格好いい、速い、気持ちいいが揃うと、人はこうも高揚するものか。もちろんこれはスーパーカーの話。
■アルトゥーラ
次世代を先取るなら
ハイブリッド・スーパーカーになる!
『Safari』関連メディアをよくご覧になっている人はご存知のとおり、アルトゥーラに関する記事はこれがはじめてではない。筆者も数回試乗しているのだが、正直一番好きな〈マクラーレン〉がこのクルマだと思っている。といっても今回の試乗は“久しぶり”。離れていた恋人が、以前の印象のままかどうか……、これが気になる。もちろんクルマ自体はなにも変わっていないのだから、今回の試乗はむしろ、こちら側の“気持ちの距離感“を探ることになるのだろう。と、そんな思いを胸に、試乗の拠点となる〈ホテルインディゴ軽井沢〉に到着。試乗のトップバッターはというと? それがなんとアルトゥーラ。久しぶりにしていきなりの出会いに運命を感じるくらい、とにかく嬉しいスタートとなった。
久しぶりに対面したアルトゥーラだが、当然その美貌は変わらない。低いノーズに奥まった位置にあるヘッドランプ、しっかりと道路に張りつくかのようなフォルムは、相変わらず強さと流麗さ、洗練を感じさせてくれる。見るほどに色褪せない価値を感じるところだ。また、「すべてのものには理由がある」というのは〈マクラーレン〉のデザイン哲学だが、もちろんこのアルトゥーラにも宿っている。空気抵抗の軽減、エアフロー、ボディバランスなど、美しいフォルム中に技術的な裏づけが透けて見えるだけに、オーナーならますます愛おしくなるというものだろう。
その点に関しては内装も同じ。スーパーカー好きの心を奪う“ディヘドラルドア”を跳ね上げて1ピースのレーシング仕様シートに収まると、そこには無駄なものなどない。走る気満々のインテリアが広がっている。もしかして、人によってはインテリアが少し簡素に見えるかもしれないが、ちょっと待って。実はこれこそが「視線は道に、手はステアリングに」という〈マクラーレン〉の流儀に従った結果であって、あくまでドライビングに集中するために操作系を機能的に集約。走りに必要なものが最適なポジションに配置されたことで、結果的にシンプルなインテリアになっているというわけだ。
さあ、走りに行こう。ご存じのとおり〈マクラーレン〉ブランドの中で、唯一のプラグインハイブリッドシステムを持つのがアルトゥーラ。超軽量のカーボンファイバー製モノコックと前後アルミ製のフレームとシャシー構造材を持ち、システム合計で最高出力700PS、最大トルク720Nmの超弩級スペック。これはなんど思い浮かべても心がざわめく。
走行モードは、モーターだけで走るEモードのほか、コンフォート、スポーツ、そしてサーキット向けのトラックの4つ。それとは別にサスペンションも、コンフォート、スポーツ、トラックから選択ができ、シーンによって、あるいはお好み次第でドライビングテイストを変更できるのは嬉しい。スタートのデフォルトはEモードということで、アクセルを踏むとV6の雄叫びが響くことなく、静かにするっとスタート。そう、これがあると、早朝や深夜の走り出しには大助かり。ご想像どおり“マナーをわきまえた人”ということになり、ご近所の評判がだいぶ違ってくる。
ちなみに今回の試乗では、〈ホテルインディゴ軽井沢〉を出て、上信越自動車道の碓氷軽井沢ICへ。そしてそのまま高速道路に乗って松井田妙義ICで降り、碓氷峠を通過するルートを選んだ。
高速道路を乗る前に、ドライブモードをコンフォートからスポーツにセット。すかさずアクセルを踏むと前回乗った高揚感が再び訪れた。なんたって0-100km/h加速は怒涛の3.0秒。「フォ~ン」と唸りを上げる3ℓV6 ツインターボエンジンが天井知らずに伸び続けるものだから「はっ!」としてアクセルを戻す、の繰り返し。モードをトラックに変えるとサウンドも雄々しく、さらにパワーとレスポンスのよさが一段上に。最高出力700PS、最大トルク720Nmの片鱗を味わえるのは大いなる喜びだ。とはいえ、あくまで片鱗でしかないのが残念なところ。「速度無制限区間があったらいいのになぁ」と思ってしまうのは毎回のことだが、これはこれで致し方なし。一度でいいから、そのあり余る性能をとことん感じてみたいと思うたびに、サーキットへの道が頭の中に浮かんでしまった。
走りをピュアに感じたいなら
最も軽量でパワフルな1台で!
お次に控えていたのは750S。〈マクラーレン〉史上、最も軽量で最もパワフルなシリーズモデルがこれだ。筆者は720Sには試乗体験があるが、その進化版である750Sに乗るのは今回がはじめて。目元の印象からだろうか、第一印象はアルトゥーラと比べるとより獰猛で、リアのエアスクープがないぶんツルンとした感じ。そういえば、〈マクラーレン〉の際立つ特徴として、カーボンモノコック、ライトウエイト、強力なパワートレーンと並んで、エアロダイナミクスがある。これはレーシングカーと同じ環境でエアロダイナミクスを突きつめることで、F1マシン同様、2輪駆動でも最高のパフォーマンスを目指すというもの。現段階でその最高の形が750Sということだから、圧倒的なオーラを感じてしまうのは当然のことかもしれない。
ちなみに目の前にある750Sのボディカラーはアマランスレッド。MSO用の中で選べるカラーのひとつだが、こちらはなんともいえない大人の赤がいい。
さて、そんなクルマとさっそく高速道路へと繰り出したのだが、合流時にアクセルをひと踏みしたとたん、あとはご想像どおりの展開に。V8ツインターボの雄叫びを背中で聞いたと思ったら即座にワープ。路面の凸凹を上手にいなしながら、速度が上がるほど安定していくような異次元の走りを感じさせてくれた。そうかそうか、750Sの最高速度は332㎞/h。素直に言うと「これ、レーシングカーでしょ?」だ。
碓氷峠のコーナーを目の前にしても、750Sの横綱相撲は変わらない。コーナーに積極的に頭を向けるハンドリングのよさは本当にピカイチ。「いったいどこが限界なんだろう?」と思うほど、コーナーでは安定感がありながらもスリリングな体験を味わわせてくれる。軽量に加え、ミッドシップの後輪駆動というバランスのよさも寄与しているのだろうけど、このクルマ、やっぱり次元が違う。気がつけばコーナーをクリアし続けることがゲーム感覚になっていて、夢中になって何度もコーナーに挑んでいくことに。そして峠を降りるころには、最高のマシンでスポーツドライビングに挑んだ爽快なひとときが待っていた。750Sに乗ったら、どうあっても運転に集中してしまう。そしていつの間にかドライビングに没頭して、場合によっては少し汗ばんでくるなんてこともあるだろう。そう、ハイレベルのスポーツドライビング体験をお求めの人には、まさに願ってもないクルマであることは間違いない。 ■GTS
GTSという選択なら
高揚と寛ぎを一挙両得!
スーパーカーを選ぶ人は、ほかにも複数台所有しているのが当たり前。となると「遠出の旅には実用性の高いSUVで」なんてことになっても不思議ではない。ただ、そのスーパーカーが〈マクラーレン〉GTSなら話は別。もちろんGTSの中身は正真正銘のスーパースポーツだが、その一方で、GT=グランドツーリングの文字があるとおり、積極的に長距離移動を楽しみたくなる余裕の側面もしっかりと備えている。
試乗車に関していうと座面がMSOで設えたホワイトナッパレザーとなっていたが、ハリがありながらもしっとりと優しい座り心地で、心とカラダに安らぎをもたらしてくれるタイプ。上質なレザーの肌触りも気持ちよく、それがドアトリムにもあしらわれていて、「手に触れるすべての部分を心地よく」といったラグジュアリーな流儀がしっかりと感じられるのは嬉しい。
さて、このGTS。走ってみると、勇ましいV8エンジンの存在を後ろで感じつつも、室内はあらゆるノイズが軽減されているのだろう、なんとも静かで快適ということに気づく。特に発進時は、ドライビングモードがコンフォートの場合、クワイエットスタート機能のおかげで静かな発進も思いのまま。品のよさはこんなところにも表れてくる。
快適さに関しては、しなやかな足回りも貢献している。アルトゥーラ、750Sと同様に、GTSにも連続可変電子制御デュアルバルブダンパーを備えたプロアクティブ・ダンピング・コントロール・サスペンションが搭載されているが、こちらはホイールごとに異なるコンプレッションとリバウンド特性に対応。路面の凹凸を不快に伝えることがないので、その点でもドライブ中の室内は快適そのもの。これなら長距離ドライブの疲れを軽減してくれることも期待できそうだ。
それぞれが独創的なドライブ体験をもたらしてくれる、3台の〈マクラーレン〉。超軽量ボディに圧倒的なパワー、さらに理想のハンドリングで次元の違う走りが味わえるのは共通する魅力なのだが、ドライビング体験の先にどんな夢を描きたいかでふさわしいクルマが変わってくるはず。まあ、素直な選択はというと、グランドツーリングに圧倒的なパフォーマンスを望みたい人は迷わずGTS。常にサーキットをイメージして、究極のドライビング体験を追い求める人は750S。ハイブリッドパワートレーンで、新しい時代のスーパーカーライフを楽しみたい人はアルトゥーラといった具合。とはいえ、このような考えの枠にとどまらないのが“スーパーカー乗り”というものだろう。最後は感覚的に、好きな1台をひらめきで選ぶのが最良の選択になるかも!? ★DATA 〈マクラーレン〉アルトゥーラ
●車両重量(乾燥重量):1395kg
●ホイールベース:2640㎜
●エンジン:3ℓV6 ツインターボ
●エンジン最高出力:445kW(605PS)/7500rpm
●エンジン最大トルク:585Nm/2250~7000rpm
●モーター最高出力:70kW(95PS)
●モーター最大トルク:225Nm
●システム合計最高出力:515kW(700PS)
●システム合計最大トルク:720Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:3300万円~
★DATA 〈マクラーレン〉750S
●車両重量(乾燥重量):1277kg
●ホイールベース:2670㎜
●エンジン:4ℓV8 ツインターボ
●エンジン最高出力:552kW(750PS)/7500rpm
●エンジン最大トルク:800Nm/5500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:4170万円~
★DATA 〈マクラーレン〉GTS
●車両重量(乾燥重量):1456kg
●ホイールベース:2675㎜
●エンジン:4ℓV 8 ツインターボ
●エンジン最高出力:467kW(635PS)/7500rpm
●エンジン最大トルク:630Nm/5500~6500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:後輪駆動
●税込み価格:2970万円~
INFORMATION
●マクラーレン・オートモーティブ
URL:https://cars.mclaren.com/jp-ja
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