三代目 J SOUL BROTHERSのØMIが、千葉・幕張メッセでライブイベント『ØMI LIVE 2026 ~INFINITY MOON~』を開催。満ちては欠け、欠けては光を取り戻す──月の循環は、ØMIの歩みそのものでもある。
過去・現在・未来を”連なり”として提示する3日間のショー。Rolling Stone Japanでは各日を「深掘りレポート」として切り分け、ØMIが何を更新し、何を手放さずにきたのかを追っていく。

1月31日(土)、同イベントの2日目となる『SECOND NIGHT~ANSWER...~』につけられたコピーは「声が導く、もうひとつの答え。」。ソロ活動の一区切りとして、ハイライトにして集大成でもあった『ANSWER...』を、1374日の時を経てアフターコロナの世界へ呼び戻した。あの頃は耳にすることが叶わなかったMATEの”声”を得て、新たな確信に辿りついたのである。

【写真】ØMI『SECOND NIGHT~ANSWER...~』

本編は『ANSWER...』と同じく「Chapter 1-SHADOW-」と「Chapter 2-SHINE-」で構成。当時と大きく変わった点のひとつは、ステージセットにアルテミス像がないことだろう。かつての公演で役目を終えたと暗喩するかのように、モニュメントはその所在を映像のなかへと移していた。スクリーンのなかでØMIと交差することで、2022年のツアーを追憶する感覚すらMATEに与えたのである。

とはいえ、単なる復刻ライブでないことは、オープニングの時点で明白だった。冒頭の1曲を、冷たい痛みや無常さに諦念を漂わせる「ANSWER... SHADOW」から《I am not afraid/君がいるから》と刻む「ANSWER~LIVE FOREVER~」へチェンジ。なおかつ演出も、モノクロのVTRで魅せるのではなく、漆黒に身を包んだ本人が深くフードを被ってステージ上で歌うスタイルに変えてきたのだ。
まるで『ANSWER...』を越えた先の世界線から届けられる新たな答えが『SECOND NIGHT~ANSWER...~』なのだと謳っているようではないか。

ØMI『INFINITY MOON』2日目、声が導いたもうひとつの答え


炎がメラメラと激しく揺れる映像を挟み、フードを外して素顔を露わにしたØMIが再登場。「あなたにも光が見えますか?」と問いかける「Can You See The Light」を呼び込んだ。《翼はない、でも飛び立つのさ》のフレーズも、あの頃なら虚勢が混じっていたかもしれないが、2026年の今では確かな実現性と共に響く。パワフルで艶っぽいダンスも相まって、あっという間に幕張メッセの空気を掌握していった。

ハンズアップとジャンプの一体感が場内を包む「Nobody Knows」、女性ダンサーとの絡みにドキリとさせられる「NAKED LOVE」、吐息たっぷりの歌声に耳が溶ける「OVERDOSE」と流れを止めることなく展開。『FULL MOON』ツアーのテーマともリンクする「BLUE SAPPHIRE」も投下され、影の色が次第に深まっていく。なかでも印象的だったのは、「Can You See The Light」以降の5曲では、頻繁にØMIの実映像と反転映像がスクリーンに映し出されていたことだ。時にはアルテミス像をセンターに据え、ふたりのØMIを見せることで、人間が持つ光と影の二面性を視覚的にも表現したのである。

水中から外の世界を見上げるようなVTRを受け、ここからは「Chapter 2」に繋がる架け橋のパートへ。導かれたのは、葛藤の中にある唯一のラブソングの「Give up」だ。歌詞が映し出されるスクリーンを背に、ダンサーもいないステージで憂いを帯びた歌声を紡ぐØMIの姿は、彼が独りであることを強調する。
まるで自身の抱える影と向き合いつくすことが、いかに孤高かを描き出すように。しかし、葛藤のなかで愛を追い求める孤独な時間も永遠には続かない。日食――MATEの光とØMIが重なり合う機会を得て、物語は希望へ向かっていく。《Im never Colorblind》と焼き付ける「Colorblind」のなんと力強いことか。むしろ『THE FUSION』を通して、自身のファンのみならず様々な光――いろいろなアーティストと重なりあった今だからこその強さすらある。4年弱の年月を重ねたØMIにより、自分を支えてくれている光の大切さが、改めて訴えかけられた瞬間だった。

ストーリーもいよいよ折り返しを迎える。オープニングで登場したフードを被ったØMIのような謎の存在を打ち抜く幕間映像をトリガーに、世界は「Chapter 2 -SHINE-」へ色を変える。ØMI Bandが轟かせる「ANSWER...」はひどくエモーショナルで、まさに闇に支配された領域を切り裂いていくよう。そして会場に満ちた光が弾けると、真っ白な衣装に黒のスカーフを垂らしたØMIが姿を現した。原版の『ANSWER...』では、オールホワイトだったスタイリングに細やかな黒を足したのは「光の傍にはいつだって影もある」と物語っているようであり、あの頃よりもすべてを受容できるようになったØMIを印象付ける。落ち着きながらも晴れやかな表情で「SHINE」を歌い踊ると、「You(Prod. SUGA of BTS)」では会場一体となるシンガロン。
自然と沸き上がる歓声を耳にしたØMIは「この声が聞きたかったんだ」と嬉しそうに目じりを下げた。

この日初となるMCでは、『ANSWER...』開催当時はコロナ禍でMATEの声出しが叶わず、やりきった充足感を感じつつも、どこか物足りなさを感じていたと告白。さらには「当時の自分がやったものとは全然違うものになると想像して、ウキウキワクワクしながら今日このステージに立ったので、みなさんの声がたくさん聞けて安心しました」と安堵を浮かべた。

その後は、MATEと密な距離でパフォーマンスを繰り広げていくラストスパートへ。移動式ステージに乗り込んだØMIは、「Starlight」「HEY」「DIAMOND SUNSET」の3曲をかけて、たっぷりと客席後方を巡っていった。会場の熱気が最高潮に達するのを見越していたかのように、ライブを意識して制作された「Just the way you are」を投入。「一緒に楽しく気持ちよく歌ってもらえたら」というØMIの一言に先導され、MATEの声もフラッグも心地よさそうに揺れる。『ANSWER... SHADOW』を作っていた当時、彼が脳内で思い描いていたであろう景色が、確固たる現実として個々の記憶に刻まれたのだった。

『SECOND NIGHT~ANSWER...~』の本編も、残すところあと1曲。フィナーレを前にしたØMIは、ラストソングに込めた思いをポロポロと零していった。自分の人生論や世の中の摂理を感じながら生み出した楽曲であること、当時は切なさや苦しさを抱えながら絞り出すように歌っていたこと、約4年の歳月を経てナチュラルに歌えるようになったこと。そして、現在のØMIには自分の人生を歩めている自信があること。
ここまで披露してきた15曲を噛みしめながら、誇らしそうに言葉を紡ぐ。その想いのままに「この歌を聴いたあと、また生活のなかでこの歌を聴いていただいたときに、人生ってきっと愛で溢れているんだなというふうに感じてもらえたらなと改めて思いました」と口にし、深くブレスを取って「After the rain」を誘った。《目の前に君がいれば》と一人ひとりを指さしたり、胸に手を当てて温度を宿したり、一段と真摯に声を編み上げていく。誠心誠意を地で行く姿は、切実かつ温かで思わず胸がギュッとなるほどだ。《僕の愛で幸せにする》という覚悟を丁寧に手渡し、清々しく「Chapter 2 -SHINE-」を結んだのである。

ØMI『INFINITY MOON』2日目、声が導いたもうひとつの答え


一度幕が下りてもなお、まだショータイムは終わらない。「Chapter 3 -UNDER THE MOONLIGHT-」と告げる映像をきっかけに、すぐさまアンコールへとなだれ込んだ。「余計なことを考えずにぶっ飛べばよくない?」と焚きつける「UNDER THE MOONLIGHT」をドロップし、一瞬にして場内の熱気を再燃。そのまま「CHAIN BREAKER」「HEART of GOLD」と全力で走り抜けていく。響き渡る歓声、上下に揺れるフロア、左右に揺れるフラッグ。大団円と呼ぶにふさわしいその光景を目にすると、ØMIが辿り着く結論は、やはり”君”なのだと思わざるを得ない。コピーになぞらえるなら、「”MATE”の声が導く、もうひとつの答え(= ANSWER...)。」という結論に至るのではないか。


アンコール終了後には、「Chapter 4 -ANSWER-」と題された映像へ。「君がそばにいるとわかったから。答えは君だよ」のメッセージが伝えられると共に、『The answer hidden in THE FUSION』の一節で、翌日にバトンが渡される。『SECOND NIGHT~ANSWER...~』を通してØMIは、「やはり答えは君だ」と改めて伝え直すと同時に、歓声なき『ANSWER...』の思い出をアップデートしたのだった。
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