ゴリラズほど幅広い音楽性を持つバンドはそう多くない。それだけに、今回のアリーナツアーでどの楽曲を選ぶかは難しかったはずだが、バーミンガムのステージに現れたアルバーンたちからは、そんな迷いはまったく感じられなかった。
会場には世代を超えた観客が集まり、父親が息子に”自分の好きなバンド”を紹介するような光景も見られる。約10年の歩みを横断する全24曲のセットは、最新作『The Mountain』の楽曲を軸にしつつ、過去の人気曲もバランスよく織り込まれていた(なお「DARE」は未演奏。ショーン・ライダー不在のためだろう)。
アリーナに集まった1万5000人の観客を、ゴリラズの象徴であるアニメーションのアバターを軸とした映像とともに、多層的な体験へと引き込んでいく今回のライブ。最新作に通底する”死”や”喪失”、”来世”といったテーマも、演出の中で自然と浮かび上がっていた。
デーモン・アルバーン(Photo by Luke Dyson)
冒頭、アルバーンが軽く体をほぐすような導入を挟み、フルート奏者アジャイ・プラサンナが空気を一変させる。タブラ奏者カヤム・フセインとともに今回新たにツアーに加わった彼が、9作目のタイトル曲「The Mountain」で観客を一気に作品世界へと引き込んだ。
続く「The Happy Dictator」では、うねるビートとディストピア的な歌詞(〈みんなが消費に夢中なあいだ、僕は君を救い出す〉)が重なり、この日最初の大合唱が生まれる。さらに同作からの「The Empty Dream Machine」や「Delirium」ではスピリチュアルな高揚感が漂い、とりわけ後者は、切実な歌詞とは裏腹にピンクのストロボが点滅する中で熱狂的な一体感を生み出していた。
この2時間のライブには、実在・映像を問わず多彩なゲストも登場する。
「On Melancholy Hill」や、観客のスマートフォンのライトが揺れる中で披露された「The Shadowy Light」も、会場の空気をしっとりと変える印象的な場面だった。
一方で、会場の熱を一気に引き上げる場面も多い。ヤシーン・ベイと、映像で登場するボビー・ウーマックが参加した「Stylo」では会場の熱気が一気に上がり、長年のギタリストであるジェフ・ウートンは「Clint Eastwood」をよりダイナミックに押し広げる。「Dirty Harry」ではラッパーのブーティー・ブラウンが加わり、一気に爆発的な盛り上がりへ。そしてデ・ラ・ソウルのポスを迎えた「Feel Good Inc.」では、この日いちばんの歓声が上がった。
Photo by Luke Dyson
今回のツアーは、音楽がさまざまな形で人をつなぎ、心を動かす力を持っていること、そしてライブの中心に優れたミュージシャンがいることの重要性を改めて示していた。
「誰かを自分たちの”家族”に迎え入れると、その輪はどんどん広がっていく。それはいつだって嬉しいことなんだ」とアルバーンは終盤に語る。「そして、君たちもその一員だ」。
Gorillaz(ゴリラズ)
『The Mountain』
Kong
配信中
https://gorillaz.ffm.to/themountain
The Mountain Tour 2026:
チケット情報:https://gorillaz.com/
from Rolling Stone UK


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