3月27日、606号室の全国ツアー「ロクマルロックツアー 2026」が無事に終幕を迎えた。ツアーファイナルの舞台は、Spotify O-Crest。
この公演は、彼らにとって初の東京でのワンマンライブとなった。関東圏のファンの中には、この日初めて彼らのワンマンライブを観た人がきっと多かったと思う。筆者も、これまで対バンやフェスなどで何度も606号室のライブを観てきたが、ワンマンの尺で観たのは今回が初めてだった。全編を通して、彼らが誇る表現の幅を今まで以上に感じ取ることができたし、何より、目の前の一人ひとりのファンに対する真摯で誠実な姿勢が全編から伝わってきて、とても感動的だった。当日の模様を順を追って振り返っていきたい。

ピンスポットライトを浴びた昇栄(Vo・Gt)が、一つずつコードを鳴らしながら「君のことは」の一節を歌い始める形でライブがスタート。「やっぱり始まりはこの曲で」「さぁ、始めるぞ、Crest!」昇栄が高らかに呼びかけると、観客がハンズクラップを重ね、手を高く掲げて、バンドの熱い想いに応えてゆく。快活に躍動するバンドサウンドを力強く牽引するゆうあ(Ba・Cho)のベース。その上に鮮やかな彩りを添えてゆく円花(Pf・Cho)が奏でるキーボード。それらを受け、展開を重ねていくたびに、昇栄の歌がどんどんエモーショナルに昂っていく。

606号室、初東京ワンマンで刻んだ誓い「ずっとあんたの味方だよ」

昇栄(Photo by 金子千夏)

606号室、初東京ワンマンで刻んだ誓い「ずっとあんたの味方だよ」

ゆうあ(Photo by キタムラショウタ)

606号室、初東京ワンマンで刻んだ誓い「ずっとあんたの味方だよ」

円花(Photo by 金子千夏)

続いて「エンドロール」へ。音源以上にドラマチックに、また、豊かな包容力をもって響きわたり、ラストのサビではひときわ晴れやかな景色が会場全体に広がってゆく。
Crestのスケールを遥かに凌駕するライブ表現に、思わず息を呑んだ。一転して、等身大な響きを放つ「最後の恋人」へ。続いて、昇栄が「今持ってるもの全部をここに置いてくので、遠慮なく持って帰ってください」と宣誓した上で、「100個の幸せとたった 1つの」へ。同期のストリングスとバンドサウンドのコンビネーションがとても見事で、何より、この曲もCrestに収まりきらないほどの雄大なスケール感を帯びていた。

ここで、昇栄が、今に至るまでの自身の原体験を語り始める。ある日、Mr.ふぉるてに憧れてギターを始めたけれど、当初は、周りから「お前には無理だよ」と言われて毎日泣いていた。苦しい思いを抱くことも多々あった。でも、あの頃の苦しみがあったからこそ、今日の幸せがある。そう振り返った昇栄は、「何もできなかった頃、ベランダで一人、夜を見つめて書いた歌」であるという「静寂の夜」を歌い始めた。キーボードのアルペジオに導かれるようにして、次第に心の奥底へと潜ってゆくような感覚がもたらされてゆく。切実な孤独や感傷が、やがてスケール抜群のサウンドによって高らかに昇華されてゆく展開がとても感動的で、原点の一曲でありながら、今も普遍的な輝きを誇る一曲であると強く感じた。

続けて昇栄は、自分たちが目指すバンド像を語り始めた。
自分たちは、リスナーの手を引っ張るバンドではなく、リスナーの手を取って、隣にいて、背中を支えるバンドになりたい。そう告げた昇栄は、「もうちょっとあんたたちの素の姿を見たいわけですよ」「一緒に楽しい曲やりたいと思います」とフロアに呼びかけ、「アンリッシュ」へと繋ぐ。まるで、果てしない大海原へ航海するかのように、一緒に手で"旗"をふり、歌声を重ね合ってゆく昇栄と観客。アイリッシュフォークとJ-POPを掛け合わせたような「靴下と生活」、また、ライブで披露されるのが久々だった「明日になれば」においても、次々と観客の歌声が重なってゆく。まさにライブだからこその熱く温かな一体感が、みるみるCrestに満ちてゆく。

ここで昇栄は、「何が愛とか恋とか分からないけど、」と前置きした上で、「ここに見える愛を、あなたを歌います」と告げ、「私」を歌い始めた。ライブはここから後半戦へ突入。バンドの渾身の想いを受け、めいっぱい手を掲げて応えてゆく観客。そのままシームレスに「ごめんね、愛してしまって」へ。そして、昇栄が「青春は終わらない! やるぞ、Crest!」と叫び、「いつだって青春」へ。「全力でこい!」という熱い呼びかけに応え、何度も高く拳を突き上げる観客。その熱烈な光景を前にした昇栄は、〈いつかこの苦しみにも〉を〈いつか"君"の苦しみにも〉と、〈いつか語り合った夢で〉を〈いつか"このバンド"で〉と、また、〈僕は隣で〉を〈僕は"Crest"で〉と歌詞を替えて歌い、そして、円花が流麗な速弾きをきめ、ラストのサビへ。
曲中、昇栄が、目の前の一人ひとりの観客に告げた「ずっとあんたの味方だよ」という言葉が深く胸を打った。

606号室、初東京ワンマンで刻んだ誓い「ずっとあんたの味方だよ」

606号室(Photo by キタムラショウタ)

ここからライブは怒涛のクライマックスへ。「だらしない2人」では、観客の盛大なハンズクラップや合唱が巻き起こり、「スーパーヒーロー」では、観客が幾度となく一斉ジャンプを繰り返してゆく。そして、昇栄が、「色とりどりでなくていい。たったあんたの色、1色あればそれだけで美しい」「606号室を好きでいてくれてありがとう」と告げ、本編ラストの「色取り」へ。一人ひとりの観客のクラップによって彩られた鮮やかな光景が、とても美しい。昇栄は涙を堪えているように見えたが、終盤の歌詞〈君はとっくに僕の光だよ〉の後に加える形で「俺の光だよ!」と堂々と叫んでみせた。

アンコールでは、まず、この日の来場者に配られたCDに収録された「愛しすぎないで」を披露。そして、昇栄が「未練なんて残して帰らないでね。俺たちから、強がりなラブソングを」と告げた上で披露した真のラストナンバー「未恋」をもって、今回の東京初ワンマンは熱烈な大団円を迎えた。深々とお辞儀をする3人。最後に昇栄は、「出会ってくれてありがとう。
見つけてくれてありがとう。またライブハウスで!」と告げ、温かな拍手が送られる中ステージを去っていった。

セットリスト
1. 君のことは
2. エンドロール
3. 最後の恋人
4. 100個の幸せとたった 1つの
5. 静寂の夜
6. アンリッシュ
7. 靴下と生活
8. 明日になれば
9. 私
10. ごめんね、愛してしまって
11. いつだって青春
12. だらしない2人
13. スーパーヒーロー
14. 色取り
EN1. 愛しすぎないで
EN2. 未恋

セットリスト プレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/1sPFtSt6SmwuJ1nKSLqRgb?si=0BX9x-vITDOXnqWLQQAjUQ

Official:https://lit.link/room606
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