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人との距離感を縮められない。

吉村さんと月一ペースで公私ともによく会って呑んでハモれるようになった頃、
「おれのこと『椎名』と呼び捨てにしてくれませんか? おれは『よーちゃん』と呼びますから」
と提案したことがあった。



「いいよ」と応えてはくれたが、定着しなかった。
なんせ相手は常に取材の対象だし、ぼくより7つも歳上だ。

当時、ぼくがずっと愛飲していたサントリーの白角を、あるときから吉村さんも気に入って一緒に呑むようになった。
でもそれも定着せず、吉村さんはいいちこのウーロンハイにいつしか戻った。

ひとつ気持ち悪い話をすると、自分がよくライブ鑑賞中に隠し持って呑んでいたマイウイスキーミニボトル(トレンチコートの裏ポケットに入れておくようなやつ)をブッチャーズのライブ後の談笑中に呑んでいるのを吉村さんが見つけ、それを何も言わずにぼくから奪い去って勝手に呑まれたことも何度かあった。要は間接キスなのである。

ぼくらはいつもどこか他人行儀で、でもなぜか親しくは呑んでいて、その関係性には不思議な距離感があって、その距離感がどこか心地よくもあった。

おそらくその距離感を頑なに縮めようとしなかったのはぼくのほうだったと思うが、だからといって今となって無理やりその距離感を縮めればよかったとは決して思わない。

今でも大切に思う人ほど距離感を気にする。
ソーシャルはもちろんインナーでもずっと一定のディスタンスが基本。

人との距離感を縮められない。
この先もずっと、たぶんそんなふうにしか生きられないのだと思う。


なんだかとりとめのないことを書いてしまった。
5月27日が近いからだろうか。
いや、そんなふうに考えるのはおかしい。
言ってみればぼくの頭は今でも毎日が5月27日なのだから。

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