各界の読み巧者が唸った『謎ときサリンジャー ――「自殺」した...の画像はこちら >>

『謎ときサリンジャー 「自殺」したのは誰なのか』が2021年8月26日に刊行。 名だたる読み手も唸るはず、 著者の竹内康浩・北海道大学教授は世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となったいわば「文学探偵」。
今回弟子とともに挑むはサリンジャー作品の謎。 そう、 これは――「事件」なのだ。 これはすごい。 画期的という単語が陳腐に思えるほど、 画期的。 ――恩田陸(作家) 興奮した。 グラス家の物語に目を凝らせ (シー・モア・グラス)!耳を澄ませ! ――若島正(京都大学名誉教授) 余人の追随を許さない探求ぶりに、 ぞっとするような快感を覚えた。 ――阿部公彦(東京大学教授) 本書の冒頭で著者は問う。「それは本当に自殺だったのだろうか。 その現場には、 隣のベッドで寝ている妻の他にもう一人いたのではないか」。まず俎上に上るのは「バナナフィッシュにうってつけの日」。 全世界で6500万部が読まれた『ライ麦畑でつかまえて』で知られる天才作家J・D・サリンジャーのあまりにも有名な短篇。 バナナを食べ過ぎてバナナ穴から出られなくなり、 バナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……バカンス先のビーチで青年シーモア・グラスはその奇怪な魚の話を行き会った少女にとくとくと語る。
なにより衝撃は結末。 この小説は主人公の唐突な拳銃自殺で終わるのだ。 であるにもかかわらず――「文学探偵」は問う。 「それは本当に自殺だったのだろうか」と。 いまだかつて、 この有名作品に、 こんな問いを発した者がいただろうか。そんな問いを発するというなら、 では死んだのはいったい誰なのか? 死の理由は? 問いは問いを呼び、 謎が謎を呼ぶ。 「文学探偵」の緻密なテキスト分析はやがて『ライ麦畑』にまで及び、 サリンジャー作品世界全体までをも、 この上もなく鮮やかに解き明かしていく。 ある小説誌元編集長は本書を読んでこう言った。 「ミステリファン必読! サリンジャーが、 『本格ミステリ』的アプローチで、 こんなにも鮮やかに読み解けるなんて」と。サリンジャー作品を担当したことのある編集者はこう言っている。 「本書が教えてくれるのは、 〈サリンジャーの正しい読み方〉などという小さなものではなく、 〈人生を豊かに眺める知恵〉でした」。そして、 ある現役文芸誌編集長のコメントはこうだ。
「本書の謎解きは間違いなく世界の読者を驚嘆させるでしょう。 解かれたのは作品の謎だけではなく、 〈因果律〉に囚われた人間のこころの秘密です」――そう、 本書の刊行はまさに「事件」なのだ。サリンジャー文学の核までをも力強く明かす、 画期的評論の登場。
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