インディーズ映画が空前の社会現象となった昨年に続き、いままた日本映画の底力を見せつける傑作が現れた。それが永山正史監督作品『天然☆生活』。
どこか、かつてのアメリカン・ニューシネマ平成版を想わせるロードムー ビー『トータスの旅』で、2017年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 のグランプリに輝いた永山監督が、その受賞による次回作制作補助金を基 に完成させたのがこの作品。長閑で平穏に見える田舎の、茅葺き屋根の一軒家に棲息するウルトラニートな主人公の元へ、都会からの無邪気な外来種一家による侵略が、思いもよらない結果をもたらすのだ。 主人公タカシの川瀬陽太(『64』『菊とギロチン』)、幼馴染ショウの鶴 忠博(「ちゅらさん2」「義経」)、従兄で本家の長男ミツアキの谷川昭 一朗(『モリのいる場所』)。日本の役者の層の厚さを見せつける、俳優 たちの味のあるキャラ。闖入者、津田寛治(『シン・ゴジラ』『空飛ぶタ イヤ』)の慇懃無礼な面白さときたら! もちろん前作に引続き“亀”も 重要な役どころ。タカシが叩くボンゴの響き。
流れる「見上げてごらん夜の星を」「バラが咲いた」に「星影のワルツ」。この映画は懐かしの昭和歌謡ミュージカルな趣も。と思いきや、突如カルトへ、スプラッタな味わいへ。エンターテインメントでありながら、骨太な反骨スピリット溢れるアメリカン・ニューシネマを受け継ぎつつ、永山正史監督が打ち上げた、新たなヒューマン・ハイブリッド・ムービー。 平成の終りに出現した、すべての寂しい人の心に寄り添うこの傑作『天然☆生活』は、きっと観客あなた自身の生活を強烈な“光”で包み込むに違いない。本日、総勢8名の応援コメントが到着した。
冨永昌敬 (映画監督) これは日本の『ブルーベルベット』か......。 野性と洗練と気遣いの男・川瀬陽太の真骨頂をつかみとった異形の人間ドラマに感動! 彼 が決して名バイプレイヤーで済む俳優じゃないことをはっきり証明している。あの特徴的な、 両肩が上下する歩き方を見るだけで映画を感じるし、彼ほど「生活」という語の似合う人はい ない。 そして谷川昭一朗、鶴忠博、津田寛治がみんなド名演。人生に倦んでなお楽しく生きる男た ちの危うさは、彼らが隣人に提供する死にかけの金魚やしなびた野菜や嘘寒い古民家喫茶 の滑稽味と同じくらい、観客を衝き動かす栄養に満ちている......。つまり永山監督のおじさん 調教師ぶりに脱帽するしかないんですよ。
佐藤二朗 (俳優) 自由だ。なにしろ自由だ。改めて、モノを創ることは、「自由でいる」ことなんだと思った。 だからこの作品は、あらゆるしがらみに縛りつけられた全ての人への応援歌になりうる。 柳下毅一郎 (映画評論家) “釣りバカ”川瀬陽太を中心に、 わちゃわちゃとはしゃ まわる三馬鹿トリオのおっさんたちがバカバカ しくも可愛らしい。 『天然☆生活』 はおっさんのアイドル性を発見する映画である。
おっさんたちこそ、 過呼吸になるほど 追い込まれなけれ ならない少女なんかより、 はるかにナチュラルに可愛いアイドルなのかもしれな い。 切通理作 (映画監督・評論家) 決してイケメンでも若くもないおっさんたちがはしゃぐ姿は愛らしい。 おっさんの持つ、行く当てのない優しさにこそ、いま目を向けるべきだと教えてくれる。 何度も滅ぼされ、報われない最後を迎えても、にこごりのようなおっさんのエキスが、世界の乾燥を食 い止めるのだ。 しじみ (役者) 開始1分で心掴まれる!好き! 全おっさんに捧ぐ応援歌! おっさんの逆襲!おっさんに幸あれ! おっさんずラブが流行ってると聞きましたが、正真正銘ただのおっさん3人組がひたすら楽しそうに暮 らしてるのを観るってのも、いやこれこそ、おっさんずラブなんじゃないでしょうか。理想郷です。
高校の頃毎日遊んでいた地元の親友と「大人になったら一緒に住んで、 あになっても一緒に遊 ぼうね」なんて事を話してたのを思い出しました。そんな事もう一生有り得ないのに。でも私がもっと立派なおばはんになった日には、いつか...!なんてね。 吉田靖直 (トリプルファイヤー) 舞台となっている町の田舎度合いが地元と近くて他人事とは思えない。友人の釣り堀で気楽に働く おっさんを見て羨ましくなった。私も昔はもっと野心とか向上心が強かったのだが、歳を取るほどにそ の辺がなあなあになってきている。
それがいいのか悪いのかまだ折り合いが付いていない。無欲の境 地に近づいているとも言えるが、単なる堕落だとも言える。 しかし今後、理想の生き方の1つのサンプルとして、この映画の中でじゃれあうダメなおっさんたちの 姿を何度も思い出すことにはなるだろう。 大和イチロウ(インスタントラーメン専門店やかん亭) 自由に食せるしあわせ。好きな時、好きな場所で食べるインスタントラーメンは、最高のごち そうで自由の象徴。親の理想を演じてきた少女の葛藤が、主人公である独身中年男が食べ るインスタントラーメンに触発される。インスタントラーメンが登場人物の心情を見事に印象的 かつエモーショナルに描いている初めての映画ではないだろうか? クライマックスで少女が食べるそれに刮目せよ!この映画を観終わった後、あなたは必ず食 べたくなる。その光を求めて。ボクもおいしくいただきました! Ariel Esteban Cayer(ファンタジア国際映画祭ディレクター) 完全にこの映画にやられてしまった。喜劇、悲劇、そして不条理をまるでジャグリングするか のように操る手法は賞賛に値する。また物語終盤のファンタスティックな描写を目にした時の 喜びはとても大きい。 私は『天然☆生活』の面白さを保証します。 映画のトーンとキャラクターをしっかりと掴んだ語り口、そして最も心を打ったのは、この映画 が現代日本に対する強烈な風刺であるということだ。
「川瀬陽太×津田寛治 ほろよい対談@新宿ゴールデン街」