
再開発の進む大阪・うめきたエリアに、2025年3月にオープンし話題を呼んでいる〈グラングリーン大阪 南館〉。その一角にある、〈和牛懐石 わ美(わび)〉は、特別なダイニング体験ができるレストラン。
茶を点てる前に客人をもてなした茶懐石に重きを置いて、日本の食文化や美意識を世界に発信する〈和牛懐石 わ美〉。
陰影のある店内は、漆喰の壁、石や鉄といった自然素材を多用し、美の担い手である現代の日本の作家や職人たちによって造り上げられた。ミニマムかつ、静謐でありながらも、ゲストにとってとても居心地のいい空間となっている。
目の前で肉を切ったり焼いたりという調理が行われライブ感あふれるカウンターは特等席。その一方で、親しい人たちとゆっくりと会食ができる個室もまた素敵だ。


味わえるのはランチ、ディナーともコースのみ。ディナーコースは全12品の和牛懐石となっている。取材時のディナー“和牛懐石 -はるの美-”(2万5000円)より数品と、“ペアリング”(8種、1万2000円)から、いくつかを紹介していこう。
ひと品目は“懐石膳「東風」”。3つの器が乗ったお膳が運ばれてくる。

まずは、ご飯が炊きあがり、米からご飯に変わる瞬間の“煮え端(にえばな)”から味わう。
雪室で1年間氷温熟成させた魚沼産のこしひかりの“煮え端”をひと口味わう。ご飯の甘みといい香りでリラックス。ここで本日の乾杯を彼女と。“ペアリング”の1杯目は、新潟・雪椿酒造の“純米吟醸 ゆきつばき”。華やかな香りは、乾杯にふさわしい。
続いて、筍の甘みと軽い苦みで春を感じ、柔らかな和牛のタンの甘み、和牛からとった出汁とかつおの合わせ出汁を十分に含んだカブを味わううちに、これから続く料理への期待が高まる。

見目麗しい“前菜「草萌」”は、まるで宝石箱。下から、カリフラワーのムース、昆布締めして旨みを凝縮させた神戸牛のランプのタルタル、イタリア産キャビアの3層仕立て。
ねっとりとした味わいと旨みを堪能する。フレッシュで繊細なシャンパーニュ“ローラン・ペリエ ラ・キュベNV”と行きつ戻りつしながら食べ進める。
料理に使われるのは「日本三大和牛」とも称される、“近江牛”と“神戸牛”。


神戸牛のイチボを、まずは厚切りで。肉の持つ旨み、舌に残る脂の甘みや旨みの余韻の長さを感じた。ナッティーで鼻に抜けるいい肉の香りもいい。続いて、薄くスライスして供された。すると、香ばしさを強く感じ、旨みはさらに強く感じられた。
ニュージーランド・マールボロ地区のノーティラスエステート“ピノ・ノワール 2020”を合わせた。香りはしっかり、かつ、柔らかな雰囲気の赤ワインは上質な和牛の繊細な味わいを引き立てる。
今度は、近江牛のヘレをカットする方向の違いで食べ比べ。切る方向の違いだけで、肉のボリュームを強く感じ、あるいは、口の中でとろけるような食感になるということを知った。

添えられたコンディメントは、静岡産の本わさび、ミネラル豊富なエジプトの塩、あけがらし、塩ポン酢を含ませた大根おろし、生の黒コショウの5種。感動体験の後は、味変という楽しみも。
ここで、まだ食事は半ば。この後は、野菜の旨さを再確認し、牛出汁の冷麺や、近江牛のサーロインを同店流のすき焼き仕立てで味わった。春を感じさせる炊き込みご飯に、デザートまでを堪能。

食事の終わりは茶菓子と一緒にお抹茶を一服。
一期一会のもてなしに、彼女も満足するはず!
INFORMATION
●和牛懐石 わ美
住所:大阪府大阪市北区大深町5番54号 グラングリーン大阪 南館3F
営業時間:ランチタイム 11:00~16:00(最終入店14:30)、ディナータイム 17:00~22:30(最終入店20:00)。※ディナータイムのみ完全予約制。
TEL:06-6485-7590
URL:https://www.wabi-kaiseki.com/
※サービス料10%別
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取材&文=はまだふくこ text : Fukuko Hamada
ライフスタイルジャーナリスト
美酒と美食はもちろん、ホテル、ビューティ、インテリアなどライフスタイル全般を得意とする。現在はラグジュアリーメディア、ビジネス誌、ホテル専門誌など幅広い媒体に寄稿。美味しいもの探求家でもあり、日々のシャンパーニュは欠かせない。