
映画のジャンルを細かく分けると、意外に傑作が多いのが“潜入捜査もの”。香港映画『インファナル・アフェア』シリーズと、それをリメイクした『ディパーテッド』や、ジョニー・デップの『フェイク』、捜査で高校生になりすます『21ジャンプ・ストリート』のようなコメディまで、そのバリエーションは多様。
犯罪組織に潜入しながも、絶対に素性がバレてはいけない。つまり、いかに“なりすませるか”が潜入捜査のポイント。ならば演技のプロに任せればいい……というわけで、捜査側が依頼するのは俳優たち。そこまで難しいミッションでもないので、まずはお手並み拝見だった潜入捜査が、やがてとんでもない事態へと発展していく。仕事を引き受けたのは、街で即興劇の教室を開いている俳優のカットと、彼女の教室の生徒のマーロン、そして初めて教室に来た不器用なヒューの3人。犯罪組織のボスと対面する彼らだが、準備がグダグダだったりして、当然のごとく危うい瞬間が多発する。しかし持ち前の演技力でギリギリ持ち堪え、ボスの信頼を得る。潜入映画は、基本的にプロの捜査官がアウトローを“演じる”ことが多いので、捜査の面では能力を発揮する。ところが本作の3人は、捜査自体もアマチャアなので、そこをどうクリアしていくかも見どころだ。
俳優が犯罪組織に潜入するなんてアイデアとしては突飛だが、プロデューサーであるコリン・トレヴォロウ(『ジュラシック・ワールド』の監督)は“ニューヨーク市警が囮捜査に俳優を使う”という噂を耳にして、本作をひらめいたという。キャストで最も強いインパクトを残すのは、オーランド・ブルームだ。
『ディープ・カバー~即興潜入捜査~』6月12日配信
製作・脚本/コリン・トレボロウ 監督/トム・キングズリー 出演/ブライス・ダラス・ハワード、オーランド・ブルーム、ニック・モハメッド、パディ・コンシダイン 配信/アマゾンプライム・ビデオ
2025年/イギリス/視聴時間100分
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文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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