほど、その冒頭部分はスコットの心に深く刻まれた。高校生だった当時、観客がカディの音楽に強く共鳴している姿を見て、自分自身の物語を語る自信を得たという。「『ああ、きっと俺の話も理解してもらえる。俺には語るべきストーリーがある』って思ったんだ」。また、ポーティスヘッドの「Western Eyes」にも惹かれ、「なんでラッパーはこういうトラックの上でラップしないんだ?」と考えるようになったとも語っている。

リストの終盤、スコットは自身の2015年のデビュー作『Rodeo』収録曲「Impossible」を挙げる。この曲を彼はエクスタシーやDMT(ジメチルトリプタミン)になぞらえるが、それは薬物そのものではなく、人々が追い求める”感覚”の話だ。「あれを聴くと、俺にとっての解放が訪れるんだ」とスコットは言う。

そして最後に選ばれたのは、Z-Roの「Mo City Don」だった。「あれは俺の地元の国歌みたいなものなんだ」と語るヒューストン出身のスコットは続ける。「彼はモー・シティのレジェンドだ。そこは絶対に忘れちゃいけない」。


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