イギリスElwin Street社制作の“Literary Wonderlands”の日本語版である『世界物語大事典』を2019年10月11日(金)より発売となった。 『ギルガメシュ叙事詩』や神話伝説から、 近現代のSF・ファンタジー・幻想文学の名作まで、 4,000年に及ぶ物語の歴史を網羅したブックガイド。
世界各国の豪華な執筆陣が作品の真価を存分に語っており、 オールカラーの美しく貴重な図版も満載。 文芸、 コミック、 演劇など、 ストーリーを創作するあらゆる人に、 また、 物語を愛してやまないあらゆる人に贈る一冊だ。
ギルガメシュ叙事詩 から現代ファンタジーの立役者たる トールキン や C・S・ルイス 、 ホラーの帝王 スティーブン・キング 、 SFの スタニスワフ・レム や ウィリアム・ギブスン など、 いわゆるファンタジーやホラー、 SFばかりではなく、 セルバンデス や シェイクスピア 、 はたまたラテンアメリカを代表する魔術的リアリズム作家 ガブリエル・ガルシア=マルケス が入ってくるところに、 本書のオリジナリティが現れています。 日本作家の作品としては、 村上春樹『1Q84』 が採りあげられている。
本書に寄稿しているのは、 各文学サブジャンルの研究においてそれぞれ一家を成している第一人者。 『 SF大百科事典』 によってSF界最大の賞 ヒューゴー賞 を受賞した ジョン・クルート や、 ファンタジー研究の大御所である トム・シッピー など40人を超える執筆陣による解説は、 それぞれが長年熟知し深く溺愛してやまない作家と作品について思う存分語っていて、 読みごたえが十分だ。 本書で紹介されている作品はいずれも、 イマジネーションに富むだけではなく、 鋭い批評精神を有している。 すぐれたフィクションは、 しばしばノンフィクションよりも真実に迫る。 文芸、 コミック、 演劇など、 ストーリーを創作するあらゆる人に、 また、 物語を愛してやまないあらゆる人に読んでもらいたい一冊。 なお、 物語作品の本質を解きほぐすために、 物語の結末が紹介されている場合がありますのでご注意を。
本書に採りあげられている作品の邦訳リストは三省堂のウェブサイトからダウンロードができる、詳しくはこちらをチェック。
『世界物語大事典」目次
はじめに
1 古代の神話と伝説 作者不明『ギルガメシュ叙事詩』 ホメロス『オデュッセイア』 オウィディウス『変身物語』 作者不明『ベオウルフ』 作者不明『千夜一夜物語』 作者不明『マビノギオン』 スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』 ダンテ・アリギエーリ『神曲』 トマス・マロリー『アーサー王の死』 ルドヴィコ・アリオスト『狂えるオルランド』 トマス・モア『ユートピア』 エドマンド・スペンサー『妖精の女王』 呉承恩『西遊記』 トンマーゾ・カンパネッラ『太陽の都』 ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』 ウィリアム・シェイクスピア『テンペスト』 シラノ・ド・ベルジュラック『月世界旅行記』 マーガレット・キャヴェンディッシュ『新世界誌 光り輝く世界』
2 科学とロマン主義 ジョナサン・スウィフト『ガリヴァー旅行記』 ルズヴィ・ホルベア『ニルス・クリムの地下世界への旅』 チャールズ・キングズリー『水の子』 ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』 ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』 サミュエル・バトラー『エレホン』 リヒャルト・ワーグナー『ニーベルングの指環』 ロバート・ルイス・スティーヴンスン『宝島』 エドウィン・A・アボット『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 エドワード・ベラミー『かえりみれば 2000年より1887年』 マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』 H・G・ウェルズ『タイムマシン』 L・フランク・ボーム『オズの魔法使い』
3 ファンタジーの黄金時代 J・M・バリー『ケンジントン公園のピーター・パン』 アーサー・コナン・ドイル『失われた世界』 エドガー・ライス・バローズ『地底世界ペルシダー』 シャーロット・パーキンズ・ギルマン『フェミニジア 女だけのユートピア』 セシリア・メイ・ギブス『スナグルポットとカドルパイ』 エヴゲーニイ・ザミャーチン『われら』 フランツ・カフカ『城』 H・P・ラヴクラフト『クトゥルー神話』 オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』 ロバート・E・ハワード『英雄コナン』 ウラジーミル・バートル『アラムート』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『トレーン、 ウクバール、 オルビス・テルティウス』 オースティン・タッパン・ライト『アイランディア』 アントワーヌ・ド・サン= テグジュペリ『星の王子さま』 トーベ・ヤンソン『小さなトロールと大きな洪水』
4 新しい世界の秩序 マーヴィン・ピーク『ゴーメンガースト』 ジョージ・オーウェル『一九八四年』 C・S・ルイス『ナルニア国物語』 アイザック・アシモフ『われはロボット』 レイ・ブラッドベリ『華氏451度』 J・R・R・トールキン『指輪物語』 フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』 スタニスワフ・レム『ソラリス』 アントニー・バージェス『時計じかけのオレンジ』 ウラジーミル・ナボコフ『青白い炎』 ピエール・ブール『猿の惑星』 ガブリエル・ガルシア= マルケス『百年の孤独』 アーシュラ・K・ル=グウィン『影との戦い』 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン』 カート・ヴォネガット『スローターハウス5 』 ラリー・ニーヴン『リングワールド 』 イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』 ウィリアム・ゴールドマン『プリンセス・ブライド』 サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン』 ジョルジュ・ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』 ゲルド・ミューエン・ブランテンベルグ『エガリアの娘たち』 アンジェラ・カーター『血染めの部屋 大人のための幻想童話』 オクテイヴィア・E・バトラー『キンドレッド きずなの招喚』 ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』
5 コンピューター時代 スティーヴン・キング『〈ダークタワー〉シリーズ』 テリー・プラチェット『〈ディスクワールド〉シリーズ 』 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』 マーガレット・アトウッド『侍女の物語』 イアン・M・バンクス『〈カルチャー〉シリーズ』 ベルナルド・アチャーガ『オババコアック』 ニール・ゲイマンほか『サンドマン』 ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』 ロイス・ローリー『ギヴァー 記憶を注ぐ者』 フィリップ・プルマン『〈ライラの冒険〉3部作』 ジョージ・R・R・マーティン『七王国の玉座』 デイヴィッド・フォスター・ウォレス『尽きせぬ道化』 J・K・ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』 チャイナ・ミエヴィル『〈バス= ラグ〉シリーズ』 ジャスパー・フォード『ジェイン・エアを探せ!』 コルネーリア・フンケ『魔法の声』 スザンナ・クラーク『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』 デイヴィッド・ミッチェル『クラウド・アトラス』 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』 グギ・ワ・ジオンゴ『カラスの魔法使い』 マイケル・シェイボン『ユダヤ警官同盟』 スーザン・コリンズ『ハンガー・ゲーム』 村上春樹『1Q84』 呉明益『複眼人』 アン・レッキー『〈叛逆航路〉3部作』 ンネディ・オコラフォー『ラグーン』 サルマン・ラシュディ『二年八か月二十八夜』 執筆者紹介 索引 出典一覧