アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”

天ぷらは、揚げるタイミングの見極めが極めて重要とあって“一瞬の芸術”とも称される、奥深い料理。衣作りや温度管理、油切りなどの技術を体得するのは容易ではない。

なかでも今回は、オープンしたばかりの極上天ぷらを紹介しよう。

[日本橋天ぷら ふじなみ]

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アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”
カウンター。揚げたての天ぷらを口にするのは幸福度が高い

2025年10月1日にオープンした〈日本橋天ぷら ふじなみ〉は、プロの技を堪能できるこだわりの天ぷら店。静寂に包まれた店内には、職人の手元を間近に望めるカウンター8席のほか、個室として使用できる6席のプライベートルームもある。余計な装飾を排した空間は、木の温もりと和の気配を感じさせ、日常から切り離された特別なひとときを体験できる。

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料理長の安達忠宏氏

ここの料理長を務めるのは安達忠宏氏。42年にわたり“天ぷらの道”を一筋に歩んできたという熟練の職人で、〈つな八〉などで研鑽を積んだ。2024年に惜しまれつつ閉館した名店中の名店〈山の上ホテル〉では料理長を務めてきた。そして、自身の伝統の技と新しい挑戦のために〈日本橋天ぷら ふじなみ〉を立ち上げたのだ。 

 

◆Course Menu◆

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車海老をはじめ、厳選された食材を生かした数々の天ぷら

“ディナーコース”(1万7000円、2万5000円、3万3000円)には、3つのコースが用意されており、品数やメニューが異なっている。前菜にはじまり、本日の逸品料理がいくつか提供されてから、天ぷらが登場。最後にデザートも付く。
独自の配合で調整した軽やかで香り高い衣、最適なバランスでブレンドした胡麻油は、食材ごとに揚げわけているというこだわりよう。 

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是非とも噛みしめて堪能してもらいたいのが車海老だ

そんな安達氏が揚げる珠玉の天ぷらの中でも、特筆すべきは車海老だ。当日の車海老は、食味に定評のある熊本県天草産。最初に揚げられる天ぷらで、まずは“足”から提供される。カリカリ、パリパリっとした小気味いいテクスチャーで、口中で油の香ばしさが広がっていく。足の次は、身が揚げられる。衣はサクサクとして、中はプリプリとした食感。加熱することによって車海老の甘味がさらに引き立ち、滋味が衣の風味によって強調される。軽く塩を振って食べるのをおすすめする。

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季節感のあるレイアウトに思わず写真を撮りたくなる先付け

八寸仕立ての先付けも特徴的。“玉手箱”と名付けられた器に、9種類の美しい前菜が整然と並べられている。香り高い“春菊の胡麻和え”、ぼたん海老の甘味と唐墨の塩味でお酒との相性が抜群な“ぼたん海老 唐墨和え”、白味噌に漬けて旨味を増した“クリームチーズ”など、珠玉の逸品ばかり。


アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”
アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”
季節の野菜や魚介類も新鮮で素材のよさを一瞬で感じられる

それではさらに、ほかの天ぷらも紹介しよう。
“静岡県産ブラウンマッシュルーム”は肉厚で快味にあふれており、“秋田県産 白魚の大葉巻き”は、大葉の爽やかな香りが白魚の旨味を引き立て、白魚のふわっとした食感が印象的。

“熊本県産 赤茄子”はとろけるような食感で、ほんのりとした甘味が差す。添えられた金山寺味噌はまろやかでコクがあるので、乗せていただくと味わいが深まる。“新潟県産 大黒舞茸”は濃厚で深い滋味があり、サクサクっとしたテクスチャーが小気味いい。厳選された鰹節と小豆島産醤油の香り高い天つゆとの相性も完璧だ。

アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”
サクッとした衣の歯ごたえとふんわりした穴子の身に感動すらおぼえる

“穴子”は3つにわけて提供された。それぞれ、塩と天つゆで、“味付き”はそのままでいただくと、ふくよかな佳味の変化が感じ取れる。骨も揚げられているので、軽く塩をつけて箸休めにどうぞ。

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“海老と三つ葉のかき揚げ天丼”

締めのお食事は“海老と三つ葉のかき揚げ天丼”。艷やかな茨城県産のお米の上には、さっくりと揚げられた海老と三つ葉のかき揚げ。仕上げに玉子の天ぷらが乗せられるので、途中から割って食べると“味変”になるのも面白い。
 

【WINE】


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天ぷらにワインを合わせるとは、きっと新しい体験になる

そして、なんといっても香りのいい天ぷらにはお酒もよく合う。日本酒や焼酎も用意されているけれど、料飲事業部のディレクターである倉本裕智氏がセレクトしたワインペアリング(7700円/90㎖ 5グラス)がおすすめだ。

最初のシャンパーニュは“ニコラ・フィアット シャンパーニュ レゼルヴ・エクスクルーシヴ ブリュット” (写真左)。黒ブドウ主体で、きめ細やかな泡が前菜に合い、油も軽やかに流してくれる。グレープフルーツやライムの香りに満たされている白ワインが、“ルデンヌ ル・シャトー ボルドー・ブラン 2020”(写真中)。張りのある酸と丸みのある果実味のバランスがよく、天ぷら全般に合う。“マニュエル・オリヴィエ ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ シャルドネ 2022”(写真右)は、ブリオッシュの香りと端正な辛口の白ワイン。適度にボリュームがあるので、力強い穴子やかき揚げを鷹揚に包み込んでくれる。

アレが食べたいからこの店へ!匠の技を目の前で見られる“究極の天ぷら体験”
店内には、静かな時の流れの中で天ぷらの弾ける音が心地よく響く

安達氏が目指すのは“究極の天ぷら体験”。非日常な空間の中、職人技で揚げられる天ぷらを堪能できるのは、ほかにはない至福の時間。席数も少なくてすぐに予約が難しくなりそうだから、早いうちに〈日本橋天ぷら ふじなみ〉を訪れてみて!   

 

INFORMATION

⚫︎日本橋天ぷら ふじなみ
住所:東京都中央区日本橋本町2-2-5 日本橋本町二丁目ビル1F
営業時間:17:00~22:00(20:30LO)
定休日:水・日曜、祝日
TEL:03-6262-1133
URL:https://tempura-fujinami.jp/
※サービス料込み

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文=東龍 text:Toryu
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。

ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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