株式会社KADOKAWAは月刊文芸小説誌『小説 野性時代』2020年3月号(No.196)を2020年2月13日(木)より発売。直木賞作家・恩田陸がこれまでどこにも出していなかった秘蔵の創作ノート。
デビュー前から続けていたノートには、 手描きのイラストがふんだんに描きこまれ、 知られざる絵やデザインのセンスも味わえる。 まさに今となっては、 作家・恩田陸のメイキングともいうべき貴重な資料。 『蜜蜂と遠雷』や『夜のピクニック』など、 数々の傑作の原石がはっきり窺える。 高校一年の頃に作っていたという個人誌「すいかずら」のページの一部や、 イラストと文字が一体となった読書記録など、 盛りだくさんの内容。 『六番目の小夜子』でのデビューが決まり、 「もしも自分が表紙絵を描くなら…」とこっそり勝手に描いたという幻のセルフカバー画。 風に長髪をなびかせたセーラー服姿の少女のイメージは、 実際の書影とも重なりますが、 デビュー作の担当編集者すらその存在を知らず、 今回の初公開にあたって、 初めて目にしたというから驚きだ。
そのほか、 実際の連載開始より年15年以上前から『ロミオとロミオは永遠に』の具体的構想があったことを裏付けるポスター。 そこにはすでにタイトルだけではなく、 登場人物のイメージや帯の惹句まで。子供の頃からずっと漫画を描いてきた、 という
少女時代の恩田さんの手による遺跡のスケッチは『メガロマニア』の世界を彷彿とさせ、 当時習っていたピアノに対する複雑な思いは『蜜蜂と遠雷』に昇華し、 高校の学園生活の記録は『夜のピクニック』のみずみずしい青春の記憶を閉じ込め……恩田ファンには、 そのルーツ探しも楽しみの一つ。 気になったもの、 お気に入りの詩、 心にうかんだイメージ。 なんでも書いて書いて書いて。 そして、 最後の見開き、 高校の卒業間際に書いたという詩は、 物語を愛し、 物語に愛された、 まだ作家になる前のひとりの少女の、 切実な作家宣言ともいうべきもの。
こちらはぜひ、 本誌でお楽しみいただきたい。
彼女の紡ぐ物語に心揺さぶられた人に、 届けたい、 作家・恩田陸の軌跡。 「創作ノート」は単行本『ドミノin 上海』の発売を記念した「小説 野性時代」3月号恩田陸特集に収録。 本特集内では劇団ヨーロッパ企画の脚本・演出を手掛ける上田誠氏との対談を実施。 群像劇、 続編、 コメディ、 パズル……共通のキーワードが次々と飛び出し、 興奮に満ちた熱き創作論を展開します。 さらには学生時代から現在に至るまで、 恩田さんが手放せないもの、 創作の源泉となってきたモノ・ヒト・コトを自身の言葉で解説する「恩田陸を創ったもの20」。 さまざまな角度から作家・恩田陸の奔放な想像力を見渡し、 30年近く第一線を走り続けてきたその横顔に迫る。 作品をより深く楽しめるためのガイドを全58ページ・フルカラーでお届け。
恩田陸コメント
久しぶりに高校~大学にかけてのノートを発掘して『うひゃー、 恥ずかしい。 どひゃー、 まったく進歩してない』とショックだった。 しかし、 紛れもなく今私が小説家として書いているもののルーツがあって興味深いのも事実