『劇場版 kurayamisaka「くらやみざかより愛を込めてツアー」kawasaki CLUB CITTA'公演』が、TOHOシネマズ大井町にて4月3日(金)~6日(月)の4日間限定で公開(各日1回限りの特別上映)。全日程でメンバー登壇の舞台挨拶が行われる。
本稿では上映初日の模様をレポート。舞台挨拶での発言を織り交ぜつつ、映画の見どころを紹介する。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


バンドの地元・大井町での凱旋上映

大井町の新たなランドマークとして3月末に開業したばかりの複合施設「OIMACHI TRACKS」は、大規模ながらもオープンな雰囲気が魅力的で、日中から多くの人々で活気づいていた。JR大井町駅に直結し、りんかい線からのアクセスも良好。上映会場であるTOHOシネマズ大井町は、この真新しい空間の中に軒を連ねている。「OIMACHI TRACKSができて、この街は完全無欠になったんじゃないですか。『あとは映画館さえあれば最高なのにね』って僕らもよく話していたけど、ついにそれができてしまったから」と語るのは、リーダーの清水 正太郎(Vo, Gt)だ。

kurayamisakaは2022年に大井町で結成。清水は社会人になってすぐこの街へ移り住んで以来、並々ならぬ愛着を抱いてきた。バンドを始めるにあたって声をかけた阿左美 倫平(Ba)と堀田 庸輔(Dr)が大井町出身という運命的な巡り合わせもあり、結成当初から「レペゼン大井町」を掲げて活動。バンド名の由来となった「くらやみ坂」も大井町にある。

現在もこの街を拠点とし、建設中だったOIMACHI TRACKSを見上げながら「ここで20年後くらいに何かできたらいいね」と語り合っていたという彼ら。
そこへ地元ゆかりのアーティストを探していた施設側からオファーが届き、新人バンドとしては異例となるライブ映画の劇場公開が、グランドオープン直後という又とないタイミングで実現した。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


「轟音シアター」と劇場用ミックスの臨場感

昨年発表のデビューアルバム『kurayamisaka yori ai wo komete』は各方面で絶賛され、第18回CDショップ大賞2026の大賞作品(青)を受賞。同作のリリース後に行われた初の全国ワンマンツアーも、全公演ソールドアウトで完走した。今回上映される『劇場版 kurayamisaka』には、昨年11月9日に川崎・CLUB CITTA'で開催されたツアーファイナルの模様が収められ、熱狂の一夜が繰り広げられる(※当日のライブレポートはこちら)。

「大スクリーンで見ると、かなり感動しますね。自分たちはこういうライブをしてるんだなって改めて実感しました」と内藤 さち(Vo, Gt)が語ると、「リアルタイムでライブを見ているんじゃないかと思っちゃうぐらいの壮大さ」と堀田、「こんな大きい画面で自分たちの顔を見ることができるなんて」と阿左美も続ける。メンバーが口を揃えるとおり、映画館ならではの贅沢な環境でライブを追体験できるのはとにかく大きい。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


特筆すべきは、TOHOシネマズ独自の音響システム「轟音シアター」ですべての回が上映されること。スピーカーユニットを向かい合わせで駆動させる「アイソバリック方式」を採用したサブウーハーを特徴とし、通常の1.5倍から2倍のパワーで、空気を震わせるような重低音を生み出す。「あなたが生まれた日に」での爆発的アンサンブルでは、大袈裟でなくシートや床が震えていた。「最前列に座る人は覚悟が必要かもしれない」と清水が語るほどのレベルだが、実際に最前列で鑑賞したお客さんはご満悦だったようなので、大迫力で楽しみたい方はぜひ。

さらに「轟音シアター」は、各周波数帯を繊細にコントロールすることで、微細なニュアンスから爆発的な轟音まで忠実に再現できる。
『劇場版 kurayamisaka』ではこの環境をフル活用すべく、バンドの良き理解者であるエンジニア・島田智朗が手がけた5.1ch劇場用ミックスを採用。攻めの音像なのに聴き疲れさせない絶妙なバランスで、爆音が心地よく耳に馴染む。

そのうえ、5.1chの立体音響とあってアンサンブルがサラウンドで響き渡り、曲間の拍手が後方からも聞こえてくるなど、ライブハウスのフロアに居合わせたかのような没入感を座りながらにして堪能できる。もちろん、映画館ならではの高解像度によって各パートの分離もより明確に。強烈に歪んだトリプルギターの重なりや、タイトかつ躍動感に満ちたリズム隊、「集合体」としてのバンドの気迫を存分に味わえるはずだ。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験

『劇場版 kurayamisaka』に収められた2025年11月9日・川崎クラブチッタ公演のライブ写真(Photo by タカギタツヒト)

映画に刻まれたライブの熱量

劇中の見どころにも触れておこう。まずは内藤の、音源以上にエモーショナルな歌唱。結成当初は「AIのように淡々と歌うこと」を意識していたという彼女だが、ライブではそこに身体性が宿り、熱を帯びて豊かな表情を垣間見せる。

「数年前にkurayamisakaとして初めてライブをした時、私は『音源通りに歌えたら、きっといいライブになる』と思ってステージに臨んだんです。でも、いざやってみたら皆さん(他のメンバー)の音が想像以上にデカくて(笑)。『これは音源通りには歌えないぞ』とすぐに気づきました。そこからは、ライブならではの良さを自分なりに見つけていこう、と考えるようになったんです」と本人。
kurayamisakaを唯一無二のバンドたらしめる彼女のボーカルは、1曲目からあまりにも魅力的だ。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験

内藤 さち(Vo, Gt)

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清水 正太郎(Vo, Gt)

清水、阿左美、フクダリュウジ(Gt)による鬼気迫ったステージングは視覚的にも鮮烈で、見事なまでにスクリーン映えしていた。熱量がフロアを浸し、観客との相乗効果でどこまでも登り詰めていく高揚感を、劇場でもばっちり体感できる。その象徴的なシーンが、「modify Youth」でシンガロングが巻き起こる瞬間(照れくさそうに笑みを浮かべる清水の表情もいい)。さらに全編を通じて、鼓舞するようにドラムを叩き、大黒柱を担う堀田庸輔のグルーヴこそ、このバンドの圧倒的な強みであることを再認識させられた。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験

阿左美 倫平(Ba)

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堀田 庸輔(Dr)

中盤のMCで、埋め尽くされたフロアを見渡しながら清水は語りかける。自分たちは不特定多数の観衆ではなく、一人一人に向けて歌っているのだと。たしかに『劇場版 kurayamisaka』を観ると、バンドが自分のために演奏してくれているようにも思えてくる。冒頭からキラーチューンを連発し、静と動のコントラストを描いたあと、待ち受ける怒涛のフィナーレ。筆者はCLUB CITTA'でのライブも目撃しているが、映画でも全編クライマックスと言うべき密度に改めて圧倒され、気づけば吸い込まれるように見入っていた。

2026年は楽曲制作に励みつつ、ライブ活動を加速させているkurayamisaka。今年10月に開催されるバンド史上最大キャパのZepp DiverCity (TOKYO)公演は、一般発売開始から30分足らずで完売。
今もっともチケットが取れないバンドの一つである彼らの真骨頂を、この映画を通じて体感できるだろう。

その上映後、メンバー日替わり登壇の舞台挨拶があるのも嬉しい。筆者が聞き手を務めた初日では、この日不在だったフクダのサウンドメイクにまつわる秘蔵エピソードが明かされたほか、堀田がアーノルド・シュワルツェネッガーにまつわるイイ話を熱弁し、客席が感動に包まれる一幕もあった。ここでしか聞けないトークは、来場者だけのお楽しみ。何よりスクリーンを通じて放たれるエネルギーに圧倒されるのは間違いないし、今回の特別上映そのものが極めて貴重な機会なので、このチャンスを逃さず劇場へ足を運んでみてほしい。

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験


Photo by 福政良治

『劇場版 kurayamisaka』見どころレポート バンドの地元・大井町の轟音シアターで圧倒的ライブを追体験
画像

『劇場版 kurayamisaka「くらやみざかより愛を込めてツアー」kawasaki CLUB CITTA'公演』
2026年4月3日(金)~6日(月)TOHOシネマズ大井町にて劇場上映
※各回の上映終了後に舞台挨拶
>>>チケット購入はこちら

4月3日(金)20:00~の回
【舞台挨拶ゲスト】内藤 さち / 清水 正太郎 / 阿左美 倫平 / 堀田 庸輔

4月4日(土)18:30~の回
【舞台挨拶ゲスト】内藤 さち / 清水 正太郎 / フクダリュウジ / 阿左美 倫平 / 小口勝一監督(予定)

4月5日(日)18:30~の回
【舞台挨拶ゲスト】内藤 さち / 清水 正太郎 / 阿左美 倫平(予定)

4月6日(月)20:00~の回
【舞台挨拶ゲスト】内藤 さち / 清水 正太郎 / フクダリュウジ / 阿左美 倫平 / 堀田 庸輔(予定)
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