三代目 J SOUL BROTHERSのØMIが、千葉・幕張メッセでライブイベント『ØMI LIVE 2026 ~INFINITY MOON~』を開催。満ちては欠け、欠けては光を取り戻す──月の循環は、ØMIの歩みそのものでもある。
過去・現在・未来を”連なり”として提示する3日間のショー。Rolling Stone Japanでは各日を「深掘りレポート」として切り分け、ØMIが何を更新し、何を手放さずにきたのかを追っていく。

1月30日(金)、同イベントの初日となる『FIRST NIGHT~FULL MOON~』につけられたコピーは「月が導く、再会の夜。」。緊張感やプレッシャー、エゴを掛け合わせ、チャレンジ精神を突き詰めて制作した『FULL MOON』を、2595日にも及ぶ長い歳月を越えて現在へとつなげた。会場に集結したMATEにとっては、再会の醍醐味ともいえる”不変”と”変化”を何度も噛みしめる時間になったに違いない。

【写真】ØMI『FIRST NIGHT~FULL MOON~』

まずは、当時の『FULL MOON』でも用いられたオープニング映像がお出迎え。「本当に復刻なんだ…」と胸に落としこむ間もなく、「INTRO」から「FULL MOON」へと流れ込んでいく。炎が吹き上がるなか登場したØMIは、かつての公演でまとっていた白いファーのアウターとは異なる黒いファーコートを着用。その事実だけでも、当時の『FULL MOON』を現在の彼にフィットする形でブラッシュアップしてきたことが、十分に伝わってきた。EDMチューンの「CHAIN BREAKER」もまた、2018年の頃はガムシャラに熱をぶつけていた印象があるが、2026年となっては大人の抜け感がある。キャリアを積み重ねるなかで培われてきた王者の貫禄が、自然とオーディエンスを魅了していた。

玉座に腰を掛けながら物憂げに言葉を紡ぐ「Outro」、ダンサーを引き連れてメリハリあるモーションを刻む「LUXE」、過去の恋愛をリアルに綴った「WASTED LOVE」と、異なる方向性でエモーショナルなナンバーを展開。
ソロ活動において「嘘がない」をモットーにしているØMIのこと、おそらく当時は身を削りながら生々しい感情を吐き出していたことだろう。しかしながら、『FIRST NIGHT~FULL MOON~』での彼は、どこか演じているようにさえ見えた。2022年3月頃には「今は自信もあるし視野も昔に比べたらはるかに広いし、何もかも受け入れられる自分でいますね」なんて語っていたが、その言葉が表現にも現れていたのかもしれない。痛みすら伴う過去の感情を愛しく掬い上げるくらいに、ØMIは成長を遂げたのだ。「EGO」では一段と磨きがかかった色気で、端から端までMATEをノックアウト。年を重ねたからこその豊潤な色香で、ステージを満たしていった。

ØMI『INFINITY MOON』初日、2595日を越えた再会の夜を読み解く


幕間映像を挟み、理想の景色を描いたという「DIAMOND SUNSET」を投下。ステージ端まで歩み寄ったり、客席を覗き込んだりしながら、語り掛けるように歌いあげていく。続く「One Last Time」では、スクリーンにフィーチャリング相手であるBENIが映し出された。彼女の存在をしっかりと感じながら、柔らかな歌声を響かせるØMI。映像上でふたりが交差する演出は、まるで《このままでは終われない》ふたりの距離感を映し出しているよう。スポットライトを一身に浴びるØMIが「With You」で真っすぐに声を落とすと、オーディエンスは吸い込まれるように聴きいっていた。


少人数のバンドメンバーと共にセンターステージへ移動すると、ゆったりとした空気が包み込むアコースティックセクションへ。「Not For Me」ではØMIがクラップを煽る一幕もあり、場内はさらに一体感を増していった。そして、『FULL MOON』の核のひとつともいえる”音楽で人生を振り返るゾーン”に突入。オーディション『VOCAL BATTLE AUDITION 2 ~夢を持った若者達へ~』の第一次審査で歌った「らいおんハート」、映画『ホットロード』の主題歌となった「OH MY LITTLE GIRL」を大切にカバーしていった。特筆すべきは、新たに加わった「雪の華」だろう。映画『雪の華』のオファーを受けた当時を振り返り、「『ホットロード』で俳優はもうやらないと思っていたので、逃げ回ってきたんですけど、プロデュースをやってくださっていた方が「登坂で撮りたいんだよ」って、ずっと言ってくださっていて。「自分の余命もないから最期に撮らせてくれ」と言われたときに、改めて『こんなに人に求められていることって人生でないな』とハッとさせられた感じもあって、引き受けさせていただいたんですけども」と口にする。そして、人生の1ページを呼び起こすように誠実に歌声を降らせていった。

ØMI『INFINITY MOON』初日、2595日を越えた再会の夜を読み解く


ダンサーの紹介パートを経て、ついに『FIRST NIGHT~FULL MOON~』もラストスパート。もともとはメインステージでパフォーマンスを繰り広げていく場面なのだが、なんと復刻版では移動式ステージが出現。ヘビーなサウンドの「PLAY THAT」「Share The Love」と連投し、攻めの姿勢でどんどんMATEを巻き込んでいく。その熱に絆された?のか、フロアにも気合の入ったレスポンスが威勢よく鳴り響いた。
「HEY」でタオルやフラッグ、ペンライトがクルクルと天を舞う光景なんて、まさに大団円。声を出して、腕を突き上げて、幕張メッセをひとつにまとめ上げていく。

トリのMCでØMIが「次が本編ラストの曲となりますが……」と告げるやいなや、「え~!」と沸き上がる歓声。MATEとの絆が見える茶番には、思わず彼も「知っとるがな(笑)」と口角をあげる。会場を隅々まで視線で優しく抱きしめると、フィナーレを飾る「END of LINE」についてØMIは想いを零していった。

「自分は人生を旅に例えて、この曲を作りました。人生は歩んでいくと寄り道もするし、道に迷うこともあるし、行き止まりにぶち当たることもあるし、道を引き返さなきゃいけないときもあるし、自分で道を作っていかなきゃいけないこともある。(「END of LINE」は)たくさん感じて、たくさん傷ついて、たくさん強くなって、ステージに立ってきたんだなと改めて感じる曲だと思いました。僕の根本の気持ちは当時から変わっていませんが、歌う心境は全然違うと感じていて。みんなそれぞれ人生で迷っているときもあれば、辛いときもあるし、引き返さなきゃいけないときもあると思うんです。そんなときには、「こんな曲もあったな」と思って聴いて。空を見上げればきっと、月の光がどこかにみなさんを導いてくれる。
そんな人生の1曲になってくれたらいいなと、自分のなかで再解釈して今夜は歌えるのかなというふうに思っております」と。

そして、スクリーンに映る巨大な月を背に、『FULL MOON』のツアーファイナルぶりとなる「END of LINE」に色を与えていく。月明かりを彷彿とさせるスポットライトに佇み、声をひとつひとつ落としていく様は月のプリンスのように神々しい。”あの日”には涙が溢れてきて言葉にならなかった想いが、7年の時を経て新たな意味と共にMATEへと届けられた。

あっという間に繋がれたアンコールでは、「Smile Moon Night」と「HEART of GOLD」をドロップ。掲げられた手が左右に揺れ、シンガロンが轟き、一致団結したジャンプが巻き起こる様は、まさに物語のクライマックスにふさわしい。今のØMIならではの『FULL MOON』を鮮やかに再構築し、懐かしさと発見が同時に胸を満たす”再会の夜”を体現したのだった。
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