株式会社KADOKAWAはもちぎ初の小説となる著書『繋渡り』を7月29日(水)に発売する。 本作は、 ゲイ風俗である売り専業界での活動やこれまでの人生を語ることで多くの共感を集め、 Twitterでのフォローは57万人超(2020年7月現在)となっているもちぎが『自らの人生を、 家族というしがらみにおける偽善と悪意、 矛盾と犠牲を詰め込んだ』処女作にして到達点というべき小説となっており、 発売前から多くの読者の熱烈な感想を引き出す一冊として各所から大きな注目が集まっている。

もちぎ コメント

ゲイ業界を渡り歩いてきたもちぎ、初小説! 近親相姦、同性愛、虐待...『繋渡り』7月29日発売!
あたいの初の小説。 去年から「小説を書いてみないか」とお声掛けいただき、 一作書いてみたものの、 普段小説や物語ものを読むこともない人間には無から構想を練り上げる執筆がにっちもさっちも行かず、 これはダメだと断念しました。 そこであたいは「自分に想像ができない人間を描くのはやめよう」と思い、 自分が持つ《他人観察した経験》や《人と関わって学んだもの》を取り入れたフィクションに仕上げる方法を取り、 この作品を作り上げました。 登場人物はあたいとまったく違う人生を歩む人たちで、 さらには正直あたいが理解できない人たちです。 実際にこのような人たちに出会って、 その心情や人生観に共感できず、 あたいは《実在するが、 自分とは違う遠い人種だ》と思っていました。 しかしこの小説を執筆するという機会で再度、 今まで出会った人間に向かい合い、 想像や思考を巡らすことによって、 自分自身と重なる部分、 あるいは理解できないが《考えがあって生きている》《何かを抱えて生きている》ということがあると気づき、 それを物語に落とし込みました。 他人の人生を想定して、 追体験する形で物語を描く。 それは自分の想像する範囲での決めつけにもなり、 他人を勝手に推し量るという危うい行為でもあります。 なのでこれは「あるかもしれない人生の、 ある選択を取った時の一つの結果」としての小説で、 自分だってもしかすると歩んだかもしれない人生の一つと考えています。 誰しもが、 そうなり得る可能性があった世界。 つまり家庭という世界が変われば、 人自体が変わってしまう――作品制作の心持ちにはそういった仮定を含んでいます。 この小説の登場人物は必死に生きる、 ダメな思考すら持ったただの人間です。
だからそんなダメな人間を指差して非難して笑った時、 自分が運良くダメじゃないというだけの事実や、 自分だってダメになってしまうという事実を無視して、 もっと生きづらくなる世界を歩むことになると思います。 打算も優柔不断も、 依存も懐疑も、 冒涜も支配も、 うまくいかないコミュニケーションも、 後からどうとでも言えるたられば論も、 本人の中で矛盾する感情も、 全部指摘するのは簡単だけど、 人生ってそう簡単じゃないんだなと思って書き上げました。
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