待望の6作目となる本作で、スコットは自らの冒険心を前面に押し出す。トリップホップからニューオーリンズR&Bまでを自在に取り込み、その音楽性はこれまで以上に多彩だ。「Norf Side」ではDJプレミアのビートを駆使し、同郷フィラデルフィアのティエラ・ワックと並んで堂々とラップを披露する。「みんなインスタで私の身体のことばかり話している」と彼女は吐き出すが、これはNFL選手から侮辱的な発言を受け、拡散された一件を踏まえているのかもしれない。かつての”ベイビーメイカー”なR&Bアンセムを愛する長年のファンにとっては、この音楽的折衷性に最初は戸惑いもあるだろう。しかし『To Whom This May Concern』は繰り返し聴くことでその真価を現す作品だ。過去作のように滑らかで啓示的とは限らないにせよ、その奥には確かな実りがある。
彼女がどこへ向かおうとしているのか、必ずしも明確ではない。「Be Great」という信条を掲げるのか、それとも過去を静かに見つめ直すのか。「Pay U on Tuesday」ではブルージーな節回しで「もう”ニガー・ブルース”はいらない」と歌い、続けて〈私が黒人の誰かのことを言っていると思うなら/その”ニガー”はあなたよ、それを自覚して〉と付け加える。相手は男性かもしれないし、女性かもしれない。黒人かどうかも限定されない。
かつての名曲「Love Rain」(2000年)のような軽やかで羽毛のような色香の代わりに、今作のパフォーマンスを支えているのは、長い年月を経て獲得したざらりとした質感だ。だが、遊び心を失ったわけではない。「BPOTY」ではトゥー・ショートとともに、腐敗した説教師や製薬会社を「今年最大のピンプ(搾取者)」と名指しする。「To B Honest」ではラッパーのJ.I.Dと共演し、「Liftin Me Up」では弾むようなゴーゴーのリズムにゴスペル風の力強いフックを重ねる。そうした楽曲群が積み重なり、温かく親しみやすく、それでいて複雑で、どこまでも人間的なアーティストの新たな肖像を描き出している。
Jill Scott(ジル・スコット)
『To Whom This May Concern』
配信中
配信リンク:https://orcd.co/twtmc
レーベル:Blues Babe Records
Track Listing
1. Dope Shit (ft. Maha Adachi Earth)
2. Be Great (ft. Trombone Shorty)
3. Beautiful People
4. Offdaback
5. Norf Side (ft. Tierra Whack)
6. Disclaimer
7. Pay U on Tuesday
8. Pressha
9. BPOTY (ft. Too $hort)
10. Me 4
11. The Math
12. A Universe
13. Liftin Me Up
14. Ode to Nikki (ft. Ab-Soul)
15. Dont Play
16. To B Honest
17. Right Here Right Now
18. Àṣẹ
19. Sincerely Do
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from Rolling Stone US


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