約5年ぶりの2ndアルバム『Diaspora』は、ブラックミュージックを土台に、現行UKシーンのジャズとエレクトロニックの接続点と共振するような意欲作だ。メンバーは、takaosoma(Gt)を筆頭に、SOMAOTA(Rap, Vo)、安原大貴(Sax)、石尾紘樹(Key)、たけひろ(Ba)の5人(※ドラムのKuga Arumuは現在療養中)。異なるバックグラウンドを持つ個が拮抗しながら、打ち込みと生演奏を緻密に組み替えバンド・フォーマットで再構築していくBlack petrolの音楽は、高い創造性に満ちている。
そして何より彼らは、ライブがすごい。高度な音楽性を下敷きに、引き算の構築とドロップの快感でフロアを確実にロックし、観客を踊らせる。本記事では、ホームレス同然の時期を経て路上演奏で生計を立てながら音楽に賭けてきたリーダー・takaosomaを中心に、メンバーが『Diaspora』を完成させるまでに至った話を訊いた。京都から世界へ、ブリリアントな才能が、いま新たなシーンを作り出そうとしている。
京都のコミュニティが育んだ多様性
―結成は大学時代なんですよね。
takaosoma:そうです、大学1回生の頃かな。2017年くらいです。
―最初から今の6人構成だったんですか?
takaosoma:最初は7人だったんですよ。大学のジャズ研で、チャールズ・ミンガスのような曲をいわゆるスウィングじゃないビート感でインストとしてやろう、というところから始めました。
―最初はMCが4人もいたんですね。
takaosoma:ただ、さすがにMC多いねってなって、2MCの7人編成で、去年までずっと続けてきました。
SOMAOTA:僕の知らないところでコンペみたいなのがあったみたいで(笑)、僕とONISAWA(2025年にバンドの裏方へ転向)というMCの2人が残りました。
左から石尾紘樹、SOMAOTA、takaosoma、安原大貴、たけひろ(Photo by Ayumu Kosugi)
―いま京都大学の名前が出ましたけど、皆さん出身大学はばらばらなんですか?
takaosoma:ばらばらです。京大と同志社と佛大と龍谷ですね。僕は龍谷大学に2年行って途中で辞めちゃったんですけど。そもそも各大学のサークルでカラーが全然違って、色んな人の集まりなんです。龍谷は軽音楽部っぽい感じで、ジャズ畑ではなかった。逆に同志社の方は、軽音部なんですけど中身はジャズみたいな感じで。そんなばらばらのメンバーが、年に一回あった山野楽器主催の大会で出会って交流が始まったんです。
―バンド全体の下地としてあるのは、ジャズですよね。となると、ヒップホップの要素を持ち込んでいるのはSOMAOTAさんですか?
SOMAOTA:そうだと思います。
takaosoma:SOMAOTAって面白くて、そもそもラッパーっていうよりもうちょっとオルタナティブな人で。最初会った時、彼は京大の軽音楽部に入ってたんです。ただ、皆でコピバンするようなオーセンティックな軽音部じゃなくて。でかいMacがあって、Abletonで曲作ってビート作ったりMPC叩いてるやつがいたり、なんか変な場所だったんですよ。大学入って一年休学して、そこでずっとAbletonでビート作ってる、みたいな人で。ラッパーっていうより、ちょっとオタク気質な人というかね。それで、当時は僕もヒップホップの文脈をそんなに知らなくて、むしろUKジャズのテイストが好きで。そこから彼に日本語ラップをいろいろ教えてもらって、KID FRESINOとかJJJとか、オルタナティブなヒップホップに出会っていった。そこで、「日本語ラップとジャズを融合させる」ような方向が出来上がった感じです。
―なるほど、ヒップホップは後になって加わった要素なんですね。
takaosoma:自分の場合、最初はケンドリック・ラマーの良さすら分からなくて。ジャズ研の先輩に「ヒップホップ何聴けばいいですか?」って訊いたら『To Pimp a Butterfly』を勧められたんですけど、「なんだこれは?!」って理解できなくて。ヒップホップの良さはサウンドだけじゃない、っていうのが当時は分かってなかった。あとからリリックの意味を知って、そこでようやく「これはすごい」って腑に落ちた。ちょうど(『To Pimp~』に参加している)カマシ・ワシントンとかも含めて、文脈が繋がってきた感じがありました。
―UKジャズ周辺の、ヒップホップも吸収したような動きというのは当時から意識していましたか?
takaosoma:正直、最初はそんなにちゃんと考えてなくて、掛け算したら面白いんじゃない?くらいのノリだったんです。でも続けていくうちに、なんかこれって面白いことやってるよね? と思いはじめた。そもそも、国内で僕たちみたいな音楽ができる場所があんまりなかったんですよね。でもそこから時間が経って、ユセフ・デイズやカマール・ウィリアムズといったミュージシャン、レーベル〈Black Focus〉周辺のことを知って「実は同じようなことをしてるのかもしれない」って思いはじめたんです。結果として、同時代的に合致してたんだと思う。ケイシー・ベンジャミン(ロバート・グラスパー・エクスペリメントでの活動で知られる)がやっていることとかも当時認識はしていなかったけれど、後から考えたら近いことを考えてたのかもしれないなって。
現行UKジャズに多大な影響を与えたユセフ・カマール(ユセフ・デイズとカマール・ウィリアムズによるユニット)
―ちなみに、他の皆さんの音楽的バックグラウンドはどんな感じなんですか?
たけひろ:結構バラバラですね。
石尾:僕は正反対で、ずっと邦楽ロックのバンドでキーボードをやってました。黒人音楽を追いかけるようになったのは、このバンドに入ってからメンバーに教えてもらって。だから最近、蔦谷好位置さんがBlack petrolを取り上げてくれたんですけど「えっ、YUKIのプロデュースしてる人やん……!」って(笑)。
takaosoma:このバンドってUKの文脈に近いけど、そうじゃない日本的な部分を担ってるのは彼ですね。例えば「Howlin' collective」という曲で、BPMがガラッと変わるところのピアノのフレーズとか明らかにジャズではないんだけど、あれはあれでぶっ飛んでる。ジャズ文脈とは別の視点で見てる人じゃないと、ああいうのは出せないと思います。それって、アジア圏の新しいジャズ、みたいな文脈にもなり得ると思ってて。僕からは絶対出てこない、可愛すぎるフレーズが出る時がある(笑)。
石尾:僕目線のフレーズを入れた時に、「めっちゃええやん」って言われる時もあれば、J-POP色が強すぎて「キャッチーすぎるわ!」ってなる時もある(笑)。そこのバランスは大切ですね。
安原:逆に僕はずっとジャズ研で、ビバップ、ハードバップが一番好き。ヒップホップはバンドに入ってから聴き始めたんですけど、最初は「どれもサックスおらんやん、どうしたらいいの?」と戸惑いましたね(笑)。その人がどう吹くかという、ソロのアドリブ性が高いサックスが好きだから、ループするサンプリングのサックスの魅力がずっと分からなくて。でも最近は、そのシンプルさも好きになってきました。
takaosoma:彼には最近、サム・ゲンデルみたいな人の話をよくします。サックスってソリストとしての表現が強い楽器だけど、FX(エフェクター)的な使い方だったり、サックスでできる表現はもっとある。そういう方向も取り込めたらいいなと思って。
―皆さん本当にバックグラウンドが多様ですね。京都の、大学をまたいだ音楽コミュニティの厚さを感じます。
takaosoma:確かに。
『Diaspora』で追求した「引き算」
―バンドの背景が見えてきたところで、ぜひアルバムの話も伺いたいのですが、『Diaspora』はどのように制作を進めていったのでしょうか。
takaosoma:まず、ほとんどの曲を僕が打ち込みで作って、それをプレイヤーに弾いてもらうというやり方です。というのも、今回はUKの音楽シーンにかなり接近してるアルバムになっていて、これは太い芯がないと作れないなと思ったんです。以前は、各自のバックグラウンドにあるものを混ぜていく感じだったけど、今回は「自分たちが表現したい芯はここにある」というのを、まずメンバーの皆にも分かってほしかった。
Photo by Ayumu Kosugi
―デモを受け取ったメンバー側は、どう受け止めて表現していきましたか?
SOMAOTA:UKラップって譜割りが全然違うんですよ。今までケンドリック周辺のUSヒップホップ×ジャズのサウンドが好きだったけど、UKになった瞬間に譜割りがけっこう違うということに気づいて、そこを落とし込んでいくのが今回の挑戦でした。もうひとつは、リフレイン。繰り返しのフレーズを多用して、中毒性のあるフレーズを作っていく。そのぶん、歌詞をできるだけシンプルにすることにもトライしました。
―UKラップの譜割りを体得していくにあたって、一番がんばった曲はどれでしょう?
SOMAOTA:割と全部なんですけど、一番うまくできたのは「mosaic」ですね。ビートがシンプルだったのと、制作終盤に作ったから口にも馴染んできて。
―UKのラッパーでよく聴いていたのは?
SOMAOTA:スケプタとかセントラル・シー。あとちょっと違うけど、レゲトンとかやってるJ・ハスも好きです。でも一番好きなのはコジェイ・ラディカル(Kojey Radical)かな。UKジャズ文脈で、エズラ(・コレクティヴ)の曲にも参加しているし。あとノヴェリストっていう、ちょっとオタクっぽい雰囲気のラッパーに親近感を感じます。
コジェイ・ラディカルが参加した、エズラ・コレクティヴ「No Confusion」
―私はちょうど昨日(※取材日の前日2月13日)Black petrolのライブを観たんですが、サウンド的に、実験的な方向へといくらでも行けそうなところを、すごくダンサブルで乗りやすくまとめていることに驚きました。アルバムもそういったカラーが出ていると思います。今回、ダンスビートをどのように取り入れるかという議論はありましたか?
takaosoma:そう、ダンス要素を取り入れることで、制約を作りたかったんです。今まで僕らはもっと実験的で、踊るというより、お客さんがびっくりして棒立ちで見ちゃうライブが多かった。一方で、制約があると安心してノレるんですよね。自分はUKジャズの文脈を追いつつ、最近はUKガラージをずっと聴いてて。ガラージって4小節単位で展開が変わる。ライザー(上昇音)があってドロップが近いって分かるから、安心して楽しめるんですよ。だからこのアルバムは、ドロップを作るという流れをちゃんと決めた作品なんです。でも、大変でしたね。
―どういったところが大変でした?
takaosoma:ビートだけなら、再生ボタンを押せば再現できるじゃないですか。でもバンドだから、ライブでどうやるかが難しい。実際、日本で今ドロップに向けたビルドアップを小箱のライブハウスで表現してる人ってほとんどいないんじゃないか。だから、めっちゃ勉強しました。UKのジャズミュージシャンやプロデューサーのライブ動画をとにかく見ましたね。
面白かったのは、エズラの鍵盤奏者のジョー・アーモン・ジョーンズと、ベーシスト/DJ/トラックメイカーのマックスウェル・オーウィンのデュオで、DJセットの横にキーボードを置いてミニマルテクノを流しながらソロを入れていくやつ。ほかにもフレッド・アゲインとアンダーソン・パークが一緒にやっている動画とかも何度も見ながら、「ここでどう展開が変わってる?」「なんで徐々に速くできるんだ?」みたいなのを一生懸命考えて、1年くらいみんなで話し合ってやってライブに落とし込んでいきました。
石尾:うん、おすすめしてもらった動画はめっちゃ見ましたね。
安原:前は、演奏が足し算だったんですよ。ライブ中、何もしてない時間がない。でも3曲目の「mosaic」とかは、今回ただの間奏、いわゆるドロップがある。前ならそこで誰かがソロを弾いたり、ドラムが暴れたり、キーボードがソロを弾いたりしてたけど。引き算的になって、そのぶん踊りやすくなったと思います。
takaosoma:友達のバンド、S.A.R.でベースをやってるEnoくんと喋って、そういう美意識を教えてもらいました。S.A.R.って音が少ないし、ソロもあんまりない。気持ちいい空間を作るのを大事にしてる人たちで、僕らとは真逆なんですよ。彼らから影響を受けて落とし込んでる部分もあります。
―そういった、横の繋がりでの刺激もあるんですね。それこそUKジャズにおけるTomorrow's Warriors周辺じゃないですけど、国内においても、UKのクラブミュージック、ジャズ、ヒップホップ等をルーツにしている人たちが時を同じくして出てきている印象があります。そういった共時性を感じるミュージシャンは誰かいますか?
takaosoma:音楽性そのものが合うこと以上に、もっと広い「シーン」みたいなものが最近できてきている感覚はあります。w.a.uもそうだし、SkaaiくんとかS.A.R.とかは、同じ目線に立ってるんじゃないかなって。みんなで一緒に頑張ろうぜ、みたいな雰囲気があって、こういう音楽がもっと大きい市場になったらいいのになってめっちゃ思ってますね。
―w.a.uとは、コレクティブ的な動きをしている点においても共通点を感じます。今作でも「Hollow」に、Sakepnk名義でw.a.uでも活動していたReo Anzaiが参加していますね。それに、音楽性においてはSkaaiの名前が挙がるのも納得です。
takaosoma:Skaaiくんって、日本語ラップ文脈だけで考えたらもっと大きいステージに立つ方法もあったはずなのに、アルバム(昨年12月リリースの『Gnarly』)を聴くと、ちゃんとバンドの音楽をやってる。そういう日本のラッパーって、ほとんどSkaaiくんぐらいしかいないんじゃないかと思います。w.a.uも、俺らはバンドからヒップホップに寄っていったけど、彼らは打ち込みからバンドへ、みたいに流れてますよね。
―SOMAOTAさんの立ち位置は、Skaaiとも近いように感じます。ヒップホップが好きでラップが巧いという軸を持ちながらも、幅広いサウンドを志向して活動してますよね。動き方が似ている。
SOMAOTA:そうかもしれない。仲良くなりたいですね。彼は多才で、歌もめっちゃ上手いじゃないですか。歳も同じぐらいだから、自分は何で勝負できるんだろう、って考えます。いい刺激をもらってます。
どん底から見つけた「居場所」
―今回、『Diaspora』というタイトルを付けた経緯を教えてください。けっこう大きなテーマの、勇気のいるタイトルですよね。
takaosoma:これは、僕が付けました。ディアスポラって「移民にとっての新しい場所」みたいな意味だと思うんですけど。Black petrolって、いっときライブハウスに出ても誰も得しない感じが続いてて、しんどくなったりもして。というのも、今って「シーン」にはなってなくて、僕らみたいなアーティストが「点」で個別にいるだけの状態なんですよね。最近のライブハウスの流れが自分たちに合ってない感覚もあって。たとえばツーマンイベントやりますってなったら、オープンからクローズまで時間で区切られて、終わったら物販15~20分やって「お疲れさまでした」って帰っていく。でもそうじゃなくて、もっとお客さんと個々で繋がって、周りのアーティストも含めてちっちゃい集落みたいにいろんな場所を転々とするのがいいんじゃないか、っていう感覚があったんですよ。それをディアスポラって言葉に重ねたところがあります。
―なるほど。そもそもシーンに居場所がない、という自覚があったわけですね。
takaosoma:僕は大学もすぐ辞めてるんです。大学に入った途端に、親から学費を出せないって言われて。それで奨学金の申請をしたんですけど振り込みは数カ月後で、その間お金が一切ない。バイトしたんですけど、ちょっと大学に行くのが厳しくなって学費も払えなくなって辞めた。そしたら、辞める時に父親が「中退はあり得ない」って京都まで追いかけてきて。家に帰れなくなって、1年ぐらいホームレスみたいな時期があったんです。部室があったから、そこで泊まったりもしながら「曲作ろうぜ」って作っていく、みたいな。
SOMAOTA:ちなみに、僕もそこで寝泊まりしてたんで、まあほぼ変わらないですね(苦笑)。
Photo by Ayumu Kosugi
―『Diaspora』の意味が分かってきました。
takaosoma:僕、去年1年間は路上ライブで生計を立ててたんですよ。ひとりで道端でジャズを演奏してて。なぜかというと、バイトをどうしてもしたくなかったのと、本当に音楽で生計を立てるためにはテクニックも必要だなと思って、1年間「演奏だけやろう」って決めて。めっちゃきつかった。お金もないし、本当に死のうかと思った時もあった。冬もほぼ毎日路上ライブをやってたんですけど、寒いから誰も聴いてくれないんですよ。
そんな中で、たまたま通りすがったオーストラリア人の女の子がジャズシンガーをやってる人で、「君の演奏、私の好きな音楽と近い」って言ってくれて。「私も一緒に歌っていい?」って言われて、路上で一緒にダニエル・シーザーをプレイして、そこから仲良くなった。今回のアルバムで国際的なニュアンスを入れたいな、女性シンガーが良いな、でも国内で合う人が思い浮かばない……って悩んでた時に、その子が浮かんだんです。それがパージャ(PERSIA)ですね。連絡したら「ぜひ一緒にやろう」って言ってくれた。だから表題曲「Diaspora」は、僕とパージャの出会いがベースにあります。彼女のリリックにも「離れてても私たちは一緒」みたいな意味が込められてましたね。
―takaosomaさんのエピソード、どれもハードですね。ラッパーの話を聞いているみたいです。
takaosoma:ちなみに、今住んでいる家もひどくて、窓が29枚あるんですよ。ホームレスになった時に保証人なしの賃貸アパートないですかって訊いたら、京都の山奥の部屋か、窓が29枚ある部屋かって言われて。6階にあるんですけど、最近までカーテンが買えなくて、夜に遠くから見たら町の灯台みたいになってて(笑)。
一同:(笑)
takaosoma:今作のアートワークに映っている小銭は、去年1年間に路上ライブでもらった色んな国のチップなんです。小銭って、日本じゃ両替できないから溜まりに溜まって。全部、通りすがりの人が入れてくれたお金。そこもディアスポラだなって。
PERSIA
―リリックはSOMAOTAさんが主体的に書いてるんですか?
SOMAOTA:はい、書いてます。でも、めちゃくちゃ大変でした。最初にできた「TURNⅠ」「TURNⅡ」は、皆で考えて作詞したんですけど、書いた後に気に入らなくなって、全部やり直させてくれって言って……。昨年7月23日に初めてのレコーディングがあったんですけど、そのあとフジロックに行って、その環境で聴き返しても良くなくて。分かりやすさを大事に作ってたんですけど、ポップすぎて、「これは自分じゃない」って葛藤があって、このままだとラップ続けられない、この曲が出たら終わる、って。でもメンバーにも言いづらくて、レーベルのスタッフにフジロックで「録り直していいですか?」って言ってやり直しました。
takaosoma:その時、俺らは何も知らなかったんですよ。フジロックに来てるはずなのに何も連絡がとれなくて、何してるんやろって思ってたら、スタッフから電話が来て事情を聞いて。いやいや、まず俺らに言えよ! ってなりました(笑)。
SOMAOTA:申し訳ない……(苦笑)。
―どうしても納得できなかったと。
SOMAOTA:大変でした。書き直したんですけど、あとはもう締め切りとの闘いで。かなり赤裸々に書いたし、フジロックで落ち込んでたこともそのまま書いてます。おかげで、自分が胸を張って「これでOK」って言える歌詞しか出してないと言えます。
―〈波の様に震えて変わるサウンド/ゲリラ豪雨みたく突然のアクシデントに悪戦苦闘/でも泥濘の多い方/これからも選んで走ろう〉のあたりとか、完全にフジロックですね(笑)。
takaosoma:リリックを見て、書き直して良かったと思いました。でも、僕からしたらちょっとクールすぎる気もする。ラップって、ユーモアも大事だと思うんです。Watsonとかまさにそうですけど、日本語ラップの面白さって、ちょっとした”いじり”の要素があるじゃないですか。でも今回は割とクールに振れてるから、今後はそういうユーモアももう少し出せたらいいなと思ってはいます。ただ、このアルバムには、そういう足りなさもリアルに入ってる。大変な時期だったから。
Photo by Ayumu Kosugi
―『Diaspora』という意味でいうと、UKのシーンにおいては、ジャマイカ系などいろんな土地から集まった人たちが音楽を作ることで、周縁から中心を撹乱していくような構図もありますよね。Black petrolの場合は、今後バンドとしてどのように周縁からマーケットの中心を攻めていきたいと思っていますか?
takaosoma:2年前に皆でフジロックに行ってサンファを観た時、本当に感動したんです。メンバーの中には泣いてる奴もいたし、音楽の力ってこれだよな……って強く思った。僕らも、とにかくいい音源といい演奏を追求したいと思ってます。それによって、聴く人を引っ張っていきたい。J-POPを聴いてる人にも「これは本当にすごい」って思わせる強度の作品とライブを作りたい。それをメンバー内では、短い言葉で「天下統一」って言ってます。
一同:(笑)
―「天下統一」ってそういう意味なんだ(笑)。
takaosoma:はい、天下統一ですね。
―天下統一の範疇は、海外も含んでいますか?
takaosoma:以前、タイで遠征ライブに行ったんですけど、ほぼ全員が僕らを初めて観るはずだったのに、入場規制がかかるくらい人が集まって。お客さんの数もありがたかったけど、コール&レスポンスがすごかったんですよ。リアクションがすごくピュアだった。海外の人って、異文化に触れる感覚で音楽に接してるから、ピュアに楽しめる部分があるんだと思います。一方、日本国内はどうしても文脈ありきの部分が大きい。だから、それをぶっ飛ばすくらいに良いライブをやらないといけないなってずっと思ってます。
―ライブを観て、そのすごさは感じました。Black petrolのパフォーマンスには、文脈をぶっ飛ばすパワーが感じられます。実は非常に難しいことをやってるのにダンサブルで、曲を知らない人でもノレる。しかもメンバーの皆が、楽しそうに演奏するじゃないですか。特に石尾さんがめちゃくちゃ楽しそうで、観てるとこちらも幸せな気持ちになりました(笑)。今後に期待してます。天下統一してください。
takaosoma:ありがとうございます。天下統一したいですね。
Photo by Ayumu Kosugi
Black petrol
New AL『Diaspora』
再生・購入:https://orcd.co/blackpetrol_diaspora
Black petrol Club Tour ”Diaspora”
2026年3月13日(金)大阪・CIRCUS Osaka
出演:Black petrol/空音/Aru-2/DJ Rin
2026年3月19日(木)東京・CIRCUS Tokyo
出演:Black petrol/Sakepnk and friends/möshigigam(MÖSHI+Gimgigam)
2026年4月25日(土)京都・CLUB METRO
出演:Black petrol and You!
23:00 OPEN/START
料金:前売2,500円、当日3,000円、Under23 2,000円
チケットリンク:https://eplus.jp/blackpetrol/


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