6月17日(水)に光文社より刊行された新書『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』(著・樋口耕太郎)。 ジュンク堂書店那覇店の週間ランキングで5週間で1位を獲得し、 現地・沖縄をはじめ全国で話題となっており、 早くも4度めの重版が決定。
前回の重版から2週間、 7月27日(月)出来の5,000部増刷で4刷となり、 累計20,000部になる。 沖縄の根本原因を突き詰める旅は、 日本の根本原因を突き詰める旅であり、 私たち自身を見つめる旅である。沖縄には、 謎が多い。 圧倒的な好景気が続くなか、 なぜ、 突出した貧困社会なのか。 「沖縄の人は優しい」と皆が口をそろえるなか、 なぜ、 自殺率やいじめ、 教員の鬱の問題は他の地域を圧倒しているのか。 誰もなしえなかったアプローチで、 沖縄社会の真実に迫る。 「沖縄問題」を突き詰めることは日本の問題を突き詰めることであり、 それは、 私たち自身の問題を突き詰めることだ――。 「コロナ後の世界」のありかたをも問う、 鮮烈の問題作。

「はじめに」より(本文より一部抜粋)

私は、 沖縄の社会問題に直接関わってきた専門家ではない。 人生のいくつかの偶然が重なって、 16年前から沖縄で暮らしているが、 私自身は岩手県盛岡市の出身で沖縄に地縁はない。 8年前に沖縄大学に採用されて以来、 国際コミュニケーション学科の教員として、 『観光経営論』や『幸福論』などを教えているが、 それまでの二十数年間は、 野村証券を振り出しに、 金融・事業再生が私の主戦場だった。 貧困も、 沖縄も、 教育も、 かなりの畑違いである。
その私が、 沖縄の社会問題を語るのには、 はっきりとした理由がある。 それは、 今、 私の目の前にいる、 一人ひとりの学生が直面している様々な障害を理解する上で、 どうしても避けて通れない問題だったからだ。 (中略) 私が担当したある少人数の講義で、 課題図書を指定した。 内容を理解してレポートを提出することが単位取得のための必要条件だと学生に明確に伝えていた。 ところが、 受講生の約3割が提出しなかった。 履修を諦めたのかと思えば、 引き続き授業には出席してくるので、 単位は取得するつもりらしい。 (中略) ここまで行動が分裂しているということは、 彼らの判断がそうさせているというよりも、 そもそもそこに判断が存在しないということを示唆している。 いったい、 彼らに何が起こっているのだろう? 【目次】 はじめに 沖縄は、 見かけとはまったく違う社会である 第1章 「オリオン買収」は何を意味するのか 第2章 人間関係の経済 第3章 沖縄は貧困に支えられている 第4章 自分を愛せないウチナーンチュ 第5章 キャンドルサービス おわりに これからの沖縄の生きる道
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