第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督最新作『読まれなかった小説』が、11月29日㈮より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開される。 ひと足先に本作を観た評論家やマスコミたちからは「まさに重厚な文学作品を読む心地がした」「終盤の会話は書き留めたくなるほど名言が続く」「現代映画最高峰の一作」との声が相次ぎ、池澤夏樹さん、井上荒野さんなどの人気作家を始め、俳優、映画監督、指揮者、文学者、書評家など、本作に惚れ込んだ各界の著名人から絶賛コメントが寄せられた。
また、爽やかな毒舌で人気の漫画家・コラムニスト、辛酸なめ子が描き下ろしたイラストと、ドタバタラブコメディの大ヒットコミック「イオナ」の澤井健のイラストが到着。「意識高い系を気取りながら空回りしている」息子シナンと、「万年金欠の」父イドリスという、ユニークなキャラクターの親子であることが垣間見える。一方、「――ざわめく心」の文字とともに描かれる、黒髪の美女はいったい誰なのか。ぜひ最新作をチェックしよう。
コメント
作家を目指す青年と、
人生の失敗者とされる父。 この古典的な構図の中を痛々しくて美しいエピソードがいくつも流れゆく。 そして最後、黒い犬に導かれるように、カタルシスが訪れる。 ――池澤夏樹(詩人・作家) まだ何者にもなっていない青年の鬱屈と葛藤と、トルコの小さな村の美しい風景との取り合わせが、 切なく胸に迫ってくる。 ――井上荒野(小説家) 美しい風景をバックに、主人公と彼に関わる人々との対話がつづく。 見終わって心に残るのは、大部の小説を読み終えたような充足感と安らぎ。 ――澁澤幸子(作家) 同じ風が吹かないように、同じ時間も流れない。たとえ誰に選ばれなくても、自分の人生を選ぶこと。
どこを切り取っても示唆と哲学にあふれた作品。 ――中江有里(女優・作家) 故郷の小さな人々の〈現実〉を描いた小説が、 思いがけず、おそらくはいちばん読んでもらいたかった人の心に触れたように、 この映画は、いちばん大切なひとりに、つまりあなたに届けられる。 ――小野正嗣(作家) チェーホフ、ガルシア=マルケス、そしてバッハ…文学、クラシック好きは必見! 芸術の秋にぜひスクリーンで体感してほしい「観る文学」 言葉に託しきれない交錯する哀しみをバッハの旋律が包み込んで届けてくれる。 そして、誰もがこの物語の中に自分の姿を見つけるだろう。 ――小林研一郎(指揮者) あふれる言葉がありながら通じ合えない父と子。両者を救うのは言葉かそれとも……? 美しくも寂寞たる現代トルコの風景から、人間回復の美しい物語が立ち上がる。 ――浦雅春(ロシア文学者) まるで「観る文学」。誰もが共感する家族のストーリーです。 みんなに「読まれるべき」最高の映画だと思います。 ――ナカムラクニオ(6次元店主) 若さ故の苦悩に息苦しさを感じながらも、言葉の端々に心が引っかかる。 今は亡き父と、一杯やりながら、また話をしたくなった。 ――石丸謙二郎(俳優) いくつかの夢がある。
いくつかの絶望がある。 夢と絶望の分岐点がある。 そのすべてが、この映画の中にある。 ――豊崎由美(書評家) 自分とは何者かと問い続ける自分とは何者なのか。反復する中で浮き上がってくる迷いに打たれた。 ――武田砂鉄(ライター) 自分の肉体に、血が一気に流れるのを感じるだろう。 これは、美しく面白く深遠なる哲学書なのだから。 わたしは、しばらく誰とも会わずに、ただただこの映画を反芻したい。 ――三島有紀子(映画監督) この映画は頭にこびりついた知性を噛み砕き、内省を促してくる! たまにはいいもんだ。 ――石田純一(俳優) 人の身勝手さと弱さと矛盾を、いつしか温かい気持ちで受け入れている自分がいる。 観る者の心に化学変化をもたらす189分。 ――瀧井朝世(ライター) 全ての彷徨える魂に光を発見させる! 不毛の井戸掘りに「人間の生」の意味の豊かさが溢れ出る映画だ。
――麿赤兒(舞踏家・俳優) 3時間観続けて、まだ観たいと思った。この映画が終わらないで欲しいと思った。 ――大森立嗣(映画監督) 実に美しい物語だ。 厳しい現実におしつぶされそうな若者の干からびた心に命の水を注いでくれたのは、 意外にも彼が最も拒絶していたものだった。感動のラストが強く胸を打つ。 ――河合祥一郎(東京大学教授、日本シェイクスピア協会会長、東京大学芸術創造連携研究機構長) 観ているこちらにまで、自然だけが信じられる、と感じさせるほど美しい風景。 理解されないことは苦しいが、迎合するよりはましだ。ぼくは彼の書いた小説を読んでみたい。 ――内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)