米ニューヨーク州ロングアイランドで長年にわたり未解決だった連続殺人事件が、ついに一つの節目を迎えた。元建築家のレックス・ヒューマン(62)が、若い女性8人の殺害を認めたのだ。


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4月某日、サフォーク郡の裁判所で行われた審理で、ヒューマンは約20年にわたり7人の女性を殺害した罪について有罪を認めるとともに、これまで起訴されていなかったカレン・ヴェルガタ(1996年に失踪)の殺害についても自供した。長年身元不明だったヴェルガタは、2023年に遺伝子系譜学の技術によってようやく特定されている。

被害者は20代を中心とする若い女性たちで、その多くがインターネットを通じて性労働に従事していた。彼女たちの遺体はロングアイランド南岸のギルゴ・ビーチ周辺で発見され、「ギルゴ・フォー」と呼ばれる4人の被害者(2010年に同一地域で発見された)を含め、同様の手口で遺棄されていたことから、長年にわたり同一犯の存在が疑われてきた。

ヒューマンは終身刑(仮釈放なし)に同意し、控訴権も放棄。その見返りとして、8件の殺害についてこれ以上の追訴を受けないことが認められた。また、FBIの行動分析ユニットによる聴取にも応じる予定で、正式な量刑言い渡しは6月に予定されている。

サフォーク郡地方検事レイ・ティアニーは記者会見で、「この事件の中心にあるのは被告ではなく、被害者とその物語だ」と強調し、長年正義を待ち続けた遺族に謝罪の言葉を繰り返した。遺族の代理人を務めた弁護士グロリア・オールレッドも、「完璧だと思われていた殺人の設計図は、決してあきらめなかった家族の勇気と執念を想定していなかった」と語り、遺族の粘り強さを称えた。

実際、その”執念”は会見の場でも強く感じられた。被害者モーリーン・ブレイナード=バーンズの妹ミッシー・カンは、「今日は加害者のための日ではない。奪われた女性たちの人生のための日だ」と語り、「あなたのために正義を探し続けると誓ったあの日の約束を、私は守った」と涙ながらに述べた。


事件は1990年代から2010年代初頭にかけて続いたが、捜査は長く停滞していた。背景には捜査機関の不祥事による混乱があったとされるが、被害者の多くがインターネットを通じて性労働に従事していた若い女性だったことも、この事件の扱いに影響を与えていた可能性がある。実際、彼女たちの失踪は長らく個別の出来事として処理され、遺体が発見されるまで連続殺人としての認識は広がらなかった。誰の命が優先されるのか――その問いを、この事件は否応なく突きつけている。

転機となったのは2022年、新たに結成された特別捜査チームの存在だ。証言から浮かび上がったピックアップトラック、廃棄されたピザの耳から採取されたDNA、さらには携帯電話の通信記録――断片的だった証拠が徐々に結びつき、ヒューマンへと収束していった。

捜査当局によれば、彼は被害者の携帯電話を使って遺族に嫌がらせの電話をかけたり、使い捨て携帯を購入しながらも自身のクレジットカードを使用するなど、杜撰さも見せていた。また、自身の犯罪や捜査状況をネットで検索し、被害者やその家族の画像を執拗に閲覧していた痕跡も確認されている。自宅からは大量の電子機器とともに、約300丁の銃器が押収され、犯行計画や手口に関する文書も発見された。

こうして積み上げられた証拠の数々は、長年”ロングアイランド・シリアルキラー”として恐れられてきた存在の実像をついに浮かび上がらせた。しかし、その結末は決して単純な「解決」ではない。

被害者の家族にとって、この日が意味するのは安堵と同時に、再び傷が開く瞬間でもある。
ジェシカ・テイラーのいとこジャスミン・ロビンソンは、「彼女がどんな仕事をしていたかではなく、一人の美しい女性として記憶されてほしい」と語った。また、ミーガン・ウォーターマンの姉は、怒りと安堵が入り混じる複雑な心境を明かし、「すべてがまた最初から始まるようだ」と述べている。

数十年にわたる闇に、ようやく一筋の光が差した。だが、その光が照らすのは、犯人の顔ではなく、失われた命と、いまも続く家族の記憶である。

from Rolling Stone US
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